なお、後半で若干、第三者視点が入ります。
医務室送りとなった緑谷君を抜いての講評となった。
「勝った麗日少女はおめでとう。爆豪少年と飯田少年は残念だった。と言っても今戦のベストは飯田少年だけどな」
驚く飯田君に、勝敗という点で疑問を上げる梅雨ちゃん。
「勝った緑谷君かお茶子ちゃんじゃないの?」
「んー、なんでかなぁ~?わかる人ー!」
オールマイト、子供向け番組じゃないんですよ、いま。
「はい!オールマイト先生」
「よし!では八百万少女!」
「はい。飯田さんが状況設定に一番順応していたからです。爆豪さんの行動は執拗に緑谷さんだけを狙う私怨丸出しの独断専行。そして先ほど先生が仰っていた通り、室内での大規模攻撃は愚策。
緑谷さんも同様。あの行動は無謀としか言いようがありませんわ。
麗日さんは中盤の気のゆるみ。
そして最後の乱暴な行動。建物の被害はもちろん、張りぼてを核として扱っていたら、あんな乱暴な行為はできません。
相手への対策をこなし、核の奪取を想定していたからこそ、飯田さんは最後に行動が遅れました。ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた、反則のようなものですわ」
心なしかオールマイト先生の笑顔が固い。思っていた以上の答えが出てきた、ってところか。
「まぁ、飯田少年もまだ硬さはあったわけだが。正解だよ!」
サムズアップで賛意を示すオールマイト先生。
いや、それで終わっちゃダメでしょ。フォローが足らなすぎる。
「はい、意見よろしいでしょうか」
「うん?
「はい。飯田君がベストという点については異論ありません。
ですが、他の評価についてはもう少し見るべき点があると思います。
まず爆豪君。
火力面において優れている彼が、核兵器を離れての行動には一定の合理性を認めるべきです。待機していても核の近くで、爆破を活かす立ち回りをするのは難易度が高いと思います。
もちろん説明不足はマイナスですけど。
彼流に言うなら、「阿呆、核の近くでドンパチやれっか」とでも言っておけばよかったんですよ?」
「うはっ、今のちょっと爆豪っぽい」
「もう一回やってー」
手のひらを上に向けて、ちょっとだけ物まねしてやると笑いが取れた。
爆豪君は何か心あらずといった様子だったのが、我に返ったのか苦い顔してる。ちょっと意外、という表情にも見える。なに?褒められたことないの?それこそ意外だよ。
「そうか!確かにその危険性を考慮していなかった。不覚!すまなかった爆豪君。君の個性と戦闘スタイルのことを失念していた!」
そういって頭を下げる飯田君、ほんっと、真面目だね。そんな素直だとそのうち高いツボとか絵画を買わされそう。
「そもそもヴィラン役です。主犯でなく雇われであれば、相互の信頼など皆無ということもあり得ます。なら単独行動、と言うのは間違いではないのです。
そしてヒーロー1名をタイムアップ直前まで拘束し続けたという点は評価すべきです。ただ倒すことに固執し、捕縛の意識がなかったことはマイナスですね。
実力差は明らかだったのです。捕縛し、その意思を折る方が容易いでしょう。
目先の
「ほう。それは何故だね?」
「守るべき
緑谷君の最後の攻撃も、自損は全く評価できませんが、無線で核の位置を確認していた様子が伺えます。ギャンブルは避けるべきですが、残り時間がなく窮余の一策としてはありえるかと。少なくとも、最後まで自己の勝利は演習目標達成と思い定め、考え続けた点は高く評価するべきです。
そして麗日さん。
全体的には八百万さんに同意です。強いて言えば、最後の攻撃、細かい瓦礫を飛ばすのではなく、持っていた柱を飯田君に投げつけるべきでした」
「怖いこと言うな!君は!!」
「ヴィランに回避を強要し、核兵器への道を作るには合理的でしょう?あと飯田君は、ラスト1分の時点で核を持ってビルの外へ逃亡を図ってもよかったと思います。まぁ、張りぼて前提の反則技、かもしれないけど。
あぁあと、八百万さんの評価は的確であるとは思います。
ただ、他の行動にも一定の合理を見つけ出す必要はあります。感情だけであれだけの行動はできないことは、想像していただきたいです」
「まぁ、もちろんですわ。むしろ異なる視点での貴重なご意見、参考になります!」
「そ、そう、あ、ありがと」
そう言ってはおいたものの、爆豪君は気まずそうに頬を掻いてるから、多分、接触後は感情任せだろうな。
「よ、よーし!では 場所を変えて第2戦をはじめよう!今の講評をよーく考えて、挑むように!」
「「「はい!」」」
第2戦、障子君&轟君チームvs尾白君&葉隠さんの戦いはワンサイドゲームだった。
障子君が場所を特定し、轟君がビルを氷漬けにして一瞬で終了。
「うわぁ……」
オールマイト先生も絶句するようなワンサイドゲームで終了。
第3戦、ヴィラン側の瀬呂君&切島君コンビがそれぞれの個性で防御を固め、攻め込む常闇君&梅雨ちゃん相手に時間ギリギリまで粘っていたものの、梅雨ちゃんが伸ばした舌が核兵器を守るテープをすり抜けて接触に成功。ヒーロー側勝利となった。
第4戦は大量の資材を作り出して防御を固めた峰田&八百万さんコンビが、攻め手に欠ける電気&響香コンビから核を守り通してヴィラン側勝利。
そして最終第5戦。口田君&私のコンビと三奈ちゃん&青山君コンビ。三奈ちゃんは確か酸とか言っていた。青山君は良くわからないけど、デザイン的に腰のベルトが個性のカギになりそう。お互い初見だから相手に合わせた対策は試験で一緒だった、とかでない限り無理だし。
準備時間の5分でしっかり作戦を決めないと。
講評で言いたい放題したから、その分のプレッシャーがががが。
「口田君、よろしく。で、個性について聞いてもいい?」
「ど、動物とかと話をして、助けてもらえる」
声ちっさ。
見た目が異形型だから、パワータイプかと思ってた。
「私の個性は電子操作。電気があればそれを操れる、と思ってくれればいいよ」
「すごいね」
「全然すごくナイナイ。お互い火力不足。それはオーケー?」
「う、うん」
「それでここで操れる動物はいる?あと、虫は操れる?」
「た、多分ネズミとかいると思う。あと、む、虫にがて」
無理強いするのはちょっと無理か。
ネズミがいるかは不確定だけど、個性届は見てるし、演習ギミックとしてある程度は配置していると思ってもいいな。
いるいないが運任せではちょっと。そこは彼のコスチュームもそうだけど。
「ねえ、対象を特定せずに声を掛けたらどうなる?」
「聞こえた子たちは、出来る範囲でやってくれると思うよ」
「……やっぱり凄いよ、口田君。じゃあ、こんなのはどう?」
多分、今、悪い顔してるんだろうなぁ
けどごめんね、三奈ちゃん、勝ちに行くわ。
―――Side:芦戸三奈&青山優雅
5分の待機時間を待って、ヒーロー役の青山、芦戸コンビがビルに内に立ち入った。
特に警戒するでもなく進む青山の後ろから、足元にジェル状の酸を出した芦戸が滑りつつ進む。
「イエーッ!」
跳ねた酸がマントに穴をあけ、お披露目したばかりのコスチュームに穴が開いたと嘆く。
「あぁ、なんてこと!」
「ごっめーん!」
まだ1階、襲われることなど無いという油断。
それが致命的だった。
「ん?何だい」
「なになにー?どったのーー?」
青山の後ろから奥をのぞき込む。ビルの照明は最小になっており、薄暗い先に見えるのは光る無数の目と、カサカサと嫌悪感を掻き立てる足の音。
正体は少なくとも10匹はいる白ネズミと無数のゴキブリ。
気づいたときには時すでに遅し。ネズミと無数のゴキブリに襲い掛かられて、悲鳴が上がる。
「ひぇっ!」
「ボ、僕の美しいコスチュームがぁ!」
芦戸が慌てて酸の塊を投げつけようとしたとき、首元に何かが触れた。
「……え」
かすかな痛みと痺れを感じるのと同時に、2人の意識は切れた。そして恐る恐るといった風情で階段から顔を出す口田の姿。
「ヒーロー2名の無力化に成功。これから捕獲します。口田君、みんなにお礼をお願いね」
―――Side:上鳴茉芭
「さぁて、本日最後の講評なのだけど……ええい、八百万少女!」
「はい。作戦を立てたであろう茉芭さんも素晴らしいですが、今回のベストはやはり口田さんでしょう。多数の動物、昆虫を操り、青山さん、芦戸さんの気を引いた。口田さんの活躍無くしてこの成果はあり得ません」
「そ、そんなことは。僕は言われた通りやっただけで……」
「それでもですわ。的確に求められる成果を出したのです。もっと胸を張っていいと思います。茉芭さんは的確な作戦立案、突入のタイミングを見計らって回り込むタイミングも素晴らしかったです。
青山さん、芦戸さんは突入時の態度で油断は明らかです。これに関してはただ甘い、としか申し上げられませんわ」
5回目ともなると八百万さんの講評も慣れたもの。
そしてそれは聞く方も同じなので、切島君からの突っ込みが入る。
「でもよー、動物いなかったらどうしたんだよ。ギャンブルすぎねぇ?」
「それは私の方から」
オールマイト先生が話す前に、自分が手を上げる。
「ギャンブル要素があるのは否定しないけど、今回に限り必ずいると確信がありました。個性届とそれを踏まえた作られたコスチュームを使っての初戦闘。
言ってしまえばチュートリアルバトル。
なら、各々の個性とコスチュームを活かすだけの環境と勝ち筋は用意されていると考えました。例えば無菌培養のネズミとゴキブリとか。これも反則、甘えと言えばそうだけど、ありがたく活用させてもらいました」
私に関しては特に何かあった様子はない。
コスチュームにかなり細かい注文を付けたから、お手並み拝見、と言ったところだったのだと思う。
「気が付かなかった……」
「足らないものを気づかせる、という意味では何もできず敗北、と言うのもアリなんでしょうけどね。
口田君についてはせっかく動物とのコミュニケーションが取れる強みがあるんだし、戦闘を考慮した
自然環境ならともかく、都市部や建物内に都合よく使える相手がいるとは限らないし。後は、虫嫌いの克服、かな?」
「……が、頑張る、よ」
これで講評は終わって、全員がグランドβの入り口に再集合した。
「みんな、お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我もなし。初めての実習にしては上出来だったぜ!」
「相澤先生の後でこんなまっとうな授業……」
皆がうなずく。まぁ、相澤先生の好意って判りづらいよねぇ
そして緑谷君に講評を伝えに行くと、すっ飛んでいった。速い。
授業の後、今日もトレーニングルームを借りるつもりでいたのだけど、皆で反省会をやるという。
なら、たくさん話すし飲み物が欲しいと買いに出たのだけど、戻ってきたときに爆豪君が教室を出て帰るところだった。
「あ、帰るんだ。お疲れー」
「……おぅ」
反省会は不参加か。まぁ、それもアリだよね。
「なぁ、おい」
「うん?」
「礼は言わねーぞ」
それだけ言って、「ケッ」と吐き捨てるとさっさと帰っていった。
「挫折の一つもなしに、ヒーローになれると思うなよー?
「うっせぇ!死ねや!!」
ぶつぶつがさらに増えて足取りも荒くなる。
何ともからかい甲斐があることで。
緑谷vs爆豪戦にSEKKYOをかます回。
長いSEKKYOはオリ主の特権でしょう(違
真面目に言うと、全否定するほど悪い行動ではなかったとは思うんですよね。なのでちょっとフォローを入れてみた形です。
他の対戦結果はアニメだと端折られているので捏造です。
そして砂藤がB組の本作では彼に代わって口田君とコンビを組みました。
全部変えるのも面倒だったしw
当然ですが、ステージギミックとしての動物と昆虫の配置は捏造です。