雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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オリ主特権「チート(弱)」発動しまーす。


第5話 入学初日(2)

 入学初日としてはやたらと濃い一日を過ごしての放課後。

 思い思いに下校する中、私は職員室に向かっていた。

 

「失礼します。1-A上鳴茉芭(まつは)、入ります」

 

 こういう時、学校ごとに割とローカルルールというかローカルマナーがあったりするが、雄英がどうかわからないので無難に挨拶をして入室する。

 数名の先生がこちらに視線を向けるが、咎められる様子はないので少なくとも問題はないということだろう。

 あたりを見渡すと、相澤先生の姿があった。不在でなくてよかった。

 

「上鳴か。用件は?」

「はい。お願いが2つほど」

「言ってみろ」

「まず1つ目はトレーニングルームの利用許可を頂きたく」

 

 入学前は女子寮付属のジムを使うつもりだったけど、契約自体がコケて、今住んでいる女子専用アパートは周辺環境も部屋も悪くはないがそうした施設はない。

 一般のジムを使ってもいいけど、学校の施設ならタダだし。

 

「……お前、個性把握テストで吐いていただろう。大丈夫なのか?」

「ご心配ありがとうございます。アレは、まぁ、その……」

「一応、リカバリーガール(ばあさん)に診てもらってからにしろ。連絡は入れておく」

 

 表情と髪型というか全身を纏う雰囲気が全部台無しにしているが、過保護気味な部分もあって悪い人ではないんだよね。

 

「はい。リカバリーガールにはちょうど相談もありましたので」

「……相談?それは自分のことか?」

「……いえ」

「判った。なら俺も行く」

 

 それはそれで好都合……かな?

 隠しても仕方ないし、アレを見続けるのは正直キツイ。

 

「先に上鳴の用件をすますぞ。それで2つ目は?」

「はい。テストの時に使われた捕縛布。できればあれの使い方をご教示頂きたく」

「理由は?」

 

「自分の個性は戦闘では火力が足りません。増幅系ではないので身体能力を鍛えるにも限度があります。そのまま使うかは別としても、手数は増やして損はないと思いました」

 

「あっら~、そういうの嫌いじゃないわ~、いいわねー相澤セ・ン・セ・イ♪可愛いお弟子さんよ?」

 

 隣のミッドナイト先生が茶化すように言う。

 

「基礎を教えるくらいは構わん。だが体育祭まで待て」

「はい」

「ほかにも気になるのがいるんでな。そのほうが効率的だ」

「普通科ですか?」

「……余計なことはクラスには言うなよ?」

「はい」

「よし、婆さんのところに行くぞ。ついてこい」

 

 

「おやおや、珍しいね。イレイザーヘッド。健康診断すら逃げ回るアンタが」

「勘弁してください。リカバリーガール」

「で、そっちの子は新入生だね。どこも悪いところはなさそうだけど?」

 

 リカバリーガールは何十年前には間違いなくガールだったのだろうけど、ヒーローネームって一生ついて回るから気を付けよう、と思わせるくらいにはお婆さんだった。

 

「個性把握テスト中に吐いたのに、トレーニング室使わせろって言うんで、一応見てもらおうかと。あと、リカバリーガールに相談があるそうで」

「1-A 上鳴茉芭(まつは)です。お忙しいところ失礼します」

「いいよ。それで、イレイザーが出歯亀しにくるんだ。クラスメートのことかい?」

「はい」

 

 さて、聞くべきことを改めて頭の中で整理する。

 とりあえず「何を聞きたいか」は、先に出すべきかな?

 

「ええと……突拍子もない質問……というか疑問なんですが。

 緑谷君、今日、指の骨折で来た男子ですけど。

 個人情報とかもあるので、答えられない部分もあると思うから、疑問だけぶん投げる形になると思いますが…… 

 み、緑谷、くん、なんで普通に生きてるんですかね?というか、アレ、本当に人間ですか?」

 

 リカバリーガールの顔が引きつったのが確かにわかった。

 『種族ごと否定しやがった』と相澤先生のつぶやきを耳が拾っていた。

 

「待て。それだけだと判らん。なぜそんな考えに至った?」

「そうさね。アタシのところに相談っていうなら、根拠がある話だろう?」

 

「私の個性は”電子操作”と言います。

 コレ、電気の「帯電」と同じで電気系個性と思われがちなんですが、ちょっと違う側面もあって。

 対象が電気ではなく電子なんです。

 総体というか、エネルギーとしての電気を扱うのではなく、その構成要素、根っこの部分なんです。

 一番扱いやすいのが、放電で発生する電子、機械類、伝導体の中にある自由電子ってだけで、感覚としては電気系個性というより、元素とか原子レベルなんです。

 それで、当然なんですが操作するにはそれを知覚しないといけないですよね。

 その辺を「なんとなく」でやれる人も多いみたいですけど、私はそうじゃなくて」

 

 ここで一旦、話を区切る。

 リカバリーガールがペットボトルのお茶をくれたので、ありがたく一口含んで喉を湿らせる。

 

「個性の派生、いや側面か。入学したての卵にしては良く把握できている」

「外部出力が弱いんで要らない子でしたから。割と必死でしたよ」

 

 その一言で家庭環境が概ね想像できたのだろう。

 相澤先生とリカバリーガールが眉間に少しシワが入る。

 

「電子なんて人間が知覚できる大きさではないですから、多分ある程度の塊で見てると思います。

 それでも比較対象が父と双子の電気だけですが、一般的な電気系個性より細かく見ているのは間違いないんです。

 集中すれば人間の神経ぐらいなら透視に近い精度で電子の流れで見えますし。

 で、ここからが先ほどの疑問に繋がるんですけども。

 

 ソフトボール投げで緑谷君が個性を発動させたとき、なんというか、その力の流れが無茶苦茶だったんですよ。個性が発動するときって、大体、神経系が活性化するんですけど……

 10ワットしか流れない細い電線に100万ワット流したよう、というか、制御しきれないのは見てわかるんですけど、流れ方がどこか人間離れ、あぁ、ちがう、そうか。

 個性を使った時の電子の一番濃い流れが、神経系ではなく、別のモノ……そうですね、血管に沿っているというか。

 その違和感が気持ち悪すぎて、脳が拒否してちょっと吐きました」

 

 話を聞いて、リカバリーガールは思案顔だ。

 相澤先生の方も何か考えている節がある。

 

「ちょっと実験したい」

「はい?」

「これからお前の個性を”消す”。そこで俺がどう見えるか、”見て”みろ」

「……はい」

 

 承諾すると、相澤先生、いや、イレイザーヘッドは目を見開く。

 赤く光る眼とそこに集中する大きな光の流れ。

 普通(ヒト)と違えど、練磨され美しさすら感じる電子、いや、力の流れがそこにあった。

 そしてもっと見ていたいという思いを抱くより先に、光は消えた。

 

「どう見えた?」

「すっごい綺麗でした。光った目の周りにキラキラと集まる光の流れがもう!」

「見えたんだね。ということは視覚を含む感覚器は異形型に近い形で個性が発現してるってことさね」

「つまり練度次第だが、意図的に見ないようにするのは難しい」

 

 あぁ、そういえばそうなるのか。

 うぅ、あと3年、アレを見ないといけないのか。ホラー映画かな?

 嫌な未来予想図に震えている間に考えがまとまったのか、リカバリーガールは多少の憂いを残した顔で話し出す。

 

「あの坊やは最近まで個性が発現していなかったという話だし。普通なら4歳までに発現するものが、あの歳まで眠ってたんだ。レアならそんな風に発現することもあるだろうよ。

 ま、体を壊さないようになればちょっとは変わるだろ。イレイザーヘッド、しっかりのあの坊や鍛えるんだよ。

 アンタもあまり気にするんじゃないよ。

 それにヒーローになったら、もっと酷いのを見る可能性だってある。

 酷だが慣れろとしか言いようがないね」

 

「…………わかりました。ありがとうございます」

「1年用のトレーニングルームは開けておく。17時には下校しろ」

「はい。では失礼します」

 

 

 

―――Side:保健室

 上鳴茉芭が退室した保健室にはリカバリーガールとイレイザーヘッドが残っていた。

 

「それで、リカバリーガール。実際のところはどうなんです?」

「緑谷のことかい?」

「他にないでしょう。何か心当たりでも?」

「……さぁね」

 

(おそらく心当たりはあるのだろう。

 可能性としては、個性把握テストを覗きに来ていたオールマイト?

 パワーの個性はお互い似ているし、明らかに緑谷を特別視していた……学外での師弟関係か?

 確かヘドロ事件では緑谷も関与していたはずだ。つまり接触する機会はあった。

 何かしらの手段で個性を発現させた(・・・)?共鳴?あり得るか?

 B組の物間のように「個性をコピーする個性」でも宿していたか?それなら幼馴染の爆豪の個性をコピーしていてもおかしくない。これはあり得ないだろう。

 ……厄介なことだ。どのみち暫くは様子見するしかないか)

 

 問い詰めても無駄だろうと、健康診断はちゃんと来いと軽いお叱りを受けてからイレイザーヘッドは溜まっている書類を片付けに職員室へと戻った。

 

 その少し後、リカバリーガールに呼び出され、保健室で小さくなっているオールマイトの姿があった。

 

「とまぁ、そんな感じさね。どうするね?オールマイト」

「OH、茉芭少女がそんな能力を持つなんて……明日、授業でA組に行くんですが、大丈夫ですかね?」

「さあね」

「がふっ!」

 

 突き放した答えに思わず吐血してしまう。

 

「あぁぁぁ、どうしよう。さすがに事情は話せないし。気づかれたらどうしようか。いやそもそも集中しないといけないなら、とりあえずは大丈夫……なのか?」

 

 救いを求めるようにブツブツと独り言を言うトゥルーフォームのオールマイト。

 両者を知る者がその光景を見たら「師弟って似るもんなんだなぁ」と妙な関心をすることだろう。

 

「私としてはある程度の事情を話して”見て”貰うことを薦めるけどね」

「それは何故です?リカバリーガール」

 

「あの子は自分の個性は電子を操作すると言っていた。

 物理や化学の勉強なんてすっかり覚えてないだろうけど、この世のすべての物質に電子はあるんだ。黎明期から便宜上存在されるとされる”個性因子”。

 個性の出力を数値化できてなお、実在は不確かな代物だけどね、引き継がれる個性ってのはこの個性因子の実在証明みたいなもんさ。

 そして世にあるなら、物理法則から完全には逃れられていないんだよ。

 イレイザーヘッドとの実験を見る限り、個性の発動による個性因子の活性化と神経系の電子は関係が近い。あの子はそれを今でも光として認識できている。

 ワン・フォー・オールを使いこなせていない緑谷のトレーニングには、助けにはなるだろうさ」

 

 だからと言って巻き込むのはどうなのかと煩悶するオールマイトを見るリカバリーガールの目は、それこそ出来の悪い弟子を見る目だった。




次話以降は推敲しながらストックと相談しつつアップしていきます。

ワン・フォー・オールの状態や個性因子云々は独自解釈、捏造設定です。
引き出せるパワーなどは原作と状態は変わりません。
そもそもまだ緑谷とオリ主は未だ会話すらしてませんw

『譲渡する意思』ともにDNAを取り込むことで引き継がれるワン・フォー・オールという個性。
消化したものが栄養として行き渡る経路は血管ですし、少なくとも継承形態から血管を介して全身に浸透している、という想定です。
そうなると体内でオールマイトの髪の毛から個性因子を取り込んで、個性因子が爆発的に増殖し血管から全身に行き渡る……OFAってゾンビウイルスかパラサイト・イブの親戚かな?(´・ω・`)
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