雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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第35話 iエキスポ(2)

 八百万さんに連絡をすると、カフェで緑谷君と合流してお茶をしているとのこと。

 来てたのか。体育祭優勝の副賞で爆豪君は招待券をもらっているはずだけど、その同伴とは思えないし、多分、オールマイトの同伴だろう。

 

「お待たせ。あれ、飯田君達も来てたんだ」

「おぉ、上鳴さんか。君も来ていたとは」

「うん、運よく抽選で当たって」

「くっそ~、ホンッと、マッハってそう言うところあるよな」

 

 そうは言われてもね。こればかりは運だし、今回に関しては相手側の思惑もあったし。

 

「それで茉芭(まつは)さん、アナハイムはいかがでした?」

「ちょっと待ってね。そこのバイトさん、コーヒーお願い。ホットで」

「む、確かにそうだな。君たち、今は勤労に励む時だ!」

 

 飯田君が相変わらず真面目全開で助かるよ。

 体よく峰田と電気を追い払って、見知らぬ金髪美人さんに挨拶をする。

 

「改めて、上鳴茉芭です。どうぞ茉芭かマッハと呼んでください。ヒーロー名はブルーアンバーです。さっきのウエイターが何か失礼をしてたら物理的に締めておきますので遠慮なくどうぞ」

「あ、あはは、大丈夫よ。メリッサ・シールドです。私もメリッサでいいわ。それにしてもアナハイムの関係者、なの?」

 

 ちょっと不快、いや不安そうだ。業界を知っている人には評判微妙だよね。

 ただ評判以上に経営実態は健全だし、世評がいまいちな分、配当は美味しいんだけど。

 

「生活と利殖で株を持ってるだけです。株主向け抽選でチケットを頂いて、お礼に行ったらモニターと称してこれを押し付けられましたけど」

 

 言って、モニターグラスとリストバンドをメリッサさんに渡す。

 

「これは……パパの特許が使われてるわね。シンプルに良くまとまってる、本体は?」

「背中です。背部装甲を兼ねる事が出来るあたり、よくできてますよね」

「流石よね。悔しいけれど認めざるを得ないわね。ありがとう、マッハちゃん」

 

 返してもらったモニターグラスを改めて装着し、リストバンドも付け直す。正直、私の場合はリストバンドいらないなぁ

 電子操作でメニューを操作すれば、自在に操作ができるし。

 入学時に申請したコスチュームに要望した機能はまさにこれなのだけど、今となってはいらない子になりそう。便利は便利だけど、電子操作で戦闘してたらデバイス内の電子まで根こそぎして壊してしまいそうだ。

 

「ところで、緑谷君」

「な、なにか、な?上鳴さん」

「オールマイト先生は?一緒じゃないの?」

「なななななな、なにをっ!?」

 

 何かパニックになってるけど、もうみんな知ってるって。

 

「だって、メリッサさんって、シールドってことはオールマイト先生のサイドキックだったデヴィット・シールド博士の娘さんでしょ?さっき、パパって言ってたし。で、そんな人と一緒に居るってことは、ちょっと考えたらわかるじゃない」

「まぁ、そうですわね」

「だよねー、緑谷、アンタ隠し事下手すぎ」

「あぁ、それで。一応、隠してたのね?」

「あ、あはは。みんな容赦ないなー」

 

 言われて見事なぐらいに凹む緑谷君と苦笑するお茶子ちゃん。

 

「マイトおじ様はパパと昔話に花を咲かせてるわ。それで緑谷君を案内してたんだけど、良かったらこの後と明日の一般公開日、私が案内しましょうか?」

 

 そのありがたい申し出にありがたくお礼を言ったのと、エキスポ会場中心にあるアトラクションから爆音が響くのは同時だった。

 ヴィランの襲撃ではないと一息ついてから会場につくと、そこには切島君と爆豪君の姿があった。

 

「なんでテメェがここに居るんだぁ!」

 

 デク君めがけて真っ直ぐ飛んできた爆豪君はギャンギャン吠えてなかったら可愛げ……はないけど、煽られた緑谷君が適当な相槌を打ちすぎたせいでヴィランアタックに飛び入り参加することに。

 ちょうどいいから私もやってみよう。多少の戦闘データぐらいは提供しておきたいし。

 

「と言うことで、私が先にやらせてもらうね。で、アレ、使ってみよっか?」

「……フルフォルムのこと?どうして?」

「期末試験で一瞬しか発動してなかったでしょ。戦闘機動を試すにはちょうどよさそうだし」

 

 

『さぁ、飛び入りのチャレンジャー!どんな記録が飛び出すのか!?ヴィランアタック!レディー!ゴォッ!!』

 

 合図とともに飛び出して、太もものバッテリーから足元に電子を集めて跳ぶ。

 何もしないとゆっくり落ちる程度の浮力であっても、体重軽減効果と言う意味ではすさまじい跳躍力をうむ。麓付近の1体を蹴りで破壊しつつ、電子を奪い、そのまま次へ。

 サポートデバイス(ALICE)は最短撃破へのルートを指示してくれている。うん、これは便利。

 後はその繰り返しなんだけど、それで終わるにはつまらない。これは所詮見世物だし、なら最後は多少演出を入れてもいいだろう。

 自分としても思いつきだが、多分できるんじゃないかと、相手の回路から奪った電子を自分で使うのではなく、イオノクラフト効果を生むように誘導し、ロボ自体を浮かせ、軽く蹴飛ばす。

 なんとなく、会場全体が「え?」と言う空気になるが、周りの反応とは裏腹にロボは勢いよく山から飛び出して行ったのを見て、追いかけるように自分も飛ぶ。

 

見よう見真似(なんちゃって)踵半月輪(ルナアーク)!」

 

 最後はスタート地点めがけて踵落とし。会場は派手な撃破劇に湧いてるから、そこそこ成功したらしい。

 最後遊んだから、5秒ぐらいは損したかも。盛り上がってるし悪くない結果でしょう。

 

『タイムは23秒!!トータル2位!女性挑戦者の暫定トップです!』

 

 そりゃ絶対数が少ないから。多分、夕方までにプロヒーローが結果を書き換えると思います。具体的には本家本元のミルコとか。来てれば、だけど。

 出待ちの緑谷君がなぜがドン引きしてた。君ならもっとすごいタイム出るでしょうに。

 

 そしてフルフォルムを使った緑谷君は13秒と暫定トップ。

 速度とパワーは過剰なレベルで出てるけど、停止と再加速で時間がかかるからそんなものかもしれない。

 さらに全部を凍り付かせた轟君が14秒と惜しくも2位。雄英1年のトップ3にまで登ってきた緑谷君のポテンシャルは流石と思った。

 

 2人に抜かれて暴れる爆豪君を緑谷君、飯田君、切島君が取り押さえるのを見て、メリッサさんはとても楽しそうだった。

 

 他のお客様の迷惑なので、と丁重に叩きだされて一度全員が集合した。

「緑谷たちも来てたんだな」

「けっ!どーせ、オールマイトだろ」

「あはははは……」

 

 だからバレてるというのに。その特別扱いを当然と思ったり自慢したりないあたりは好感が持てるけど。

 

「轟君も体育祭1位の招待?」

「いや、親父の代理だ。体育祭のは余ったんで常闇に譲った」

「うむ、馳走に感謝。しかし緑谷は急成長をしたな。我も精進せねば」

 

 いつの間に来てたのか、常闇君と障子君の姿もあった。

 

「結構来てるんだな」

「そうですわね、明日の一般開放日にはクラスの女子全員とメリッサさんとで回る約束をしてますの」

 

 再び嬉しそうにプリプリし始める八百万さん。

 うん、まぁ、可愛いからいいよね。

 メリッサさんのご厚意で、レセプションパーティに参加できることになった電気と峰田は放っておくとして、女性陣はレセプションパーティのために着替え。

 最初はiアイランド内のレンタルドレス業者を使うつもりだったのだけど、プリプリしてる八百万さんに逆らうのはねぇ……捨てられそうな小動物みたいでどうにも無下にできずるずると。

 そもそもサイズが根本で違うので、わざわざそれぞれのイメージで用意したんだろうなぁ、と、半ば死んだ目になりながら八百万さんが納得するまで着せ替え人形に徹しました、ええ。

 とりあえずあまり派手ではない、青いワンピースタイプを借りることにした。

 ブルーアンバー(わたし)が青いドレスを着てなにが悪い、と開き直ることにした。

 借り物のサポートデバイスは部屋に置いていこうかと思ったが、背中の本体はメインのAIユニットだけ外して持ち歩けるようなので、太ももに隠して持って行くことに。

 ちょっとみんなが呆れてたけど、これも運用データ、ということで。

 

 

「「おぉぉぉ~~」」

 

 お茶子ちゃんがかわいいのは事実だから、落ち着こうか。

 正直、学生なんだから制服でも許される気がするんだけどね、正装って。盛り上がってる空気が冷えるから言わないけど。それにこの時期に冬服着たくないし。夏服は、建前としては略装だから、正装と言われてドレスは間違いではないし。はい、たまにはオシャレしたかったので嬉しいのは事実です。

 

 電気と峰田はホント、おっぱい星人だよね。電気にしてみれば身内だから変に褒められても歯が浮くけど。

 

「上鳴」

「うん?轟君は白のスーツか。洒落てていいね」

 

 今なら右半分を赤、左を白とか、髪と合わせてコーディネートしてもいいと思うけど。

 

「似合ってるぞ」

「う、うん。ありがと」

 

 不意打ちは心臓に悪いので勘弁してください。なんか、普段は揶揄われる側のお茶子ちゃんと響香が獲物を狙う目をしてるし。

 いっそ、死なばもろともで、緑谷君にお茶子ちゃんをエスコートするように促してみようか。高確率で轟君か飯田君とペアにさせられるが……峰田?ナイナイ。

 その場合、問題はメリッサさんなんだよなぁ、うーん

 

「轟君、そう言えば常闇君はパーティには来ないって?」

「あぁ、なんか闇の者ゆえとかなんとか……気になるのか?」

 

 あぁ、はい。いつもの病気(ちゅうにびょう)ですね。つける薬はないからなぁ、ましてヒーローってある意味、治らないまま大人になるってことでもあるし。

 ちょうどメリッサさんも来たことだし、こない人はもう仕方ないか。

 

「いや、どうせなら会場入りするときに男子みんなにエスコート役してもらおうか、とか思ったんだけど、メリッサさんのエスコートにいい人が思い当たらなくて」

 

「まぁ、素晴らしいアイディアですわ。それも社会勉強になりますし。そうですね、緑谷さんはお茶子さんを、轟さんはま――」

 

 嬉々として、私の自爆攻撃(アイディア)を後押ししようとした八百万さんだったが、そのセリフは途中で無粋な合成音声にさえぎられることになった。

 

 

『iアイランド管理システムよりお知らせします。警備システムより、iエキスポエリアに爆弾が仕掛けられたとの情報を得ました。iアイランドは現時刻をもって厳重警戒態勢に移行します』

 




いったんここで一区切りにします。
実のところ、この先の展開で常闇か障子に頑張ってもらうつもりで副賞を譲らせたのですが、思った以上に常闇が動いてくれませんでした。
爆豪以上に思うように動かすのは強敵な気がしますw

ちなみに、何も起きなかった場合のペアリング(案)
緑谷&麗日、上鳴電気&耳郎は即決として、八百万が飯田と轟のどちらをメリッサにつけるかで話が変わりそう。峰田?そもそも体育祭とかで八百万も被害を受けてますからね。アレを誰かのエスコート役にすることは全くあり得ないです(断言
まぁ、高確率で飯田&メリッサ(固辞したら飯田&八百万)と轟&オリ主になると思いますがw
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