陰の実力者の師匠になる   作:ディバル

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8話 成長と退化

 

 

 

 

 

ミリアをシャドウガーデンに入れてから直ぐの事だった。新聞を買い読んでいるとアレクシア・ミドガルが行方不明になったの事。王族を誘拐するとは、この世も物騒である。

 

それと同時にある違和感を感じ取った。彼女は、姉のアイリス・ミドガルの剣には及ばない。ただ、努力を積み重ね基本に忠実。あの馬鹿が、何をやらかすか心配で使い魔を通して見ていたが、彼女の剣は悪くない。さらに積み重ねれば姉をも超える強者になるだろう。

 

彼女の周りへの評価は『凡人の剣』と呼ばれている。彼女は、決して弱くはない。魔剣士であり王族でもある彼女をわざわざ拉致する理由がない。リスクが高くリターンが余りない。

 

何かあるな。それに、先ず真っ先に疑われるのは親しい友人や彼氏だ。嫌な予感がする……。

 

使い魔を召喚してシドの様子を確認しよう。

 

ここで問題が発生した。見つからないのだ。この時間帯には、まだ学園にいるはずだ。学園に使い魔を送り捜索させたのだが、見つからない。彼が住む寮の部屋にも向かわせたがここにもいない。

 

なので、捜索範囲を広げる。そうしたら見つかった。王国の騎士団に捕まっていた。どうやらアレクシアが行方不明になる前、最後に彼女と会っていたのはどうやらシドだったらしい。

 

それであいつは、今騎士団の男2人によって尋問を受けている。あいつモブになると言ってた癖に騎士団に捕まってクソ目立っているじゃないか。

 

しかも情けなく命乞いをしている。うん……これな我が組織のトップと思うとなんだか頭が痛くなってきた。組織のトップが1番掻き乱している。

 

それにタチが悪いのが七陰が、あいつの行動全てに意味があると勘違いしておりどんな風に転がってもあの馬鹿を肯定してしまう。

 

七陰やガーデンの構成員からしたらシドは、強さ、知略、そしてカリスマを持ち合わせているように見えている。実際は、陰の実力者ごっこをしている気でいるだけだ。

 

あいつは、教団が本当に実在しているとは知らない。

 

「…直ぐには処刑されないだろう。」

 

幾ら行方不明の前に会っていたとして、アレクシアを誘拐した実行犯に結びつけるには弱い。それに、普段の彼は地味で目立たない学生だ。決定的な証拠がなければ犯人にするのは無理だ。

 

恐らくだが、今回の件は教団が関与している。目的は不明だが、その可能性が高い。それに教団はこの国に根を張っている。もし今回の事が仕組まれた事なら……

 

「……探りを入れるか。」

 

 

 

 

 

数日後

 

数日して教団の目的がわかった。先ず主犯はゼノン・グリフィ。魔剣士学園の剣術指南役をしている。ただそれはあくまで表の顔だ。そして、目的はアレクシアの『王族の血』だ。奴は自身の研究と彼女の血を使って『ナイツ・オブ・ラウンズ』への昇格が目的だ。

 

このナイツ・オブ・ラウンドとは、教団の選び抜かれた12人の騎士の事だ。ラウンズになれば地位も名誉も富も手に入る。それが狙いなのだろう。何とも浅はかだ。

 

自身の私利私欲の為に自身の生徒を攫うとは……

 

それとシドは無事に釈放された。監視の目が着くがあいつなら大した問題では無いだろう。一応俺が手に入れた情報は使い魔を使いアルファに伝えた。

 

アルファは組織の全体をよく見ている。作戦を直ぐに立てるだろう。ミドガル王国に小規模だが拠点がある。それを潰す事もするだろう。教団の戦力を削ぐ為だ。

 

その内ガーデンの誰かが俺の元に来るだろう。自由に動ける様に拠点を幾つか持っている。今日は第3拠点にいる。七陰には俺が何処にいるかわかるように魔道具を渡してある。

 

まだ時間があるし寝るとしよう。ここ数日間は睡眠をまともに取ってなかったからな。魔族の体なら食事、睡眠も必要ないが今の俺は人間だ。ほんと不便な体だ。

 

ベットに寝転がり目をつぶるそのまま意識を手放し眠りに着くのだった。

 

 

 

 

 

sideアルファ

 

私は、彼がいる拠点に向かっていた。彼は自由に動き回る為に拠点を幾つか所有している。今日は第3拠点にいるみたい。彼は中々ガーデンに顔を出さない。

 

各地を飛び回っている。会う時は私達と実践稽古をする時くらいだ。少し前にガーデンの新たな構成員を連れて帰ってきていた。その時七陰は全員出払っており私達は彼に会えなかった。

 

ラムダからの報告を受けた時に私は後悔した。久しぶりに彼に会えるチャンスを逃してしまったからだ。

 

3年間私達とずっと一緒にいてくれた。ディバルは、私達に色々と教えてくれた。魔力操作、剣術、武術、各々が選んだ武器の使い方。戦闘面だけじゃなく料理や洗濯、基本的な家事も私達に教えてくれた。

 

その時の彼は、まだ15歳だったのにも関わらず、色々できる。それに……偶に彼が何処か遠くを見ている。その目は何処か悲しく感傷に浸っているような感じだった。

 

そんな彼の事を私は、好きになっていた。きっかけは彼が私の事を抱きしめた時だ。あの時はまだ悪魔憑きの状態でとても醜い姿だった。そんな中、彼は私の事を優しく抱きしめてくれた。それがとても嬉しかった。

 

その後、度々抱きしめてもらった。彼は私の憧れだ。彼の役に立ちたい。憧れはその内……恋愛感情へと変わっていく。

 

それは、私だけじゃなく。他の七陰の子達もそうだろう。少なからず彼を異性として認識しており同じ女として、彼女達の目が変わっていくのも。

 

「着いたわね。」

 

そうこうしている内にディバルの拠点に到着した。王都から少し離れた森の中に小さな小屋がある。ここが彼の拠点だ。私は、ドアに手をかけて開ける。そこには、ベットで寝ているディバル。

 

「全く……布団もかけないなんて風邪ひくわよ?」

 

ベットの上に乗り彼にまたがる。そして、顔を彼の顔へと近づける。このままいけばキスできるかしら?

 

「………アルファ何してるんだ?」

 

 

 

 

 

sideディバル

 

目を開けるとアルファの顔が目の前にあった。

 

「貴方って寝ている時も反応ができるかしら?」

 

何故か顔を真っ赤にしているアルファ。そんな中彼女は、そう聞いてくる。

 

「あぁ……僅かな気配、魔力を感知し奇襲に来られても大丈夫だ。」

 

「そうなのね。………いつから起きていたの?」

 

俺の上に乗ったまま彼女は質問してくる。

 

「上に乗ってこられた時かな。信頼している者に対しては、反応が少し鈍るみたいだな。………と言うか何時まで乗っている気だ?」

 

俺がそう言うと彼女は、慌てて俺の上から降りる。アルファの慌てる姿は稀だ。こういう所は年相応だな。

 

「こうして会うのは確か1年ぶりか?」

 

「えぇ……貴方が七陰各々に課題を出した時以来ね。」

 

もうそんなに時間が経っていたのか……。いやぁ…精神的には何千年という月日を生きているから時間の感覚がおかしくなっている。俺の感覚だと1年が1ヶ月くらいに感じる。

 

「綺麗になったなアルファ。それにその制服似合っている。」

 

背も高くなり可愛らしかった彼女は、綺麗な女性へと成長していた。数年前は、もっと小さかったのに今ではこんなに大きくなっている。こうして見ると彼女の成長が目に見えてわかる。

 

そして、何故か制服を着ている。シドが通っている魔剣士学園の制服だ。一体何処で入手したのやら。

 

「……もう、不意打ち過ぎる///」

 

アルファの頬が赤くなる。そんなに褒められた事が嬉しかったのかな?そう言えば、他の七陰の子達とも随分とあっていない。

 

ベータ、ガンマ、イプシロンに関しては表舞台で活躍している。ベータは、作家ナツメ・カフカとして、ガンマはミツゴシ商会の代表ルーナとして、イプシロンは音楽家シロンとして、ここ2年間でよくここまで上り詰めた物だな。

 

彼女達が成長してる一方俺は、退化している。食事や睡眠が必要になり、体は日に日に衰えていく。人間に転生した事に、何ら不満は無い。しかし以前の自分と比べるとどうしても退化しているのだ。

 

「他の七陰達も貴方に会いたがっていたわよ。」

 

「そうか……その内またガーデンに帰るとしよう。成長したお前達の姿が見たいしな。」

 

「えぇ……そうしてちょうだい。みんな貴方に会いたがっていたわ。」

 

楽しみが増えたな。彼女達とも色々話をしておきたいし、それに久しぶりに俺と戦って欲しい。見た目だけじゃなくて戦闘面でもどのように成長をしたのかも確かめたいからな。

 

「ねぇ……久しぶりに抱きしめてくれないかしら?」

 

突然アルファがそんなお願いをしてきた。……流石にダメだろう。彼女がお願いしてきてるとは言えどもうアルファは15歳だ。そんな彼女を抱きしめるのは不味いだろう。恋人じゃあないし。

 

「アルファ……そう言うのは好きな異性としたらどうだ?お前も15だ恋人じゃない俺が抱きしめるのは世間的にも……」

 

「私を抱きしめるのはいや?」

 

上目遣いで見つめてくるアルファ。そんな目で見ないでくれ……なんか俺がすげぇ悪い事をしてるみたいじゃないか。それに、なんか申し訳なくなってきた。

 

「………わかった。」

 

結局俺は、折れてしまった。昔から、部下や同族、信頼している者へ甘いと言われていた。あの時の部下の思っていた事がなんとなくわかった気がした。

 

「……こうやってディバルから抱きしめられるとなんだか安心するの。」

 

アルファは満足そうに言ってくる。アルファだけではなく他の七陰にも、抱き締めて欲しいとねだられていたな。……他の七陰も会ったらまたねだってくるか?まぁ…大丈夫だろう。

 

「アルファ何時かは俺じゃない大切な存在を見つけろよ?俺もずっとお前らの傍にいられる訳じゃないからな。」

 

シャドウガーデンの存在意義は、ディアボロス教団の壊滅にある。教団を無事に壊滅させたら、ガーデンの存在意義は無くなる。それが、何時になるかは、まだわからない。

 

ガーデンの構成員はエルフが殆どだ。彼女達は寿命が長い。教団が無くならればそれぞれの人生を生きる事になる。まぁ……一度表の世界から死んだ身だから、また表舞台で生きるのは少し難しいかもしれないが、それを抜きにしても彼女達の人生は続いていくのだ。

 

「私の大切は、ディバルなの……」

 

「何か言ったか?」

 

「………なんでもないわ。」

 

そう答えるアルファの声は何だか怒っているような感じがした。何に怒っているか俺には、わからなかった。

 

「とりあえずガーデンに顔は出す。その時に彼女達の話を聞こうと思う。お前の話も聞かせてくれアルファ。」

 

他の七陰の話も聞きたいしガーデンの現状も知りたい。俺がいない間ガーデンを支えていのは彼女だ。

 

「その時は、2人っきりで話したいわ。」

 

「2人っきりでか?まぁ……いいが。」

 

そう言うと、彼女は笑みを浮かべて「やった…。」と呟いていた。

 

その後、今回の作戦の概要を聞いて、話終わった彼女は、小屋から去って行った。

 

 

 

 

 

「教団を滅ぼした後か………。」

 

教団を滅ぼすのはまだ先の事だ。まだまだ時間がかかるだろう。終わりは、何時か必ず来るものだ。教団を滅ぼした後その時、俺は…………

 






アンケート投票ありがとうございます。魔法の詠唱に関しては、するキャラとしないキャラにわけようと思います。投票してくれた皆様本当にありがとうございました。

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