ヒーローインターンのことは気にかかるけれど、そればかりに構っていることはできない。当然のように通常の授業はあるし、クラス内での順位はともかく、一般と比較しての成績が不安になってきたので勉強の時間を増やすことにした。
とりあえず朝の自主練は強度を落として、勉強の時間に当てることにしている。
体力が削られていない状態で集中して取り組んだほうが良い。
一応、気晴らしと体力維持を兼ねたジョギングやストレッチは行っていて、その一環で先輩方へのマッサージは継続していたりと割と忙しい。
「さて、今日は仮免試験でも経験した救助訓練。これのおさらいだ」
当初は圧縮訓練の一環として実施の予定だったらしいが、思いのほか皆の伸びが良かったのでそちらを優先したのだとか。
「クラスを10名ずつの2グループに分けて実施する。全員、コスチュームに着替えてグラウンドβに集合だ」
市街地想定でUSJを使わないというのはちょっと意外だけど、どういった想定なのだろう。
Aチーム、百ちゃんをリーダーに、梅雨ちゃん、お茶子ちゃん、電気、切島君、常闇君、轟君、爆豪君、緑谷君と私。
Bチームが、飯田君をリーダーに青山君、三奈ちゃん、尾白君、口田君、障子君、響香、瀬呂君、透ちゃん、峰田
範囲探索持ちがBチームに偏っているなぁ
Aチームはどちらかと言えば戦闘に強いメンバーがそろっている。電気も弱放電をレーダー代わりにできたはずなんだけど、最近は使っているのを見てないから探索要員としては期待できない。
「Aチームは私がリーダーとなりました。救助はチームワークが大事。皆さん、よろしくお願いいたします」
突入前に状況の再確認を行う百ちゃん。地下6階での火災、と言う状況はいいけれど、フロアの構造が入り組んでいて電子操作での範囲捜索もかなり制限されそう。
「ちょっと待って、携帯の電波が届いてない。火災によって基地局も被害を受けた想定みたいだ」
「単純な火災ではなく、地震による二次災害としての火災想定のほうが良い。ほら周り」
隣の建物などは一部が崩落している。状況設定凝りすぎでしょう、これ。
「そうすると崩落への警戒も必要ですね」
「あぁ、なら集合場所は目安だけつけて、状況に応じて変更したほうがいいな」
「暫定で中央階段はどうかしら?フロアごとに全員で捜索。10分後に集まって下のフロアに移動」
「梅雨ちゃんの意見に賛成!」
「うん。僕もそれがいいと思う」
その意見で概ねまとまったところで、さっそく爆豪君が動き出した。
「ちょっと、かっちゃん?どこ行くの!?」
「決まってんだろ。逃げ遅れたクソ市民を探すんだろうが」
「爆豪さん……」
「あーまぁ、これ以上話すことはないでしょう?おおよそ方針は決まったわけだし」
さっさと地下に向かう爆豪君に、いつものようにフォローに入るのは切島君と電気。
「ちょっと待て爆豪。一人じゃ危険だ。俺も行く」
「んじゃ、なんとなく俺も」
さっさと突入してしまったが、完全に制御下における相手でもないしそれでよい気がする。
ただ、電気。その行動選択基準はどうよって思うけど。残りのメンバーを考えれば適切ではあるんだけど。
「仕方ありませんわね。私たちも突入しましょう。単独行動は危険ですので、緑谷さんと梅雨さんとお茶子さん。轟さんと
まさかと思うけど、訓練中に変な気をまわしてないよね?と思わずジト目で百ちゃんを見るが、何のことかわかってない感じだ。純粋に能力を見てのこと何だろうなぁ
「なるほど。この組み合わせは流石に八百万さんって感じだ……捜索能力が高く、視界の有無を問わない上鳴さんと轟君なら状況に合わせて柔軟な対応ができる。同じく捜索能力が高くパワーもあるダークシャドウがある常闇君と万能性の高い八百万さんなら、万が一照明が落ちてもダークシャドウの暴走を抑えられる。そして僕たちの……ブツブツブツ」
あぁ、はい。説得力が程々にある解説ありがとう。コレ絶対後で三奈ちゃんとかの追及が怖いんだけど、仕方ない。
緑谷君にはストッパー的にもお茶子ちゃんと梅雨ちゃんがいたほうがよい。私でも多少は代役は出来るだろうけど、お茶子ちゃんの能力をより活かすには梅雨ちゃんの方が応用力が高くなる。
包帯捕縛術じゃ、梅雨ちゃんの舌ほど重いもの動かせないしね。
私と常闇君は索敵ならもってこいだけど、ダークシャドウが万が一、暴走したら止める手段に乏しい。百ちゃんと組むとパワー不足コンビ爆誕となって意味がない。いや、いいけどさ。訓練だし。
「行くぞ、上鳴」
「うん。キリのいいところでソレ止めて突入してねー」
仕方ないなと、ブツブツと考察モードの緑谷君達を置いて、地下モールへと突入した。百ちゃんが呆れたように緑谷君を見るのがなんだかおかしかった。
ともあれ地下1階。避難誘導灯のバッテリーも切れて真っ暗なエリアを捜索中だが、私にとっては昼間の散歩と何も変わらない。
轟君はそうはいかないので、光源として炎を出している。
なんかもう、この知覚能力が電子操作の本体みたいになりつつあるけど、便利なのは間違いない。
捜索は現在、地下2階。地下1階は特にそれらしき痕跡無し。
地上での打ち合わせと、地下1階の捜索、それで時間を使った分、非常用電源や避難誘導灯のバッテリーは既に切れている。
「本当に見えてるんだな」
「個性伸ばしのおかげだよね。この辺りにはいないね」
足元の瓦礫を軽く踏み越えて、躓く様子もないから感心したように言う。鍛えた甲斐があるよね、こういう風に成長が実感できると。
ちょうど10分で携帯のタイマーが鳴った。一度、集合場所に戻って、地下3階に進んだほうがよさそうだ。
「なぁ、距離的には一番下のフロアまで見えるのか?」
「地下6階だと構造物もあるからちょっと厳しいかな」
「そうか」
地中探査は土の方が密度が高いというか、石とか木の根とかのノイズになるものが多い分、どうしても距離が伸びないし精度も劣る。
この辺は響香のイヤホンジャックや障子君の複製腕の様な音響探査には勝てないだろうな。
とはいえ、電子操作による知覚で、他の探知系に対して勝るとも劣らない点がひとつ。目視ではパッと見で普通でも、脆くなっている箇所と言うのを掴みやすい。
「問題は火災の前段にあったらしい地震の影響か、構造が脆そうな箇所がちらほら」
「判るのか?」
「うん。あ、ちょっとストップ」
微かに知覚範囲の限界あたりで視界が揺らいだ。そう思った瞬間、強い揺れにより天井の崩落が起きていた。
「……なるほど。助かった。礼を言う」
「どういたしまして。前後ふさがれたけど、右方向1メートルの吹き抜けから下のフロアに降りられるね」
見える限りは崩落も起きていない。一度下に降りて迂回したほうが良いだろう。
「なら、一度迂回して、合流しよう。さっきの崩落で誰かが怪我をしているかもしれねぇ。みんなの無事を確かめないと」
「うん。それがいいと思う」
爆豪君あたりはガンガン地下に向かって進んでそうだけど。何だかんだと口は悪いが冷静だし、そうそう切島君や電気まで巻き込んで無理はしないだろう。
「……どうした?」
「爆豪君あたりは構わず先行していそうだなと思って。ちょっと高いし、暗いから浮遊で降りよう。ちょっとアレだけど、私の背に乗ってもらっていいかな?」
「俺が抱えるか氷結で足場作った方が良くねぇか?」
「捕縛術用の包帯で足らない高さだから、足場はちょっと床の強度が心配かな」
普通に歩く分にはちょっと用心すればいい程度だろうけど、氷って重たいからちょっと不安。轟君に抱えてもらうのは単純に少々恥ずかしいものがあるのと、イオノクラフト効果を生むにはできるだけ私自身に近いほうが楽なので。
結局は言い合う時間も惜しいということで、私が轟君を背負って降りることになった。
「じゃあ、しっかり掴まってて」
「頼む」
2人分の重量は確かに重いが、仮免試験の時のHUCの人よりは軽い。
無事に地下3階のフロアに降りる事が出来たタイミングで照明が戻った。
「……照明が戻ったな」
「うん、多分、爆豪君達が非常用発電機を稼働させたか、非常用バッテリーに充電したんだと思う」
訓練内容から最深部に要救助者がいると踏んだのか、照明の復旧で捜索効率を上げるためか、どっちだろう?どちらにしても照明が生きている間に一気に進めないと。
「もう最下層か。速いな」
「みんなと合流するより、下に降りて爆豪君と合流したほうがよさそうだね」
「実際に崩落が起きて、何かあったら訓練じゃ済まねぇってのに、まだ続けてるってのか?」
「……多分。中止の連絡があるまでは、諦めてないと思うよ」
状況に真剣に取り組んでいるなら、諦めていい状況ではない。余震があって、崩落の危険がある地下構造物なんて最悪の状況だけど、少なくとも訓練中止の通達があるまでは要救助者の確保と、無事に脱出することを考えなければ。
「わかった、行こう」
「うん」
照明が生きている間に要救助者と爆豪君達を回収。地上近辺の脱出ルートの構築はおそらく緑谷君や百ちゃんが何とかしているだろう。
なら私たちの成すべきはその中間ルートの構築。
そう信じて下層へと急いで向かった。
「爆発?爆豪の奴、こんな状況で……いや、まさか?」
「そのまさかじゃないかな。要救助者を発見して、瓦礫の撤去を急いだんだと思う」
この訓練が競争形式なら、見事にしてやられたことなる。今回はチーム全体での目標達成になるから、後は無事に脱出、と言いたいが、もう一波乱ありそうだ。
「ただ、状況が悪化してる。壁が壊れてるのと地下水の排出ポンプが止まってるから、浸水が始まってる」
「場所は?」
「この真下。地下6階」
そこに爆豪君達の姿もある。
「……上鳴、このフロアで一番脆い場所は判るな?」
轟君の質問に、私は自信を持って頷いた。
流石に爆豪君の爆破や緑谷君のパワーのようにいかないが、氷と炎の活用で脆い個所を熱による膨張と収縮で更に脆くして床に大穴を開けるのは早かった。
そして瞬時に氷結で地下6階とのルートを構築する。
「こっちだ!急いで登ってこい」
「「轟!」」
「誰がテメェなんかの世話になるか!」
「氷結を上らなくてもいいから急いで!要救助者を確保したならその安全が最優先でしょ!」
切島君が要救助者を確保しているけど胸のあたりまで水に浸かっているから、あまり余裕はない。
「この状況で何言ってるんだよ。世話になろうよ、轟の脛をしゃぶりつくそうよ」
「……いやなんか、ウチの
「気にすんな」
あまりにも堂々と情けないことを言うもんだから、ちょっと恥ずかしくなった。幸い、轟君は気にしてないけど、ホントごめんなさい。
ともあれ、渋る爆豪君を切島君と電気が強引に引っ張って地下5階まで退避できた。
「助かったぁ」
「サンキューな、轟。あと上鳴さんも」
「爆豪君もありがとうね。照明と要救助者確保、流石だね」
「ケッ、当然だ」
憎まれ口が余計だが、少しは嬉しそうだ。ほんと、自分の言動で損してるよね。
「安心している暇はねぇぞ。地下水がまだ収まっていない」
「水位は上昇しているけど、地下5階まで到達するにはまだ時間がある。急ぎましょう」
「ここで凍らせた方が良くねぇか?」
残って浸水を食い止めるつもりだったようだけど、あいにくとそれは悪手だと思う。
「水が溜まる空間はあるし、安全な脱出経路を構築するにはやってほしいこともあるから」
「ケッ、オラ、さっさと行くぞ。変髪!そのクソ市民、落とすんじゃねーぞ」
「おうっ!よっしゃ行こうぜ!」
本当に察しがいい……いいの、かな?ともあれ、全員での脱出となり地下4階に上がったところで緑谷君と合流する事が出来た。
「かっちゃん!轟君!よかったみんな無事だったんだね!」
「ったりめぇだ!この糞ナード!何しに来やがった!」
聞かなくても心配してのことだろうけど。
「この先のエレベーターホールに縄梯子を用意してもらっている、みんな急ごう」
エレベーター坑に固定のはしご、なんてのはファンタジーってことですね。百ちゃんの負担が大きいけれど、やむを得ないかな。
「轟君、この通路入り口を膝ぐらいまで、出来るだけ厚めに凍らせてもらっていい?」
「構わねぇが、全部凍らせなくていいのか?」
「それをやると圧力に負けたときに一気に水が溢れるから。この先、分岐は同じようにしてほしい」
そうすれば水の侵入は多少なりともペースが落ちるだろう。
幸い、エレベーターまでのルートは緑谷君が切り開いていて、最短ルートで到達する事が出来た。
「縄梯子がねぇ!」
「どうなってるんだよ!」
間髪入れず上からお茶子ちゃんの声が聞こえる。
「切島くーん!、上鳴くーん!」
「その声、麗日か!」
「そう!縄梯子を降ろしているからもう少しだけ待ってて!」
お茶子ちゃんがその場にいるなら、少し頑張ってもらおう。
「お茶子ちゃーーん!キャパが大丈夫なら降りてこれる?要救助者確保、地下6階で浸水発生。現在、地下5階まで浸水中!」
「わかったー!」
頼もしい返事が聞こえたから、これで少しは早く脱出ができる。
「常闇君のダークシャドウは―?」
「ごめん、今、無理!」
「あと、デク君、先に上がってこれる?はしご支える人が欲しい!」
「わかった!麗日さん!」
何が起きたかわからないけど、無理なら仕方ないか。
緑谷君なら黒鞭で一気に上がれる。要救助者も一緒に……は、加速を考えるとダメか。それはお茶子ちゃんに任せよう。
その上で、パワー系が必要なら、爆豪君も行ってもらうべきかな。
「爆豪君もお願いできる?」
「あ?……ちっ、しゃーねぇ」
面倒くさそうにしているけど、やってはくれるらしい。どうも仮免試験でレスキュー関係は酷評されたみたいだし。
「切島は要救助者を連れて、麗日と先に行ってくれ」
「おう!わかった」
「八百万!梯子がついた。準備できたら合図頼む」
「はい!もう少しお待ちください!」
お茶子ちゃんが下りてきたのと入れ替えに、爆豪君と緑谷君が脱出する。
「おまたせ。切島君と要救助者を上げればいい?」
「お願い。余裕が残っていたら順次、轟君と電気も」
「わかった。先に切島君から行くね!」
程なくして固定が出来たようで、脱出が始まった。
縄梯子の強度に心配はないが、縄である分、どうしても揺れやすく上り下りは難しい。
さて、脱出だ。もはや嫌がらせというか、タイムアップ警告のような勢いで増える浸水はいよいよ地下4階の天井に迫ってきている。
「いーよなー、なんかどんどん器用になってくな、マッハ」
「愚痴らないの。電気だって照明の復旧で皆の役に立ったじゃない」
「お、わかるぅ?いやぁ、我ながらチョー頑張ったぜ!」
本当ならリスクを避けるため、縄梯子は1人ずつ使うほうが良い。ただ浸水状況が悪化している。
少しでも上に上がればお茶子ちゃんの負担も減るということで、二人が同時に縄梯子を使っている。電気が先で、轟君がその下。
私はさらにその下で、イオノクラフト効果での浮遊を使いつつ、縄梯子に片手で掴まりながら二人の様子を伺っている。
事故があっても嫌だし、万が一の備えのつもりで。
もう少しで地上、と言うところで、水圧でどこかの壁が崩壊したらしい。振動で縄梯子が大きく揺れた。
「うわぁ!」
手を滑らした電気が縄梯子から落ち、落下した際に轟君と衝突。それも運が悪いというか、頭に勢いよく蹴りが入ったような形になってしまった。
反動で電気は中央付近、手を伸ばしてもはしごに届かない位置に飛んでしまった。幸い、梅雨ちゃんが反応してくれたので、そちらは任せる。
「梅雨ちゃんナイス!」
「ケロ!」
「た、助かった~」
轟君は脳震盪でも起こしたか、反応が一瞬遅れて梯子を掴み損ねて落下。包帯捕縛術で轟君を捕まえて、包帯の反動も使って一気に引き寄せる。
角度がつくと危ないから、捕まえたと同時にエレベーター坑の中央付近に移動して、反動も使って引っ張り上げる。
「よっ……と」
轟君が上昇してきたところを、最悪そのまま梯子を登れるように背中で受け止める。イオノクラフト効果に回していた電子を増やして落下を止めて、縄梯子を掴めばとりあえず危機は脱した。
さて、頑張って登るか、お茶子ちゃんか梅雨ちゃんにフォローを頼もう。力が入っていない人ってやっぱり重い。
そう思ったら、意識が戻ったらしい。
「……ん……ぁ……なん……その、わりぃ」
「あ、う、うん、その、事故だし、仕方ない。えっと、梅雨ちゃん、悪いけど、引っ張ってもらっていい?」
「ケロ、任せて」
あ、でも2人まとめては拙いかも。
「轟君も一応、要救助者判定で先にお願い」
「そうね。わかったわ」
轟君を舌で持ち上げると、そのまま壁を登っていく。こうしてみると、梅雨ちゃんって万能性が高いよねぇ
救出を優先して何も言わなかった梅雨ちゃんに感謝。
「すぅ……ふぅ、よし」
深呼吸を一つして、個性も併用して自身の心拍を落ち着かせる。あー、びっくりした。
さて、私もバッテリーが残っている間にさっさと上がってしまおう。
梅雨ちゃんなら余計な面倒にならないだろうし。いやまぁ、その、仕方ないんだけどね、意識失った轟君を引っ張り上げて、落とさない様にしようとした結果なので、うん。まぁ、ね、何もなかった、ってことで。
要救助者確保、救出側の被害としては、百ちゃんを崩落から守って常闇君が負傷。最後の脱出時に縄梯子からの落下事故で轟君が軽傷。
どちらもリカバリーガールのおかげですでに治療済み。
ただ常闇君はリタイヤ扱いで、最後の脱出に個性を使う許可がでなかったらしい。
講評ではやっぱり最後の脱出は微妙、と言うことでたっぷり粗を指摘されてしまった。
縄梯子ではなくて担架でも降ろして人力エレベータにでもするべきだったかも。お茶子ちゃんのキャパに配慮しながら、緑谷君の黒鞭で運搬してもらう方法もあったかもしれない。冷静になれば他に取れる手段はあった。とにもかくにも、まだまだ経験不足という感じで締めくくられた。
夜、もうすぐ建前的な消灯時間である22時と言うタイミングで、響香、三奈ちゃん、透ちゃんが押し掛けてきた。どうやら今日の訓練での話を聞いたらしい。
勉強で起きてたから、響香の個性を前に寝たふりも出来ず、大人しく迎え入れた。
「聞いたよぉ~?轟と二人で暗闇の中、って?」
「あのね。遊びじゃないんだから」
「ヤオモモも気が利いてるよね~」
あーもー、なんか当事者より回りの方が盛り上がるってなんだろうね。街に出るのも許可がいる生活で、特にヒーロー科は中々許可も下りないから、娯楽に飢えているのかもしれないけど。
正直、気にならないと言ったら嘘になると言ったのは事実だけど、今んとこ、それだけなんだけどなぁ……だから煽ってくるんだろうけど。当事者が一佳だったら、私も煽る側だろうから、文句もつけづらい。
「多分、能力面でしか見てないと思うよ。爆豪君が切島君と電気さっさと連れてっちゃったし、ダークシャドウの暴走対策と力仕事要員の分散で考えると、択がない」
「えー?つまんないー、絶対そんなんじゃないよー、よし、ヤオモモも呼ぼう!」
「いやあの、時間を考えよう?」
既に私と響香、三奈ちゃん透ちゃんと4人もいる部屋に更に百ちゃん呼ぶのか。しかももう深夜帯なんだけど。
メッセンジャーから呼び出された百ちゃんは嫌な顔せず部屋に来てくれた。まぁ、そろそろ寝ようってタイミングだったから、寝るように促すため、ってのもあったみたいだけど。
「そろそろ寝ませんといけませんから、ちょっとだけですわよ?」
そして百ちゃんとしては、やっぱり能力基準での判断だったらしい。
「えー?マッハと轟だよ?そういう話じゃないのー?」
「え?……あら、確かに言われてみたら、そんな風に見えますわね」
「あぁ、気付いてなかったのね。じゃ、何もなしかー、つまんないのー」
いや別に三奈ちゃんを楽しませるために訓練してるわけじゃ……それにそこまでガチってつもりもないんだけどなぁ……そう思っているのは私だけで、回りからはガチに見えてるのかな?いやいや、まさか。
いやまぁ、百ちゃんがおかしな気遣いをしたんじゃないかと、私も疑ったけど、そうじゃないなら、別に問題はない。ないったらない。
「ほーら、三奈。今日はそれくらいにしときな。そろそろヤバイ。寝よ?」
「……はーい、騒がしてごめんねー、おやすみー」
「あ、うん、おやすみ」
響香は時々ストッパー側になってくれるけど、何が見えてるんだろ。別にそんな不機嫌な顔してるつもりもないんだけどなぁ
思わず鏡を見るが、普段通り。可もなく不可もなく。クールと言えば聞こえがいいけど、愛想のない顔が浮かんでる。
一人になった部屋を軽く片付けて、ベッドに潜り込む。
普段はもう少し自習に時間を使うけど、そういう気分でもなくなった。不貞寝ともいうけど。
「はぁ……響香に電気、三奈ちゃんに切島君をけしかけてやりたいけど、なんか、ビミョーに望み薄なんだよねぇ」
ここのところ、変にからかわれることが増えたから、何か仕返ししてやろうとか考えながら、眠りについた。もちろん、よいアイディア何て浮かばなかったけど。
無駄に心がざわついて、正直、今日の訓練は不甲斐なさばかりが印象に残り、私としてはなんだかモヤモヤする一日だった。
えっと、ガチで言い訳しますと、オリ主&轟コンビは狙って組んだモノではありません。誰も信じないと思いますけどw
なお、轟側については18時に閑話としてあげておきます。
以下、改変に至る経緯、兼、言い訳w(無駄に長文ですので読み飛ばし推奨)
そも最初は、原作では砂藤がBグループなので、そこにオリ主入れるだけでいいやとも考えましたが、多少の疑問点と捏造しやすさを優先して取りやめました。
まずこのグループ分けの基準。ぶっちゃけ戦闘力(およびストーリ上のレギュラー)基準での1軍2軍的な分け方に見えました。
総合的な戦闘力基準でBグループでもよかったのですが、原作Bグループはただでさえ探索要員が多いので、そこにオリ主が入ると更にイージーモードになるのも面白くない。
次に、こちらの比重が大きいですが、オリジナルの組み合わせ、クラス委員長と副委員長が同じAグループなんですよね。序盤に人を導く聖職だの何のと言わせておいて、副委員長に指揮をする機会を与えないってどうよと。
そこで本作では副委員長の飯田を、Bグループへリーダーとして配置。
そして空きが出たAグループにオリ主を突っ込んで、飯田の代替に八百万と組ませるつもりでした。
ですが、このポジション、波乱要素が皆無です。そもそも飯田の代わりに怪我する未来が存在しません。360度全周囲視界と反応速度があるので崩落程度予測して回避します。
結果、怪我はないが2人ともパワータイプでないので空気になる。で、八百万と常闇を組ませました。
余ったポジションが蛙吹と入れ替えて緑谷組か、轟と組ませるか。麗日と入れ替える?そんな選択は存在しません。
となったら、轟と組ませたほうが、地下6階まで行けるしそのほうが良いや、となってこうなりました。