陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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色々あって遅れて申し訳ございません。今回は視点がコロコロと変わります。




10話 馬鹿は核になる

 

 

 

 

 

ベータと別れる。騎士団の死体はそのままにしておいた。処理するのも面倒だ。転移魔法を使いアルファのいる場所に一瞬で移動する。

 

「……!!」

 

転移した先にはアルファがいた。どうやら俺の存在に気付いたようだ。だが、彼女達は一瞬驚いた顔をしたが直ぐに落ち着きを見せる。

 

「ディバル……いきなり後ろに現れないでくれるかしら?驚いたわよ。」

 

アルファが少し呆れたように言う。

 

「悪かったな。」

 

俺は、仮面を外す。彼女の前でなら問題ないだろう。

 

「それで今の状況はどんな感じだ?デルタが派手に暴れている事はわかるが。」

 

王都中に轟音が響き渡りそしてガーデンの構成員の魔力が漂う。一応構成員の顔と番号、ナンバーズであるなら名前、1人1人の魔力は把握している。前にミリアを連れて行った時に新たに入った構成員達のリストをみて一通り覚えていた。

 

「今の所は問題ないわ。」

 

教団の小規模拠点を潰し回っている。ミドガル王国は広い。その分教団も潜みやすいのだろう。小規模拠点でも教団の末端の構成員だ。頭数を減らし少しでも教団の戦力を減らす。

 

教団にも派閥があり今回はフェンリル派のアジトだ。

 

「小規模なアジトと言えど油断はさせるな。戦場では何があるかはわからない。突然のイレギュラーが出てくる事もある。」

 

「えぇ……わかっているわ。貴方が教えてくれた事はちゃんと覚えているわ。」

 

シャドウと七陰は俺が鍛えた。それは、魔力操作、剣術、各々の武器の指導、魔法だけではなく戦場における心構え俺が持っている物を全て使い鍛えてきた。

 

しっかりとわかっているなら何も問題ない。戦場では何があるかはわからない。少しでも油断をすれば一瞬で死ぬ。それを俺は知っている。かつての友がそうだったように。

 

アルファに状況を聞いていたその時だった。街の中から悲鳴と轟音が響き渡る。音の方向に目を向けると人型の化け物がいた。あれは、悪魔付きか……随分と歪な形をしている。

 

「イレギュラーか……。」

 

「行きましょう。」

 

「そうだな。」

 

俺は仮面を付ける。そして、アルファと共に現場に向かっていく。

 

 

 

 

 

sideアレクシア

 

ディバルが騎士団の男達を瞬殺していた頃彼女は、地下施設にいた。手足を拘束されしかも魔力も封じられていた。

 

この世界の戦闘方法は武器や魔力にかなり依存している。魔力切れや魔力を封じられた場面では大抵の魔剣士は無力となる。そんな中、拘束なんてされたらさらに無力だ。

 

「……外が騒がしいわね。」

 

地上からの轟音で彼女は目を覚ます。彼女は攫われてずっとこの場所で血を抜かれていた。ただただ血を抜かれて続けて最低限の食事を与えられる。それの繰り返しだった。

 

「起きていたのね……でも今は起きていた方が楽しいかもね。」

 

彼女はそう言いながら隣に目を向ける。そこには化け物がいた。人の形をしているが皮膚の色や体の形が歪だ。

 

アレクシアはここ数日間、この化け物と一緒だった。ずっとこの場に監禁されているのに今の彼女は何処か楽しんでいる様子。

 

「や、奴らが来やがった!!お、おしまいだ、もうおしまいだ……!殺される!!」

 

白衣の男が慌ただしく入ってくる。

 

「騎士団は無用な殺生はしないわ。抵抗しなければ命までは奪わないはずよ。」

 

「騎士団?そんな奴らはどうでもいい!もう終わりだ……皆殺しにされる!!」

 

騎士団じゃないのかしら?だったら一体………。

 

「し、試作品は出来ている。こ、これなら、出来損ないのお前でも少しは役に立つ。」

 

白衣の男は普通のよりも何倍も大きな注射器を取り出し、そのまま化け物腕に針を突き刺す。

 

「やめておいた方がいいわ。なんだか嫌な予感がするの。」

 

アレクシアの忠告を無視して注射器の中にある怪しげな液体を注入する。

 

「さ、さぁ、見せてみろ、ディアボロスの片鱗をぉ!!」

 

液体を入れられた数秒間経つ。化け物の体がみるみると膨張していく。禍々しくそして、歪な形へと変貌していく。最初は腕だけだったが、体全体が膨張して巨大な物となる。

 

「す、素晴らしい、素晴らしいぞぉぉぉ!!」

 

「……驚いたわね。」

 

だが、膨張していく体に対して拘束具が耐えられずはずも無くそのまま弾け飛び化け物自由の身となる。自由になった瞬間化け物は白衣の男を叩き潰した。

 

「だからやめとけって言ったのに。」

 

白衣の男を殺した化け物はアレクシアを見る。アレクシアは悟った。……死ぬのね私。覚悟を決めて彼女は目を瞑る。アレクシアは拘束され数日間血を抜かれ続けた。精神的にも疲れ果てもう諦めていた。

 

しかし、化け物は彼女を殺しはしなかった。化け物は腕を振るいアレクシアの拘束する台座を破壊した。

 

衝撃が強くアレクシアは壁へと吹き飛ばされる。悶絶はするが、目立った外傷はなく、体は動く。アレクシアは立ち上がる。

 

もうそこには化け物の姿はなかった。

 

 

 

 

 

sideアイリス

 

何が起きているというの?

 

アイリスは深夜の王都を走る。最初報告を受けた時は、理解が追いつかなかった。王都での大規模な同時襲撃事件。計画的な犯行なのは間違いないのだがしかし、出撃先には、統一性がなくその目的が分からない。

 

騎士団に緊急出動からかかり、要人の避難も始まっていた。市民は深夜だと言うのに窓から覗き込み様子を伺ったり。野次馬に向かう者も少なくはなかった。

 

何が起きている?普通の事件では無い。彼女が色んな思考を巡らせていると悲鳴が耳に届いた。

 

「ば、化け物だ!!……至急応援を…!!」

 

そんな声が近くから聞こえてくる。そちらに視線を向けるとそこには、肥大化した肉体の化け物。人型だが、その姿は醜く今まで見た事のない物だった。

 

アイリスはもう動いていた。剣を抜きそのまま目の前の化け物に向かっていく。剣を振り上げそしてその化け物を一刀両断。化け物の片腕が見事に切り落とす。

 

「怪我はない?」

 

その場に倒れる化け物を尻目に、騎士団に声をかける。

 

「アイリス様だ、助かった……!」

 

「何人が殺られましたか……。」

 

ここに生きている騎士団つ無傷だった。生きている者は………

 

「8人殺られました。」

 

無惨な死体がその場に転がっていた。

 

「貴方達は死体を回収し下がりなさい。隊長に報告を……。」

 

「アイリス様ッ!」

 

1人の騎士が叫びながら後ろを指している。アイリスは振り返る。咄嗟に剣を振る。化け物の右腕と衝突する。

 

「くッ……!」

 

押し負けそうになるが、多くの魔力を放出して受け止めた。

 

「再生……いや切られた腕がくっ付いている?」

 

先程切り落とした腕が中に浮きそのまま化け物の断面にくっ付く。その様子を見て騎士達は動揺する。

 

「下がりなさい。」

 

動揺する騎士達にそう声をかけて、彼女は地を蹴る。化け物は、力もスピードも中々の物だ。だが、動きがとても単調で読みやすい。所詮は化け物だ。

 

腕を切り胴を切り首をも落とす。攻撃の手を緩めず尚且つ反撃の隙を与えない。

 

「まだ立ち上がるというの。」

 

化け物は生きていた。驚異的な再生力を有しており彼女の攻撃はどれもトドメを刺すにはまだ足りなかった。

 

「切り続ければいずれ死ぬ。」

 

アイリスは再び剣を構え、再生を終えた化け物へ疾走する。その時だった。

 

甲高い音が響き彼女が、手にしていた剣が弾かれる。突然の乱入者に困惑しながらこちらへ歩いてくる者を睨む。

 

「それが苦しめるだけだと、なぜわからない。」

 

そこから現れたのは、漆黒のボディースーツを身に纏った女と暗めの紫のロングコートを着ていて不気味な仮面を被っている男だった。

 

 

 

 

 

sideディバル

 

「何者だ。」

 

俺達が現場に着くと既にそこには先客がいた。アイリス・ミドガル。アレクシアの姉である。彼女はこちらに鋭い眼光を向けて殺気を飛ばしてくる。

 

「アルファ……。」

 

え……?それ言っちゃうの?アイリスの問に答えるアルファ。

 

「待て、いったい何のつもりだ。騎士団に敵対するのであれば容赦は……。」

 

「敵対……?」

 

彼女の言葉にアルファは笑う。嘲るように。

 

「何がおかしい。」

 

「敵対……これ程滑稽な言葉があるのかしら?何も知らない愚者が敵対などとおこがましい。」

 

アルファの煽るするような言葉に対して、アイリスの魔力が跳ね上がる。その莫大な魔力が雨を消し風を巻き起こす。

 

煽り耐性が全くないなこの子。確かに腕は経つようだが精神面が未熟だ。アルファは怯む事無く言葉を続ける。

 

「観客は観客らしく舞台を眺めていればいい。我々の邪魔をするな。」

 

「観客だと……」

 

アイリスに興味を失った彼女は俺の方を向く。

 

「お前に任せる。……成長したお前の姿を見せてみろアルファ。」

 

「わかったわ。」

 

アルファは歩く。化け物はアルファに向かって攻撃を仕掛ける。攻撃が単調だ。そんな攻撃が彼女に、通じる訳ものなく虚しく拳が空を切る。

 

アルファはそのままゆっくりと接近。化け物は、それに対して口を開く。そこから魔力の塊が放出される。アルファは軽々しく避ける。

 

それ自体に何の問題もなかった。しかし、問題なのが、何故あいつは、魔力弾が使えたのか?あれは、この世界には無い技術だ。

 

「邪魔をしないでくれるか?」

 

俺が考え事をしていると、アイリスがアルファに弾かれた剣を拾っていた。戦う気なのだろう。

 

「部外者が口を出さないでください。これは、我々の仕事です。」

 

部外者ねぇ…………

 

「……何も知らないお前らこそ部外者だ。我々の邪魔をしないでくれるか?と言っても……この世には知らなくていい事もある。お前らは首を突っ込むな大人しくしていろ。」

 

彼女は、苦虫を噛み潰したよう顔をする。そして、魔力を解放し化け物へと向かっていこうとする。言ってもわからないか………

 

「何もするな……アイリス・ミドガル。」

 

彼女に魔力と殺気を彼女に向ける。

 

「……ッ!!」

 

俺は、彼女に向けて魔法を放つ。拘束魔法『リングインター』魔力の鎖を作成しそのまま拘束する魔法。念には念をだ。

 

「……!!」

 

「大人しくしていろ時期に終わる。」

 

因みにこれは、術者の魔力量と質によって鎖は強固な物になる。さて、そろそろ決着がついたか?

 

 

 

 

 

sideアルファ

 

「可哀想に痛かったでしょう。」

 

彼女は攻撃を避けながら歩を進める。化け物は何度も攻撃や魔力弾を放つが、どれも当たらない。そのままアルファは歩を進め化け物の目の前に辿り着く。

 

『闇をも飲み込む光よ、この者の痛み、苦しみから解き放ち浄化せよ……願わくば 彼女に安らぎを与えたまえ。フィーアト・ルクス……。』

 

彼女を中心に巨大な魔法陣が展開される。そして、詠唱が終わり魔法が放たれる。辺り一体を光が包み込む。

 

「もう苦しむ事はない。悲しむ事もない。………だから、泣かないで。」

 

すると、化け物の体が灰になり消えていく。そこから小さな女の子が出てきた。恐らく悪魔憑きになる前の姿なのだろう。

 

彼女が放った魔法は、上級魔法『フィーアト・ルクス』魔法にも種類があり初級、中級、上級、そして、最上位魔法の4つの種類がありそれぞれ属性もある。

 

今回、彼女が放ったのは光属性の上級魔法だ。そして、光属性を使えるのはほんのひと握りの者だけだ。

 

ディバルの前世の世界でも光属性を使える者は彼が観測した中でも数人だけだった。数千年の時を生きた彼でも光属性の魔法は一部しか使えない。

 

魔族は光属性が弱点で、なおかつ使えない。しかし彼は少し特殊な方法でそれを行使できるようにはなったが、完全には使いこなせない。

 

放ったフィーアト・ルクスは、ありとあらゆる状態異常と傷や怪我を完治し癒す物。これだけを聞くとショボイかもしれないが、この魔法はどんな酷い状態でも元の姿に戻せる。生きていれば。

 

今回放った悪魔憑きの子もかなり体が歪な物となっており、普通の悪魔憑きとは違った。これを普通に戻すとなるかなり難しい。元の状態に戻しても魔力回路はぐちゃぐちゃそして、五体満足と言える生活は送れない。何らかの後遺症が残る。

 

だが、フィーアト・ルクスを受けた者は違う。体は完全に元の状態に戻っていた。

 

「流石だなアルファ……光属性の上級魔法を使えるようにまで成長したとはいい物が見れた。」

 

彼が私の元に近づき頭を撫でてくれた。思わず頬が緩んでしまう。

 

「この子はしばらくガーデンで面倒を見よう。」

 

ディバルが悪魔憑きから元に戻った子を抱き抱える。とても小さくまだ5歳位の子供だった。

 

そのまま彼等は白煙の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

sideディバル

 

悪魔憑きだった子は他の構成員に預けてきた。さすがにこのまま動く訳にはいかない。それに保護する必要がある。その子を預けたその時だった。

 

「……これは、シャドウの魔力。」

 

あいつの魔力がどんどん大きくなってくる。ゼノン如きにそんな魔力を使う必要は無いはずだ………まさかあいつ!!

 

気づいた時にはもう既に遅かった。大きくなった魔力が爆発したかのように開放される。そして、それは大きな柱となる。

 

今のあの馬鹿によって放たれた『アイ・アム・アトミック』よってゼノンは完全に吹き飛んだ。………街の一部ごと……。

 

あの馬鹿弟子……後で殴る。と言うかアレクシア無事か?アレクシアごと吹き飛ばしちゃった。死んじゃった。じゃあ洒落にならないぞ?

 

彼女の魔力を調べる。よかった。無事なようだ。

 

それにしても、あの馬鹿本当に核になるとは、前にシャドウが核に勝つ為にはどうすればいいか聞いてきた事があった。最初聞いた時こいつ頭おかしいんじゃないか?と思ったが……まさか自分が核になるとは、想像を軽く超えてくる。

 

シンプルで単純な答えを出したな。でも……あいつは後で殴る。

 

こうして、ディアボロス教団、フェンリル派のアジトの同時襲撃とアレクシア王女の救出は終わった。王都に大きなクレーターを残して。





はい、アレクシアの誘拐はここまでですね。シド視点は原作まんまなのでまるまるカットしました。次回は番外編か本編を進めるか迷ってます。なので投票で決めようと思います。なので、投票の方をお願いします。


良ければお気に入り登録と感想そして評価の方をお願いします。

次回はどっちがいい?

  • 本編 ガンマとディバルが絡む
  • 番外編 アルファと二人で
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