オールマイトの教師就任が雄英とオールマイトの事務所から正式に発表され、マスコミが雄英に押し寄せることとなった。
「オールマイトの授業の様子はどうですか!?」
「え?シルバーエイジのコスを生で見れてラッキー?」
ニュースを見て少し早めに部屋を出て正解だった。
幸い「最高峰の教育機関に~」と堅苦しいコメントにマスコミを辟易させている飯田君のおかげでほとんど捕まらずにはいることができた。
朝のホームルームではマスコミ対応については軽く注意を受けた。
曰く、ヒーローは人気商売の面もあるので、あまり無下にはしないように。ただし情報漏洩には気を付けること。仰ることはわかるけど、要求難易度高い。
「それと昨日の戦闘訓練。成績とビデオは見させてもらった。爆豪、もうバカなことはするなよ。能力はあるんだから」
「……ウス。わかってら……いや、判りました」
「ならいい。それと緑谷」
「はい!」
「また腕ぶっ壊して一件落着か。個性の制御、いつまでも出来ないから仕方ないじゃ通させないぞ。それさえクリアすりゃやれることは多いんだ。焦れよ」
「はい!!」
映像越しだったからなんとも微妙なもの見ないですんだが、あの様子じゃ、フルパワーは年単位の時間がかかるだろうな。
あー、思い出さないようにしよ。気持ち悪くなる。
「さて、ホームルームの本題に戻る。諸君にはこれから学級委員長を決めてもらう」
「「「やっと学校っぽいの来たぁ……」」」
ホンワカした空気が流れたと思ったら、我も我もと手が上がる。
他のヒーローをまとめ導く役目ってことで、やりたい人が多いのはわかる。
電気ですら手を挙げてるし。
「静粛に!!皆を牽引する責任重大な任務だぞ!!やりたいからやれるといった役割ではないだろう。周囲からの信頼あってこそ務まる聖務!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら……これは投票で決めるべき!」
飯田君の主張にクラスメイト達が一瞬静まるが、本音は右手に表れている。
「「「そそり立ってるじゃねーか!!」」」
「なぜ発案したぁ?」
「日も浅いのに信頼も何もないわ飯田ちゃん」
「そんなんみんな、自分に入れらぁ」
「ならばこそ!ここで複数票獲った者こそが真に相応しい人間ということにならないか?どうでしょうか、先生」
「時間内に決まりゃ何でもいいよ」
そう言って寝袋に入る相澤先生。フリーダムだなぁ
複数票取りそうな人は何人かいるから大丈夫かな。
そして投票結果。
大体の生徒が自分に投票するので、ものすごいレベルの低いドングリの背比べ。
八百万 百:4票
緑谷 出久:3票
0票で飯田君が歯ぎしりをしているけど、そんなに悔しいなら自薦禁止ぐらい言えばよかったのに。
人をまとめる能力があって真面目なのは確かなんだし。
それにしても、私以外のだれが八百万さんに入れたんだろう。
緑谷君のうち1票は麗日さんだろうし。
ともあれ投票の結果、八百万さんがクラス委員長、緑谷君が副委員長になった。
講評の的確さが評価されたようだ。委員長となんの関係ないけど。
そしてお昼。雄英ガードを越えて侵入してきたマスコミにパニックなった生徒を見事に鎮めた飯田君に、緑谷君が副委員長を譲渡。
八百万さんは多少、釈然としない顔をしていたが、良いのではないだろうか。
今日のヒーロー基礎学は講師がオールマイト先生ではなく、複数で対応するらしい。
「本日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、あと1人で見る」
「はい!何をするんですか?」
「災害水難何でもござれ。レスキュー訓練」
その手には「RESCUE」の文字。
この演出オールマイト先生だけじゃないのか。
途端に騒ぎだすクラスメートを先生は一瞬で黙らせる。
「今回、コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を制限するコスチュームもあるだろうからな」
葉隠さんのことですね。わかります。
「訓練場は少し離れ場所にあるからバスで向かう。以上、準備開始」
バス乗り場で待っていると、コスチュームが修理中の緑谷君はジャージにパーツ装着。
他は……結局全員が着てるかな。
まぁ、着る機会は逃したくないよね。
峰田君……峰田でいいか。もう。麗日さんのお尻や胸をガン見してるなぁ、サイテー
副委員長に就任した飯田君が早速空回りしたけれど、バスに乗って訓練場へ。
路線バスタイプのシート配置とは思わなかったみたい。
並んだおかげで奥の席に座らせてもらってるからいいけど。子供の頃って、一番前と後ろの座席が特等席だったよね。
前のロングシート組には緑谷君に梅雨ちゃん、霧島君と最後に乗り込んだ飯田君。
何やら個性がどうとか話していると、話が飛び火したのか爆豪君がキレた。
まぁ、いいか。
電気の奴が何か言ったぽいけど、大丈夫でしょ。
「お前ら。いい加減にしろよ。もう着くぞ」
「「「はい!」」」
雄英高校は訓練で使う施設のために広大な敷地を持つ。
バスで移動した先には巨大ドーム。
その前には、スペースヒーロー・13号。
「わぁー!私、好きなの!13号!!」
麗日さんが興奮している。レスキュー専門のヒーローとしては高い知名度と人気があるから気持ちはわかる。ドーム内に入り、エントランスから見えるのは様々なシチュエーションに対応した訓練施設。
「水難事故、土砂災害、火災、
(((ホントにUSJだった)))
ともあれ、全体を見渡すとテーマパークのように見えてしまうのは仕方ない。
予定ではオールマイト先生もいる筈だが、その姿がない。
確認なのだろう、13号先生と小声で話しているが、やがて呆れたように頭を振ってから柱に寄り掛かった。
「では、始める前に小言を一つ二つ三つ四つ五つ……」
(((増える)))
ともあれ、それだけ言うべきことがあるということ。
話がはじまれば、皆、自然と真剣に聞き入る。
「皆さんご存じだと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
興奮した様子の緑谷君。
さらに興奮しているのが麗日さん。本当に好きなんだね。
「ええ。ですが簡単に人を殺せる力です」
当たり前だがその個性の行使においてヒーローとヴィランは紙一重。対ヴィランのために鍛え上げた個性は容易に人を殺す暴力になる。
「皆さんの中にもそういう個性を持つ人がいるでしょう」
いますね。たとえば電気なら、相手に直接、全力で放電すれば人間を簡単に丸焦げにできる。
相当に見劣りするが、私だってちょっとしたバッテリーを用意して、心臓だけに狙いを定めればどうにかできるだろう。多分。
「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制しています。それだけ容易に人を殺せる、いきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください。
個性把握テストで自身の力が秘めている可能性を知り。対人戦闘で、それを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では心機一転。人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。救けるためにあるのだと、心得て帰ってくださいな。
以上、ご清聴ありがとうございました」
13号先生は話の締めにお辞儀をする。クラス全員が先生の話に拍手をしていた。
一通り収まるのを待って、相澤先生に代わる。
「よし、お前ら。まずは――――――」
その続きは言葉にならず、相澤先生は何かを感じ取ったのか振り返る。
ほぼ同時に照明が落ち、噴水の動作が異常になる。
噴水の手前、広場に黒い
「ひと塊になって動くな!13号、生徒を守れ!」
緊迫した相澤先生の声。
まだその緊迫感は皆に伝っていないが、最初に異変に気付いたのは先頭列にいた切島君だった。
「なんだありゃ?また入試の時みたいな「もう始まってんぞ」パターン?」
黒い幕の中から現れる数人の人物。
戦闘用と思われるコスチュームを着たものや、異形型の人物もちらほらとみられる。
よく見ようと一歩前に踏み出そうとした緑谷君他数名が、相澤先生、いや、イレイザーヘッドの鋭い一言で止められる。
「動くな!アレは……ヴィランだ」
雄英バリアに代表される各種警戒網。
それらを超えて、黒い霧から続々と現れるヴィランの姿。USJにピンポイントで現れるということは、ワープ個性の持ち主がヴィランの中にいるらしい。
先頭の痩せた男は上半身に多数の手を付けている。見ているだけでも狂気が伝わってきそうだ。
「やはりアレはクソ共の仕業だったか」
アレ?雄英バリアが破られたことだろうか?
そしてその時にカリキュラムを盗まれたか、記録されたと。今日、3名体制なのは護衛という意味もあったという事らしい。
「あぁ!?ヴィラン?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてイカレてるだろ!」
「先生、侵入者用センサーは?」
「もちろん、ありますが……」
「現れたのはここだけか、学校全体か。なんにせよセンサーが反応しねえなら、向こうにそういう事が出来る奴がいるってことだろ。校舎から離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割。ただのイカレ野郎じゃねえ。これは何らかの目的があって用意周到に計画された、奇襲だ」
人数では圧倒的に不利な状況。
それでもまだパニックに陥らずに済んでいるのは先生が落ち着いているから。
「13号!避難開始。学校への電話も試せ。センサーへの対策も頭にある奴だ。電波系の奴が妨害している可能性もある。上鳴電気!お前も個性で連絡を試せ!」
「っす!」
電気のコスチューム、サポートアイテムとして身に着けているヘッドホンは一応は無線機だ。自分が貯めている電気を電波に変換して通信もできるようになっている。通常はその逆で充電用だが。
「手伝う?」
「要らねぇ……って言いたいけど、ノイズだらけでジャミングやべえ。たのむ、マッハ」
「おーけー」
ヘッドホンに手を触れて、内部の電子の流れから構造を把握する。機能は聞いていたけど、かなりシンプルかつ原始的。
「ちょっと熱くなるかも」
「構わねぇ、やってくれ!」
緑谷君とイレイザーヘッドが何かを話し、イレイザーヘッドが飛び降りるのを横目に、私は次の工程へ移る。
そもそも近距離通話か外部の電波を充電補助にするためのモノ。
通話距離は低いから、学校まで届かせるには指向性と出力を変えていく。
指向性アンテナではないので、発生した電波に指向性を与えるのは私の役目。
「放電お願い。100V3Aで10秒」
「おっけぇ!みんなちょっと離れろよ」
周波数は学内で使えるものだからそのまま。
相手の応答と会話を維持する前に壊れるの確定だから、短く「SOS」とだけモールス信号で高出力のノイズでしかない電波を打ち出したとこで、ヘッドホンのほうに限界が来た。
「うぁっち!」
焦げ臭い匂いがしてきたヘッドフォンを投げ捨てる。
「ごめん!先生!ジャミングで届いたかは確かではありませんが、SOSは打ちました!」
「良くやりました!さぁ、急いで避難しますよ」
先頭を切って駆けだす13号先生を皆が追いかける。
電気のヘッドフォンはちょっと持てる熱さではないから、その場に放棄。
階段下で繰り広げられていた、イレイザーヘッドとヴィランとの戦闘に見惚れていた緑谷君は初動が遅れた。
「分析している場合じゃない!早く避難を!!」
「うん、ごめん!!」
ゲートまでもう少し、と言うところで侵入したヴィランの一人、ワープ個性の男が立ちふさがった。
「させませんよ」
黒い靄がそのまま自身なのか、ソレは感情を感じさせない声で不吉な言葉を並べていく。
「はじめまして。我々は
そこまで言うと、霧状の腕を大きく広げる。
13号先生がその手を向けるのと、爆豪君と切島君が飛び出して、霧の男に飛び掛かったのは同時だった。
遠慮なしの最大火力を叩き込んだのだろう。
爆発の影響で視界が遮られる。
「その前に俺たちにやられることは考えなかったか!」
「危ない危ない。そう、生徒と言えど優秀な金の卵」
「ダメだ!どきなさい2人とも!!」
「私の役目は!あなたたちを散らして、嬲り殺す!!」
そう言い、黒い霧が全員を取り囲むように広がる。
数名が脱出に動いたようだと思ったが次の瞬間には黒い霧に呑まれていた。
いったんここで区切ります。
戦闘訓練では、本作においてB組となっている砂藤のポジションにオリ主を当て込んでいますが、USJ襲撃事件ではちょっと変えようかと。
ちなみにクラス委員の投票内訳は以下のようになっています。
八百万百:本人、轟(原作ママ)、オリ主、口田
緑谷:本人、飯田、麗日(原作ママ)
オリ主は単純に面倒だし、やりたそうな中で推薦入学で能力が高く、仕切り役、指揮官に向いてそうだから選んでます。
口田は機会があれば本文中でも書きますが戦闘訓練での高評価に対する恩返し。そもそもやりたければ小声を直せw