Golden Wars   作:吟醸丸

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4日目/夢見

 幼い少女の眼差しは、確かにそれを捉えていた。

 肉眼ではなく宝石の眼を通した視界。使い魔の鳥人形を介した遠方の光景。苛烈な戦いの末に廃墟と化した街の一角で、青年と少女が眼差しを交わしている。白髪の少女は不安と虞れに瞳を潤ませ、鎧装束を纏ったサーヴァントがそんな少女を宥めるように微笑んでいた。

 

『行ってしまうの、セイバー』

『ああ。キャスターは今も力を蓄え続けている……討ち入るなら今夜しかない。それは君も理解しているだろう』

 

 女子供と大差ない小柄な体躯。男とも女ともつかない涼やかな目元。それでいて放つ気配に隙はない。少女に優しい眼差しを向けながら、他のあらゆる感覚をもって周囲に最大限の警戒を向けている。

 当然ながら鳥人形の存在にも気付いているはずなのだが、そんな態度は微塵も感じさせていない。目の前の歳若いマスターに不必要な不安を与えまいとしているのだろう。

 こうした些細な立ち振舞も、このサーヴァントが無数の修羅場を潜り抜けてきた猛者であることの証明だった。

 

『分かってる……けど』

『今の私では、神殿を完全なものとしたキャスターには勝ち目がない。最後の宝具も奴に対しては相性が悪い。秋御宮のアーチャーも健在である以上、キャスターとの決着は今夜のうちにつけるしかないのだ。分かってくれるな』

 

 今にも泣き出しそうな白い少女を、白き英霊は穏やかに諭す。

 

『……必ず、帰ってきてくれますか』

 

 セイバーは腰に佩いた刀――目測で刀身二尺四寸を超える太刀にそっと手を添えた。

 

『無論。我が誇りにかけて誓おう。必ずや君に聖杯を齎すと――』

 

 そして剣の英霊は踵を返し、少女に背を向けて歩き出す。総身を構成する霊子が解れ、光の粒子となって風に消えていく。少女は今にも零れ落ちそうな涙を堪え、最後の光の一片が見えなくなるまで、己のサーヴァントから目を逸らそうとはしなかった。

 これは七年前の光景。

 当時まだ幼かった鈴ヶ峰黎花が、親の言いつけを破って飛ばした使い魔を介して目にした記録。

 それ故、彼らの誓いの結末は既に決まっている。

 朝葉市の一区画を犠牲とした死闘の末、セイバーは消滅。マスターたる白銀継都は聖杯戦争に敗北するのである――

 

 

    ◇ ◇ ◇

 

 

「……おい、ランサー」

 

 朝葉赤十字病院付近の大通り。

 亜蓮は隣を歩くランサーの様子を伺い、小声で呼びかけた。

 神崎美那子との対話から一夜明け、亜蓮はちょっとした用件を済ませるため、再び麻葉三輪神社へと向かっていた。同行者は変装スキルで一般人に姿を変えたランサーひとり。本当は自分だけで用を済ませるつもりだったのだが、亜蓮の単独行動を嫌った黎花が、例のごとく不在だったバーサーカーの代わりとしてランサーを押し付けてきたのだ。

 ところが、そのランサーの様子がどこかおかしい。

 話しかけてみても上の空。まさしく心ここにあらずといった状態で、黎花から命じられていたはずの護衛の役割を全く果たせていない。

 

「大丈夫か? 不調なら戻ったほうが……」

「ふぇ? あ、いえ! 拙者は大丈夫です!」

 

 重症だ。一般人に偽装しているのも忘れて、普段の特徴的な一人称をこぼしている。

 何かあったのは明らかだ。雅輝は足を止めてランサーを見据えた。ランサーは暫く視線を泳がせていたが、やがて無言の圧力に耐えかねたらしく、ぽつりぽつりと喋りはじめた。

 

「……亜蓮殿は、七年前の聖杯戦争について詳しいのでしょうか」

「七年前……? いや、あのとき俺は蚊帳の外だったから、そこまで詳しくは。もちろん多少の知識はあるつもりだけど、それがどうしたんだ?」

「では、各陣営が召喚したサーヴァントについてはご存知ですか?」

 

 口調から察するに、こちらの知識を試しているのではなく、ただ純粋に知りたいことを尋ねているだけのようだ。亜蓮は軽く腕を組んで記憶の意図を辿った。

 七年前。亜蓮はまだ幼く、そもそも家督を継ぐ立場でもなかったので、白銀家が参戦した例の亜種聖杯戦争には関わらされていなかった。未熟な息子を危険から遠ざけるつもりだったのか、それとも重要な儀式に関わる資格すらないと思われていたのかは、今となっては定かではないし、どちらでもいいことだ。

 ともかく、亜蓮が持っている前回の聖杯戦争の知識は、父や姉が断片的に語った思い出話と、今回の一件のために父から与えられた必要最低限の情報だけだった。その知識の中に、前回召喚されたサーヴァントの情報は――

 

「――少しだけ、聞いた覚えがあるな。白銀(うち)が喚んだのは性能の低いランサーだったらしい。前回は東洋英霊限定で、うちは時計塔絡みのコネクションが主だったから、有力な東洋由来の触媒を手に入れ損ねたとか何とか」

 

 今回、バーサーカーの召喚に用いた鬼切りの太刀の破片は、前回の反省を元に数年掛けて手配していた物だと聞かされている。それを白銀継都が催す聖杯戦争で使うことになったのは想定外だったようだが。

 亜蓮の話を聞いたランサーが、何故か驚いた顔で詰め寄ってきた。

 

「それは真ですか? 継都殿のサーヴァントはセイバーではなくランサーだったと?」

「……ちょっと違うな。聖杯戦争に参加したのは親父の銑理で、姉さんはうちの陣営の予備マスターだったんだよ。ランサーが消滅したときに親父も大怪我して戦線離脱。それでうちの陣営は脱落したんだそうだ。その後も姉さんはしばらく観戦してたらしいけど」

 

 亜蓮が把握している七年前の聖杯戦争の推移は、これで殆ど全てだ。正規マスターだった銑理も、脱落以降のことは継都からの報告でしか知らないらしい。当然、蚊帳の外に置かれていた亜蓮の知識はそれ未満。又聞き以下の中途半端な知識でしかない。

 ランサーは依然として何か納得しきれていないらしかったが、これ以上何か聞いてくることはなかった。

 唐突な質問だったが、ランサーの様子がおかしい件と関係があったのだろうか。亜蓮がそんなことを思っているうちに、目的地の麻葉三輪神社が見えてきた。亜蓮は手振りでランサーを止まらせ、物陰に身を隠した。

 

「亜蓮殿。既にアーチャーの警戒圏内なのですから、姿を隠しても意味は無いのでは」

「アーチャーから隠れてるわけじゃないさ。ほら、アレ」

 

 視線の先には、神崎美那子の息子の神崎拓真と戯れる金髪の大男。マフィアじみた格好の男が赤の他人の子供と遊んでいるという、場合によっては公僕への通報もありうる光景だ。ランサーもそれに気付いたらしく何とも言いがたい表情になった。

 

「バーサーカー……! 何をしているんですか、あのサーヴァントは」

「まさかと思って様子を見に来たけど、本当にそのまさかだったなんてな……」

 

 敵マスターの子供と遊ぶサーヴァントなど前代未聞だ。しかもサーヴァントであるという事実を知られた上で。前々から破天荒な英霊だとは思っていたが、ここまでのものだと一体誰が予想できただろう。

 それにしても――亜蓮は横目で隣のランサーを見やった。

 サーヴァントは近くにいるサーヴァントの気配を察知する能力を与えられている。感知可能距離は個人差が大きいが、ここから神社までの距離なら余裕で範囲に収まっているはずだ。バーサーカーがランサーに気付かないのは変装スキルが効果を発揮しているためだが、どうしてランサーは教えられるまでバーサーカーの存在に気付けなかったのか。

 理由はおおよそ想像がつく。別のことに気を取られて注意が散漫になっていたのだろう。

 常人で喩えるなら、視界に入っていても考え事をしていて気付かなかったとか、声を掛けられても分からなかったようなものだ。感覚器が捉えていても意識がそちらに向いていなければ意味はない。逆に言えば、ランサーの悩み事はそれほどまでに重大な――本人にとっては、だが――ものということだ。

 

「あっ、また誰か出てきたようです」

 

 神社の社務所から女性が現れ、バーサーカーと神崎拓真に声をかける。他でもない神崎美那子本人だ。また一騒動起こるのかと思いきや、こともあろうにバーサーカーまで社務所の中へと入っていった。

 

「なぁーにやってるんですかあの狂戦士(バカ)はー!」

 

 声を押し殺したまま叫ぶという器用な芸当を披露するランサー。声を上げたいのは亜蓮も同じ気持ちだ。なにゆえあいつはあんなに馴染んでいるのか。なにゆえ友達の家に遊びに来た小学生男子のように振舞っているのか。

 亜蓮が止める暇もなく、ランサーは物陰から飛び出して神社へ駆け出していた。亜蓮も慌てて後を追ったが、追い付くより先にランサーは社務所に辿り着き、玄関の扉を勢い良く開け放った。

 

「こらぁー! 出てきなさい、バーサーカー!」

「お、おい……」

 

 和風の廊下にランサーの大声が反響する。

 ややあって、廊下の奥からバーサーカーと神崎拓真がひょっこりと顔を出した。

 バーサーカーは亜蓮トランサーがいることに少し驚いたようだったが、すぐにニカッと笑うとゲームのコントローラーを自慢気に掲げてみせた。

 

「何だおめーらも来たのか。一緒にやるか? ぴーえす何たら」

「ふ、ざ、け――きゃうっ!」

 

 亜蓮は今にも飛びかかりそうなランサーの襟首を引っ張って、代わりに一歩前に出た。普段なら亜蓮の力でどうにかできる相手ではないが、変装スキルが効いている間は見た目通りの身体能力しかないからこその行動だ。

 

「お前、何やってんだ。ああ……いや、遊んでるのは見れば分かる。どうしてここで遊んでるんだ?」

 

 バーサーカーが答えようとしたところで、別の(ふすま)が開いて神崎美那子が姿を現した。

 美那子は亜蓮達の存在に気がつくと目を丸くした。

 

「あなた達……!」

「……どうも、うちのサーヴァントがご迷惑を」

 

 

    ◇ ◇ ◇

 

 

「――と、いう経緯なのです」

 

 来客用の和室に通された亜蓮とランサーは、美那子から現状に至る経緯の説明を受けた。

 やはりと言うべきか、バーサーカーが押しかけてきたのが事の始まりだったという。美那子は最大限に警戒し、アーチャーに狙撃させようかとも思ったそうだ。実際、あの時点でアーチャーは既に弓を引いており、バーサーカーが一瞬でも不審な動きをするか美那子から指示を受けるかすれば、即座にバーサーカーを射抜くことができる状態だったらしい。

 その殺気に気付いていたはずなのに、バーサーカーは怯むことなく交渉を続け、神崎拓真と遊ばせてほしいと訴えた。驚いたことに神崎拓真本人もそれに同調し、どうしてもバーサーカーと遊びたいとねだったという。

 そうして、バーサーカーは僅かな時間の間に神崎親子からの信頼を勝ち得たらしい。

 

「きっと、あの子の寂しさを見抜かれていたんだと思います。病弱で学校にもなかなか行けず、友達と遊ぶこともほとんどない子ですから……」

 

 そう語る美那子の表情は、聖杯戦争に臨むマスターの顔ではなく、病と戦う息子を持つ母親の顔だった。

 最初こそ、敵同士でこんな状況になることを許すなんてマスターもマスターだなどと思っていたが、彼女はそもそも魔術師ですらない。ましてやマスターとしての心構えを問うなど筋違いもいいところだ。

 神崎美那子は、魔術師としてではなく母親としての願いを叶えるべく聖杯戦争に臨んでいる。そして、その願いとは――

 

「事情は分かりました。彼にバーサーカーが必要なら使ってやってください」

「え、でも……」

 

 美那子が困惑の表情を浮かべる。

 言いたいことはよく分かる。聖杯戦争の只中だというのに、サーヴァントを戦いとは関係のないこと、それも競争相手の私的な事情のために使わせることに戸惑っているのだろう。

 

「気にしないでください。そもそも、戦い以外ではバーサーカーの自由に行動させるという条件で契約していますから。戦いのために呼び出すとき以外に、どこで何をしていても構いません」

 

 厳密に言えば、これは嘘だ。バーサーカーと交わした約束は、目当ての人物と遭遇した場合はバーサーカーの自由に行動させるというもの。その相手を探すための無断行動は許容範囲としても、この一件は明らかに無関係だ。

 それでも亜蓮は、今回のバーサーカーの行動を看過することに決めた。

 もちろん理由のひとつは単純な打算である。亜蓮は聖杯の獲得を狙っているわけではないので、七つの陣営のうちアーチャー陣営との敵対を解除できるのは大きい。暗殺者(アサシン)の暗殺に次いで対処が難しい弓兵(アーチャー)の狙撃を警戒しなくて済むだけでも相当なメリットだ。

 そしてもうひとつの理由は――神崎拓真に対する()()()だった。

 

「……ところで、そちらの方は? 先日はご一緒でなかったようですけど」

 

 美那子がランサーに視線を移す。ランサーは上品な所作で緑茶を啜っていたが、視線に気付いてすぐに自己紹介をした。

 

「近衛といいます。亜蓮さんを支援する立場だとお考えください」

 

 唐突な質問を偽名であっさりと受け流す。

 改めて見ると、ランサーの立ち振舞からは育ちの良さが滲み出ている。畳の上で正座をしている姿も見事なものだ。きっと生前は良家で生まれ育ったのだろう。

 何はともあれ亜蓮の用件は片付いた。バーサーカーの行動を把握し、アーチャー陣営とも話をつけることもできたのだから、これ以上時間を費やすのは上策ではない。バーサーカーが遊びを切り上げるまでに、こちらはこちらでやれることを片付けておかなければ。

 

「そろそろ、僕達はお暇します。バーサーカーが居座るようなら遠慮無く追い出してやってください」

 

 昨日とはまるで違う雰囲気の美那子に見送られ、亜蓮とランサーは麻葉三輪神社を後にした。

 これで当分はアーチャー陣営と敵対しなくて済むはずだ。偶然とバーサーカーの性格から生じた幸運だが、素直に有難く感じる。ランサーとアーチャー、他のサーヴァント六騎中二騎、三騎士中二騎。決して小さな数字ではない。

 とりわけ亜蓮は『聖杯の獲得』ではなく『主催者の意図を知ること』を目的としている。敵対しうる陣営が減るほど調査しやすくなるのは明白だ。

 神社からそれなりに離れたところで、後ろを歩いていたランサーが立ち止まった。

 

「亜蓮殿。拙者、ようやく合点がいきました」

「……何のことだ?」

「アーチャーのマスター殿とは関係ないことです。今朝、拙者は夢を見ました。七年前の黎花殿の記憶……継都殿がセイバーのサーヴァントと睦まじく言葉を交わしている光景です」

「姉さんが? 七年前のセイバーと?」

 

 マスターとサーヴァントが夢という形で互いの過去を見ることがあるとは聞いていた。なのでそれ自体は驚くようなことではない。だが、継都が七年前のセイバーと接触していたことは初耳であり、驚かざるをえない情報であった。

 なぜなら、七年前のセイバーは()()()のサーヴァントだったのだから。

 

「はい。なので拙者、白銀家のサーヴァントがランサーだったと聞いて混乱したのですが、考えてみれば不自然なことではありませんでした。先ほどの拓真少年のように、マスターでなくともサーヴァントと縁を得ることが起こりうるわけですから。一応の関係者であれば尚更でしょう」

「ああ……そうだな」

 

 亜蓮は僅かに言葉を濁した。ランサーの発言は間違ってはいない。聖杯戦争ではそういうことが起こることもあるだろう。

 だが、亜蓮が気にかけているのはそこではない。

 セイバーのサーヴァント――鈴ヶ峰の先代当主たる鈴ヶ峰暁のサーヴァントと白銀継都が親しく接していたという事実。そして、それを目撃していたはずの鈴ヶ峰黎花が情報を伝えてこなかった現実。

 教えられなかったからといって文句を言える事柄ではないが、それでも気にせずにはいられない出来事であった。

 

「ところで亜蓮殿。拙者、マスターから帰り際の用件を仰せつかっておりまして。申し訳ないですが護衛はここまでとさせてもらえませんか」

「……? ああ、わかった。今日は助かったよ」

 

 亜蓮はランサーの申し出を深く考えずに了承した。思考回路がこれからのことと七年前のセイバーの件で満たされていて、それ以外のことを考慮する余裕がなかったのだ。

 

 

 ランサーに見送られて帰路を急ぐ亜蓮。

 ――残されたランサーは、亜蓮の姿が見えなくなったのを確かめてから変装スキルを解除し、細身の槍と軽装の鎧を具現化させた。

 

 

「そこの者、待たせたな。これで準備は出来た。後は――場所を移そうか。ここでは衆目を集める虞れがある」

 

 堂々とした口調を作りながら、近隣家屋の屋根を見上げる。

 そこには一人の男が佇んでいた。

 バーサーカーに勝るとも劣らない立派な体格に、美しい巻き毛の金髪。日本家屋にそぐわないその装束は古代ローマの剣闘士(グラディエーター)を思わせる。見間違えるはずなどない。数日前、黎花の使い魔が記録した映像に映っていたサーヴァントだ。

 先程は注意散漫だったせいで不覚にもバーサーカーの気配を察知しそこねたが、ちゃんと気をつけていれば、あの程度の距離で霊体化していたサーヴァントの存在など手に取るように分かる。

 

感謝を(Gratias ago)。余としては大勢の民草に観戦頂きたいのだが、マスターの命令を無下にするわけにもいかない。サーヴァントとはまことままならないものだ。そうは思わないかな、極東の美しき英霊よ。君さえよければこの場で派手に美しく争いたいのだが」

「……御免こうむる」

 

 ランサーは小さく首を振った。

 やはりこの英霊は異常だ。

 自己顕示欲が強い英雄は珍しくないが、サーヴァントとして召喚されてもなお、神秘の隠匿の大原則を蔑ろにした戦いをしたがるとは。白銀亜蓮のサーヴァントが狂戦士(バーサーカー)であるることを知らなければ、こちらが狂戦士(バーサーカー)だと確信していたに違いない。

 未確定のクラスは剣士(セイバー)暗殺者(アサシン)だが、あれが暗殺者だとは思えないし思いたくもない。消去法でいえば剣士(セイバー)が妥当なところだ。

 思考が破綻しているとしても、三騎士の一角であることに違いはない。脆弱なこの肉体で打ち倒せるか定かではないが、だからといって戦いを放棄するわけにもいかない。なぜならば――

 

「良い戦場を知っている。案内しよう、拙者について来られよ」

 

 ――今朝の夢のおかげで、彼女が召喚に応じた()()が、この土地と無関係ではないと分かったばかりなのだから。

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