陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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7話 少女の覚悟

 

 

 

 

シドの姉のクレア・カゲノーの拉致事件から2年半の月日が経った。相変わらずあの馬鹿は君臨するだけで統治は全くしていない。殆ど俺とアルファに丸投げである。

 

シャドウガーデンの構成員は300人を超えた。大規模な組織へとなっており、人数もかなり増えた。それに伴いあの廃村では、構成員の居住スペースが足りなくなっていった。その時のガーデンまだまだ力不足で教団と殺り合う段階ではなかった。

 

だから拠点を移動させた。新たな拠点はゼータが見つけて来てくれた。『古都アレクサンドリア』聖地リンドブルムのさらに東………『深淵の森』を抜けた先に存在する古代の伝説に語られている都。

 

道中色々あったが、拠点を移動させる事に成功した。ガーデンの構成員が増えると同時に訓練を指導する機会が多くなった。俺も独自に動くので新人教育は、ラムダに任せている。

 

シャドウガーデンにはトップのシャドウ。No.2である俺。No.3にはアルファ。最高幹部として七陰。その下にはナンバーズ。ナンバーズとは、七陰直属の部下の事だ。その下に普通の構成員。ガーデンの全体図はこんな感じだ。

 

ラムダと言うのはイプシロンが初めて悪魔憑きを治した時の子だ。彼女は、11番目のナンバーズであり組織では教官として新人教育をしている。

 

俺は、ナンバーズに昇格した子達を訓練している。度々シャドウや七陰とも訓練や実践をしている。

 

そして、俺達が活動していく中でどうしても必要になってくるのが金だ。構成員を養うと同時にガーデンの運営していく為には金は避けて通れない。

 

資金に関してはガンマがどうにかしている。マグドナルドから始まり昔は『ルーナ商会』として活動していた。数年前には王都の一等地に大型ショッピングモールを建て名を『ミツゴシ商会』と改めている。

 

裏の世界だけではなく表の世界にも干渉をしている。ちなみに、ミツゴシ商会の商品や食品はシャドウの陰の叡智を元にできている。あいつの世界での知識をガンマが再現したのだ。その頭脳には驚かされる。

 

とまぁ……ここ2年半で大きく変わった事はこのくらいだ。俺も独自に教団の事について調べている。調べれば調べる程吐き気がする。

 

それと、我が組織のトップであるシャドウは『ミドガル魔剣士学園』に入学した。大陸最高峰の魔剣士学園で、国内はもちろんの事国外からも将来有望な生徒が通う、超名門校だ。

 

入学したのはいいのだが、相変わらずそこでも実力を隠している。何故実力を隠しているか聞いたら「モブになりきる為。」だと言っていた。

 

時々、使い魔を使ってあいつの事を見ているが目立った事はなかった。しかし最近アレクシア・ミドガルに告白していた。俺もその告白の様子を見ていた。

 

どういう訳かその告白は成功。2人は晴れて付き合う事にかなったのだ。あいつにその事について聞いたら「なんでラブコメ主人公ルートに入ってんだよおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」と訳の分からない事を叫ばれた。

 

それから少し経ってわかった事だが、アレクシアが告白を受けた理由は婚約者が嫌で当て馬が欲しかったみたいだ。あいつも変な事に巻き込まれた物だ。

 

あいつは何とかその状況から切り抜けようとしたが……金に釣られた。アレクシアが金貨を投げ取る。ガーデンのトップが地面に這いつくばり王女から与えられた金貨を取る。

 

とりあえずあの馬鹿弟子は数発殴っておいた。シャドウについてこんな所だ。

 

教団の事を調べると同時に、俺は別の事を調べている俺が完全体になる為(・・・・・・・・・)に必要な事だ。しかしこれに関しては調べても空振りする事が多い。

 

ここ2年半調べているがどれも的外れだ。今日も当てが外れてしまった。

 

「少しリフレッシュするか。」

 

 

 

 

 

俺は王都に足を運んでいた。ミドガル王国は人口100万人を超える超大都市だ。人が多く街は賑わっている。この部分だけ見たら平和その物だ。だがここにいる人間は知らない。世界の闇は深いと言う事を。

 

歩いているとマグロナルドが見えてきた。ちょうどお腹が空いていたので店に入る。店内に人が多い昼時も相まって少し混雑している。

 

並ぶ事数分ようやく自分の番が回って来た。俺は注文を済ませてお金を払い商品を受け取り店を後にする。

 

店内で食べても良かったが今は静かな場所でゆっくりと食べたい気分だったので人気のない場所に行く。

 

「いただきます。」

 

合掌をして食べ始める。揚げたマグロにソースを入れパンで挟む。シンプルだがとてもいい味がする。中流層に人気なマグロナルド。リピートする客の気持ちがよくわかる。

 

「貴方は!!」

 

俺がゆっくりと昼飯を食べているとそんな声が聞こえた。そちらに視線を向けると知った顔がいた。

 

「お前は確か……ミリアという子の親か……」

 

「その通りです。自己紹介が遅れました私はオルバと言います。」

 

シャドウガーデンが結成される前に彼の娘を助けた事があった。まさかこんな所で再開するとは思わなかった。

 

「俺の名はディバルだ。久しいなミリアという子は元気にしているか?」

 

「えぇ……貴方様のお陰で娘は元気にしております。」

 

俺達が話していると誰かが此方に向かって走ってくる。

 

「お父様いきなり走り出さないでください。」

 

銀色の髪をなびかせてあの頃と比べ髪はスッキリと短くなっていた。

 

「あぁ……すまない。ミリアお前が会いたがっていた人だ。」

 

オルバはそう言い此方に視線を向けてくる。ミリアは一瞬キョトンとなったが、直ぐに目を見開いて距離を詰めてくる。

 

「……私を救ってくれたのは貴方なのですか?」

 

俺の手を握りながらそう問いかけてくる彼女。その言葉に俺は頷く。

 

「……ずっと会いたかったんです会ってお礼を言いたかったんです。あのまま惨めに死ぬ運命だった私を救ってくれた。本当にありがとうございます。」

 

彼女は深々と俺に頭を下げてお礼を言う。

 

「気にするな俺が助けたいと思ったから助けたまでだ。」

 

「……気にします。何か私に出来る事はありますか?私何でもします。」

 

おいおい、何かすげぇ事言ってきたぞ。何でもとは言っているが特にして欲しい事はないな。

 

「それよりお前達は何でここにいるんだ?田舎の方でのんびりと暮らすんじゃなかったのか?」

 

確か娘を虐げたこの国には居たくないと言っていた気がするが?

 

「えぇ……ここから離れた所でのんびりと生活しています。ただ、この子が貴方に会いたいと言い出して度々この国に来て貴方を探しに来てたんですよ。」

 

なるほど俺にわざわざ礼を言う為にこの国に出向いていたとは律儀な奴だ。俺自身は大した事はしてないと思うが礼は素直に受け取っておこう。

 

「それで貴方様は今何をしておられるのですか?」

 

オルバからそんな質問が飛んでくる。今俺は、教団の情報を集めたりガーデンの構成員の育成をしている。それを素直に言うのは躊躇してしまう。

 

なぜならこの事を話してしまったら彼等にも何かしらの被害が出てしまう恐れがあるからだ。かと言って全く関係ないとも言い難いのも事実。ミリアは悪魔憑きとなり教団に引き渡される所だった。

 

ギリギリで俺が割って入り彼女は助かった。今彼等は平和に暮らしている。そんな彼等にこの事実を話すのは気が進まない。知らなくていい事もこの世にはあるのだ。

 

「……もしかして私達には言えない事ですか?」

 

考えているとミリアがそう聞いてくる。

 

「あぁ……そうだ。お前達がこれからも幸せに暮らしていく為にこの事は話せない。」

 

そうだわざわざ此方に引きずり込む必要も無い。彼等には彼等の生活…人生があるのだ。

 

「……私は嫌なのです。このまま何も知らず世界に疑問を持ち生きていく事が……。」

 

「……………。」

 

「私みたいに悪魔憑きになり教会によって処分される。元は人間なのに……私はそんな子達を助けたい。貴方はそんな子達を助けているのでしょう?」

 

「……そうだと言ったらお前はどうする?」

 

俺は、彼女に殺気と魔力を向け圧をかける。彼女を試す為だ。

 

「私はそんな子達を助けたい。そして、そうしている人達と戦いたい。」

 

俺の圧に怖気ずしっかりと俺の目を見て答えるミリア。どうやら俺は彼女を見くびっていたみたいだ。殺気と圧を沈める。

 

「……これから話す事はこの世界の闇だ。聞けばお前達も関係者となる。ここから先は修羅の道それでも歩む覚悟はあるか?」

 

「あります。」

 

迷う事無く即答する彼女。ここまで言われたら黙って置く訳にもいかない。ここで話さないとそれは、彼女の覚悟に対する冒涜だ。俺は、オルバに視線を向ける。彼女はともかく父親である彼の意見も聞かないといけない。

 

「……私も娘と一緒に歩みます。例えその先が地獄だとしても。」

 

良い親子だ。我もあんな親が欲しかったな………。おっと感傷に浸ってる場合じゃないな。

 

「……お前達の覚悟は受け取った。さて、何処から話そうか……。」

 

 

 

 

 

数十分かけ話した。ディアボロス教団の事。それに対抗する組織シャドウガーデン俺のしている事諸々話した。

 

「……まさかここまで闇が深いとは……。」

 

話し終えオルバはそんな感想を述べる。平和だと思い込んでいるこの世界の住民達。しかしその裏で陰謀が渦巻いている。

 

「お前達はこの話を聞いてどうする?」

 

ミリアは少しして口を開く。

 

「私をシャドウガーデンに入れてください……。」

 

「いいのか?ガーデンに入ったら今の名も地位も失う事になるぞ?」

 

ガーデンに入ったら名も今の立場も全て捨てさせられる。兵士として育てられる。戦う駒として……

 

「……構いません。私は貴方に命を救ってもらいましたこの命を貴方の為に使いそしてガーデンの為に働きます。全てはディアボロス教団を壊滅させる為に。」

 

その目には確かな覚悟と決意が宿っていた。彼女の魔力は多い鍛えればそれなりに強くなるだろう。

 

「……わかった。歓迎しようお前はこれからシャドウガーデンのメンバーだ。」

 

彼女に手を差し出す。これからは同じ敵と戦う仲間だ。

 

「オルバお前はガーデンには入らず表舞台で動いてもらう。」

 

「わかりましたディバル様。」

 

彼にはガーデンには所属させず表舞台で情報を集めてもらう。

 

「お前の娘は俺が守るだから安心してくれ。」

 

「娘をどうかよろしくお願いします。」

 

彼は頭を下げて俺にそう言っくる。

 

「ミリア行くぞ俺に捕まれ。」

 

ミリアは俺の肩に触れる。

 

「テレポーテーション。」

 

 

 

 

 

「ここは?……。」

 

「シャドウガーデンのアジトだ。」

 

転移魔法で移動した。あそこから徒歩で行くには余りにも遠すぎる。転移魔法は1度行った事のある場所なら何処でも行ける。これで移動がだいぶ楽になる。

 

俺は、歩き訓練場に向かう。ミリアは俺の後を着いてくる。しばらく歩いていると金属音が鳴り響いてくる。訓練をしているのだろう。歩いているとそこに目的の人物がいた。

 

軍服みたいな服を身に纏い褐色肌のエルフ髪は灰色でポニーテールで髪を纏めている。片目を閉じている。

 

「ラムダ。」

 

俺がそう呼びかけると彼女は此方を向き敬礼してくる。

 

「ディバル様お久しぶりです。今日は何用でこんな場所に?」

 

「そう固くなるな今日はガーデンの新しい構成員を連れて来た。鍛えてやってくれ。」

 

ミリアを前に出す。彼女はラムダにぺこりとお辞儀をする。

 

「はっ! 了解しました。」

 

「よろしくお願いします。」

 

ミリアがそう言った瞬間ラムダの後ろからスライムが伸び彼女の衣服を切り裂く。

 

「貴様はもう何者でもない。名も、服も、何もかも捨て純粋な兵士となれ。」

 

「323番、ここでは番号呼びだ。貴様は今日から323番だ。」

 

ナンバーズにもなると名を与えられるがそれ以外の者はここでは、番号で呼ばれ管理される。

 

「後はお前次第だ。登ってこい俺の元まで。」

 

それだけを言い残してその場を去る。後は彼女次第だ。彼女は、俺の直属の配下とする予定だ。彼女がナンバーズになった時に配下にする。その時は新たな名を与える。彼女は、登って来れるかな?

 

 

 






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