雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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第61話 救出作戦(1)

 死穢八斎會への強制捜査。エリちゃん救出任務だが、イレイザーヘッドとしてはすんなりと全員を参加させることはできないらしい。

 

「とはいえ、プロと同等かそれ以上の力を持つビッグスリーはともかく、お前たちの役割は薄いと思う。特に蛙吹(あすい)、麗日、切島、お前たちは自分の意志でココにいる、って訳じゃない。お前たちはどうしたい?」

 

「せ……イレイザーヘッド!あんな話聞かされて止めときましょとは言えません!」

「イレイザーがダメと言わないなら、お力添えしたいわ」

 

 拒否は可能と含みを持たせた発言を即座に否定したのはお茶子ちゃんと梅雨ちゃん。そこに口田君ほどでは無いが、小声でフォローを入れてくれる天喰(あまじき)先輩。

 

「会議に参加させている以上、プロたちは彼らの実力を認めている。少なくとも僕よりよっぽど輝かしい」

「天喰君、隙あらばだねぇ」

 

 隙あらば自分を貶める、かな?波動先輩はむしろ感心した風だから、あまり心配しないでいいのかも。

 

「俺らの力が少しでもその子のためになる、ってんならヤルぜ!イレイザーヘッド!!」

「わかってるならいい」

「ところで、かみ、っと。ブルーアンバーには聞かないでいいんスか?」

 

 同じクラスメイトだからそういう話にはなるよね。

 

「コイツの参加は流動的だ。当面はアクスレピオスに派遣。その結果次第となる」

「残念ながらそうなったの。手伝いでしかないけど、間に合わせるように力を尽くす」

 

 生憎とそういう事になってしまった。その上で全員共通することして、ヴィラン連合が出張ってきた場合は即時撤収となる。

 そしてインターンについては口外禁止。私に関しても雄英の地域ボランティア扱いから、イレイザーヘッドのサイドキック扱いになったので、同じく口外禁止が課せられた。

 

 ちなみに、施設への移動手段には、プレゼントマイク先生が持っているバイクを借りることになった。全寮化の前に免許を取っておいてよかった。

 今度、一佳に自慢してやろう。

 レブル250とはまた渋い。近距離の移動用に買ったけど最近は使ってないから、欲しかったら安く譲ってくれるとのこと。

 確かに大型のアメリカンの方が似合う人ではある。車もアメ車みたいだし。

 欲しいけど、買っても外に乗っていけないからなぁ

 

 

 この日、TDLを使っての基礎トレーニングの一環としてロッククライミングが行われた。あくまで体力トレーニングなので、個性は利用不可。

 それでもエリちゃん救出作戦に参加する緑谷君達の集中はすさまじく、他のメンバーより速いペースでコンクリで形成された崖を登っている。

 

「インターン組、動きがキレてる」

「外で何か掴みやがったんだ……言え!何を掴んだ!!」

「すまん!言えねぇ」

 

 コツとかそういうものではなく、単純に心構えの違い。

 登るのが1秒遅れれば、それだけ助けられる確率が下がる。そういう覚悟の差が結果になっている。

 

「お前ら、職場体験の時のことを思い出せ。プロの現場を体験し、より実りある訓練をしろと言ったのを覚えているか?連中はそういう事だ。よし、次だ。崖の上に瀕死の要救助者がいると思って登れ!」

 

「「「はい!!」」」

 

 ただ感心して見上げていたみんなの表情が引き締まる。荒れ気味だった爆豪君もだ。

 人を乗せるのが上手いよなぁ、と感心しながらも、後れを取らないように気合を入れてコンクリの崖に取り組んだ。

 

 

 授業が終わってからの夕方、夕立の予報もあって合羽の用意をしていたら、何とオールマイト先生が私物の車で送ってくださるという。

 心遣いはありがたいけど、帰りの足がなくなるのは困るので断ろうと思ったら、海外で採用が始まった超圧縮技術で運搬してくれるという。

 それなら、と言うことでありがたく送っていただくことにした。

 

「話はおおよそ聞いている。インターンに慎重だったはずだが、すまないね」

「いえ。私の個性で人の役に立てるのであれば、それは喜ばしいことです」

 

 エリちゃん救出に参加できるかは微妙なところだ。おおよその目途はついているから、大丈夫とは思うけど。

 

「……緑谷少年のこともすまなかったと思っている。彼の焦りはわかっていたが、そこまで思い詰めているとは、私も思わなかった」

 

「いえ。私も自分の価値観を押し付けていたと、反省しています」

 

 その話をするためにわざわざ、送ってくれたのだろう。その気遣いがありがたい。

 

「すこし緑谷少年とも話したよ。彼に期待しているのは事実だが、期待以上に成長している。折角の学生生活でもあるし、ここで育んだモノは一生の財産になるから、大事にしてほしいとね。留学の事をかなり熱心に聞かれて少し参ったが」

 

「そうですか……わざわざありがとうございます」

 

 私に話す必要がないことではあるけど、配慮としてはありがたい。そしてやっぱり留学はするつもりなのかな?

 

「それでここのところ連日のようだけど、どうなんだい?」

「詳しくはイレイザーヘッドに聞いてほしいですが、順調とだけ」

 

 発現を調整した薬剤を投与しては個性の破壊と復元を確認する。単純作業だが都度、要求される集中力の桁がこれまでとは違う。

 これがただの訓練で到達したなら、もっと単純に喜べたのだけど。

 けれど、力をつければやれることが増える。

 その上で、犠牲にした小さい命の分や、今も苦しんでいるだろう、エリちゃんのためにもより多くを救う責任が生まれた。

 

 ほぼ完成と思えるレベルの調整はすでに終わっている。今以上を望むなら、治崎が作る本家というか、彼らが完成版とみなす個性破壊薬を入手しないといけなくなる。

 ただ、私個人に依存した調整となったことには、ドラギッツ先生がご不満のようだけど。最後の微調整は先生の個性によるのだから、そこで納得してほしい。

 純粋科学と言うか薬学でどうにかしようと悪戦苦闘しており、それが作業を長引かせていた。

 その分、私の負担は軽くなっているのだけど。

 

 そしてこの日も様々に条件を変えての試験は深夜へと及び、日が変わるころにホワイトマウス先生とドラギッツさんにメールが届いた。そこから数分遅れて私の下にも、イレイザーヘッドからのメールが来た。

 

「あぁ、ブルーアンバーにも連絡が来たね」

「はい。一応、作戦参加を認めるとのことです」

「一応、大規模になるので協力要請を受けた。僕も後方支援に参加する予定だよ」

 

 ドラギッツ先生はどうするのかと思ったら、ここ数年はほとんど研究所住まいで実戦から遠ざかっているのだとか。それでなくてもその能力は実戦で失うのが惜しいという事らしい。

 

「個性の希少性と言う意味では、既にブルーアンバーも引けを取らない。くれぐれも自覚して安全第一でお願いしたいね」

 

「善処します。私はイレイザーヘッド指揮下での行動になりますので、無理はできないと思います」

 

「あぁ、それなら安心だ。そういえば進路は決めたのかな?」

「はい。一応、医学部を目指してみるつもりです」

 

 受かるかは微妙だけど。それでも、自分でも在り様として悪くないと思えるのだから、目指す価値はあるだろう。ともあれ、作戦前ということで、深夜ではあるが帰宅して久しぶりに自室で眠れることになった。

 

 

 ひと眠りして決行日の朝。リラックスは出来たが少々気怠さが残っている。目を覚ますため、軽いストレッチをしてからシャワーを浴びた。

 朝食は注文をしてなかったので途中でパンでも買うかと思っていたが、相澤先生のメールには朝食の手配もしてあるとのこと。ありがたく寮で朝食を食べる事が出来た。

 

茉芭(まつは)ちゃん、おはよう。今日の予定は?」

「おはよ。多分、お茶子ちゃんと同じじゃないかな。おかげで昨日は久しぶりにベッドで寝られたよ」

 

 ここのところ、追い込みをかけるために眠っても休憩で十数分程度を小分けに、と言うのが多かった。

 身体能力の維持程度の運動は出来ているから、いつも通りに動けるだろう。

 今日はこの後、いつ食べられるかわからない。しっかり食べておかないといけないなと思いつつ、食事を続けていると、電気が声をかけてきた。

 

「そいえば、マッハ。いつの間にかインターンやってるみたいだけど、どこなん?」

「んー、悪いけどそれ含めて言えないことになってる」

 

 あまり言いふらすなと言われているのもあるけど、雄英の生徒がヒーロー事務所としての雄英高校に所属するサイドキックというか、イレイザーヘッドのサイドキック扱いって、ややこしいから説明するのが面倒くさい。本来なら、講師に適用する制度だったと思うし。

 

「そんなこともあるんだ」

「そんなこともあるんです。まぁ、別に悪いことしてるわけじゃないから」

 

 そう言って食事を再開する。

 見れば、切島君、梅雨ちゃん、お茶子ちゃんも今日は食事を楽しむ余裕はなさそうだ。

 なにやら緑谷君はアジの開きと睨めっこしてるけど。

 

 食事を終えて、装備一式をもってナイトアイ事務所を訪れた私たちだけど、捜索先は何というか、本命すぎて盲点ともいえる場所だった。

 

「はあ!?エリって子は、本部にいる!?」

 

 褐色のヒーロー、先日の打ち合わせの後調べたら、ロックロックさんと言うヒーローで、その個性もなかなか独特だけど使い勝手のよさそうなものだった。

 

「けっ!俺たちの調査は無駄だったって訳か」

「いえ、新たな情報も得られました」

「どうやって確信に?」

 

 ファットガムさんの疑問に、サー・ナイトアイが取り出したのは、「モーレツ!プリエア10!」のデラックス版変身グッツ。最近のは知らないけど多分、高い奴。

 

「八斎會の構成員が先日、近くのデパートで女子向けの玩具を購入していました」

「は?」

「……なんじゃそりゃ」

 

 あのシリーズ、見たかったんだけど、電気が見たがってたヒーロー番組と放送時間が被ってたからなぁ……アレはアレで面白くはあったけど。

 自力で稼ぐようになってからも受験のために勉強とトレーニング漬けで見る暇がなかった。こんど、オンライン配信で見てみようかなぁ

 それはともかくとして、なんというか、絵面の違和感がすごい。真面目一辺倒のサラリーマンのお父さんが、ご機嫌取りのためによくわからないままプレゼントを選んだってくらいには似合うけど。

 緑谷君はこういうのは興味ないかな?なんかこの手のアニソンとか歌いながら走ってそうな気がするんだけど。

 残念ながら、ちょっと呆れ顔だ。骨の髄までオールマイトオタクかぁ

 

「いやいや、そういう趣味の人かもしれんやろ。世界は広いんやで、ナイトアイ!てか、なんでお前も買うとんねん!」

 

 ファットガムさんの突っ込みが冴えているけど、なにかしら、個性の発動条件を満たすためにあえて買ったんじゃないかな?わざわざ現物を見せる必要はないと思うけど。

 ともあれ作品タイトルも知らない、しかも過去作と区別もつかないとか、オタならあり得ないという話には納得。

 何しろ本人が物まねにミリ単位でダメだしする生粋のオールマイトオタだから、別ジャンルのオタにも理解がある……と、言うことにしておこう。

 ファンはとにかく語るからねー、ソースは緑谷君とサー・ナイトアイ。

 

 

 更衣室を借りて装備を身に着けたら、最寄りの警察署で警察と合流した。

 担当刑事さんの訓示を聞きながら、手渡された構成員の個性情報にざっと目を通す。ちょっと相性が悪そうなのが数人いるな。パワー系でないのは、多分ある程度はどうにかできるけど。

 

「決まったら早いっすね!」

「君……朝から元気だね」

 

 テンションの高い烈怒頼雄斗(切島君)と対照的にテンション低めのサンイーター(天喰先輩)

 

「う~、緊張してきた~」

「探偵業のようなことから、警察との協力、知らないことだらけね」

「ね、不思議だね」

 

 ウラビティ(お茶子ちゃん)は言葉ほどには緊張してなさそうだし、FROPPY(梅雨ちゃん)はいつものマイペース。

 後ろにネジレチャン(波動先輩)という天然の権化みたいない人がいるし、そもそも実戦経験者。緊張しようもないか。

 その意味では、私の方が緊張しているんだろうな。

 

「こういうのは学校じゃ深く教えてくれないからね。新人時代は苦労したよ。ブルーアンバーだったね。あなたも参加するんだ」

 

 ドラグーンヒーロー・リューキュウ、こうして改めて見るとやっぱり格好いい人だなぁ

 

「初めまして。リューキュウさん。ブルーアンバーです。今日はイレイザーヘッドの指揮下で活動させていただく予定です」

「アクスレピオスのサイドキックならマウスと後方支援じゃないの?」

「いえ、協力要請を受けただけで、所属は違います」

 

 割とグレーゾーンなので堂々とは話をしたくないけれど。

 

「へぇ……珍しいわね。まぁいいわ。終わったら、ネジレが言ってたマッサージ、楽しみにしてるわ」

「何なら今でもよいですよ。ウォームアップ代わりに」

「あら、いいの?じゃあ、試してみようかしら」

 

 軽く筋肉をほぐす。いつでも動けるぐらいにしなやかな筋肉。意識して解さないといけない私やウラビティとはやはり違う。

 

「ん~、いいわね。終わったあとの方がさらによさそう。またお願いね」

「はい。ありがとうございます」

 

 そんな話をしていると、イレイザーヘッドがこちらにやってきた。

 

「デク、ブルーアンバー。俺はナイトアイ事務所と動く。意味は分かるな?」

「「はい」」

 

 所属的にイレイザーの直下になる私は当然、ナイトアイ事務所の所属であるデク君も一緒に行動するという事だ。

 

「ヒーロー・デク、アテにしてる」

「……うん、頑張ろう!」

「おう!俺も混ぜてくれ!」

 

 お互いの拳を軽くあてる。タイミングよく烈怒頼雄斗も便乗してきたけど、まぁ、気分は悪くない。

 

「よし!ヒーロー!多少手荒になっても仕方ない。怪しい素振りがあったらすぐに対応を頼む。相手は今日まで生き残ってきた極道者。くれぐれも気を緩めず、仕事を全うしてほしい」

 

 整列していた制服警官と機動隊の方々が敬礼をする。私たちは彼らに向かってそれぞれうなずき返す。

 

「突入は0830(マルハチサンマル)とする!総員出動!」




割と無理やりにオリ主放り込みました。
いない場合、ごく一部を除いて原作通りになるんで、1話かかからずに死穢八斎會との戦闘が終わってしまうので。それは流石に勿体ないなとw

なお、バイクはオリ主が乗れそうなサイズのものを適当に持って来たので、特にこだわりはありません。私自身は二輪免許持ってないしw
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