陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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9話 闇夜に動く者達

 

 

 

 

 

「お前…何処でこんなの集めてきたんだよ。」

 

アルファが去った後俺は、転移魔法でシドがいる寮の部屋にやってきた。前まで普通の部屋だったのに、今では壁に絵画が飾ってあり豪華な椅子に机には、ヴィンテージワイン………フレンチ南西部ポルトーの逸品確か90万ゼニー。

 

それに、グラスもフレンチで、統一されておりビントのグラス45万ゼニーだ。そして、絵画の1つに何処で手に入れたか知らないが幻の絵画とまで言われている『モンクの叫び』

 

「師匠、どう僕の陰の実力者コレクションは?」

 

「……まさか、這いつくばって金貨を拾ってたのは……。」

 

「そう、全てはこのコレクション達を充実させる為だ!!」

 

……呆れた。必死で金貨を集めていた事は知っていたが、まさかこの為に集めていたとは、前から思っていたが、こいつの陰の実力者に対する思いは、目を見張る物がある。

 

ここまで自分の夢に対して熱く語り、努力を惜しまない。それはいい事だが、限度ってもんがある。こいつは、それを知らない。自分のやりたいように生きている感がある。偶に羨ましくなるよ。

 

「いやぁ、ポチになった甲斐があったなぁ。」

 

前言撤回するわ。

 

 

 

 

 

sideベータ

 

シャドウ様が住んでいる寮に着いて、ドアを開ける。

 

「時が満ちた……今宵は陰の世界…。」

 

部屋に入った私を迎えたのは、そんな言葉だった。

 

シャドウはベータに背を向けたまま足を組んで椅子に座っている。無防備に見えるがその背中はとても大きく何人も寄せ付けないそんな風に見える。

 

彼の手にはグラスが握られてその中にはワインが注がれていた。銘柄は、酒に疎い彼女でもわかる程の一流のものだ。

 

そして、部屋の壁には様々な種類の絵画。どれも高級でその中には、モンクの叫びがある。それは、どれだけ財を積んでも手に入らない代物だ。

 

どうやってそれを手にしたかは知らない。しかし彼女は彼が手に入れるべくして手に入れたと納得した。

 

「陰の世界。月に隠れた今宵はまさに我らに相応しい世界ですね。」

 

ベータはふと彼の隣を見た。それは、自身を育て強くしてくれた師の姿だった。以前見た時よりも背と髪が伸びていた。

 

久しぶりにディバル様に会えた。私は、心の中で歓喜した。ディバル様は、1年前に私達七陰各々に課題を出した。それから、ガーデンに顔を出す事はなかった。

 

教団の情報を手にした時は、使い魔を通して私達に伝えてくれた。諜報任務を担っているゼータでさえディバル様の居場所を掴めなかった。

 

その目は何処か遠くを見ており私達の想像を遥かに超えている。

 

規格外それが、彼に似合う言葉だろう。事実その力はまだまだ底が見えない。

 

事実、彼は転生前と今では出せる力も半分になったがこの世界ではトップクラスの実力の持ち主だ。七陰やシャドウにでさえその力の一端しか見せてない。

 

彼女達は知らないが、彼の強さは魔力や格闘技、剣術、それもあるだろうが、一番はその経験値にある。

 

数千年に及ぶ月日を生きた彼は数百いや数万人とも言える実力者と戦い生き残った。経験……それが彼の最大の武器である。

 

ダメよ……今は集中しないと。思わず見惚れてしまっていました。

 

「準備は整いました。」

 

「そうか……。」

 

こうして改めて見ると本当にシャドウ様はすごいですね。まるで全てを見透かされているみたいです。多分今から言う事はシャドウ様は知っているでしょう。

 

「アルファ様の命により、近場の動かせる人員は全て王都に集結させました。その数114人。」

 

「114人?」

 

「ツ………!」

 

もしかして少なかったでしょうか?ガーデンの戦力ならこの人数でも十分なはずだ。その114人はおまけに過ぎない。今宵の舞台の主役は、シャドウ様なのだから。

 

「も、申し訳……!」

 

「エキストラでも雇ったのかな……?」

 

「……少し黙ってろ。」

 

私が謝罪しようとした時、2人は何か話していた。きっと私達では想像しえない事だろう。

 

「……ベータ人員に関しては問題ない。続けてくれ。」

 

「はい。」

 

「作戦は王都に点在するディアボロス教団フェンリル派アジトの同時襲撃です。襲撃と同時にアレクシア王女の魔力痕跡を調査、居場所を突き止め次第確保に切り替えます。」

 

ベータの言葉に2人は頷く。

 

「作戦の全体指揮はガンマが、現場指揮はアルファ様が執り私はその補佐を。イプシロンは後方支援を担当、デルタが先陣を切り作戦開始の合図とします。部隊ごとの構成は……。」

 

まだ詳細を語っているベータを遮る。片手が上げられておりその手には1枚の手紙が握られていた。

 

「招待状だ。」

 

地面に向けて投げられた手紙。手紙は突き刺さる。それをベータは開い上げてその中身を確認する。

 

そこには、書かれてあったのは幼稚な誘い文句だった。それに対してベータは怒りと同時に呆れの感情が湧いていた。

 

「デルタには悪いが……プレリュー「その必要は無い。」

 

シャドウの言葉に重ねるようにディバルがそう言う。

 

「わざわざお前が雑魚を狩る必要は無い。お前は主犯を殺れ。それに……俺の弟子に手を出した事に少しムカついてな。」

 

僅かな怒りと殺気が辺りに漂う。

 

「ベータ悪い。計画を少し変更それと修正を頼む。」

 

「いえ大丈夫です。ではそのように手配を。」

 

彼女に謝罪する彼。しかしベータはそんな事気にしてなかった。

 

「今宵、世界は我らを知る……。」

 

「さぁ…始めようか。」

 

 

 

 

 

 

 

sideディバル

 

手紙に書かれていた場所は林道だった。ここは、アレクシア王女が誘拐された現場に近い場所だ。ディバルは変身魔法『フィーグティオー』でシドの姿になっていた。

 

この魔法は、自身の記憶の中にある人物の姿を再現する魔法だ。ただし変わるのは見た目と声だけでありその人物の性格や思考は術者のままだ。潜入調査だったらその人物の言動や立ち振る舞いを再現する必要があるが、今回は不要だ。

 

シドの姿のままで、指定された場所に行くと2人の男がそこにいた。それは騎士団の人間。シドを尋問していた2人だ。2人は彼に気づくと何かを投げつけてくる。

 

投げ付けられたものをキャッチする。それの正体はアレクシアの靴だった。

 

「よう、色男。アレクシア王女の靴なんて持ってどうしたんだ?」

 

「あーあ。バッチリ魔力痕跡残ってるな。犯人はお前だ、シド・カゲノー。」

 

なるほど。呼び出した理由はこれか。アレクシアの所持品をわざと触らせて犯人に仕立て上げる。思った通り教団の息がかかっていた。

 

彼は冷静に状況を分析していた。何気に長く生きている彼だ。この程度の事では動じない。

 

「それで、お前達はどうする気だ?」

 

男達は下卑た笑みを見せながら剣を抜く。

 

「とっとと口を割れば、こんな面倒な事する必要もなかったのによぉ。」

 

「お前も痛い思いをせずにすんだろうに。」

 

それを抜いてしまったか……

 

なら死んでも文句言えねぇよなぁ?

 

愚かにも剣を抜きその剣を彼に向ける。彼等は知らなかった。彼の正体を。いや知っていてもこの結末はもはや運命だったのかもしれない。

 

「続きは地獄でしろよ?」

 

男達の視界からもうディバルは消えていた。奴らの背後に周り1人の首を掴み頚椎を折る。

 

頚椎が破壊されると全身の筋肉が動かなくなり、感覚もなくなり、内臓を動かしている神経も止まり、呼吸を司る筋肉も麻痺するため呼吸が止まってしまう。

 

そうなれば数秒後に絶命する。男は壊れた人形のように崩れ落ちる。

 

「………な!!」

 

もう1人が彼に気づく。しかし何もかもが遅い。その時もうディバルはスライムで生成した小型ナイフを手に持っていた。それを投擲する。綺麗な直線を描きそのままナイフは男の心臓に刺さる。

 

あらゆる種族の人体を知り尽くしている彼にとってこれくらいの事は朝飯前だ。

 

「俺の弟子に手を出した事が間違いだったな。」

 

1分も経たない内に騎士団の男2人の殲滅が完了した。

 

「行くぞベータ。」

 

変身魔法を解き、制服から黒いシャツ、その上にかなり暗めの紫のロングコートを身に纏う。シャドウのロングコートにはフードが付いていたが彼のには付いていないのが違いだ。

 

そして、異空間から仮面を取り出す。それを被る。その仮面は笑っている。とても不気味な感じだった。

 

 

 

 

 

sideベータ

 

私は、ディバル様と共に指定された場所へと向かった。指定された場所に着くと2人の足音が聞こえてくる。

 

その顔には見覚えがあった。シャドウ様を尋問していた騎士団の男達だ。2人の男達はアレクシア王女の私物を掴ませた。

 

魔力痕跡をディバル様に残し犯人として仕立て上げる気だろう。でも、彼等はその正体に気づいていない。彼等の目には、シド・カゲノーが映っている。しかしそれは擬態したディバル様。

 

「とっとと口を割れば、こんな面倒な事する必要もなかったのによぉ。」

 

「お前も痛い思いをせずにすんだろうに。」

 

そう言いながら剣を抜く愚かな2人。

 

ディバルは基本的に殺生を好まない。基本的には相手を生かす。記憶等を操作して自身に関する記憶を消しそのまま元の生活に返す。

 

しかし今回は別だ。彼の目の前にいるのは私利私欲に塗れた人間達。本来国を守る為の騎士団の人間が、無実である人を犯人として仕立てあげてそして口を割らなかったから、今この場で処理しようとしている。

 

そして、何より剣を抜いてしまった。それが引き金となった。

 

「………すごい。」

 

思わず声に出てしまった。2人が剣を抜いたと同時に、ディバル様は2人の背後にいた。目で何とか追えた。そして、一呼吸の内に男の首を破壊した。

 

こうして改めて見ると本当にディバル様は強い。私もここ数年で強くなったがディバル様の戦いを見ると私程度じゃあ足元にも及ばない事が嫌という程、わからされてしまう。

 

もう1人の男が気づく。でも今更遅い。彼の手にはもう次の暗器が握られているのだから。

 

もう1人の男は小型ナイフで心臓を刺されて死んだ。

 

1分も経たずに2人を殺った事にも驚きですけど。魔力をほぼ使ってなかった。スライムを魔力で変形させて小型ナイフを作り出した。それしか魔力を使ってなかった。

 

私は、胸に隠している手帳とペンを取り出してディバル様の活躍を収める。あぁ……やっぱりかっこいいですディバル様。心臓がドキドキしてしまいます。

 

さすがシャドウガーデンのNo.2ですね。その後擬態していた姿から元のお姿に戻る。そして一瞬にして着替えて仮面を付けたディバル様。私がしばらく見惚れていると遠くから轟音が響き渡った。

 

「行くぞベータ。」

 

「は、はい今行きますぅ!」

 

メモ帳を谷間にしまうベータ。2人はその場から闇夜に紛れて消えていった。







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次回はどっちがいい?

  • 本編 ガンマとディバルが絡む
  • 番外編 アルファと二人で
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