陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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ガンマとの絡みですね。


13話 強さ

 

 

 

 

「ディバル様、準備ができました」

 

別の部屋に案内されしばらく待っていると、テーブルに茶菓子と紅茶が並べられる。

 

「少し話す程度でここまでしなくてもいいんだぞ?ガンマ」

 

「いえ……ディバル様とお話できる。せっかくの機会ですので、おもてなしさせてください」

 

「律儀だな。ガンマのそう言う所は好きだぞ」

 

「あ……ありがとうございます」

 

彼女は、顔を赤らめて褒められた事に対して喜びを噛み締めている。

 

一方彼は、カップのハンドルを指で摘み先ずは匂いを嗅ぐ。すっきりとした香りが鼻を支配する。ある程度匂いを楽しんだ後、紅茶を口に含む。口の中にマイルドな味わいが広がる。

 

「美味しいな……」

 

「お気に召していただき恐縮です」

 

俺のいた世界にも紅茶があったが、ここまでは美味しくなかった。いやはやあいつのいた世界は凄いな。できる事なら行ってみたいものだ。

 

「こうして話すのは久方ぶりだな」

 

「そうですね。ディバル様が七陰に課題を与えて約一年程でしょうか」

 

「……見違えたな。一年前とは魔力の質も上がっている」

 

前見た時とは、明らかに変わっている。七陰の中で最強の防御力を有するまでに成長した。恐らく一年前より防御に磨きがかかっている。 

 

「数年前はどうしたものかと悩んでいたが、成ったなガンマ」

 

「これもディバル様のお陰です」

 

 

 

 

数年前

 

sideガンマ

 

 

この時の彼女は、迷っていた。七陰の第三席でありながら、最底辺に位置していた。後から入ってきた新人に追い抜かれて、何度も敗れ地を這って、屈辱を味わった。

 

どれだけ努力をしてもアルファ様の総合的な強さ。ベータの堅実さ。デルタの圧倒的なパワー。イプシロンの緻密な魔力操作。ゼータの天賦の才。イータの分析力、応用力。私には、何もありませんでした。

 

「…どうしたらいいのかしら?」

 

ディバル様から与えられた修行メニューをこなしても他の七陰達を越えられるとは思えなかった。もちろん強くなっている事は、実感している。しかし、私が強くなればなるほど、他の子達も強くなりまた追い抜かれる。彼女達に追いつける気が全くしない。このまだと……。

 

「悩んでいるみたいだな」

 

訓練場でメニューをこなしているとディバル様が話しかけて来た。

 

「ディバル様……私は、ガーデンに必要な人材なんでしょうか」

 

ガンマは、苦悩していた。ガーデンにおける自分の存在価値は何なのか。そんな不安が、頭の中を支配していた。

 

「………なぜそう思った?」

 

「ディバル様。私は、七陰の第三席に位置しています。それなのに、他の七陰の子達に追い抜かれるばかりで、なんの役に立っていません。」

 

視界が歪み目尻から、熱い物が垂れてくる。それが自身の涙である事にすぐに気づく。

 

「私は、弱く何の才もありません。そんな私が、ここにいてもいいんですか?」

 

声が震える。

 

「ガンマ……強さとは、何だと思う?」

 

「強さですか?」

 

突然の問いに困惑する彼女。

 

「えっと……力量や技量がすぐれている事でしょうか?」

 

彼の問いに答える。

 

「確かにそれも強さだ。だが……強さはそれだけではない」

 

「それだけではない……」

 

「確かにガンマは、七陰の中でも最弱だ」

 

わかってはいたが、人から直接言われると自分が弱いと改めて実感させられる。

 

「だが……この現状を変えようとしている」

 

彼は、彼女に近づき手を取る。手のひらにはマメができている。

 

「……まだ諦めていないのだろう?このマメが何よりの証拠だ」

 

ディバル様は、地に膝をつきポケットからハンカチを取り出し、涙を拭ってくれた。そして、そのまま頭を撫でてくれた。

 

「……諦めないのも強さだ。ガンマ、お前は必ず俺が強くする」

 

「ディバル様……」

 

今まで押さえつけていた感情が涙となって溢れ出してしまう。そのまま私は、ディバル様に抱きつき彼の胸の中で、ボロボロと泣き続けた。

 

「今まで一人でよく頑張ってきたなガンマ」

 

彼の言葉で一人の少女が再び救われた。

 

それから、彼女は戦闘以外での才を発揮した。シャドウが話した陰の叡智。武力ではなく、知力で戦うこれも一つの強さと彼女は解釈した。がむしゃらに飛びつき見事に陰の叡智を再現してみせた。

 

そして、戦闘面でも新たな戦い方をディバルが導いた。前線に飛び込むのではなく後方でサポートし、時には仲間を守る守護者として、新たな戦い方を得た。最弱から「鉄壁」へ生まれ変わったのだ。

 

 

 

 

 

「今こうしていられるのもディバル様のおかげです。改めてお礼を言わせてください」

 

「俺は、あくまでヒントを与えただけだ」

 

「ご謙遜を……」

 

「謙虚だなガンマ。あ……忘れる所だった……ラオム・カステ」

 

そう言いながらディバル様は、魔法を唱える空間に穴が空きその中から何やら紙袋が大量に出てくる。見るからに空間系の魔法でしょう。  

 

「ここにくる前にクッキーを焼いたんだ。よければここの従業員達や他の七陰達に渡してくれないか?」

 

「私達の為に焼いてきてくれたんですか?」

 

「………偶々だ。多くの意見が聞きたい」

 

顔を少し背けながら彼はそう言う。

 

「早速いただいてもいいですか?」

 

「あぁ」

 

紙袋の中を開ける。その中に、シンプルな丸い形のクッキーが幾つか入っている。プレーン、ココア、抹茶の三種類のクッキーだった。

 

「いただきます」

 

プレーンのクッキーを取り出しそれを口に運ぶ。

 

「ど……どうだ?」

 

クッキーを食べるガンマに対して彼は感想を求める。

 

「美味しいです。……昔はよく私達にお菓子を作ってくれましたね」

 

「よかった。久しぶりに焼いたから少し心配だったんだ」

 

笑みを浮かべどこか安心したような表情をする。

 

「ちゃんと他の子達にも渡しておきますね」

 

「助かる。本当は、もう少しちゃんとしたお礼を渡したかったが、時間がなくてなこんな物しか用意できなくてすまない」

 

「やはり、私達の為に作ってきたんですね。本当にお優しいですねディバル様は」

 

「そうか?俺は、ただいつも頑張っているお前達に何かお礼をしたいと思っているだけだ」

 

自覚していらっしゃらないみたいですね。そう言う優しい所に皆が惹かれているんですよ。

 

「ガンマ……これからも俺達に着いてきてくれるか?」

 

「主人様達がそれを望むのなら何処まででも着いて参りますよ」

 

迷う事なく答える。彼は、再び笑みを浮かべて「ありがとう」と言葉を紡ぐ。

 

ちょっとした茶会を楽しんでいると、扉からノック音が響く。

 

「失礼します」

 

ノックをしたのは、ニューだった。だが、部屋に入ってきたのはニューだけではなかった。ニューの手には黒ずくめの男が握られてる。

 

「ガーデンを語る愚者を捕獲しました」

 

思ったより早かったですね。もう少し話していたかったですが仕事ですね。

 

 

 





ラオス・カステ

簡単に言えば、四次元ポケット。空間に物をしまう事ができる魔法。

ディバルの豆知識

ディバルは家事、料理が得意。七陰達に家事、料理を教えたのはディバル。前世では、数百年くらい時間をかけて極めた。
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