雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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第81話 仮免補講修了&メディア演習

 週末、私はコスチュームを着てオールマイト先生と轟君の前にいる。いつものボランティアではなくインターンでの任務扱いで。

 

「おはようございます。オールマイト、轟君」

「あぁ、相澤君から聞いている。今日はよろしく頼むよ、茉芭(まつは)少女」

 

 インターン扱いの学生にやらせることか?と正直思うのだけど、年末で先生方も忙しいから仕方ない。

 関係各所への挨拶回りや会議などなど。

 いくら何度も襲われたとはいえ、最近はヴィラン連合の活動も低調……八斎會以降は先日の九州まで活動も見られなかった。

 泥花市の事件にも関与は見られないとかで警戒態勢の段階的な緩和も検討されている、らしい。

 今回はある意味その一部。仮免補講について、オールマイト先生の他に1人は護衛がついていたのに、今回は先生方の都合がつかず、代役に駆り出されてしまった。

 

 帰りは轟君が仮免持っているはずだから問題ないとしても、一応、往路は危険と言うことらしい。

 

「さて、出発しようか」

「はい。轟君とオールマイトは後部座席に」

「……あぁ」

 

 まさか3人で後ろとかあるいは私と轟君が後ろとか考えてましたかね?

 一応護衛なんで、そんな真似しません。そんな真似したら、後でイレイザーヘッドにどれだけ怒られるか。

 そしてたどり着いた講習会場では、久しぶりに夜嵐君に会うこととなった。

 

「よぉ!轟!!今日が最後だな!頑張ろう……ぜ、って、上鳴さんじゃないスか!お久しぶりっス!!」

「あぁ、夜嵐君、お久しぶり」

「今日はどうされたんッスか!?」

「インターン活動の一環で、オールマイトと轟君の護衛。試験、頑張って」

「はい!頑張ります!!」

 

 何やら、鼻息荒いけど、肩に力入りすぎていないだろうか。

 何か言うべきか考えていたら、夜嵐君の後ろから、士傑の制服を着た女性が私たちのやり取りに入ってきた。

 

「え~、ナニナニ?イナサ、学外に彼女~?マジ~?やる~、羨望~」

「え?あ、いや、違うっス!試験で活入れてくれた恩人っす!」

「……ええ、まぁ、そんな感じで。雄英高校1年、上鳴茉芭、ヒーロー名ブルーアンバーです、よろしく」

 

 上から下まで視線が往復し、何やら納得した様子。

 

「なるなる……ふむふむ、あぁ、イナサの推しヒロってこの子~?あ、ごめんごみんご、士傑2年現見(うつしみ)ケミィ、マボロミケミィ、ケミィでよろぴー」

 

 あー、うん、こういう人か。なんか、トガとものすごく話が合いそう。

 

「おけです、ケミィ。私もマッハかブルーでヨロです」

「おけおけ、IDちょ~、そーだ。あとでロート*1な動画あげるね~、ウチのガッコで大人気さ~」

 

「は、はぁ……ありでっす?」

「こーゆーの苦手っしょ?無理しないでいいよ~、ほい。IDあり~」

「あはは、ありがとうございます。ケミィ」

「おけ!機会があったら、バエるお店でお茶しよ~ぜ~」

 

 なんというか、ものすごく明るい人で三奈ちゃんとは別ベクトルでギャルっぽい。何やらスマホを操作すると、何やら動画データらしいものが送られてきた。後で見よう。

 

「あのケミィ先輩と一発で会話が成立するなんてスゲェっす!」

「やば、イナサのくせにディスリみ。ちょむか」

 

「いえいえ、とんでもないっす!では!上鳴さん!!行ってきます。あ!受かったら、一緒に写真お願いしまっす!!」

 

「あぁ、うん、それくらいなら、多分時間取れる、かな」

 

 オールマイト先生も頷いてるし、免許用の写真撮影その他の合間で何とかなるだろう。

 

「うっし!漲って来たぁ!!さぁ、轟!行くっすよ!」

「あぁ……上鳴、俺も……あ、いや、行ってくる」

「うん。轟君もがんばって。みんなで写真撮ろう」

「あぁ、任せろ」

 

 そして夜嵐君と共に更衣室へ向かっていった。夜嵐君のほうが一方的に話してる感じだが、なかなか仲が良いようだ。

 オールマイトがその様子を見て、なんとも言えない感じでため息をついていた。

 

「ブルーアンバー……いや、茉芭少女……私がいう事じゃないけど、もうちょっと、男の心情を、だねぇ」

 

「……んー、言わんとすることは多少は理解しますけど、何も言われなかったら何もないんですよ、オールマイト。それに今は仕事中です」

 

 なので、年齢相応に青い春してる上鳴茉芭はお休みです。

 

「おぉ、オールマイト。今日でようやく最後ですな」

「やぁ、ギャングオルカ。轟少年をよろしく頼むよ」

「もちろんだとも。うん、そちらは見覚えがあるな」

 

 そこでギャングオルカの視線が私に向く。久しぶりだけど迫力あるなぁ

 

「仮免試験ではお世話になりました。ブルーアンバーと申します。本日はオールマイト及び轟焦凍の移動中の護衛として来ております」

 

 よくもまぁ、最後の数分しか絡まなかった私を憶えているものだ。いや、あの場に駆け付けた受験生はそう多くなかったからかも。

 

「そうか。……そうだ、その、貴様のクラスメイトにだな……」

 

 あぁ、そうか。そっちが本命か。響香と一緒に動いていたし。それで覚えていて、近況を知りたいと。

 

「イヤホン=ジャックからはギャングオルカにお会いすることがあれば、よろしく伝えてほしいと。機会があれば、お見せしたい技もあるとの伝言です」

 

「おぉ、そうか。うむ、アレはまだ小魚。研鑽を怠るなと伝えてくれ。むろん、貴様もな」

「はい。ご配慮に感謝します。お言葉、確かに伝えます」

 

 ご機嫌な様子で進むギャングオルカに、後ろに続く戦闘員……もとい、サイドキックの方々からは何やらずいぶんと大げさな感謝のジェスチャーを頂いた。

 なんというわかりやすいツンデレ。そしてサイドキックの皆さんにもバレバレなのがなんとも面白い。

 ともあれ、この日の最終試験に合格し、轟君も仮免ヒーロー・ショートとして活動が可能になった。

 夜嵐君の希望する写真は何だかんだと、補講者全員でも撮った。

 夜嵐君と撮ってたら、そこに轟君が来て、さらにケミィ、後は雪だるま式に全員が……と。オールマイトがいたから、やっぱり元ナンバーワンと写真が撮りたいと言う人は多かったようで。時間も限られてたのでまとめて。もちろん、ギャングオルカも入ってる。

 

「シャチョー、よかったですねぇ」

「シャチョー、後でパネルにしておきますねー」

 

 拘束用プロテクターで試験に参加していたサイドキックの皆さんが、ニヤニヤしながらギャングオルカをからかっているのが実に良い雰囲気だった。

 

 撮影は私がやって、ケミィ経由で補講組のライングループに流してもらった。轟君?招待されてたけど総スルーだったようで。

 おかげで士傑以外にも数人、IDを交換させてもらった。

 

 

 帰り道、何事もなく終わるかと思ったが、トラブルに見舞われた。

 

「車を止めてください!早く!」

「どうしたね?ブルーアンバー」

 

 ほぼ必要ないと思いながらも、ずっと知覚範囲は維持していた。とはいえ、これは予想外。警戒しておいてよかった。

 

「集団強盗と大規模個性行使を確認。周辺範囲内にヒーローらしい反応ありません」

 

 あくまで護衛と言うことに徹するなら、進路を変えさせればいいけど、周辺の人の動きが逃げ惑うばかり。ヒーローが知覚範囲に居ない。

 逃げるか、面白がって撮影してるかのどちらかになってる。

 

「それは……本当かね?」

「はい!轟君……ショート、行けるね?」

「あぁ、任せろ」

 

 取得したばかりの仮免許を懐にしまっている。制服のままだから、これを持っていないと後が面倒だしね。

 

「ちょっと待って!轟少年はまだ免許を取って30分しか……」

 

「アナタは戦えない。俺たちは戦える。そして、今この場にいるヒーローは俺達だけだ。そうなんだな?ブルーアンバー」

 

「うん。オールマイトは避難誘導をお願いします」

 

 車を降りて交差点まで全速で駆ける。幸い、まだ距離がある。

 大量の水が迫る音と破壊音や悲鳴で、周辺の車も動きを止めている。

 

対象(ヴィラン)は7名、大量の水に乗って移動中。拘束をお願い」

「わかった」

 

 対応を話したところで、大通りを進んで来る津波のような水。

 

穿天氷壁(がてんひょうへき)!!」

「目標補足!全機能休眠(オールスリープ)!!」

 

 個性だけ止めても逃げられそうな状況だったので、まるっと寝ていただくことに。ただちょっと人数が多いから、主犯っぽいのと半分ぐらいで。

 

「なんじゃ、こらぁ!……個性が、うご、か……ぐぅ」

「リーダー!なんじゃてめぇ!」

 

 そう言われても、見ての通りヒーローです。仮免だけど。

 

「ヒーローだよ!も一発!全機能休眠(オールスリープ)!!」

 

 お、今度は直ぐに寝た。

 

「ふぅ、上手く行ってよかった」

「やったな……頭痛は平気なのか?」

 

「うん、大丈夫、心配してくれてありがと。最近はちゃんと加減してるから……なにこれ、水と思ったら炭酸水?いやまぁ、凄いは凄いか」

 

 これだけの事が出来るまで個性を鍛えて、やることが規模の大きいだけのひったくりって。なんて才能の無駄遣い。仮にサポートアイテムやブースト薬の力だとしても、割に合わない気がするのだけど。

 ……うん?なんだこれ?

 

「ブルーアンバー?」

「……なんでもない。とりあえず引っ張り出して拘束しよう」

「あぁ」

 

 ちょっと周辺のビル屋上を移動する不審者がいるけど、気にしすぎかな?

 細かい姿かたちを探るには距離があるし、知覚範囲外に出てしまった。今の状況で無理して探る必要はないし、放置でいいか。

 ただ、雄英には念のため、報告を入れておこう。

 

 氷漬けのままだと拙いので、氷を砕いては1人ずつ回収して包帯で拘束。炭酸水のおかげで凍っても割と脆いのが助かった。

 

「こいつが主犯かな。このレベルのサポートアイテムを簡単に入手できるって怖いなぁ」

 

 構造もしっかりしてる。その分、ちょっと重いけど。

 ついでのように”見て”みると、多分、炭酸水を生成するか操る個性なんだろう。液体に圧力をかけてウォーターカッターのように射出する機構と、詳細はよくわからないけど、何かしらの機構が独立して存在している。

 とりあえず、バッテリー内の電子をごっそりもらって機能を停止させる。

 

 もう1個も、と思ったけど、外部から何か受信したのか、処置する前に粉々に壊れてしまった。証拠隠滅の自爆装置付きって。持ち主の方に火傷まで出てる。悪質だなぁ

 そこまでするって、正規のサポート会社の横流し品かな?

 1個は無事だし、押収したらあとは警察が製造元を洗うだろう。

 程なくして、現地のプロヒーローがオールマイトと共に駆けつけてくれた。

 

「やや、君は雄英の轟君だね。そっちの君は?」

 

「雄英所属の仮免ヒーロー、ブルーアンバーです。そちらはショート。プロヒーロー・イレイザーヘッドの指示により護衛任務で活動中です。移動中にヴィランに遭遇、これを拘束しております」

 

 言われて、包帯で拘束されて眠りこけているヴィランに目をやる。本数に限りがあるので、手足だけ縛ってある形だけど。

 

「イレイザーヘッド?いや、それはともかく、これを……君たちが?」

「通行人からバッグなどを強奪していました。確認出来た限りの人数はすべて取り押さえてます」

「盗品のほうは?」

「目視範囲の分は回収してあります。ただ、氷漬けの中に未回収の物もありそうです」

 

 こればかりはすぐに回収できないので勘弁してほしい。

 

「そ、そうか!素晴らしい!後始末はこのスライディン・ゴーが引き受けよう!」

 

 いや流石にそういう訳には。氷の後始末は正直、面倒極まりないので、そっちは手伝ってもらいたいですけどね。

 

「やったじゃないか、2人とも。さあ、お腹すいたろう。帰ろうか」

「先に氷溶かさないと」

 

「それと警察への引継ぎ報告と犯人の引き渡しですね。オールマイトみたいに全部後回しで済むような有名人じゃないので。スライディン・ゴーには、氷の撤去を手伝うか、周辺の交通誘導をお願いできますか?」

 

「そ、そうか?う、うむ、任せたまえ」

 

 遅れてきてあとは任せろと言われてもね。「こっちの手柄だ。手出しすんな」って意図は通じただろう。

 後で雄英経由で報告書を警察に出して、変に矛盾して無駄に突っ込まれるのは御免です。

 オールマイトもヒーロー活動の裏に潜む書類と言う巨大な敵を思い出したらしく、冷や汗をかいていた。

 

「そ、そうか……そう言えば、書類とか、大変だったよね。うん、私もサーと塚内君には苦労を掛けたよ……はは」

 

 早速で悪いけど、轟君にもヒーロー活動の現実、書類と戦ってもらおう。

 ともあれ、犯人と押収した装備の引き渡しに氷の撤去。被害者への財布類の返却等々、たっぷり3時間以上は拘束され、寮に戻ったのは深夜になった。

 待ち構えているだろう、クラスのみんなには事情を連絡し、先に寝るように伝えておいた。

 

 後日、ニュースになっていたけど、押収したサポートアイテムの内、自爆を免れた1個に、デトネラットの正規部品が使われていたらしい。

 それで警察の捜索が入り、資材のずさんな管理が露呈。改めてヒーロー公安委員会と警察の査察が入るそうで、結構な騒ぎになりそうだ。社長自らCMに出て、ヒーローサポート分野への進出に気合を入れてたから後が大変だろうなぁ

 場合によってはサポートアイテムの製造許可が取り消しになるし。

 

 

 今更だが、ヒーロー飽和時代、市街地での対ヴィラン戦闘、と言うのは一種の見世物と化している。

 撮影した動画をSNS等にアップすることぐらい、みんな気軽にやる。

 そのせいでジェントル・クリミナルみたいな迷惑系ヴィランなんて妙なものも世に現れるのだけど。

 何が言いたいのかと言うと、今回の事件も撮影されており、しかも一人は雄英の制服姿。それが話題にならないはずもない。

 と言うことで、取材が来ることになったのだ。

 

 主に轟君に。

 

 私はコスチュームを着ていたし、どこかのマイナーヒーローだろう、で特に話題にすらならなかった。技も見栄えがしないので、「無理やり眠らせる個性?」とか「弱、地味」みたいな評価だった。スライディン・ゴーのサイドキックと間違われていたのは、ちょっと迷惑かけたかも。

 

 今日で4件目の取材だけど、今回は私も参加。スライディン・ゴーのサイドキック説を本人が否定してくれたことで、「轟焦凍と一緒にヴィラン制圧を行ったヒーローも連れてきて欲しい」と言う取材要請があった、らしい。

 同じクラスの仮免保持者だと言った時には実に変な顔をされた。地味で悪かったね。

 

 

「仮免取得からわずか30分後にプロ顔負けの活躍でヴィランを撃退。今回は雄英高校ヒーロー科1年A組の轟焦凍君と、その活躍をサポートした同じく1年A組の上鳴茉芭さんにお話を伺います。お二人は、普段から仲良く訓練をされているのでしょうか?」

 

「はい。仲はいいです」

「上鳴さんは?」

「はい。実力もあって頼りになる友人です」

 

 嘘ではない。実際、戦闘力も含めてクラストップレベルの実力者なのは確かだ。

 

「怖くはなかったですか?」

「怖くはなかったです。訓練通りに動けたと思います」

「特には。被害は残念ですが、あれ以上に広がる前に止められてよかったと思います」

 

 いや本当に。最小限で止められて本当によかった。水没した車とか、犯罪規模の割に被害が多いのがねー

 ある程度は保険で賄えるだろうけど、どっちにしても、犯人、賠償は一生ものじゃなかろうか。

 

「上鳴さんはコスチューム姿でしたが、これは?」

 

「これまでの雄英に関する諸事件もあり、念のため、仮免取得者が護衛任務にあたっておりました」

 

 何だかんだと先生方も忙しくて人手不足の結果です、とはちょっと言えないけど。

 

「その護衛対象である轟焦凍君が戦闘に参加しておりますが」

 

「仮免を取得した時点で護衛対象ではありません。緊急事態において対応する権限があり、またそれは義務でもあります。仮免ヒーロー・ショートはその義務を果たした。クラスメイトとして誇らしく思います」

 

 餌の要らない猫を大量に重ね着したことは否定しない。無難にインタビューを終える事が出来たと思う。

 

 

 そしてあと数日で冬休みという今日、ヒーロー基礎学に特別講師を迎えることになった。

 

「今日は特別講師を呼んである……どうぞ」

 

 そして現れたのはMt.(マウント)レディとミッドナイト先生。

 

「いいこと?確かにヒーローへの批判は鳴りを潜めて、叱咤激励の流れになっている。いい風向きに思えるけれど、そこにあるのは危機に対する切迫感!」

「勝利を約束された者への声援が」

「果たして勝利を願う者への声援だったのでしょうか。ショウビズ色が濃くなっていたヒーローに!今、真の意味が求められているわ!」

 

 そのセリフをセクシーポーズとらずに言えれば、もう少し説得感があるんですけどねぇ?

 

Mt.(マウント)レディ!?」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 驚く緑谷君と、恐怖におののく峰田。いや、半年以上たってコレって、今更だけど何を見たんだろう?踏まれた?

 

「お前ら、露出も増えてきたしな。今日はメディア演習。ミッドナイトは付き添いだ」

「オイラが言うのもなんだが!アンタが一番、ショウビズに染まってんだろ!」

「お黙り!」

 

 これについては同意。メディア対応が上手いというのは否定しないけど。

 

「今日のヒーロー基礎学。現役美麗、注目株であるこの私、Mt.(マウント)レディが特別講師としてヒーローの立ち振る舞いを教授します!」

 

「何をするのか、わからねぇが、プルスウルトラで乗り越えるぜ!」

「「おー!」」

 

 何とも嫌な予感がするんだけどなぁ

 

「授業内容はヒーローインタビューの練習よ!」

「緩い!」

 

 いや、あの……その背景の雄英の校章の幕とかはいいとしても、これ、一般的にはスポーツの勝者に対するヒーローインタビューの形式で、職業としてのヒーローに対するインタビュー形式とは著しく異なる気が。

 

「なんか、アタマ痛くなりそう」

「ね。でもまぁ、最近シビアなの多かったし。たまにはいいかな」

 

 思わずぼやいてしまったが、響香は気分転換になっていいという。そういうとらえ方もありか。

 

「じゃあ、まず、ヒーロー・ショート。こっちに」

「あ、はい」

 

 なんでいきなり轟君からだろう……うん、単に好みで選んだのかも。良い方に取れば、実際の取材が多かったから、お手本かな。ゆっくり順番を待つか。インタビュー自体は淡々とした受け答えに技の披露といった流れで終了。

 

「パーソナルなところまでは否定しないけど、安心させたいなら笑顔を見せなさいね。あなたの微笑みなんて見せたら、女性はイチコロよ」

 

「俺が笑うと……死ぬ?」

「もういいわ」

 

 意外にこういう部分が天然と言うか、抜けてるんだよねぇ、轟君。

 

「ところで、インタビューでは技も披露するのですか?」

 

「あらら、ヤダわ、雄英生。皆がアナタたちのことを知っているわけじゃないのよ?必殺技は己の象徴!自分が何ができるのかは技で知ってもらうの。特にチームアップ連携。ヴィラン犯罪への警鐘。命を委ねてもらうための信頼。ヒーローが技名を叫ぶのは大きな意味があるわ」

 

 このあたりは流石にプロ。デビュー2年たたずにビルボード23位にまで登ってきただけのことはあるなぁ

 

「ちょっと前まで、カメラ映りしか気に留めていなかったはずだぜ、あの女……」

Mt.(マウント)レディだけじゃないよ。みんな、引っ張られてるんだ。ナンバーワンヒーロー(エンデヴァー)にな」

 

 圧倒的に手が届かないトップではなく、手が届くと思わせながらも圧倒的な存在感。それはオールマイト先生とは違う、エンデヴァーの在りようなのだろう。

 

 その後の順番も割とランダムで規則性がない。ただまぁ、概ね、高評価が続いていた。見ていると、電気の順番になっていた。

 

「何でもビリビリ!スタンガンヒーロー・チャージズマ!」

 

 その名乗りまではいいんだけど、何か微妙な表情作って、左手の親指を額に当てて人差し指を伸ばしている。

 銃で狙うようなイメージなのか、なんでアレを格好いいと思っているのか。気になったのは、Mt.(マウント)レディも同じだったらしい。

 

「えーっと、チャージズマ。そのポーズ、なに?」

「え?格好よくねえっスか?最近ちょっと人気らしいんで、取り入れてみました」

 

 なるほど。流行りものに手を出したのか。らしいと言えばらしい。Mt.(マウント)レディの表情は冴えない、と言うか厳しさを増した。

 

「えっと、まず、流行に乗る姿勢は悪くないわ。けど、何に乗るかはきちんと調べる事。ソレ、黎明期のヴィランとそのシンパがやるポーズ。ヒーローがそれをやったら、どう思われるか……わかるわね?」

 

「……う、ウス」

「みんなも、ネットは便利だけど、情報は必ず精査すること。気をつけなさい」

「「「はい!」」」

 

 黎明期のヴィラン関連と言うと、異能解放とか言う本がちょっと前に売れてたからそれ絡みかな。ヴィラン関係だからと読まなかったのは、少し甘かったかも。

 流石にトップヒーロー、そういう勉強もしているんだなぁ

 さて、そうこうしている間に、私の順番になった。

 

「じゃあ、まずは自己紹介と必殺技など」

「ブルーアンバーです。技は、ちょっと地味なんで……」

 

 流石に個性に対する操作を公にするのはちょっと拙いので、他にできる事でお茶を濁そう。イオノクラフト効果で浮き上がり、Mt.(マウント)レディの背後を取る。

 

「ちょっと失礼」

「あら、ちょっと、これっ、きっくぅ」

 

 しまった。ちょっと強すぎた?いや、わざとかな。反応がオーバーすぎて男子が反応してる。

 

「ヴィランにはもう少し、キツメに体内から痛い目見てもらうか、逆にぐっすり夢の中。ブルーアンバー(わたし)の前では、すべてが鎮まります……ってことで。にしても凝ってますね、肩」

 

 これだからミッドナイト先生とかセクシー系ヒーローは、という本音はさておき、季節柄、運用には苦労しない静電気を集めて掌でパチパチはじけさせる。

 これで、出力の弱いテクニカルな電気系ヒーロー・ブルーアンバーの出来上がり。

 

「あー、確かに地味ね。動画見ただけじゃなにをやったかわからなかったわ。見た目はいいんだから、もうちょっと見栄えのする技も欲しいわね。でも楽になったわ。ありがと。ご苦労様」

 

 とりあえず、嘘は言ってませんと言うところで終了。演壇を降りたところで、相澤先生とミッドナイト先生に声をかけられた。

 

「お疲れ。個性への干渉を隠したのは、まぁ、上出来だ」

「ありがとうございます」

「概要は聞いてるけど、いいの?積極的に名前を売らないと、知名度がないところまでイレイザーに似ちゃうわよ?」

「どちらにしても進学できたら、最低4~5年は出遅れますし、今はそれでよいかと」

「ヒーロー資格者だと医師免許(そっち)も飛び級あるからね?」

「ヤブにならないよう、しっかり勉強しますよ」

 

 リカバリーガールや壊理ちゃんの様に即効性のある治癒が使える訳じゃないので。その後は俺様発言オンパレードで微妙に緊張してるっぽい爆豪君と、ガチガチに固まった緑谷君のインタビューでこの日の訓練が終わった。

 緑谷君の場合はインタビューに緊張したのか、Mt.(マウント)レディに緊張したのか、どっちだろうね?

*1
原作38巻参照。眼福って事らしい




仮免取得直後のヴィラン退治。轟1人でもどうにかできそうですが、財布は間違いなく黒焦げか吹っ飛ぶので、オリ主突っ込みました。実際、アニメでも護衛いなかったし。
居ない理由は捏造です。
ついでにインタビューで丸まるカットされた爆豪だから、まぁ、問題なかろうと活躍の場を譲ってもらいましたw

メディア演習の方は、電気のポーズがちょっと引っかかってたので、Mt.レディに叱ってもらいました。なんか連載当時はアレで内通者疑惑もあったみたいですね。知らんかったw
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