陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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燃え尽きたぜ。


17話 残酷な真実

 

  

 

 

sideシェリー

 

役目を終えた彼女は、来た道を戻ろうとしていた。しかし、彼女が戻る前に結界が張られた為、大講堂から出られなくなっていた。

 

「どうしよう……」

 

彼女にとっては突如、謎の壁が現れて戻れないと言う状況だ。大講堂から出る方法は正面からでるしかなかった。

 

「お義父様……」

 

自身の身よりもここまで自分を育てて来た義父の事で頭がいっぱいだった。彼女は、振り返り大講堂へと戻り始める。

 

しかし、この選択が彼女を絶望へと叩き落とす事になるとは、まだ誰も知らない。

 

 

 

sideディバル

 

生徒を無事全員、外に転移させた。ガーデンの構成員には結界を張る前に大講堂から出てもらった。今この場にいるのは、俺とシャドウそして、首謀者であろう鎧を着た男だ。

 

「さて……正体を現してもらおうか」

 

「まさか……ここまでとは、ゼノンが殺られたのにも納得がいくな」

 

男は、きていた鎧を脱ぐ。学園を襲撃した正体はこの学園の副学園長のルスランだった。

 

「お前らの目的は何だ?」

 

予想がつくが一様、目の前の男に聞いたその時だった。

 

「お義父様………」

 

大講堂に響く一つの声。ガーデンの構成員は、全員ここから撤退した。俺が視線を向けると、そこには。

 

桃色の髪の少女だった。

 

「よかった」

 

仲間?ではないな。ルスランと彼女を比べると余り似ていない。母親の方に似た可能性もあるな。

 

「シェリー、君には感謝している」

 

「君の母、ルクレイアの研究を支援し、数々のアーティファクトを集めた。ルクレイアは研究に集中し、私は彼女の研究を利用する。富や栄誉には彼女は興味が無かったから。いい関係だったよ」

 

奴は語る。その顔は醜悪な笑みが浮かんでいる。

 

「お義父様……突然どうしたの?」

 

シェリーと呼ばれる少女の顔が徐々に青ざめる。

 

「そして私は『強欲の瞳』に出会った。私が求めていた物だった。だが、ルクレイアは……あの愚かな女は『強欲の瞳』国に管理させる為に申請を出そうとした。だから、殺してやった。体の先から中心へ突いていき、最後は心臓を突き刺して捻った」

 

真実を語った。シェリーは、膝から崩れ落ちた。その瞳には涙が浮かんでボロボロと、涙を溢れ落とす。

 

「そんな……嘘ですよね?お義父様」

 

母親が亡くなり親権はルスランに渡った。彼女にとって彼は、本当の父親の様だった。しかし、蓋を開ければ、母親の仇で自身の私欲の為だけに、利用され続けていた。

 

その事実を彼女は受け止められないでいた。

 

その姿を見てルスランはあざ笑う。

 

「そして、私は生まれ変わる」

 

二つのアーティファクトが組み合い、光を放つ。古代文字が浮かび上がりアーティファクトの中心に広がる。

 

それは、ルスランの胸に埋め込まれる。光が部屋を白く染め上げた。

 

数十秒後に光が収まる。

 

「素晴らしい……素晴らしいぞ……力が戻る、病が癒える……!」

 

病で蝕まれた体が癒え、全盛期……いやそれよりも強くなったルスラン。

 

「まずは貴様で試すとしよう」

 

彼の姿が消えた。

 

次の瞬間、ディバルの背後に現れ、剣を振るう。

 

「くだらん」

 

ディバルは振り返らず、振り下ろされた剣を手で受け止める。

 

「……!!」

 

剣を押し込もうとする。だが、剣は微動だにしない。

 

「まだまだ……これからよ」

 

また姿が消える。何度か移動を繰り返し正面から突きを放ってくる。確かに早い……だが、相手が悪すぎた。

 

「遅い……」

 

人差し指からビー玉サイズの魔力の塊が出現し、放たれる。魔力の塊は、ルスランの足に直撃し彼の体内で止まる。

 

「この程度か?」

 

下卑た笑みを浮かべる、ルスラン。

 

「これで終わりだと思ったか?」

 

魔力の塊は、体内にある。そして、圧縮されていた魔力が解き放たれ脚全体に広がる。

 

「これは?」

 

自身の体に違和感を感じ取ったみたいだが、もう遅い。

 

「魔力に毒を込めた。時期に体全体に毒が周り体の細胞が壊死していく」

 

魔力に体の細胞が壊死する魔法を仕込み。時間経過で魔法が放たれる様に設定した。

 

「戯言を…そんな事ができるわけがない」

 

「信じないならそれでもいい。シャドウ、後は任せる」

 

背を向け跳躍。シェリーの元に向かった。

 

「まぁ……いい。お前を殺せば十分だろう」

 

標的を変えシャドウに剣を向ける。

 

「殺せるかな?お前に……この我を」

 

 

 

 

sideシェリー

 

「そんな嘘」

 

明かされた真実。シェリーは泣く事しか出来なかった。母親を殺した仇が、すぐそばにいた事。そして、その正体が、自身を育ててくれた義父だった事。

 

そして、自分は亡き母親と同じく利用されていた事。彼女は、絶望の底に叩き落とされた。

 

「………お前は、憎くないのか?」

 

絶望していると声をかけられた。シェリーは顔を上げる。

 

そこには、不気味な仮面を被った男の姿だった。

 

「わからない……そんなのわからないよ」

 

恐る恐る言葉を紡ぐシェリー。

 

「俺達は、あの男を殺す」

 

突如そう告げられシェリーの頭の中が真っ白になる。

 

「あの男は、お前が思っているよりもドス黒い」

 

「貴方に何がわかるんですか!!」

 

怒りを露わにする。何年も一緒に過ごし育ててもらった。彼女にとってルスランは、どこまでいっても育ての親で、本当の父親みたいな存在だった。

 

「あぁ……わからない」

 

「だったら……勝手な事を言わないでください」

 

彼は、仮面を外す。

 

「だけど、多くの人間を見て来た俺には、わかる。自身の欲望の為に平気で他者を利用する。お前やお前の母親も利用された。その結果がこれだ」

 

残酷だが、これが事実であった。

 

「……くだらない地位、名誉、力、それらは人間を惑わせ狂わせる。それらに溺れた人間をたくさん見て来た。奴もその一人だ」

 

彼女は、顔を上げる。彼は、憐れみの目をルスランに向けていた。

 

「目を背けたいならそれでもいい。あんな男でもお前にとっては父親と呼べる者だ。そして、俺達を恨むならそれでもいい。俺は、それを受け入れるつもりだ」

 

ディバルは、シェリーを見てはっきりとそう言う。彼の顔は優しさに満ちていた。

 

彼女の怒りは静まっていた。

 

「貴方は……何を知ってるんですか?」

 

「今は、答えられない。だが……お前がこの世界の真実を知りたいのなら……全てを捨てる覚悟があるのなら教えよう。考えておいてくれ、この先どうするのかを」

 

自身の問いに対する彼に対して、シェリーは直ぐには答えられなかった。

 

涙は、とっくに枯れてしまっていた。

 

 

 

 

 

sideシャドウ

 

この人、少し強いなぁ……腐っても武神祭の優勝者って事なのかな?

 

シャドウは、そんな事を思いながらルスランの剣を受ける。

 

「どうやら、受けるのに手一杯の様だな」

 

シャドウは、ルスランの攻撃を受け続けていた。

 

でも、この程度かぁ……展開は、悪く無いけど敵がなぁ……。アーティファクトで力が底上げされている。でも、魔力をまるで制御できてない。

 

「うぐぅ………なんだ?」

 

ルスランが突如、苦悶の声を上げる。

 

よく見てみると脚が腐敗してきている。ディバルが仕掛けた魔法の影響だろう。

 

「No.2の技の影響だな。我が手を下さずともお前は時期に死ぬ」

 

「まさか、これほどまでとは。だが、貴様がいくら強かろうと貴様らはもう終わりだ」

 

「終わり、とは……?」

 

「一連の事件全て『シャドウガーデン』の仕業になるよう手はずを整えている。証拠も、証言も、全てだ」

 

ルスランは嗤った。だが、シャドウも嗤う。

 

「何がおかしい」

 

「我がそれしきのことで終わると思っている貴様が滑稽だ」

 

「負け惜しみを」

 

「もとより我らは正義の道を行く者でもなく、しかし悪の道を行く者でもない。我らはただ我らの道を行く者」

 

ルスランの笑みは消えていた。

 

「もし貴様にできるなら、世界中の罪を持ってくるがいい、我らはその全てを引き受けよう。だが何も変わらぬさ。それでも我らの為すべきことを為す」

 

「世界を敵にしても恐れぬと言うか。それは傲慢だぞ」

 

「ならば我が傲慢を打ち砕いてみせよ」

 

やりたい事は、かなりできたしそろそろ終わらせよう。

 

シャドウは距離を詰める。

 

漆黒の剣がルスランの右手首に、突き刺さっていた。ルスランは、剣を左手に持ち替える。

 

しかし、既に左手首に漆黒の刃が突き刺さる。後退し一旦距離を取ろうとするが、シャドウがそれを許すわけもなく攻撃が続く。

 

「体の先から中心へ突いていき……」

 

漆黒の刃は次第に体の中心へと集まっていく。

 

「最後は心臓を突き刺し捻る……だったか」

 

その声と同時に、ルスランの心臓に漆黒の刃が突き刺さる。

 

そして、刃が跳ねられる。それが決定打となった。

 

かつて利用していた相手と同じ殺され方をされた。

 





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