これまで借りていた雄英生向け女子専用アパートを引き払って、雄英が敷地内に新たに建てた寮に入ることになった。
とはいえ、これに関してはお金にまつわる諸問題が当然のように発生する。
雄英生向けの賃貸物件は概ね、3年契約が基本で途中解約は想定していない。大家の方だって雄英生がごっそりいなくなるのは痛手だ。
ヒーロー科以外でも自前で部屋を用意していた人は多かったらしい。特に、転入狙いの生徒ほどその傾向が強い。
それらに対する補填等々、様々な調整を経て、本日ようやくの入寮となった。
基本的には学校側の都合なので、解約に関する違約金、引っ越し費用全てが雄英持ちになる。
それに加えて部屋がワンルームになるから、荷物を減らす必要もあったし。私が自室に用意していたトレーニング機器や処分する家具類は雄英の仲介で業者に売却。
雄英の買取補助額を加えると、ほぼ買い値の8割ぐらいになるから、悪くないと思う。
「とりあえず1年A組、無事にまた集まれて何よりだ」
「みんな入寮の許可、下りたんだな」
「私は苦戦したよ~」
「普通、そうだよね」
透ちゃんはご両親がだいぶ反対したのだろう。反対に響香はすんなりと許可が出たと。
私の家に関しては電気に関しても特に言われなかったらしい。私はまぁ、実力云々言ってた気もするが、学費自分で出してるんだし、それで押し切った。
何にしても全員集まれてよかった。
「無事集まれたのは先生もよ。会見を見たときは居なくなってしまうかと哀しくなったの」
「俺もびっくりさ。まぁ、色々あるんだろ。これから寮について軽く説明するから、中に入れ」
相澤先生に続いて寮に入る。入ってすぐのエントランスは板張りの落ち着く内装になっていた。
「学生寮は1棟1クラス。右が女子。左が男子と別れている。ただし1階は共同スペースだ。食事や風呂、洗濯は共同スペースで行えるが一応、各階にもミニキッチンがある」
「広っ!綺麗!オシャレ!」
「中庭もあるぜ」
「豪邸やないか~」
「麗日君っ!?」
設備の豪華さにお茶子ちゃんが卒倒していた。そこまでの物かなぁ?
「聞き間違えかな?風呂、洗濯が共同スペース!?……夢かぁっ!?」
「男女別だ。お前、いい加減にしとけよ?」
「アッ、ハイ」
うん、男女エリアの行き来はぜひ、セキュリティ高めでお願いしたいです。特に峰田はタルタロスレベルで閉じ込めておいてほしい。
それにしても日常の維持管理はどうなるんだろう。同じことを考えたか、百ちゃんが相澤先生に聞いてくれた。
「先生、食事の支度や掃除はどのようになりますでしょうか?」
「共用部は月に1度、ロボによる清掃が入るが、日常の維持管理は自分たちでどうにかしろ。食事もだ。と言っても料理ができるものに負担がかからないように事前注文で仕出しが使える。食材の注文も可能だ。注文方法は1階のキッチンに説明書きがあるからそれを見ておけ」
「判りました。皆さん、この後で最低限度のルールを決めましょう」
「うむ。規律は大事であるな。門限はありますでしょうか?」
「校内にいる限りはない。校門は18時に閉門。外出は事前に届けが必要だ」
その辺りは多少不自由ではあるが、保護のための全寮化だし仕方ないか。
「部屋は2階から男女別にそれぞれ4部屋の5階建て。1人1部屋、エアコン、トイレにウォークインクローゼット付きの贅沢空間だ」
男女それぞれ16人の収容と言うのはなんとも微妙。
ヒーロー科が全員男子、女子のみと言うこともないだろうから、偏ってもこれくらい、と言う事なのかもしれない。
それと百ちゃんの家ではこの部屋がクローゼットですかそうですか。
そしてお茶子ちゃんは何度、卒倒するのだろう?どんな環境も3日もすれば慣れると思うから、はやく慣れてほしい。
「部屋割りはこちらで決めた通り。各自、事前に送ってもらった荷物が部屋に入っているから、とりあえず今日は部屋作ってろ。明日また、今後の動きを説明する。以上、解散」
「「「はい!」」」
部屋割り表を見ると、私の部屋は2階奥の角部屋。
見る限り、女子の方が人数が少なくて部屋割りに余裕があるから真ん中の部屋を使わずに騒音問題が起きないように配慮した、と言う事だと思うけど。微妙にボッチ感が。
仕方ない。とりあえず決めることを決めたら荷物をほどこう。
と言うわけで、ざっくりと話し合った。
まず2階以上の廊下については住んでいる人の責任で管理。その意味では2階に1人の私の負担が重くなるが通路だけだし、ロボット掃除機任せでいいだろうから大きな問題はない。
1階共用部は食事をどうするか次第ということで、そちらを先に。
費用は掛かるが仕出し業者に各自で注文する案。材料を購入して自炊する案。林間合宿で皆でする調理の楽しさを憶えているから自炊派が多かったが、先々を考えてストップをかけた。
仮免を1年で取るということはインターン活動も1年から解禁される可能性がある。
そうなると長期にわたって当番に当たれない人が出るなど、すぐに回らなくなる可能性があった。かといってせっかく設備があるのだし、作りたい人は注文せず作る、でよいのはないかと言うことで落ち着いた。参考までに一佳にも連絡してみたが、B組でも大体同じような話になったらしい。
食事当番と言うものがなくなったので、1階共用部の掃除は単純に順番でローテーション。ただフロアや風呂場の管理負担が女子の方が重くなるので、1階共用部分の掃除はほぼ男子の作業と言うぐらいの比率で設定されている。
早速、各々が自身の携帯に必要なアプリを入れて夕飯の注文をしている。私は今日は持ち込んだ食材を適当に炒めて食べればいいかな。
ともあれ、大雑把な生活ルールが決まったところで、各自がそれぞれの部屋作りに散っていった。
荷物の片付けが大体終わって、あとはお風呂を済ませて寝ようか、というところでノックの音。
「はーい」
「
「あぁ、うん。後は段ボールを捨てに行ったらおしまい」
見せてー、とさっと中に入る三奈ちゃん。見られて困るものはないからいいけどね。
続いてみんなが続々と。これは上から女子部屋探訪でもしてるかな?
「おー、なんかオシャレ」
「前の部屋とは感じ違うね?」
「うん?まぁ、ワンルームだしそれで違うのかも?」
リビングと寝室兼用は流石に同じ感覚でコーディネートできないです。段ボールの運びだしを手伝ってくれたのはありがたいんだけど、ある意味、断って寝とけばよかった。
ゴミ捨て場から寮に戻ると、電気や切島君達がソファーでくつろいでいた。
「男子!部屋できたー?」
「あぁ、くつろぎ中」
「へぇ、早いね。電気、背もたれに座ると痛むよ」
そしてそのまま、三奈ちゃんと透ちゃんの仕切りで、お部屋披露大会が半ば強制的に始まってしまった。
1人目、緑谷君は見事なまでのオールマイト専オタ部屋だった。憧れは判るんだけど、毎日会えるでしょう、てか、お弟子さんでしょう?師匠への愛が重すぎてちょっと引くわー
2人目、抵抗むなしく強制エントリーの常闇君。うん、予想以上に厨だった。これ、目を悪くしないのか心配だなぁ
3人目は青山君。壁紙にまで手を入れてさらに巨大なミラーボール。うん、なんというか、らしいと言えばらしいけどね。常闇君と別ベクトルで目を悪くしないか心配になる部屋だ。
「楽しくなってきたぞー、後2階の人は~」
あぁ、お茶子ちゃん、それは存在してはいけないモノだと思うの。
「なぁ、入れよ……スゲェの見せてやんよ」
うん、ないわー。壁隔てて行き来出来ないとはいえ、同フロアなのが泣くんだけど。個性で監視しろと!?
3階1人目は尾白君。皆の感想は「普通」だったけど。
「あ~、でも、2階がキワモノ集団だったから、落ち着くねー」
「「「それは確かに」」」
「一緒にされた!」
だってオタ部屋だし。あのままオールマイトグッズショップになるレベルじゃない。
「アレと一緒にされても……」
尾白君はドンマイ。
3階2人目は飯田君。何と言うか、質実剛健と言う感じ。そして飯田君は紙の本派かぁ、私は電子書籍の方が扱いやすくて好きだけど。そして大量の眼鏡のストックがちょっとウケた。
次は電気。一言「チャラい」で済まされたけど、思ったより荷物が増えてないのは上出来ではないだろうか。チャラいけど。
3階ラストは口田君。持ち込んだペットの兎と
ここまで見たところで、ダメ出しされた男子から女子の部屋も見せろ、と言う話になり、悪乗りした結果、部屋王決定戦なるものが無駄に勃発した。いや、正直もう眠いんだけど。
ここまでくると途中離脱はちょっと後が怖いので、頑張って起きておくが。4階は爆豪君が賢明にももう寝ているので、切島君の部屋から。
女子にはわからない、と言う宣言通り、一目で三奈ちゃんから表情が抜け落ちるくらいに男臭いというかむさ苦しい。意外にお茶子ちゃんには受けていた。ガンヘッドさんに毒されすぎではないかと。
続く障子君の部屋は……ミニマリストで済ませていいのかなぁ?なんか闇が深そうだけど。男子のたまり場になり易そうだから、そうなれば変わる、といいかな?
5階の1人目、瀬呂君の部屋はアジアン風にまとまっていて、正直参考にしたいぐらいセンスが良かった。
2人目の轟君の部屋はまさかの純和室。これはこれで似合っているし、壁まで塗りなおして畳まで入ってるのは凄いなぁ
女子1人目は2階から、と言うことで、私の部屋になる。
「瀬呂君、轟君の拘りの部屋を見た後だから緊張するわー」
「いやいや、正直、ちょっと期待」
「あぁ」
正直、三奈ちゃんたちは褒めてくれたが、男子から見てどうかは判らない。
壁紙を変える発想は全くなかったので、その辺は手付かず。カーテンはヒーロー名にあやかって濃いめの青にした。
これまでの男子部屋とレイアウト的に違うのは、ベッドをクローゼットの壁側ではなく、窓沿いに配置。その反対側に木製のシンプルな机とノートパソコン。割と部屋の幅が広いので、これでもベランダに出る動線は確保できている。
ベッド脇に仕切りを兼ねたローシェルフを配置して、その手前にはソファーとローテーブル。反対側には一応テレビ。基本的には色目が同じ家具類で統一したので、そうとっちらかった印象はない、と思う。
ただ、冬場はローテーブルを片付けてこたつを用意するかで悩むことになりそう。
ソファー周りに敷いたラグがアジアンテイストのものなので、ここは瀬呂君と被ったかも。
「なんかシンプルで、瀬呂とは方向性違うけど、オシャレっつーか」
「女子の部屋の薫りだぁ~~」
「意外と落ち着く感じだな」
峰田の変態発言はどうでもいいけど、意外に好評だったのは安心した。なんか響香がウリウリとこっち見てニマニマしてるが、あぁ、はいはい。轟君に好評でよかったですよー、だ。
それと落ち着くのはアロマのせいだと思う。あまりきついのは苦手だけど、うっすら薫るくらいには使っている。
3階に移って響香の部屋はまさにロックだった。音楽好きと知ってはいたけどココまでとは。ベッドがなかったらライブハウスと勘違いしそう。
続く透ちゃんの部屋は、なんというか、かわいい系女の子のモデルルームを見てる感じ。ぬいぐるみとかコーディネートのセンスいいなぁ、と思うけど。
4階の三奈ちゃんの部屋はギャルっぽい。ある意味、電気の部屋と同一ベクトルで男子が引いてた。こう言うのは好き嫌い出るよね。
お茶子ちゃんの部屋は、女子版尾白君と言うか、生活感のある普通の部屋だった。やっぱり気兼ねなく集まれそうな雰囲気が良き。
5階の梅雨ちゃんの部屋は個性の関係もあって、高温高湿という普通の人には少々厳しい部屋だった。これ、カビ対策とかどうなっているんだろう。
最後の八百万さんだったが、ここはちょっと問題が。
「その私、見当違いしてしまいました。少々手狭になってしまいまして」
「あー……間取り図は送られてきてたと思ったけど……いっそ、学校側に相談して隣の部屋も借りて壁抜いたら?卒業時に復旧する約束すれば大丈夫じゃない?」
「そうですわね。相談してみます」
そもそも初日にフルリフォームした轟君とかもいる訳で。
言ってみるもので、翌日には許可が下りて2部屋抜いて八百万さんの部屋が出来上がった。
いっそ、ワンフロア全部八百万さんのワンルームにして、他の階を2人でもよかったんじゃあないかと思ったのは秘密にしておこう。
そして1-A部屋王は爆豪君が不参加で瀬呂君が暫定王者となった。うん、あの部屋はセンスが良かった。
雄英1-A寮ハイツアライアンスの設定は一部、捏造改変しています。
具体的には各フロアのミニキッチンと食事の提供形態、あと各個室の設備から冷蔵庫が消えました。だって、外部で部屋借りてた連中はみんな持ってるしw
他にも空室に置かれていたベッドと机などの備え付けの家具もないことにしています。希望すれば安く買える、ぐらいの扱いで。
キッチンをフロアに追加したのは、アニメでちらっと映ったのを見る限り、20人の食事を自炊してたら手狭そうだったのと、水場は近くに欲しいよなぁ、って感じで。
部屋の広さ、特に幅はアニメ準拠。コミック版も最近セールで買いましたが、あっちの方が部屋狭そうw
なお、オリ主の部屋のレイアウトは映画ゆるキャン△で志摩リンが一人暮らししている部屋のレイアウトを左右反転させたものをイメージしてくださいw