陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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15話 夢物語

 

 

 

 

 

「脚を吹き飛ばしたと思ったが、やはりそう甘くはいかないものだな」

 

「これでも四大天使ですので」

 

ガブリエルが動く。しかし、さっきと違って予備動作無しで接近して来た。空中に浮いているナイフ達が急所に向けて飛んでくる。それと同時に手に握られている魔力で刀身を伸ばしたナイフが、首に近づく。

 

それ自体には、問題はなかった。だが………これも予備動作が見えなかった。

 

「決定打としては弱い」

 

ナイフが刺さる位置に結界を生み出す。ナイフは結界で止まり届かない。

 

「お返しだ……フラン」

 

彼女の周りに魔法陣が展開されそこから、炎が放出される。炎が直撃。追撃として、スライムで生成したナイフを彼女のお腹に突き刺す。

 

手応えは、確かにあった。だが……。

 

「リヒト・レーゲン」

 

ガブリエルの声が響く。光の矢が雨粒のように降り注ぐ。

 

「相殺すれば問題ない」

 

魔力弾で降って来る魔法に当てて相殺する。

 

「当然のように無傷か……」

 

「さっさと死んでくれませんか?」

 

違和感……どんな動きにも必ず予備動作がある。懐に潜り込んだ時やナイフを振るう時にもそれが無かった。

 

考えられる可能性は幾つかあるが、その中で最も可能性が高いのは………。

 

「時間系の魔法……」

 

恐らく奴は、自身の時間を速める魔法を使っている。一部分を切り取った様な動き。己の時間を早めて攻撃を繰り出しているのだろう。

 

それだけではない。傷が無いのは、自身の時を巻き戻しているからなのだろう。天使族は、魔族と違って自動再生が出来ない。

 

代わりに回復魔法を得意とする。だが、回復魔法を使った様子はない。傷ができる前に時を戻した。だから、無傷だった。

 

「面白いな。だが……種が分かればどうと言う事はない」

 

「……もう見破りましたか、ですが私の勝利は揺るぎません」

 

この程度で勝利を確信してるとは、甘い……甘すぎる。

 

「はぁ……この程度か」

 

「戯言を……死になさい」

 

三度目の接近。しかし、同じ攻撃が何度も通じるとは限らない。

 

「リングインター」

 

魔力で出来た鎖が、ガブリエルを拘束する。鎖は彼女に巻き付き徐々に、締め付けが強くなる。  

 

「予備動作がないだけで、動きは予想できる。時を速めても対処はいくらでもできる」

 

「……まだ終わりじゃないですよ」

 

浮遊しているナイフを操り鎖を断ち切る。 

 

「距離を取る気だな。だが、俺がその隙を与えると思うか?」

 

彼の後ろに魔法陣が浮かんでいた。

 

「トニトゥル・ドラ」

 

龍の形をした雷が現れ、そのまま彼女に向かう。体勢が悪くその攻撃をまともに受けてしまう。

 

「ぐぅぅ……リトライス」

 

ガブリエルの下半身が吹き飛ぶ。だが、何とか死を免れた。彼女は魔法を唱える。下半身が吹き飛ぶ前の状態に戻る。

 

「よく避けたな」

 

ディバルは、既にガブリエルの背後にいた。

 

「なっ……いつの間に!」

 

「グランド・スパーク」

 

手を突き出す。そこから、魔力が極太のレーザーとなり放出される。ガブリエルは、致命的な遅れをとった。彼女の実力なら、避ける事は可能だった。

 

だが、痛みにより反応がコンマ数秒遅れた。

 

「………まさかここまでとは思いませんでした」

 

「ちっ……厄介だなお前ら天使族は」

 

直撃した。そう思われたしかし、彼女の周りに四重に施された結界がガブリエルを守っていた。

 

「何とか耐え切りましたか。四重にも結界を張ったのに結界がボロボロですよ」

 

「もう……出し惜しみはしません。神格解放」

 

彼女から、黄金の魔力が溢れる。目には、天使族特有の紋様が浮かぶ。

 

神格解放……それは、天使族の一部が使える強化形態。この形態では常に回復魔法が体に付与され致命傷を与えても瞬きした瞬間に再生する。回復を得意とする天使族らしい形態だ。

 

しかも魔力を消耗しない。ついでに魔力が徐々に回復していくおまけ付き。

 

「私の意志に応えろ。神器グングニル」

 

ガブリエルの手に光の粒子が集まる。

 

「厄介な物を出しやがって」

 

神器……前世の世界では古代から存在する武器。奴が持っているのはその一つのグングニル。

 

神器には、能力が宿っておりグングニルの能力は、「絶対必中」必ず攻撃が当たるという物だ。

 

「使うなら最初から出せよ」

 

「……貴方にはこれを使う価値があると判断したんです。感謝してください」

 

「御託はいい再開しよう」

 

ディバルが先手を切る。懐を侵略し手にしたナイフを横長に振る。その攻撃は、ガブリエルの横腹を激しく裂いた。

 

「無駄です」

 

瞬時に再生するガブリエル。手にしたグングニルを彼に突き刺す。

 

「…………」

 

彼の肩にグングニルが突き刺さり血飛沫が舞う。

 

「ようやく一撃ですか」

 

ガブリエルはグングニルに魔力を流し込む。ガブリエルの魔力が彼の体に入り込み内部を破壊する。

 

「ぐぁぁ……」

 

「魔族は聖なる魔力で浄化してあげます」

 

魔族は光魔法や僧侶、天使族といった聖の魔力が天敵となる。人間と転生したディバルだが、「魂」に関しては魔族その物魂を直接攻撃されているのだ。

 

ディバルの肩が破壊されて地に落ちる。ガブリエルの魔力で体を侵され地べたに這いずる。

 

「終わりは呆気ない物ですね」

 

彼女は、グングニルを構える。

 

「さようなら」

 

彼女は、彼の頭に向けて槍を投擲した。その攻撃によりディバルの頭が粉々となった。

 

「アハハハハハ……女神様。忌まわしき魔族の王を打ち取りましたよ」

 

ガブリエルの勝利が決まった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

「いつまで笑っているんだ……ガブリエル」

 

「は?」

 

ガブリエルの目の前に死んだ筈の男が立っていた。

 

「最初からお前は負けていたんだよ」

 

「どんな手を使ったのか知らないですが、今度こそ」

 

彼女は彼に向かおうとしたが……体が動かない。

 

「お前……今の自分の状態がわかっているのか?」

 

「え?」

 

彼女の目には上から見下ろしているディバルの姿が映っている。しかし、体一切動かせない。

 

視点を変えて下を見る……がそこには自身の体が見えず見えているのは、地面だった。

 

「探し物はこれか?」

 

彼は、手に持っている物を彼女に見せる。それは、首から上がなくなっているガブリエルの体だった。

 

「どう言う事ですか……」

 

「戦闘前に少し話しただろ。あの時既に幻術魔法をかけていた。善戦しつつも俺に勝つと言う都合のいい夢を見せていた」

 

上級魔法……ソニウム・ファーブラ。相手に都合のいい夢を見せる幻術魔法。本来なら詠唱を唱えないといけないが、彼は数千年も魔法を極めた結果、詠唱を必要とせずとも上級魔法を駆使できるようになった。

 

ガブリエルが体感した夢は、約三十分は経っていたが、現実時間で言うと三分しか経っていない。

 

胴体と首が分かれれば普通は死ぬが、彼の手により無理やり延命させられていた。

 

「……最後に、お前に質問がある。何故……俺達を滅ぼした?確かに数千年前までは、魔族は人間にとって恐怖の権化だった。だが……俺が魔王を継いで多種族と条約を交わしていた。後は、人間族だけだった」

 

彼は、争うのではなく共存する道を模索し、何百年も動いていた。エルフ族、獣人族、ドワーフ族、精霊族と和平条約を結んでいた。残すは人間族だけだった。

 

「……………」

 

「俺達は確かに化け物だ。それでも変わろうと努力をし、命の危険を晒してまで歩み寄ろうとした。俺が作った国は、様々な種族が平和に暮らしていたそれを何故壊した?」

 

彼から徐々に殺気と魔力が溢れ出す。

 

「……我らを滅ぼすのはまだ理解ができる。でも、あの時何故、魔族以外の種族を滅ぼした?」

 

人魔戦争、魔族と勇者、天使族との戦い。しかし、奴らは、多種族も滅ぼした。

 

「……汚らわしい魔族と平和に暮らす?アハハハハ……とんだ夢物語ですね。反吐が出ます。魔族に協力してた時点で大罪。だから滅ぼしたそれ以外の理由があるとお思いで?」

 

なるほど……結局こいつらは、魔族が嫌いでそれに協力する多種族が許せなかった。

 

「もういい……お前は死ね」

 

魔力弾を放ちガブリエルの頭を吹き飛ばす。体は持ち帰りイータの手土産としよう。

 

「夢物語か………」

 

こうして、ディバルは四大天使が一人ガブリエルに勝利した。

 

 






色々詰め込みました。後に色々出てくるので今回の話は大事な所ですね。


天使族の紋様

【挿絵表示】






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