雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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原作主人公’sにチートにその2が発生します
まぁ、緑谷については単なる早期習得、爆轟は予定より遅れてのフラグ回収なんですが。



第48話 必殺技開発(3)with 緑谷&爆豪アップデート2

 圧縮訓練も後半に入り、各自の訓練もさらに熱が入っていた時のこと。

 

「うわっ!なんだアレ!!」

 

 誰の声かはとっさに判断できなかったが、緑谷君が訓練しているあたりから、緑色の闇のようなものが複数本、天井に向かって伸びて暴れ回っていた。

 

「イカン!暴走カ!?」

 

 私の視界では、緑谷君を中心に膨大なエネルギーが溢れ、それが緑色を帯びた黒い鞭のようにうねって見えていた。

 なまじ前より見えるから、暴れ回っているエネルギーの凄さが分かってしまう。

 

「うっわ、なんてエネルギー」

 

 黒い鞭はセメントス先生が作り出したコンクリの山をこともなげに破壊してこちらに迫る。

 慌てて退避をしようとしたが、間に合わず緑黒の鞭のようなもの迫ってきた。とっさに全力で振り払う。エネルギーに焼かれるといったこともなく呆気ないほどに黒い鞭は千切れる。

 

「え?何これ脆い?」

 

 とっさに掴もうしたが、そのまま解けて電子をまき散らして消えていった。

 

「なに、今の……?」

 

 あっさり引きちぎれたこともあるが、妙な幻覚が見えた。

 なんというか、筋骨たくましい男性が「ワリィ」って顔してたのが見えた気がした。緑谷君とは似ても似つかぬ容貌だった気もする。私の親戚にもいないぞあんな鬼瓦。

 

「大丈夫カ?上鳴茉芭(まつは)

「あぁ、はい。大丈夫です」

「ナラバ良イ。マズハ退避……イヤ、終ワッタヨウダ」

 

 幸い、相澤先生が詰めていたので、緑谷君の暴走状態はすぐに鎮圧されていた。

 知覚圏内にいるオールマイト先生の表情にも驚きの色があるから、完全に予想外の事態らしい。

 どうやら緑谷君は気絶してしまったようだ。

 私の視界で見る限り、深い睡眠状態に入っているように見える。

 搬送ロボによってTDLの外に連れていかれる緑谷君。相澤先生がこちらを見た気がしたので、エクトプラズム先生の分身に告げて私もTDLから医務室に向かうことにした。

 

 

「来たか。あの触手?に襲われたようだが、怪我は?」

「ありません。ちょうど必殺技のトレーニング中だったので、同じ感覚で振り払ったらあっさりと千切れましたし」

 

 別の意味でも頭が痛いと、相澤先生が小さくつぶやいたのが聞こえた。

 

「先日も言ったが、発現した個性への干渉がますます現実味を帯びてきたな。物質系でないなら無効化できるなら、それはそれで強力な技になるが。くれぐれも気をつけろよ?それで、緑谷の状態はどうだ?」

「はい。私が見る限りは睡眠状態のそれかと」

「アタシもそう診るよ。おや、目を覚ますようだね」

 

 そのまま眠り続けるかと思った緑谷君だが、急に神経が活性化したと思ったらすぐに目を覚ました。

 

「気が付いたか」

「相澤先生、それに上鳴さんも……その、上鳴さん、すいません。迷惑をかけてしまって」

「あぁ、うん。それは別に気にしないで」

 

 さて、このことは聞いた方がいいのか。聞いた方がいいんだろうけど、オールマイト先生がいた方がいい気もする。と思ったら来た。

 

「緑谷少年!あぁ、気が付いたのか」

「オールマイト、生徒たちは?」

「ちょうど時間でブラド君が来たからね。皆は昼休憩だよ」

 

 あとは落ち着いて話をする前に、心配して駆け込んできたみんなをリカバリーガールが追い出していた。私に関しては黒い鞭に襲われたので状況の聞き取り、ということらしい。まぁ、間違ってはいないが。

 

「まず、上鳴、どう見た?」

 

「ええっと、セメントの仕切り越しでしたけど、通常の使用状態より強いエネルギーが発生したように見えました。それで、あの黒い鞭?ですか、振り払ったときにちょっと幻覚のようなものが。緑谷君とはあまり似た印象は受けませんでしたけど、筋骨隆々とした男性がなにかこう、すまんっ!って感じのジェスチャーをしてる姿というか……」

 

 その発言に緑谷君は声も出ないほど驚いており、オールマイト先生も思わずマッスルフォームになるほど驚いていた。すぐに萎んでしまったけど。

 

「なるほど。それ以外は?」

「ありません」

 

 相澤先生は今度は緑谷君に視線を向けて、さっきの鞭をもう一度出せるか聞いている。

 

「暴走しそうならすぐ止める。やってみろ」

「は、はい」

 

 手の甲から、なんとなくウニョって感じで生えてきた黒い触手は短くうねっていた。ちょっといたずら心が芽生え、その海草のようにうねる鞭をちょっと摘まんで引っ張ってみると素直に伸びてくる。

 

「か、上鳴さんっ!?」

「おぉ、出てくる、出てくる。ちょっと面白いか……も」

「上鳴……お前は少し、自重しろ!」

「はいっ!すいませんでした!」

 

 個性まで発動させて怒ってきた相澤先生にひたすら謝ったのは言うまでもない。オールマイト先生は顎が落ちそうなくらいに驚いていた。

 ともあれ、見たままに黒鞭と名付けられた新技に、みんなは驚いたようだった。

 

「お前!パワータイプなのになんだよ、それ!」

「そーいや、合宿でもコスチューム姿に変身してたよな。ドタバタしてすっかり忘れてたけど」

 

「あぁ、うん。どうもパワーっていうより、エネルギー内包タイプって感じみたい。

 アレはフルフォルムって名付けた技で、パワーを出しても体を壊さないようにする保護を兼ねてるんだ」

 

 そして黒鞭だけど、移動に良し、捕縛に良しと瀬呂君の個性とも似た特徴を持つらしい。もっとも切り離したらその姿を維持できず消えてしまうことから、瀬呂君ほどの使い勝手の良さはない。

 すぐに使いこなすのは難しそうではあるけど。

 ともあれ、移動や攻防に使える実に使い勝手の良い技が緑谷君に増えることになった。

 

 面白いことに、フルフォルムから黒鞭を使うと、発現のイメージが混乱するのか、フルフォルムの腕がそのまま伸びたらしい。

 それ聞いて、悪いと思ったが笑ってしまった。どこのゴムの人ですか、それ。

 元々フルフォルムは怪我防止の孵卵器なので、両立は無理に固執しなくてもいいんじゃないかな。

 どうもさらに応用技の余地があるんじゃないかと、私が使うイオノクラフト効果での浮遊やお茶子ちゃんのゼログラビティについて聞いてくるので、お相手はお茶子ちゃんに任せてしまった。私のは物理だからね。あまり役に立たないと思う。

 女性陣、特に三奈ちゃんからは、グッジョブと褒めてもらえたからこれでよいだろう。

 

 

 なんかもう、クラスメイトの進化が止まらないんですが。みんなすごいなぁ、と思わず現実逃避したくなる光景が翌日のTDLで繰り広げられていた。

 

「はっははははぁーー!出来た!出来たぁぁ!」

 

 普段からテンションは高いがさらに天元突破しそうな勢いなのが爆豪君。

 TDLの天井近くで高度を維持している彼は今、足から(・・・)爆炎を噴き出し、それを推力に宙に浮いているのだ。

 

「……うわぁ、まさか本当にできるとは」

 

 どうりでここの所、マッサージの頻度が多いうえに足回りがやたらと疲労していたわけだ。

 相澤先生が「またお前か」といった風にこちらを見るが、全力で首を横に振る。思い付きは吹き込んだけど、それ以上は何もしてません!

 

「爆豪!いったん降りてこい!新技はいいがいきなり高度を取るな!」

「っす!」

 

 上機嫌だからか、素直に従って降下する。着地前に両手両足で軽い爆発を起こしてブレーキをかけるあたり、すでに十分な練度がありそうだ。

 

 

 戦闘力でいえば、クラストップレベルに躍り出た緑谷君、入学当初からトップを走り続ける爆豪君、彼らの進化はクラスメイトがさらに熱心に圧縮訓練に取り組むという好循環を生んでいる。

 みんな、疲れてへとへとになっても私のマッサージがあるからすぐ回復すると、訓練密度がまさに圧縮状態。正直、いくら負担が少ないマッサージでも私の方が疲れそうだ。

 訓練後のマッサージにとどまるB組のみんなにはちょっと申し訳ない気になるけど、自分の訓練もあるから諦めてもらうしかない。

 

 個性「電子操作」の一側面であったはずの「電子を知覚する」部分が妙に大ごとになってきてはいるが、コレについては伸ばせるだけ伸ばせ、というのが相澤先生の方針らしい。

 知覚領域は当初の100メートルぐらいから300メートル近くと大幅に伸びたが、求められているキロ単位にはここからさらに3倍以上と、仮免試験までにそこまでの練度に到達させるには時間が足らない。

 

「じゃあ、となれば、精度を上げていくしかないよね」

 

 エクトプラズム先生に許可を取り、宙に浮かんで肉眼でTDL全体を見渡せる視界を確保。皆の個性発動を観察してみることにした。

 正直、一番わかりやすいのがエクトプラズム先生の分身で、分身を動かすフレームワークがおおよそ見える。

 

「んー、似た感じなのは常闇君のダークシャドウと緑谷君の黒鞭かぁ、瀬呂君のテープや百ちゃんの創造物は、普通の物質とこれといった差異は見えないね」

 

 物理的に現実となってしまうと私の個性では干渉できないらしい。この辺りは相澤先生の「抹消」と性質が近いかも。単純な力不足もあるだろうけど。

 ……この辺はもう少し、詳細に見れるようにならないとどうにもできない気がするな。

 

「あ、そういえば、轟君の炎と氷ってどう見えるかな?」

 

 ふと興味がわき、轟君の訓練場所に視線を向ける。

 炎と氷の同時使用に取り組んでいるらしく、”見る”サンプルには困らないのがありがたい。

 実のところ、百ちゃん以上に理不尽な個性だと思う。熱と氷で体温の変動を受けるデメリットはあれど、それ以外の対価もなしに氷と炎を生んでいる。

 電気の蓄電も似たような傾向はあるが、どこに現実化した現象の元があるのだろう。

 などと考えながら見ていたら、轟君の集中を乱してしまったみたい。

 

「……なんだ?」

「あぁ、ごめん。個性伸ばしでほかの人の個性の発現を観察してた。邪魔しちゃったね」

「いや、そんなことなら好きに見ててくれ」

「うん、ありがとう」

 

 邪魔にならないよう、少し距離を取ってコンクリの仕切りの上へ。

 改めて思うが、轟君の個性「半冷半燃」は正直さっぱりわからない。左右それぞれ炎と氷を生み出す個性。

 これまで意識して発現を見たことはないが、改めて見てみると、どうにも私の理解が及ぶ世界ではない。それぞれの発動で体内の電子の活動状態が違うのは、まだ双方の練度に差があるからだろうとは思うが、そんなことは”見る”までもなく本人も承知だろう。

 個性のすべてを物理に落とし込むのは無理と言われるが、まさしくその好例だと思える個性だ。

 それにしても、顔のやけどの跡が勿体ない。自らの個性によって生じた火傷なのか、別の要素なのかはわからないが、折角の綺麗な顔が……っと、違う違う。考えが斜めの方向にぶっ飛んでいた。

 

 これは拙いと轟君にはお礼を言って自分の訓練場所に戻ることにした。

 

 

「マッハ~?今日はずいぶんとお楽しみでしたねぇ~~」

「「ね~」」

 

 あぁぁぁ、やっぱり見られてたぁ

 お風呂上りに1階ロビーのソファーでくつろぎながら四方山話にふけるのがここしばらくのルーティンのような感じなのだけど、こういう話題にとにかく飢えてる三奈ちゃんがいるから、お茶子ちゃんや私は良くいじられるネタになる。

 

「いやいや、個性伸ばしで発現を観察させてもらっただけだから」

「ほっほぉ~、ウチの耳をそんなことでごまかせるとでもぉ~?」

 

 早朝のランニングとかもあるから、できるだけ早い時間に解放してほしいなぁ

 

「いやいや、そこまで聴音能力高かったっけ?」

「ち、ばれたか。いやまぁでも、ずいぶん熱心に見てたからねぇ~」

「あ、こら、話を逸らすなー」

 

 いや、それで実際どこまで聞こえるんだろう。

 

「そりゃ、ココロの声なんて聞こえないけど、これくらい近ければ、心音ぐらいは、ねぇ?」

 

 つまり今ちょっとドキリとしたのもお見通しと。敵わないなぁ

 ニヤリと笑う響香に興味津々といった感じの三奈ちゃんと透ちゃん。梅雨ちゃん百ちゃんはやりすぎたら止めてくれるが、今は静観の構え。今日は自分に害がないようにと、お茶子ちゃんも静観組だが。

 

「んふふふ。まぁ、とりあえずこれくらいにしとくけどさ」

「え~~、つまんないー」

「三奈、わかってないねぇ~、コーユーのは、ちょっとずつ、楽しむのがいいんだよ。変に弄ってみ、意固地になって終わるから。この子」

「そーゆーのは本人を前にして言わないで欲しいなぁ」

 

 その考えは見習いたくないけど、追及されないのは助かる。正直ねー、単に見た目だけなのか、中身も見てるのか、自分でもよくわかんないし。

 

「まじめな話、マッハ、必殺技はどんな感じ?ずっとエクトプラズム先生と格闘するか個性伸ばししてるけど?」

「んー、Disturbing(ディスタブ)(*1)は技というか戦闘スタイルって感じで使う感じかなぁ、その意味だと使い勝手がよくなった浮遊と知覚範囲の方が技と言える感じ」

 

 正直、地味すぎてミッドナイト先生の言う絶滅危惧種に近い。

 

「ちょっと地味に聞こえますが、超電磁砲(レールガン)もありますし」

「使い勝手悪すぎるけどねー、アレ」

 

 少なくともやれることはほぼやったと思う。

 あとは仮免試験を無事に通過できるよう、全力を尽くそう。

*1
妨害の意味。一応技名




仮免試験を書いていたところで、原作沿いに進みすぎだなぁと、ここで黒鞭を出しました。
併せて爆豪君にもアップデートパッチが適用されて、手足で爆破可能に。
オリ主の方は”幻想殺し”ならぬ”個性殺し(弱)”が適用されてますね。もっとも異形型やパワー差の大きい発動型などに対して弱いのは相変わらずです。
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