人食いカーニバル   作:おもちぴん様

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彼女は激怒した

◆

 

 

 

 ──カニバリズム、人食い。人が人の肉を食べる事。

この地球ではないどこかの世界には人喰い族が存在した。

 

 彼らは脅威とみなされ、人類が手を取り合う切っ掛けとなる。

こうして一致団結した人類の手によって彼らは全て駆逐された……と考えられていたが、

一人生き残りがいた。

 

 呪いによって年を取らなくなった人喰い族の生き残り。

人喰い族の始祖とされる少女。

名をカニバルと言う。

 

 その少女は密かに力を蓄えていた。幸い時間は沢山ある。

 動物を狩り、モンスターを狩り、迷い込んで来た人を狩り……。

彼女は数十年の間、いつか来る人類との戦いの為にひたすら自分を鍛え続けていた。

しかし、待てど暮らせど敵は来ない。

いつしか少女は復讐を忘れ、偶に迷い込んで来た人間を狩って呑気に暮らしていた。

 

 

 

◆

 

 

 

 共通の敵がいなくなった者達が次に行う事は何だろうか?

共存共栄?互いに手を取り合う?

文明が進んだ世界であればそうかもしれない。

この大して文明も進んでいない世界では大方の予想通り内輪もめが起きた。

 

 人、エルフ、ドワーフ、ハーフリング。

手を取り合っていた彼らは、自身の生活圏を広げる為に戦争を始めた。

戦場に溢れかえる死体の山……。

世界は血で血を洗う世界に変わろうとしていた。

 

 そして、この状況に待ったをかける者が現れた。

なんと人喰い族の生き残りカニバルだ。

彼女は"食べ物を粗末にするな!"と斜め上方向の怒りでこの戦争に介入することにしたのだ。

 

 

 

◆

 

 

 

 "食べ物を粗末にする奴は許さねえ!"

私の名はカニバル。人喰い族の始祖にして生き残り。

今の私は怒りで頭が一杯だ。

 

 最近、食べ物がよく私が塒にしている森に迷い込んでくる。

親切な人の振りをして、話を聞いてみれば戦争が始まったらしい。

ちなみに話を聞いたあとは用済みなので殺して食べた。

エルフの肉は味噌に漬けると美味だ。

 

 グルメの話は置いといて戦争の話だ。

何でも戦争によって平野という平野、山という山に死体が溢れかえっているそうだ。

 

 私が嫌いな奴は食べ物を粗末にする奴だ。

人類は愚か。食べないのに何で人を殺すのか?

これは私が行って正してやらないといけないな。

幸いな事に私は人に似た容姿をしている。

戦場に居ても怪しまれないだろう。

 

 "思い立ったら即行動!"と、彼女は早速、食べ物達が持っていたお金と衣服、

そして自慢の出刃包丁(呪い付き)を持って塒を後にした。

 

 目指すは戦場!……しかし方向は分からない。

適当に進むしかない。

彼女は地面に棒を立てて、倒れた方向に一先ず進むことにした。

 

 

 

◆

 

 

 

 歩けども歩けども深い森──カニバル。

思わず一句読んでしまうほど彼女は道に迷っていた。

普段住んでいる森で迷うとはどういうことなのか?

それは誰にも分からない。

 

「迷った、困った、お腹空いた。」

 森で迷い始めて早3日、彼女の腹は限界を迎えていた。

最悪の場合、動物の肉や果物を食べないといけない。

──彼女は頭の中で常人では思わない様な事を考えていた。

 

 ここは自然豊かな森。森の恵みも大地の恵みも沢山ある。

普通の人にとっては空腹などあり得ないのだが、彼女は人喰い族、普通にあらず。

俗に言うと食わず嫌い、偏食家である。

 

 彼女が選んだルートは森を縦断するルート。

森の端から真ん中を通って反対側に到着する困難な道のり。

このルートと逆の方向に進んでいれば、今頃、街道に出て迷うことなく戦場まで進めただろう。

 

 そんな困難なルートを進む彼女は、何の因果か古代人の遺跡を発見した。

食べ物、食べ物と呪いの様に呟きながら彼女は遺跡を進む。

そして彼女は遺跡の最奥で食料(古代人の入ったポッド)を発見する。

 

 

 

◆

 

 

 

 古代人は今の時代よりも遥かに優れた文明を持った種族だ。

彼らは遥か昔に、大地が割れ、海が沸騰するような大戦を引き起こした。

その生き残りが一人ポッドに入っていた。

 

~~~

 

「天の助〜!新鮮な肉だ〜!」

 カニバルは喜んだ。それはそれは喜んだ。

砂漠でオアシスを見つけた旅人の如く。

 

 喜びの踊りを踊りながら、彼女はポッドを拳で叩き割る。

ガシャアンとポッドのガラスが割れ、謎の液体と新鮮な食料(古代人)が流れ出た。

新鮮な食料の邪魔なもの(手足と頭)を呪いの出刃包丁でカットした彼女は更に腹をカッ捌いて、

新鮮なモツを踊り食いだ。

数日振りの食べ物にありついたカニバルは体に気力を漲らせる。

 

 こうして復活した彼女は残りを干し肉にするため、

適当にその辺にあった紙を火種に木を燃やした。

その辺にあった紙は歴史や技術など、古代文明の超先進的な事が書いてあったのだが後の祭り。

知らぬところで貴重な資料を闇に葬った彼女は、干し肉を背負い遺跡を後にした。

 

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