FGO第一部RTA:DLC実績《禍福は糾える縄の如し》取得   作:禍禍冴月

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花粉が収まってきたので初投稿です。




オケアノス編 その3

 

 

 

 花の楽園から始まるRTA、はぁじまぁるよぉ〜! 

 

 前回は特異点に入り直したらランダムイベントに追突し、ハピエン好きのお花の兄ちゃんの幻術に囚われた所からでしたね。やはり幻術なのか……!? (ナルトス)

 

 

 >……やはり、花の香りがする男が現れた。

 >薄く微笑みを浮かべながら、視線をこちらに寄越している。

 >相変わらず、何をしたいんだろうか……

 

 

「そう警戒しない。本当にお話でも、と思っただけさ。ゆっくりと気分を落ち着けて、楽しく過ごそうじゃないか」

 

 

 嫌です……(直球)

 いやあの、マジで勘弁してくれませんかね? 

 

 せっかく良いタイムなのにこんな所でタイム削られたくないんですお願いします! オナシャス! センセンシャル!! (必死の懇願)

 最悪のタイミングで差し込まれました。こんな所で時間食っちゃうとおチャート壊るる(悲痛な悲鳴)

 

 ていうかここでぐだぐだされると前回飲んだお茶の効果時間が切れちゃうって! 

 頼むから言葉巧みに禍たんを眠りに誘ったり休ませようとしないでくれよな〜頼むよ〜。

 こ↑こ↓、最悪リセットする危機なので当時の走者はクソほど焦ってます。すみません許してください何でもしますから!! 

 

 

 特異点初突入時以外ならマーリンと出会う確率も低い筈なんですけどね……どうして本走でこんな事が起きるんですか。

 クッソ低い禍たんの幸運値が悪さしてるのかい? 

 悪い子だねホントに……! (責任転嫁)

 

 とりあえずマーリンの幻術空間に引きずり込まれたらなるべく会話が少ないパターンを引いてる事を祈りつつ、会話が少ない方の選択肢を選ばないといけません。

 

 結局お祈りかよぉ!? 

 そうだよ(無慈悲な宣告)

 

 

 ここでマーリンぶん殴ったり強制退出したりと敵対的行動をしたり露骨に避けたりするとマーリン側からかなり厳しい対応をされて、後々タイムを大幅に削られるイベントが挟み込まれたりするので、長い目で見るとかなりのタイムロスが起こります。

 RTA走者なら目先の利益より大局の損得を見て行動するべきですので、ここは耐えましょう。

 

 じゃあ何で時々オリチャーするのかって? んにゃぴ……(都合の悪い事には口を噤む人間の屑)

(タイム短縮への)憧れは止められねぇんだ……! 

 

 

 

▶「何か聞きたい事でも?」

 ▷「…………」

 

 

 はいこ↑こ↓、こういう選択肢が出たらとりあえず話を進行させる選択肢を選びましょう。

 マーリン相手に下みたいに黙り決め込むと冗長で好き勝手な会話を繰り広げようとするので。ただでさえゆったり喋るんだから文字数も稼ごうとするのやめてくれよ……(悲嘆)

 

 おうさっさとこのイベント終わらせてくれや。タイパが悪いと嫌われちゃうゾ。

 コイツもう結構色んなやつに嫌われてるだろって? かわいそ……いやそうでもないわ(反発する心)

 

 

 

「全く、せっかちだね。何をそんなに急ぐことがあるのやら。まぁ、せっかく聞いてくれたんだし応えてあげようとも。じゃあそうだね……」

 

 

 >男は手にした杖を弄びながら、ゆったりとした仕草で私を正面から見つめた。

 

 

 もったいぶってんじゃないよ。遅漏より早漏がRTAの作用ですわゾ。RTA走者は皆早漏なんだから足並み揃えてもらわないと困るよ。

 

 

 

「キミ、人の事は好きかい?」

 

 

 >……うん? 

 

 

 

 お、この会話パターンは比較的短いやつですね。助かるゥ^〜。

 

 

 

「なぁに、キミの行動を遠くから色々見てきて、ふと思い浮かんだくらいの疑問さ。どうか気軽に、率直に答えてくれれば良いさ」

 

「キミは、人が好き? それとも嫌いかい?」

 

 

 >……そんなの、決まってる。

 >私は……。

 

 

 ▷「好き」

▶「嫌い」

 ▷「……?」

 

 

 

(人間は)好きでもないし嫌いだよ。

 こ↑こ↓の選択肢は真ん中を選びましょう。こっちの方が文字数が最も少なく、会話が短く終わります。

 

 コレ、好きとか嫌いとか答えても別に支障は出ませんのでね。好きと答えるとマーリンからの質問が多めに盛られるのでロスなので、選ばないように、生きようね! (忠告土方)

 

 

 

「……嫌い。人は、嫌い。今は、そう言える」

 

「へぇ、そりゃまたどうしてだい?」

 

 

 

 ちなみにさっきの選択肢、一番下のは絶対選んじゃダメ! ダメ! (ケツデカ喚起)

 

(よく考えたら、人を好きとか嫌いとか、思った事あったっけ……?)から始まる禍たんのクソ長モノローグが始まる上、挙句の果てに改めて考えると人の事が好きでも嫌いでもないよなぁ……と禍たんが強く自覚してしまうが故に、後々の展開にイベントフラグが多めに差し込まれるためにロスが増えます。

 

 何より今回取得しようとしてる実績とはまた別の実績が取得されるエンディングルートが解放され、以後そっち方面のイベントやランダムイベントも生えてくるので激ロス待ったなしです。

 

 

 つまりはルート分岐選択肢な訳ですね。

 ……何で比較的発生率の低いランダムイベントにそんなもん仕込んだん? 詳しく説明してください、僕は今冷静さを欠こうとしています(バチ切れゴルファー並感)

 

 

 余談も余談ですけど、こっちのルートを選ぶと禍たんがちょっぴりスレます。モノローグや選択肢とかの言動も合わせてスレた感じになってまた違った印象の禍たんが摂取できます。

 個人的にはこっちのスレ禍たんも好きですし解放されるエンディングも読後感悪くないので好みです。

 気になった兄貴姉貴は自分で確かみて見ろ! 俺もやったんだからさ(日本人特有の同調圧力)

 

 

 

 >人が嫌いなのは、どうして? 

 >そう問うてきた男は、何か特別に感情を向けてくる訳でもない。

 >憎悪でも、憐憫でも、失望でも、憤怒でもなくて。

 >ただ単純に、自分の興味を埋めるために、少し不思議そうな顔で、私の挙動を見つめてくる。

 

 >……どうして、と言われても……

 

 

「……好きにはなれないから、それだけ」

 

「ふむ、なるほど。素直に答えてくれて嬉しいよ。てっきり煙に巻かれるかと思っててね」

 

 

 >言われた通り率直に答えてみると、薄い微笑みを変わらず浮かべて、男はひとしきり頷いた。

 >……嬉しいとは心にも思ってなさそうだけど。

 

 

 は^〜……(クソデカため息)

 ほんまこいつ。

 とりあえずこの会話パターンで選択肢はもうありませんので安心してボタン連打で会話を流しましょうね。

 というか早く開放してくれ! こちとらタイトなチャート組んじゃってるもんだから後がつっかえ! てるんです。出して♡出して♡

 

 

 >男はとん、と杖で地面を軽く叩いて、私にこう続けてきた。

 

「じゃあ、人でなしのよしみとして、一つアドバイスでもしておこうかな」

 

「好きでも嫌いでも、その他の感情でも……そういったものを相手に向けてるなら、次はその相手を少し観察して、理解をしてみようと試みてごらんよ」

 

「多かれ少なかれ、何かしら収穫はあるかもしれないよ? まぁ、それが君にとって有益であるかどうかは保証しかねるけれどね?」

 

 

 >しないよりかはよっぽどマシだとは思うけど、と男は付け加えた所で、話に区切りを付けたらしい。

 >……別に、今まで何もしてない訳では無かったけれど……。

 

 

 

 >……男の姿が蜃気楼のようにほんのりとゆらぎ始めた。

 >幻が実体を保つ事ができなくなっているようだ。

 

 

「おっと。今日はここまでかな。引き留めてしまって悪かったね?」

 

 

 >悪びれもしていない様子で、男は軽く手を振る。

 >しばらくしない内に、男の姿は掻き消えていった。

 >……何がしたかったんだろう。

 

 

 嫌がらせでしょ(決め付け)(偏見)

 言うだけ言ってさっさと消えやがってこの野郎醤油瓶……! (絶えぬ怒り)

 どうせなら幻術空間から禍たんも出してってくれません? 

 

 ともあれ、ランダムイベント会話が終了するとここから自由に動けるようになります。

 

 なので速攻次元斬叩き込んで空間を割ったらさっさと出ましょう。ペッ! 二度と呼ぶんじゃねぇゾ。

 

 

 

 

 

 はい、マーリンの幻術空間から脱出できたので『空間掌握』でまずはカルデア一行の位置を確認しまして……居ました。

 

 

 あーこれ……いや……どう? イケそう? (脳内打診)

 

 ……まぁいっか! (楽観視する走者の図)

 

 

 えー、多数のサーヴァント反応とカルデア一行が海の上でわちゃわちゃ動き回ってます。接敵しての戦闘中ですねクォレハ……。

 

 んで、サーヴァント反応の他、雑魚敵の反応云々を見るに……エウリュアレの取り合いでカルデア一行とアルゴー船が戦闘になってる展開ですな。体力の具合から見て今ちょうど戦い始めた感じですね。

 

 

 はい、という訳で我らが黒髭は禍たんが休んでるうちに無念のナレ死と相成りました。あいつ喋りまくって尺取り虫と化すのでRTAやってる側としてはさっさと退場してくれた方がありがたいです。

 黒髭辺りの展開はヘクトールおじさんが裏切ったりする都合上、禍たん介入が無くてもスムーズに進行してくれます。エイリークも事前に禍たんが倒してて戦力も削れてましたのでね。

 

 

 ですがアルゴー船に関しては禍たん抜きだとそうも行きません。

 

 何せ可愛い顔して厭らしく責め立ててくるコルキスの魔女メディアリリィ、万夫不当屈強不屈な大英雄ヘラクレス、ガチガチ防戦大好き輝く兜ヘクトール、そんでそのメンバーを纏めあげるイアソン船長がいるもんですから、順調にパワーレベリングしてるカルデアでも不安要素がありありです。

 特にヘラクレス。DLCで強化されたシンプルなステータスの暴力によって半端な相手を磨り潰していきます。カルデアも容赦なくボコしていきます。

 ここら辺ですとアステリオス君も頑張ってくれるのですが

 イアソン君の調子乗り乗り指揮が入ってくると余裕で潰してきます。やめてくれよ……(悲痛)

 

 

 で、そんなクソデカカルデアクラッシャーことヘラクレスのいるアルゴー船とカルデアが接触してるので割かし不味い状況です。マジでマーリンの話が長引かなくて良かったって思うワケ。

 

 

 とりあえず慌てず騒がず落ち着いて(QVC三段活用)、ワープで素早く移動してカルデアの元へ向かいましょう。

 途中で一瞬だけ寄り道しますがこれは必要な手順なのでロスではないです。

 

 現時点でのカルデア一行とヘラクレスが真っ向から戦うとゴリゴリ削られますが、エウリュアレを護り隊筆頭なアステリオス君が頑張ってるのと、マシュを特異点Fでシャドウバーサーカーと戦わせた事での経験によって割と持ちこたえてくれます。ほぉう? 経験が活きたな(BRNT語録)

 

 

 という訳でいざ進めや禍たん。海の上をしばらくワープ移動です。超スピード!? (倍速)

 

 

 

 

 

 あ、この間にちょい解説入れますか。

 

 この特異点で禍たんが絶対やってはいけないこと〜! 

 

 

 

 ・契約の箱(アーク)に接触する、しようとする事

 

 

 

 この一点に尽きます。

 契約の箱ってのは、この特異点にいるはぐれサーヴァントのダビデとかいうクッッッッソ胡散臭いやつの宝具の一つで、絶賛騙され中なイアソン君が手に入れようと躍起になってらっしゃる代物です。

 

 この宝具はダビデが召喚されると同時に出現、棺桶のような見た目で結構デカイ上収納不可能。

 そして効果は触れた相手の魔力を即座に吸い付く(チュゥッ、ヂュピッ、ヂュズッ!!!)して消滅させる極悪仕様。ヘラクレスでも触った途端ガッツ全て消え失せて南無阿弥陀仏ですね。

 

 

 で、件の宝具に女神の神格を持ったエウリュアレが触れるとその力で特異点崩壊も引き起こすんですが……万が一超濃密クッソ悪悪魔力を詰め込んだ禍たんが触れてしまった場合、どうなるでしょうか。

 

 

 

 端的に言うと特殊BADエンディングが流れます。

 特異点所か世界全土が汚染されて終わり! 閉廷!! 以上!!! 皆解散!!!! 

 なお禍たんは消滅できず滅びた世界で慟哭する模様。かわいそ(小並感)

 

 あ、このエンディングを見たついでに実績《放たれしパンドラ》が解除されます。

 

 

 まぁプレイ中うっかり触れてしまう事ってあんまり無いんですけどね、初見さん。

 契約の箱が置かれてる場所の近くに行くとマーリンがインターセプトして幻術をかけてくるわそっから更に近付こうとするとまーた幻術空間に強制連行されて長話に付き合わされます。

 つまりは契約の箱に近付くだけロスもロス。出現場所は固定だから、そこへ近付かないように、生きようね! (警告糞土方)

 

 

 

 

 

 ……お、島の陸地が見えてきましたね。じゃそこに一瞬だけ足を着けたら即座に方向転換! 横向くんだよ90°! (直角飛行)

 

 

 寄り道の目的は果たしたので次だ次! 

 

 

 で、今寄り道した場所は契約の箱が置いてある島です。そこに一瞬だけ行って、ワープポイントを解放してやりました。

 今さっき箱置いてる所に近付くなって言ったろって? 

 あくまで置いてある場所の近くに行かなきゃセーフなんで何も問題無いゾ。

 

 

 禍たんの便利ワープ、一度行った場所ならファストトラベルできるというこのゲームにおけるスーパーノンストレス仕様なのですが……ワープの為に開いた次元の隙間には禍たん以外のものを放り込んでもワープ先に送ってくれます。

 

 

 なので船同士の争い合いに乱入し、ワープゲートにカルデアとドレイク姐さんが乗ってる船だけを突っ込ませあの島に強制連行させます。

 

 本来のシナリオでは何とかヘラクレスを退けた後、契約の箱を先に確保するために探しに行く……という流れを縮めてやります。

 ここら辺、契約の箱を探していくつも島を巡っては空振りしてるんでそこを無くせばかなりの短縮に繋がります。

 

 

 あ、後ついでにヘラクレスに喧嘩売って適当にシバきます。倒しはしません。後でまたカルデアと戦ってもらうのでね。

 

 死なない程度にボコしてやる事でヘラクレス好き好きイアソン君の調子が崩れ、ただでさえクッソ低いアルゴー船の士気に影響が出ます。

 そんで禍たん居るなら一刻も早くエウリュアレ手に入れな!!! とイアソン君が焦りに焦り慌てて追従して来るので余計に士気も乱れます。拓也の上下筋肉くらいバランスが崩れます。

 

 こうすると再戦時の安定度が爆上がり、勝ちまくりモテまくりという訳ですな。こりゃ勝ったなガハハ!! 

 

 

 

 んな事言ってたら見えてきました。カルデアとアルゴノーツの大乱闘現場です。

 はえ^〜皆わちゃわちゃ動いてて楽しそ〜。私も混ぜてよ(敵の間に挟まる巫女)

 

 

 

 

 

 オッハーッ!!!!! オッハー!!!!! (クソデカ乱入)

 

 

 

 

 

 

 □■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 広く、蒼く、閉じた四の海の上に浮かぶ二隻の船。

 

 一方は、太陽を落とした女海賊、フランシス・ドレイクが駆る黄金の鹿号(ゴールデンハインド)

 一方は、名だたるギリシャの英雄が乗り込み、コルキスの金の羊毛を得た伝説の船、アルゴー号。

 

 その二隻が海の中心に陣取り、血風渦巻く戦いの火花を散らしていた。

 

 

 否、この表現は正しく当てはまらず。

 

 

 悪辣な海賊に略奪される哀れな民間船のように、正義に踏み潰される悪のように。

 黄金の鹿号は、蹂躙されていた。

 

 

 

「■■■■■■■■■■■!!!!」

 

 

「く、あっ……!」

 

「っ、マシュ!?」

 

 

 轟音と共に巨岩のごとき大剣が振り下ろされ、防いだ盾がそれを持つマシュごと吹き飛ばされ、床板に強かに体を打ち付けられる。

 

 

 

「や、めろぉ!!!!」

 

 

「■■■■■■■■■!!!」

 

 

 追撃を加えようと猛進するヘラクレスの行く手を、牛角を生やした巨漢が、アステリオスが阻もうと組み付く。

 だが数秒の拮抗の後、同じように船床に叩き付けられ、大木の如き足から振るわれる蹴撃に容易く弾き飛ばされた。

 

 

 

「ッハハハァ!! 良いぞ、良いぞヘラクレス!! 千切り飛ばして海の藻屑にしてしまえ!!」

 

 

 

 黄金の鹿号から離れ、アルゴー船から軽薄な声色で笑い声を飛ばすのはアルゴノーツを纏めあげた英雄イアソン。

 かつて王になろうと克己し、英雄達と共に大海原へと乗り上げ、そして王になれず没した男。

 

 この四海の王へと君臨する為に、今度こそ王へと成る為に。契約の箱に女神エウリュアレを捧げ、"無敵"の力を得んとしている。

 正義は此処に、我こそにあり。

 カルデアなどという自らの王座への道筋を邪魔する塵にも劣る無礼者を文字通り塵芥に還してやろうと───大英雄、ヘラクレスをカルデアにけしかけた。

 

 

 

「うーん、頑張る頑張る頑張るねぇ! ヘラクレス相手に良く粘る! ……でもさぁ、もう見飽きたんだよね」

 

 

 ヘラクレスが、圧倒的強者が、カルデアを、踏み潰されるべき弱者を蹂躙する。

 アステリオスの吶喊も、マシュの守りも、ドレイクの鉄砲も、立香の支援も。

 全て、その躰一つで受け切り、打ち崩す。

 

 イアソンにとっては当たり前の光景過ぎて、そろそろ欠伸も出てくる頃。

 にひりと底意地悪く口元を歪め、間もなく消え行くカルデアという障害を存分に見下しながら吐き捨てる。

 

 

「やれ、ヘラクレス!」

 

 

 澄み渡る程に清々しく、自分こそが正しいと信じるイアソンの命令によって、ヘラクレスが大気を揺らす雄叫びを上げ、厳の如き肉体を躍動し、目の前の(カルデア)を蹴散らさんと踏み込む。

 

 

「マス、ター……!」

 

 

「っ、令呪を……!」

 

 

 

 何やら向こうの人間(マスター)が無駄な抵抗をしようとしてるが、正しく無駄に終わる。今更何をしたって、最初から詰んでた奴等に勝ちの目は拾えない。

 さぁさぁ、ヘラクレスが奴等を塵に変えたら、この後は凱旋だ。

 女神エウリュアレを戦利品に、契約の箱に女神を捧げて、王となる! この海の、この世界の王に!! 

 

 

 ヘラクレスが一歩、船板を砕きながらカルデアに迫る光景を眺めながら、決まりきった道筋の夢想へ一足先に耽るイアソンは、心底愉しそうに笑みを零して、悪辣に微笑み────

 

 

 

 

 

 その瞬間、カルデアとヘラクレスの合間に黒い影が躍り出る。

 

 

 闇に染まり上がった黒髪、全てを呪う紅い瞳を宿した、厄災の化身。

 

 

 

「もっ、て…………?」

 

 

「────は?」

 

 

 

《ッ、この、ここで来るのか……!?》

 

 

 

 残光すら残さずに閉じる空間の隙間から姿を見せる其れに、船上に居る誰もが呆気に取られる。

 その影の正体は、遠目で見ていたイアソンでも分かる程に圧倒的であり、印象的であり……

 

 

 

 

「────潰せ!!! ヘラクレス!!!」

 

 

 

 

 黒の巫女。

 それこそイアソンにとって、この世で最も忌々しく、深く暗い憎悪を抱く相手。

 

 喉から声を張り上げる、その影を、空間の隙間から現れた黒の巫女を視界から消し飛ばせと激怒の唾を飛ばす。

 

 同時に、彼の理性が脳裏で騒ぐ。

 

 

 

 ───馬鹿が! 優先事項が違う、今はエウリュアレを───

 

 ───黙れ! 

 黙れ黙れ黙れ!!! 

 

 

 本能が、霊基の底に刻まれた意思が理性を殴り上げ、罵倒し、塗り潰す。

 

 

 ───アレは潰す! 何としても、どうあっても!! 

 女神なんぞ、他の奴らなんぞ後でどうとでもなる!! 

 

 

 

 胸の底、本人であっても抑え切れない憤怒と慟哭がイアソンを支配する。

 

 

 

 だってアレは、俺の夢を踏み潰した!! 

 

 王になるべき俺の夢を、俺の人生を!! 

 

 

 

 

 

 ───アルゴノーツ(俺達の冒険)を終わらせた、アイツだけは!!! 

 

 

 

「駄目です、イアソン様!」

 

 

 

 傍に仕えていた彼の妻、コルキスの魔女メディアが静止の声を呼びかける。

 だが一瞬の激情に全てを飲み込まれたイアソンに誰の声も届かない。

 目に映るのは、夢想するのは、彼が心の底から信じる

 英雄(ヘラクレス)が、その大いなる暴力によって、黒の巫女を血煙と変えてくれる光景のみ。

 

 

 

 

「ハッ、ハ、ハハ! ハハハハハ!!」

 

 

 

 ───そら見ろ、そら見たことか。

 

 やってくれた、やってくれたぞ、俺のヘラクレスが! 

 

 ヘラクレスの振り降ろした一撃が、黒の巫女を捉えて、バラバラに……

 いや、違うな、ヘラクレスの覇気だけで、一撃が触れる前に霧散した! やったぞ! やっぱりヘラクレスは最強だ! 誰にも負けない、誰にだって…………

 

 

 

 

 おい。

 

 なら、なんで。

 

 ヘラクレスが、倒れてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






春が訪れたので失踪します。(疾走の暗黒騎士ガイア)


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