西木野真姫との二重奏   作:?のウラのカオ

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本日の授業も終わり、ジメジメとする空気の中下駄箱に向かっていた。梅雨に入り窓の外はパラパラと雨が降っていた。

 

穂乃果達は放課後に練習があるらしい。

 

こんな雨の中で大変だなと思いながら、僕は今週末に行われるコンサートの練習をするために帰路に足を進める。

 

こんな天気の中一体彼女らはなんの練習をするのだろうか。

 

筋トレとかやるのかな、と適当に問題を片付けながら下駄箱から靴を取り出し床に放り投げ上履きから履き替えようとする。

 

「こんにちは。」

 

誰かから声をかけられたので視線を向けるとそこには東條希副生徒会長が立っていた。

 

「こんにちは。」

 

僕は東條さんに声をかけられたことに驚きながらも丁寧に挨拶を返した。

 

東條さんは微笑みながら口を開く。

 

「馬場くんも曲を作ってくれてたんやな。」

 

僕がμ'sの曲を編曲してるということは最近少しづつ周知の事実になっており東條さんもその事を知っていた。

 

いきなり普段会話をしないメンツが集まり喋り出したのだから簡単に考えたら何かしら縁ができたのだと思うだろう。

 

しかも彼女らは僕が編曲してることを隠すつもりはないらしい。

 

こうゆう言い方をすると僕は隠したかったということになるのだが、事実そう思っていた。

 

女子中心のグループに男が入り込んだら、男ファンの人達が嫌がるのではないかと考えたのだ。

 

しかし、実際にはスクールアイドルには男ファンよりも女ファンの方が多いらしく男のヘイトを買うことはあまりない。

 

だからといって女からヘイトを買うことはない訳ではないので、僕はなるべく目立たずにこっそりと黒子の役を全うしていた。

 

といっても今日の朝に曲作りをやめろと言われてしまったので僕が気に食わない奴はいるのだろう。

 

朝の女の子は僕だけでなくμ's全体が気に食わなかったように見えるが。

 

そんなことをもう聞きたくはなかったのでさらに丁寧に奥深く黒子に徹しようと思い、自分が出せる全開のおしとやか力を使い東條さんに答えた。

 

「そうですね。編曲を担当させていただいております。」

 

「ふふっ。丁寧やね。」

 

東條さんはいたずらに上目遣いをしていた。

 

可愛さを餌にして獲物を喰らうのが東條さんの術なのかもしれないと思い、次に放たれる言葉に少し構える。

 

心構えは失礼かもしれないがこの人が可愛すぎるからいけないのだ。

 

今朝あんなことがあったら少し疑ってしまうのも分からなくはないだろう。

 

固唾を飲み言葉を待ったが次の言葉に少し驚いた。

 

「ありがとうね。馬場くん。」

 

何故、東條さんが感謝を伝えたのか分からなかった。

 

何かμ'sに思い入れでもあるのか。

 

しかし、東條さんは生徒会役員だ。

 

海未から聞いてみたところ生徒会はアイドル活動に反対らしい。

 

その組織に所属してる東條さんは何故そのような発言をしたのかわからなかった。

 

「それじゃあ、うちはこの後生徒会の仕事があるからまたなぁ。」

 

そんな僕に東條さんは微笑みながらそう言って下駄箱から去ってしまった。

 

僕は考えすぎなのかもな。

 

東條さんは個人的にμ'sのことを応援してくれているのかもしれない。

 

てか、それが正解だろう。

 

東條さんから送られた応援の気持ちも含まれているであろう感謝の言葉を受け取り僕は自信を持つことができた。

 

少し雨が降っている。

 

傘をさして帰路に着く。

 

心のどこかでは編曲も次のコンサートも頑張ろうとじんわりと思った。

 

 

 

---

 

 

 

「はぁ、はぁ。」

 

本日もまた遅刻境界線をスレスレなので走る。

 

昨日と違うのは下駄箱にて残り時間が1分もある事だ。

 

勝ちを今度こそ確信しながらも次に遅刻したら点数が危ういので全力で廊下を走る。

 

階段を上り角を曲がろうとした瞬間昨日のことを思い出した。

 

そういえば昨日はここで女の子とぶつかり散々な目にあった。

 

まぁ二度もそんなことはないだろうと思い速度を緩めることなくホームストレートに侵入しようとした時、またしても誰かとぶつかった。

 

フラグの回収が早すぎないか。

 

「うわぁっと。」

 

「おっと。」

 

お互いに後ろに跳ね返る。

 

そして視線を合わせる。

 

昨日と何もかも一緒だ。

 

状況もぶつかった相手も何もかも。

 

目を合わせた瞬間ギロっと睨みつけられる。

 

「あんた、昨日の、、、もう一度言うわ!あの子たちの曲を作るのをやめなさい!」

 

昨日と全く同じように怒鳴った後にすぐさま立ち去ってしまった。

 

しかし、昨日とは違い僕は女の子に気を取られずに直ちに教室へと向かった。

 

2日連続で遅刻するわけにはいかないと、ホームストレートに侵入して全力で走る。

 

 

 

息を切らしながらも走り抜き遅刻ギリギリでホームルームに出席した。

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