雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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アニメ準拠なので期末試験は組み合わせごとに行われます。


第32話 期末試験(2)with 芦戸アップデート

 試験は一斉スタートではなく、組み順実施。

 その間は観戦するもよし、打ち合わせをするもよしと生徒たちに委ねられた。

 正直、観戦したい気持ちはあるけれど、今回は諦めよう。第6戦だから最大で3時間の時間があるが、おそらく実際は2時間もかからず出番になる。正直時間が足りない。

 

「三奈ちゃん、よろしく」

「よっろしくー!茉芭(まつは)ちゃんが一緒なら心強いよ!」

「じゃあ、打ち合わせしよっか」

 

 組ごとの控室もしっかりあった。ほとんどの組が打ち合わせをするつもりのようだ。例外は緑谷君と爆豪君ぐらいか。ただ悪いけど今は構っていられない。まずは2人で勝つことを考えないと。

 

「まず、現状の認識合わせをしたいんだけど」

「うん、グランドγで校長先生と、だよね。相手を捕まえるなら大変だけど、逃げるならラクショー!」

 

 あぁ、やっぱり楽天的に過ぎる。見た目で格下と思ってしまうのはわかるんだけど。

 

「私はそうは思わない。正直、この組合わせって完全に舐められてる」

「どゆこと?」

「天敵との対戦になっていると思う。何なら、モニタールームに行ってみたらいいよ。第1戦は10分経たずに終わると思うから」

「ちょっと見てくる!」

 

『上鳴電気、切島チーム、両者、気絶によりリタイヤ』

 

 思った以上に早かった。慌てて飛び出して行った三奈ちゃんはすぐに戻ってきた。

 

「本当に終わってたよ。なんで?」

「この試験、相澤先生は「動きの傾向や成績、親密度。もろもろを踏まえて」組んだって言ってた。コレ、別に相性がいい組み合わせって意味じゃないよね?」

 

「うん、それは上鳴と切島があっという間に負けたからわかる」

 

「つまり類似する弱点か、弱点が少ないものには何かしらの弱点を持つ相手を組ませてる。そして対戦相手はその天敵となりうる先生。あ、緑谷君と爆豪君は単純に仲の悪さだと思う」

「あはは。そーだね。アレ?でもそうすると、アタシ達の弱点って?」

 

 弱点と言うか欠点を突かれているのは私も同じ。ただ弱みが多い、と言う意味でより舐められているのは三奈ちゃんだと思う。

 

「まず、私は割と理詰めで動くから行動が読みやすい。例えばまだ勝機はあるのに三奈ちゃんを囮にして自分が逃走を選ぶ可能性まであり得ると思われてそう。そういう部分がヒーローらしからぬ、って思われてるんじゃないかな」

 

「言われると酷いって気もするけど、クリアできるならそれもアリかなぁ、って思うけど?」

「そう言ってもらえると気が楽になるわ。で、三奈ちゃんについては……聞く?」

 

 絶対話すことになるんだろうけど。 

 

「聞く。聞かせて」

「私が考えすぎなら、多分、三奈ちゃんはその逆。考えてなさすぎ、と思われてる。天然で次に何をしでかすかわからない、って程ではないから私以上に読みやすい」

「むぅー、考えてるよぉ」

 

 周りは行動で判断するからね。そのあたりが問題視されているんだと思う。

 

「さっきの試験説明で「花火―」とか叫んでたじゃない。ああいうところが、状況に真面目に取り組んでいない評価になってると思う。言っちゃうと、それが体育祭後のスカウト件数になって表れた」

「えー?……それって私、ヒーロー向いてないってこと?」

 

「ううん。私から見れば、ルックスもスタイルもいいし、コスチュームは健康的なお色気がある。明るくてノリのいいキャラもあって、プロデビューすれば割と人気は出ると思うよ」

 

「え、えぇ!?そんな真顔で言われると、て、照れるね」

「ただ、現場でも同じだと、不安になる人もいる、ってこと」

「……ぁぅ」

 

 この表情がクルクル動くところとかは可愛いよねぇ、電気にもこれくらいの可愛げが欲しか……いや、ないわー

 

「まぁ、そんなわけで」

「話を強引にぶった切ってきた!」

「お互いのダメ出しでつぶす時間が勿体ないよ」

 

 いつまでも自虐してても仕方ないし。その場のノリで動きがちだが、三奈ちゃんには油断さえしなければその前向き思考と柔軟性は立派な武器だ。

 

「今ある手札にさらに上乗せをして、校長先生の予測を超える」

「おぉ、いいね。なんだか燃えてきた―」

「うん、勝ちに行こうね」

 

 うんうん、よい感じに三奈ちゃんも集中してきた。出番までに一度息抜きはしたほうがいいけど。

 

「場所はグランドγだから、工業地帯。校長の体格、個性から考えて、予想できる攻撃手段は何だと思う?」

「うーん……爆破?でもそれは校長先生の個性じゃないよね?」

 

 根津校長の個性は「ハイスペック」。ざっくり言えば、人間以上の知性を校長先生が持つに至った理由。同時にあの見た目で世界的に尊敬される人格者でもある。

 この辺の情報は雄英の情報を調べればすぐに出てくる。

 そんな現代の聖人とでも言うべき校長先生だけど、小細工なしに戦闘した場合、卵と言えどヒーロー予備軍に勝てるかと問われれば、私は首を横に振る。

 つまり、校長先生の攻撃は搦め手一択。

 

「うん。多分、大型重機を持ち込むか、据え付けの物を使うと思う」

 

 マップ上にはスタート前待機地点と、ゴールの位置関係が記されている。

 中間あたりに、マーカーで線を入れる。

 

「多分、手段はともかく、施設を破壊して脱出ルートをふさぐと思う」

「そんなの出来る!?」

 

「私は無理だけど、校長先生ならやれると思っていいんじゃないかな?「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」って言うし。建物の連鎖破壊でドミノするぐらい予想しておこう。だから建物の崩壊で追い詰められないよう、まず建物の上に上がる」

 

「救助訓練レースの時と同じだ!」

「そうね。ここまでは校長の読みの範囲だと思う」

「うげげ、それじゃいくら茉芭ちゃんが作戦立てても無駄じゃない?」

 

 そうでもない。校長先生の個性はあくまでスペックの底上げであって、予知の類ではないのだから、つけ入る隙はある。

 

「そこまでなら。予測にも大きな弱点があるから、そこを突く」

「え、そんなものあるの?」

「あるよ。そしてそれは三奈ちゃんが鍵。そのためにはちょっと今から頑張ってもらうことになるけど」

「う、うん?」

 

 逃げての勝利ではなく、捕縛狙いならそれが唯一の勝ち筋。さぁ、2人で勝ちに行こう。

 そして校長の予測を出し抜くために思いついたアイディアは割とあっさり、三奈ちゃんはモノにしてのけた。やっぱりこのクラスの皆って、天才多くない?

 

 

『上鳴茉芭、芦戸チーム、演習試験、 Ready Go!』

 

 出番までに急ごしらえだけど連携も確認して、スタートと同時に包帯捕縛術を使って建物の上に。三奈ちゃんは救助訓練レースとの時と同じように壁を溶かしながら上がってきたところを、捕縛術で引き上げる。

 

「全方位チェック」

「オッケー!」

 

 見晴らしのいい給水塔から背中合わせで周辺を見渡す。程なくして稼働を始めようとしていた鉄球クレーンを発見した。

 

「見つけた!行くよ!!」

「オッケー!遅れないでよねっ!」

 

 バッテリーはフル充電済み。足元に集めた電子で判りやすいように飛ぶのと合わせ、拾っておいた小さいナットを掌に載せ、指ではじく。

 

「では、まずはご挨拶を。超電磁砲(レールガン)!」

 

 小さいナットは帯びた電子により磁化し、周辺電子の「砲身」から飛び出して行く、距離もあるので命中していないと思うけど。でも、私が何をしたかはわかるはずだ。

 ダメージこそ与えられていないが、次の行動も予想できただろう。精々こちらに注目してください。

 

「やっぱ、そうそう精度でないよね。次は流石に電源探さないと!」

 

 落ちる軌道を包帯を使って変えながら、三奈ちゃんが今までにない速度で視界から消えていくのを見送る。別ルートを進む私は、可能な限りの速度で次の砲撃ポイント探しに移動する。

 正直、背に腹は代えられない、と言っても、アレを参考にするのだけは、ホンッ、とー、にっ!嫌なんだけど、いいものはいいし、幸い、三奈ちゃんはそこまで嫌悪感がないらしい。凄いなぁ

 

「峰田のもぎもぎ、まさか酸の成分調整で再現できるなんて」

 

 校長の予測を超えるには、予想外のモノ、未知のモノを繰り出す必要がある。

 そして今回の演習試験は時間制限がある。一番必要なのは速度、ということで、三奈ちゃんのスピードアップが必要だった。

 水分と粘度、酸度を調整し、バネの様な弾性を獲得した酸を手足に纏ってジャンプ力を増強する。そのままでは着地時に体についた酸に引っ張られて飛べない可能性があるが、反発を得たら新しい酸を出すことで体から分離。後はその繰り返し。

 

 連続して飛びながら、再び動き出した鉄球クレーンを見る。

 距離もあるし、校長先生の体はそもそも小さいから見えないのは仕方ない。

 

「後はこっちができるだけ目立って、校長の意識を拘束する」

 

 幸い、今回もテスト対象に必要なリソースは初期段階では用意がある。後はそれを逃さないだけ。通電している高圧受電装置(キュービクル)を発見したのでそこからたんまり電子を頂戴する。

 

「さぁ、ここからずっと、私たちのターンです!」

 

 近くには足場用鉄パイプまである至れり尽くせり。

 何もないところに砲身を作る手間が省けたので、より高い精度と威力で砲撃ができるだろう。

 

「狙い撃つぜー」

 

 実際は適当に撃っては修正をしていくなんちゃって狙撃手というか、砲撃手となって嫌がらせをすること数分。高電圧高電流の電源のおかげで威力は十分。数分のうちにクレーンの操縦席の躯体を歪ませることに成功。

 これで詰んだと確信し、三奈ちゃんの邪魔になる砲撃を中止、万が一の逃走に備えて距離を詰めることにした。幸い、諦めてくれたのか、クレーンの足元に到着したところで終了のアナウンスが入った。

 

 

『上鳴茉芭、芦戸コンビ、条件達成』

 

 

「「イエーーイッ!!」」

 

 三奈ちゃんと歓喜のハイタッチ。いやぁ、勝てた勝てた。

 

「やられたのサ。上鳴さんの支援攻撃と僕らの予想を超えた芦戸さんの移動速度。すべて素晴らしいサ」

「ありがとうございます」

「ありがとー、ございますっ!!」

 

 三奈ちゃんのテンションが高いままだけど、今はいっか。

 

「脱出を選ぶかと思っていたサ」

「脱出ルートは塞がれると思っていましたし、なら、打って出るのも正解かと」

「イイね。その調子で頑張ってほしいのサ」

「「ありがとうございます」」

 

 もう一度、お礼を言って演習試験は終わった。勝ったけど内容で不合格、となりませんように。

 

 

「芦戸さん、上鳴さん!クリアおめでとう凄かったね!」

「うん、素晴らしかったよふたりとも!」

「まさか校長の予測を上回るなんて、素晴らしいです」

「すごかった!」

 

 モニタールームでは緑谷君達が出迎えてくれた。八百万さんも表情が誇らしげだから、勝てたのだろう。よかった。

 

「ありがとう。三奈ちゃんが頑張ってくれたからね」

「いやー、茉芭ちゃんのアイディアがあってのことだよー」

 

 後は全員合格して林間合宿に行けるといいけど。あぁ、でも電気と切島君は負けてたから難しいかな?




オリ主が元々頭脳タイプのように書いてるので、考えすぎ&考えなしコンビと言う風になりました。
そのうえで、このペアで校長に勝とうと思うと、芦戸に頑張ってもらったほうがいいと思い、酸の使い方が増えましたw
救助訓練レースでも酸でビルの壁を溶かして足場を作りながら登ってましたし、そこからちょっと進めてみたら何故か峰田の移動方法がインストールされてました。
自分で書いててあれ?って感じですw
峰田は煩悩に忠実すぎるのと描写がアレ過ぎて、あまり好きなキャラではないですが、時折見せる個性の使い方は本当にうまいと思えるんですよね。
なので、オリ主も苦渋の決断(笑)でそれを模倣、芦戸の個性の使い方がすこーし増えました。
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