超昂大戦SS エスカチーム転生計画、ここに発動! 作:環 藍河
ざくっ。
「あ…かはあ…っ…!」
どさっ。
胸を貫く凶刃。
戦闘服のレオタードとプリーツスカートを滴り落ちる、おびただしい流血。
ネオ・アルダーク首領・ゲッツェンは、無慈悲にソードを引き抜く。
超昂戦士はわななき、鮮血の味とともに自らの敗北を噛み締めながら…声もなく崩れ落ちた。
「…敵ながら、貴様はよくやった。
ただの少女が、勇気と愛だけで我らに伍し、ここまで苦しめるとはな…。」
ゲッツェンが自ら挑んだ一騎打ちの相手は…今や人類の希望の灯火となった、紅蓮の超昂戦士。
「た…たとえ私が敗れても…」
「ぬう…?」
「ダイビートは…負けない…
この地球は…貴方たちには…渡さない…っ!」
「もう…よいのだぞ、エスカルビー。
貴様の英雄譚は、我らネオ・アルダークの統治下でも、必ずや語り継がれよう。…さらばだ。」
ざっ…。
勝者は振り返らず。
敗者は惨めに、その躯を大地に横たえ、黄昏に沈む夕陽を仰ぐ。
(長官と…未来、見たかったな…)
「ルビーいいいいっっ!!」
遅れて決戦の地に降り立つ、トキサダとエスカチーム。
だが…もはやトキサダの嗚咽に、戦士は翠の瞳を再び開くことなく、ただ沈黙で返すばかり。
温もりを失った体を抱きしめ、慟哭するトキサダ。
「あ…ああっ…
死ぬな…ルビー…ルビーいいいっ!!」
どくん。
どくっ、どくっ、どぐんっ!!
「うおおおおーーーーっ!!!」
夕闇の中、大地が響き、重力が逆巻く。
【あアっ…、ルビーが…!
よクもッ、ルビーをおオオおヲーーっ!!】
「ま…魔王が、覚醒するっ…!」
「だ…ダメよっ、長官くうーーんっ!」
最強戦士の死と、魔王の覚醒…
地球人類は、2つの絶望に瀕していた。
「…どいて、長官。」
(〘《っ!?》〙)
「私の神力で…天使長アズエル様じきじきの力で。
ルビーを甦らせる。」
「トパーズっ!?」
「む…無茶よっ! ルビーの命が戻っても、今度はあなたが…!」
ふっ…
「ウラジミールとして暴走したとき…一度失って、ルビーにもらった命だもの。
惜しくなんか、ないわよっ…!」
少し寂しく微笑むトパーズの横顔は。
自己犠牲の覚悟と…慈愛を湛え。
(エスカルビーは死んだ…!
でも…!
私の全部、あげるから。
今度はあなたが生まれ変わるのよ…新しい自分に!)
その黄金色の愛は…絶望の底に沈む戦士を再び大空へ導く、不死鳥の翼。
その魂の咆哮は、天駆ける神の子として甦る勇者に、新たな剣を授ける…!
「ホーリーアムド!
ヴァルキュリエ・アカリエル!」
(〘《!!!》〙)
サファイアが、アメイズが。
覚醒寸前のトキサダまでもが、立ち尽くす。
「超昂神騎・アカリエル! 顕現っ!」
その背中に、汚れなき純白の翼を擁し。
燃える紅蓮に身を包み。
誰より地球を愛する戦士は、いま神騎として…悪を撃たんと再び立ち上がる!!
【超昂大戦Ifストーリー】
第27話 魔王の慟哭! ルビー、夕闇に死す【続く】
【次回】第28話
ルビー転生! うららが遺した新たな翼
【ご期待ください】
制作著作 忍者剣士ハルヒーナ
…
……
「…というわけで! ここに私は!
エスカチーム・マルチ属性化計画を提案するっ!!」
「〘『【何じゃ、そりゃーーーっ!?】』〙」
ダイビート基地・談話室。
きまぐれにフラリと帰ってきたうららが、突然おっ始めた誰得プレゼン。
リアクションを…と言うよりツッコミを返す、エスカチーム&トキサダであった。
「うらら…お前がカッコいい役を演じたいだけじゃないのか…?」
「う…うららちゃ〜ん…
私、死ななきゃダメだったの…かなあ?」
オブラートに包んだ表現ではあったが、うららがVRルームでAI生成したイメージ映像は、傷つき倒れるルビーもリアルに表現。
「ルビーは変身フォームいっぱい持ってるから、そんじょそこらのキャラチェンジじゃ、インパクト薄いでしょーがっ!」
うらら…インパクトで仲間を死なせるな…。
「実際問題ねえ、エスカチームの属性ってもともと、宙ぶらりんにも程があるのよ!
あたしはもともと地上神騎になるはずだったのに、魔力暴走をADDDで抑制してもらったとはいえ、結局は超昂戦士じゃん?!」
「うららちゃん…超昂戦士はイヤ? エスカチームが、イヤになったの…?」
「あがっ…そーいうイミじゃ、ないけど…」
アカリもうららにグイグイ来る。
「と…ともかく!
ヒビキは閃忍属性なのに超昂戦士!
エリーは魔女属性なのに超昂戦士!
ネイティブ超昂戦士はアカリだけっ!
これって、どーにも中途半端だって言ってるの!」
(じゃ…じゃあ私は神騎化しなくてもいいんじゃないかなあ…?)
「それじゃあうらら、本音をどうぞ〜。」
「変身フォームの多さは、ヒーローのステータスっ!
そりゃあ私も、サンタフォームと水着スキンがあるけどさあ!
ルビーばっかりフォーム3つにスキン3つ!
ず~る~い~っ!!」
一大プロジェクトの立案動機は、おもちゃ売り場で母親にダダをこねる幼稚園児レベルであった。
「ふう~ん…メリットは?」
「…は?」
研究主任・さやか参戦。
「ADDDが閃忍・神騎・魔女に劣っているわけでもなく。
他勢力の戦士が人員不足なわけでもなく。
…それでもわざわざ、エスカチームをコンバートするメリットは?」
そしてうららに詰問。
「メ…メリットは、あるわよーーーっ!」
【メリット1】
びーっ、びーっ、びーっ!!
「次元湾曲を確認! 大往嬢、来ますっ!」
「よしっ、エスカチーム…ウィッチーズフォームで出撃だ!」
「了解っ!」
「【『《ディープ・アセンション!》』】」
「アカリ・ウィッチ!」【ヒビキ・ウィッチ!】
『ウララ・ウィッチ!』《エリー・ウィッチ!》
(魔法少女的な変身バンク挿入)
「【『《みんなの希望が明日を変える!
超昂戦隊エスカチーム・ウィッチーズフォーム! 接現っ!!》』】」
きらああああんっっ!!
…
……
「…と、レイド戦でつねに特攻が効くのよっ!」
ガム噛んで月だの星だのチェンジするくらい、お手軽に…?
【メリット2】
びーっ、びーっ、びーっ!!
「ADDD、システム異常! 応答しませんっ!」
「緊急再起動コード入力…ダメっ、受け付けない…!」
《げへへへへへっ! 貴様等のADDDはコンピュータウイルスで支配したあ!
変身手段を奪われたお前達超昂戦士は、我らネオ・アルダークに膝を屈するより他ないのだあ!》
「くっ…!」
「まだだっ! 私たちは…諦めないっ!」
ざっ…!
「【『《ホーリーアムド!》』】」
(プチピュア的な変身バンク挿入)
《な…何だとお!
エスカチームに…翼があああっっ!?》
「ヴァルキュリエ・アカリエル!」
「ヴァルキュリエ・ヒビキエル!」
「ヴァルキュリエ・ウララエル!」
「ヴァルキュリエ・エリエル!」
「【『《降臨っ! エスカチーム・ヴァルキュリエ・フォーム!!》』】」
しゃきいいいいんっっ!!
…
……
「…ねっ! 万一、敵にADDDを封じられても、ツブシが利くのよっ!」
「…ちょっと、待てっ…。
4人とも、魔女にも神騎にも…ぜんぶ変身するのかっ…?!」
「とおーぜんっ! あ、閃忍フォームももちろん用意するわよっ!」
「せ…閃忍はそんな簡単に…コスプレ感覚でホイホイなれるわけじゃないっっ!!」
うららは無自覚に、閃忍試験に落ち続けたヒビキの古傷をえぐっていた。ぐりぐり。
ばんっ!! 「【『《きゃあっ!?》』】」
「やってみなさいっ!!
これでエスカチームがパワーアップするなら、挑む価値があるわあああっっ!!!」
「さ…さやかさんっ!?」
「んー、さやかさん、本音は?」
「閃忍フォームに神騎フォーム、魔女フォームの4人…っ!
コスチュームのイマジネーションがっ! 捗るっっっ!!!」
動機はともかく。
計画…承認。
(続く)
筆者の環藍河です。お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
今回はギャグ全振りシリーズ「○○化計画」第4弾をお届けします。
ただ…書き始めたら、結構シリアス部分も濃いめマシマシ。
次回もあらすじの通り、サファイアが、アメイズが、大ピンチ。
ただし飽くまでベースはギャグなので、肩肘ほぐして、頭からっぽにしてゆるくお楽しみくださいませ。
なお、「異世界」転生ではございませんので。無双系や追放ざまあ系をご期待の方にはお詫び申し上げます。
しかし…エスカチームにガチで実装されたら、4人×3勢力のSSR…Wピックアップガチャ×6週連続。
少なくとも作者(環)は嬉しいですが…一気に出されると財布が絶滅するので、どうかお手柔らかに…。