初期装備が神話級? 身の程をわきまえよ。   作:漆黒のぬこ

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エンゲージ発売記念。
蒼炎暁のリメイクはまだですか…?


第1話 転生、そして漆黒

「……主よ、帝国軍が我らが魔国連邦(テンペスト)への進軍を開始した模様です」

「そうか。んー、領域侵犯と同時にテスタロッサを派遣するか。最後通牒を突きつけてもらおう」

「承知しました。通達しておきましょう」

 

 聞くが早いが水晶を通して指令を飛ばし始めた従者に対し、椅子に座った人物が振り返った。

 

「あ、そうだ。見た感じ騎兵隊が突っ切ってきそうだからさ、お前に別働隊として迎え撃ってもらっていい?」

「異存ありません。いつ何時でも出立できます」

 

 佇まいを正した従者に、彼が負けるとは微塵も思っていない表情で告げる。

 

「今回は一撃で殺すなよ?なるべくなら捕虜にしたいし、あの戦車とか飛行船の情報も欲しいしさ」

「……最善を尽くします」

「いやまぁ、本当は頼もしい限りなんだけどね」

 

 剣を地面に突き立て魔法陣を構築し始めた従者に、水色の髪の人物は言い放つ。

 

 

 

 

 

「今回も頼むよ、ゼルギウス

 

 

 

 

 

 

 

 * * * * * *

 

〜漆黒の騎士side〜

 

 

 

 

 

「──────い、貴様。起きろ」

 

 あれ?俺何してたんだっけ?

 

 身体が重い。視界がぼやける。

 確かF(ファイアー)E(エムブレム)の新作が出て、朝早く出て…

 

「死んではなかろう?『思念通話』が通じなかったのを見るに、貴様は魔物ではないはずだ。というか、いい加減起きんか!!」

 

 空気がビリビリと震える。

 何なんだ、さっきから。

 

 身体を起こそうとはするものの、上手くいかない。

 やけに体が重い。まるで全身に鉛が纏わりついている気分だ。

 

 えーっと、買いに行くために電車に乗って……あれ?乗ってない気がす──────

 

「貴様、我のことを無視する気か!?」

 

 ああぁーもう!うるさいなさっきから!俺の思考を妨害するやつは誰だ!顔覚えてやるからな!

 

 いまだ倦怠感がとれない体に鞭打ち、無理やり体を起こした。

 すると、ちょうど目の前に池があった。

 そしてその水面に移る黒い兜──

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い兜?

 

 

 は?俺はゲームは好きだがコスプレイヤーになった覚えはないぞ?

 しかも気のせいかめっちゃ既視感ある兜だし……ん?なんか腰に刺さって──────

 

 

 

 

 

 ようやく立ち上がってから腰に刺さっているものを引き抜くと、その手には見事な銀色の刀身をした両手剣があった。

 

 たまたま近くにあった池の水面を見ると、重厚感漂う黒い鎧に全身を包んだ騎士がこちらを見ていた。

 

 

 

 うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺、漆黒の騎士じゃねぇか……)

 

 

 

 

 * * * * * *

 

 

 

「少しは落ち着いたか?」

「ああ、貴殿のおかげだ。見苦しい所を見せた」

「クァーッハハハ!!気にするな!我も久々の話し相手でつい昂ってしまったわ!」

 

 状況を整理しよう。

 

 まず俺は、FEの新作を買うために家を出た。

 そして駅のホームで立っていたら誰かに線路に突き飛ばされた。

 

 ……思い返すとショッキングだなこれ。俺生前に恨み買うようなことしたっけ?

 そして目が覚めたらFE蒼炎と暁に出てくる最強の剣士、漆黒の騎士になっていた。

 

 うん、整理しても意味わかんねぇな。

 

「それで、なぜこんな場所で眠っていた?我の魔素が充満しているせいで、普通の生物は近づけんはずだが」

「貴殿には悪いが、その質問には答えられそうにないな。どういうことか、ここに迷い込んでから目覚めるまでの記憶が全く無い。私の身の上は覚えているんだがな」

 

 そしてこれである。

 俺の意思は関係なく、さっきから喋ろうとした文章が何故か漆黒の騎士口調になってしまう。

 

 例)「あなたは誰ですか?」→「貴殿は何者だ?」

 

 正直恥ずかしいので可能なら止めたいのだが、身体(というか主に口)が言うことを聞かないのでもう諦めつつある。

 

「ほう、ならばそれが手がかりになるかもしれんな。よし、我に聞かせるがいい!」

 

 おっと、俺の過去に興味を持たれてしまった。

 さっきから尊大な態度で喋りかけてくるこのドラゴンは“ヴェルドラ”というらしく、本人が言うにはこの世界でも指折りの猛者らしい。まぁなんかもう雰囲気が強いので信憑性はある。

 

 で、問題は過去についてだが……もう面倒だから漆黒の騎士の設定をそのまま流用しよう。誰にも確かめようがないから大丈夫。多分。

 

「私は、かつてデイン王国にて【四駿】の位を冠した者……」

 

 

 

 * * * * * *

 

「ふむ、お前もなかなか奇特な人生を歩んできたようだな。まさか異世界人だとは思わなかったぞ」

 

 あまり話しすぎるとややこしくなるので、ナドゥス城が崩壊したところでひと段落つけた。そこで失踪したことにすれば意外と辻褄が合うかもしれない。

 

「失礼、その『異世界人』というのは?」

「お前の話に出てきた『デイン王国』や『ベグニオン帝国』は我の知識をもってしても聞いたことがない。それに、この世界に『テリウス大陸』なる場所は存在しない。つまり、お前はこことは異なる世界から迷い込んだ可能性が高いというわけだ」

 

 本当は違うけどな。でもこれで、俺は異世界に転生してしまったことが確定した。

 もう少し情報を探るためにこの辺り一帯を探索するとしよう。

 

「長々とくだらぬ話に付き合わせてすまなかった。では私は行こう」

「なっ!?ちょっと待て!貴様!我を1人にする気か!?」

 

 なんだ急に。

 

「いや、とりあえずここらを探索しようと思い立っただけだが…」

「本当だな!?戻ってくるのだぞ!本当に久しぶりの話し相手なんだぞ!我、お前を信じてるぞ!」

「あ、ああ。承知した」

 

 うーん、引き止められたことといい、やたら親切に解説してもらったことといい、実はフレンドリーなのかもな。

 探索中に頑丈そうな生き物を見つけたら連れて帰ってやろう。

 

 

 

 尚も騒ぎ立てるヴェルドラを背に、洞窟内を歩き回る。

 

(見た目より全然動きやすいな、この鎧)

 

 装甲が何重にも連なって作られているため、関節可動域が思いの外広く、今のところ不自由は無かった。

 

 洞窟の中は、そこまで何もないわけではなかった。

 価値はよくわからないが、変な色や形をした鉱石や植物ならそこら中にある。これもヴァルドラの魔素とやらの影響か?

 

 何回か分かれ道をいき池に差し掛かったとき、俺はまたも困惑する映像を見せつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんか水色のスライムが水上を猛進してる……)




漆黒の騎士
スキル:(現在は全て不明)
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