全てを知っているスズカの元『同期』のウマ娘   作:一般通過どうした急に

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この話は『またしても何も知らない元スズカの同室ウマ娘』打ち切りルート編のお話となります、本篇とはちょっと違う軸のお話であり。起こりうる、または既に起こった場合のお話です、救いは無いので観覧は自己責任となります。ご了承ください




失われた盟約(ロスト・セルメント)

「スズカは秋天出るの?」

 

「ええ、出るけれど…セルメントは菊花賞出るんでしょう?」

 

セルメントとスズカはお互いにストレッチをしながら会話を続ける、トレーニング終わりのストレッチは大事なのだ。

 

「何か、問題?」

 

「ううん、そうじゃないよ…あ、()()()()()()()()()()()()()

 

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二人はトレーニングのクールダウン中だが、スペシャルウィークはちょっと、いや大分遅れてやってくる。方やクラシックG1ウマ娘とジュニア級ウマ娘ではスペック差が激しいのだ

 

季節はクラシック秋、セルメントは()()()()()。スズカもG1を勝っているG1ウマ娘である。お互いにまだ走りあったことはないのだが。元同室ということで大分仲がいい

 

「お、お二人共。やっぱり早いですねっ!私もけっぱらないと!」

 

ゼエゼエと息が絶え絶えだが()()()()()()スペシャルウィークはセルメントとスズカに挨拶する。3人は同じチームに所属しており、ライバルというよりは。仲の良い友達のようなものである

 

ただ、セルメントはこの頃は何も考えてはいなかった。

 

これがスズカとまともに話せる最後のってことになるなんてと

 

──沈黙の日曜日、サイレンススズカという競走馬が亡くなった日である。勿論、この世界でも起こりうる可能性はあるの、死亡することはないが。選手生命を断たれることは珍しいことではない

 

ただ、ウマ娘の場合はそうではない、運命は変えられるのだ。かつてそのウマソウルが勝ち得なかった事だとしても。勝てる可能性があるかもしれない、亡くなってしまうはずの人が生きているかもしれない。

 

それが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

これは、かつてのセルメントのお話である

 

サイレンススズカが沈黙の日曜日から脱却できなかった後、セルメントは嘔吐を繰り返し、昏睡状態に陥っていた。

 

そしてふと気がつくと…………

 

(体の反応が鈍い、動きが鈍重すぎじゃない……?)

 

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何がなんだか分からなかったセルメントは色々と調べた、今日の日付。日本の首脳の名前、そしてアレが起こったかどうか

 

調べるとやはり戻ってきているらしい、そこからセルメントの行動は早かった。

 

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アレを回避するためにはどうやってもそうするしかない、誰も近寄らないようにするしかない。例え内心そう思ってなくてもそうするしかない

 

そんな風に思いつつも、トレセン学園に入学して。サイレンススズカに会って、スペシャルウィークと触れ合い。同期と走るとどうしても揺らいでしまう

 

ほんとにあれは現実だったんだろうか?と

 

悪い夢だったと切り捨てたいけど、多分それはないということも覚えている。苦しみに耐えつつ、なんとか他のウマ娘と距離を取るようにする。出来るだけ遠くに、遠くに巻き込まないように。重しにならないように

 

ただ、そんな都合のいい話もあるわけもなく

 

セルメントは一番の親友と一番の後輩を置いて行ってしまうことになる

 

セルメントは一回目と同じ様に二冠を成し遂げる。此処までは大筋同じだ、ただ周りとの距離も置いてるしメディアへの露出もかなり控えてる。ぶっちゃけると謎が多いウマ娘という立ち位置だ、サイレンススズカとはデビュー前になんとか同室ではなくなるように仕向けられることができた。生徒会の面々には悪いと思ってる。だけどこれも親友を死なせないためなんだ

 

悪いね

 

『秋の寒空の下、天皇賞(秋)。今スタートです!』

 

私は此処までだよ

 

────スズカ視点

 

(いつも通り、いつも通り!)

 

出遅れること無く先頭をひた走る、この景色がたまらなく好き。でも最近は同期のあの子と一緒に走る景色も好き、セルメントはなんだか足の不調で菊花賞には出られなかった。だから代わりに距離は違うけど私が勝って元気づけないと…!?

 

『さあ、サイレンススズカ快調に飛ばしていきます。もはや独走状態!!大欅を超えるぞ!!』

 

その時

 

ミシッ…!!

 

(……っ!?)

 

足に違和感が走る、なんで?どうして?こんな時に?ぐるぐるって思考がおかしくなって制御ができなくなる。足を止めたいのに何故か止まらない、止まらない!?

 

『サイレンススズカ、様子がおかしいぞ…!?────で─、────に─────!?』

 

実況の声が、段々と聞こえなくなる。意識が、薄れて、どうしようも、なくなって、

 

『────────!!!』

 

とおく、から、ひめいが、きこえ、る、

 

『─────!!』

 

とおく、から

 

『───、──ま─、─込───い!!』

 

こえが

 

『───────!』

 

きこえる

 

『──ら、──────っ!!』

 

あぁ、いたい、くるしい

 

『お前を助けてやるから私を信じろ!!!』

 

せる、めんと

 

……その後私は意識を失った

 

────セルメント視点

 

相変わらず早いよな、スズカ。まじでやりやったら正直勝てる見込みは薄いと思う。そう思わせるぐらいあの子の走りは素晴らしいものだと思う、だから

 

『さあ、サイレンススズカ快調に飛ばしていきます。もはや独走状態!!大欅を超えるぞ!!』

 

お前を此処で終わらせるわけには行かないんだ。そう思ってると、スズカの体勢が一瞬だけ崩れる

 

──これか、これが私が立ち会えなかった場面か

 

『サイレンススズカ、様子がおかしいぞ…!?このままでは、曲がりきれずに衝突するぞ!?』

 

「どうしましょう!?あの人が…!?」

 

隣で慌て付ためていているスペを見る、そうだよな。お前もスズカのこと。好きだもんな、大事だもんな。分かるよその気持ち。なんかお前前と違ってちょっと荒れてるっていうか、気性難っぽいけど、不器用だけど優しいんだもんな。知ってる、スズカのことちょっと邪険にしてるときもあるけどあの子のことになると周りが見えなくなったり。悪く言われると本気で怒ったりするぐらいには懐いてる。だからさ

 

「スペ」

 

「はい?」

 

「ちょっと、行ってくる」

 

お前の大事な先輩を助けにさ。何、『今回』の私とお前はあんまり関わり合いないから大丈夫だと思う。あの子のこと、頼む。多分お前が一番スズカのそばにいて安心させられるだろうから。その役目は、私じゃないなって。そう思いつつ一度だけ思いっきり抱きしめる。ほんとに名残惜しいけど、そうするしか無いんだ

 

後輩を離した後、ターフに乗り込む。もう後戻りはできない

 

『セルメントさぁん!!!』

 

後方から聞こえてくる声に耳を貸さないまま振り返らずに暴走列車になっているスズカの真正面に陣取る。此処でしくじれば色々と努力が水の泡になる、色々とな。

 

「………」

 

正直言って、凄く怖い。受け止めきれないんじゃないか。なんてことも思ってる、受け止めきれたとしてもそのまま突っ込まれて吹き飛ばされるんじゃないかとも思ってる。

 

「スズカァァ!!」

 

腹から声を出してあの子に叫びかける。多分意識は朦朧としてるだろうからこれぐらい叫ばないとダメかもしれない

。自分を奮い立たせるため、逃げられないようにするために叫ぶ

 

『スズカ、そのまま、突っ込んで来い!!』

 

マジで特急列車、あれにぶち当たったら痛いんだろうな。なんて考えると若干足がすくんでしまう、我ながら情けないことこの上ないのだが。それでもふんばるしかない

 

『そのまま真っすぐ来い!』

 

さあ、来るぞ。しっかりしろセルメント!!!!!お前はなんのために此処までやってきたんだ!!!!

 

『大丈夫だから、必ず受け止めるっ!!』

 

この為にやってきたんだろ!!!さあ、今がその時だ!!!

 

『お前を助けてやるから私を信じろ!!!』

 

親友を見捨てて得る栄冠に興味なんて無いんだよ!!!

 

衝突する

 

『〜〜〜〜〜!!!!!』

 

凄まじい衝撃に全身が打ちのめされる!くっそ痛いし踏ん張りが効かないかもしれない。ダメかもしれない、なんて今更思ってしまう自分の弱さがこの上なく恨めしい!!!

 

「ねじ、伏せる……!!!」

 

菊花賞をわざわざ辞退したのは足のためじゃない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「止まれ、先頭アホ……!!!!」

 

数十メートル踏ん張ってギリギリのところでなんとか観客席にぶち当たるのだけは避けられた、事切れたかのように眠っているスズカを座らせる。どうやら生きてるらしい、これでなんとかなった。まあ、私にしてはよくやったと思う

 

(───あぁ、分かってるよ。そういうセルメント(盟約)だもんな)

 

スズカの無事を確認した後、そのまま仰向けにぶっ倒れる。足の感覚なんてもう有りはしない、全身もホントならめちゃくちゃ痛いはずなのだろうに何も感じない。あー、これマジで終わったかもしれない。なんてことも思うがしょうがないさ、人を助けるってこんだけ難しいんだろうから

 

『────!!!!』

 

あ、スズカが運ばれていってる。そりゃそうだ、私がなんとかしたとはいえマジで重症だもんな。私よりかはひどくないだけで…そんなことを思ってるとスペ?が駆け寄ってきて抱き上げられる

 

『───!?───────!?』

 

聴力も駄目になってるっぽいな、周りの音なんも聞こえない。悪いなスペ、置いていくような真似をしてさ…いや、多分生きることは出来るんだろうけど。もう走れねえわ、走るどころか一生車椅子生活かもな

 

『………!!───!!』

 

ありゃ、スペガン泣きしちゃってら、そりゃそうか。寂しいもんな……なんとか、手を動かしてスペの目元から流れてる涙を拭ってやる、あんまり上手く行かないのが笑えるけど

 

驚いたような顔をしてるようなスペに、これだけは言っておかなきゃならんから。声が出てるか分かんないけど伝えておく

 

『ごめんな、スペ。ありがと、スズカのこと……よろしくな』

 

そう言って目を閉じる。目が覚めたら、どうなるんだろなぁ……私

 

でもまあ、悪くない人生ではあったかな

 

 




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