超昂大戦SS エスカチーム転生計画、ここに発動! 作:環 藍河
てっぺんの尖った目出し帽と白衣に身を包む科学者2人が、手術台の美少女を見下ろす。
「クックックッ…これより春雛うららへの魔力因子人工移植手術を開始する。」
「いや〜、またウチらの手で、魔力と医学が飛躍的に前進しますなあ、お師匠様!」
「ああ、ご同輩も喜ぶだろうねえ。」
うららは…ゲッツェンの凶刃に倒れたルビーにすべての魔力を託し、神騎アカリエルとして甦らせるも、自らは力尽き…消滅した。
だが…彼女は、生きていた。
その残留思念にいち早く気づいた魔女が、接現力でうららをかろうじて現世に繋いだのだ。
もっとも、その目的は善意にあらず…!
手術台のうららは、両手両足を魔力吸収金属で拘束され、もはや俎上の鯉。
「や…やめろおっ、やめなさいっ、ジョッカー!」
「…誰かね、それは?」
プカルルが麻酔吸入を始めると同時に、ルカが眼球ほどの大きさの生体を瓶から取り出す。
(ウソっ…、まさかアレを、私に…?
イヤっ、やだっ…!)
拒絶は虚しく、薄れゆく意識にかき消された。
(…ダメ…だ…。)
…
……
びーっ、びーっ、びーっ…
「アカンっ、クランケが脱走やあ!」
「ふむ…記憶消去が不十分だったかねえ。
それにしても、あの拘束具を引きちぎるとは…さすが我輩の選んだ魔力因子だねえ。」
「お師匠様、呑気すぎますよお!」
(はあっ…はあっ…)
改造手術を終え、目覚めたうららは脱走を図るも、魔女の研究施設の屋上に追い込まれる。
だが、心の奥に響くそのフレーズを、うららは迷わず口にする。
「ディープアセンション・ウララ・ウィッチ!」
しゃきいいん…!
移植された雷鳥ガルーダの魔力因子が覚醒し、孤独の戦士に勇気の翼を授ける。
ばさっ…!
(私は戦う…!
そして、悲しい戦士は…私で最後にする!)
魔女うららの行手には、箱船の改造魔女たちがこれから何人も立ちはだかるだろう。
だが、今は飛び続ける。闇の向こうの朝陽を目指して…。
【超昂大戦Ifストーリー 第40話 非業の翼! 超昂魔女ウララ・ここに接現!】
…
……
「〘『【初代ロイダーそのままーーっ!?】』〙」
「うらら…自分がやってみたいだけの設定をゴリ押しするな…。」
「ダイビートが悪の秘密結社になって…俺はその総統で…うわあ。」
「前回の閃忍回と…繋がりがとれてないよ…?」
「箱船はこんな非人道的組織じゃないわよーーっ!!」
「いいのっ! 全てはノリと勢いっ!」
…言っちゃった。
「ルビー! 次はあんたよっ!」
「ま…まだやるのおっ!?」
「当然っ! 神騎アカリエルと閃忍アカリになっても、これでいいなんて慢心しちゃダメっ! 自分の限界、自分で決めてんじゃないわよっ!!
4属性フルコンプ、パーフェクト・ルビーへの険しい道のりは、まだまだ始まったばかりなのよおっ!」
(ま…慢心って…?)
【劇場版 超昂大戦Ifストーリー】
チャプター7 立ち上がれ何度でも! 魔女が託した希望の未来
「あああああーーーーっっ!!」
どさっ。
「エスカルビー…いや、超昂神騎アカリエル。
天界からの神力と閃忍の力は、我らのテクノロジーを結集した結界で既に封じた。ADDDも失った貴様が、私に勝てるはずが無かろう。」
めりめりめりめり…っ!
「うぐうーーーっっ!!」
うららが命がけで授けた翼を、背中ごと無慈悲に踏みにじるゲッツェン。
転生し最強となったはずのアカリエルも、神騎の力の源を封じられては、為すすべがなかった。
(ごめん…うららちゃん…。あなたが命がけで私に託した翼なのに…!
私…活かせなかった…。悔しい…!!)
「待ちなさいっ!」
「っ!…貴様は…!」
「私の魔眼、アカリにあげる。
アカリ、叫ぶのよ! 心に浮かぶ、その言葉!」
(…聞こえる…。
エリーちゃんが託した…魔力因子の叫び…!)
「ディープアセンション! アカリ・ウィッチ!!」
もがれたはずの天使の翼が、再び神々しく輝く。
失ったはずのADDDの駆動が、熱さを再び取り戻す。
天界と下界が…科学と伝承が融合し、いまアカリをみたび大空へ…!!
(…そうか。そうなんだね…!)
もがれた金色の翼は、燃える紅き翼と甦る。
その魔力因子は…フェニックス。
(感じるよ…うららちゃんの心を!
この翼で…この魔力で。
ゲッツェン! 今度こそあなたを止める!)
【チャプター8 ルビー第2の転生! 超昂魔女アカリ・接現!】(続く)
「〘『【変身の大安売りだああーーーっ!!】』〙」
「あの…チャプターって…?」
「ブルーレイ収録されたときの話っ!」
「コレ…劇場版なの?」
「地上波シリーズで3回も新フォーム出したら、超合金やフィギュアとかのグッズ展開がとっ散らかるでしょ!
第4の最終フォームは劇場版の隠し玉っ!」
(どちらかと言うと…ラスボスが倒しても2回進化する、みたいな…?)
…トキサダにも、うららのゲーム脳菌が侵食してきたらしい。
「もしくはVシネマ『エスカチームVSルーキー閃忍』クライマックスの隠し玉よっ!」
「あ…私たち、魔女フォームでイノリちゃんたちと戦うんだ…。」
「違うっ! アカリ、わかってないわねっ!
序盤で刃を交えたエスカチームとイノリたちが、クライマックスでタッグを組んで真の敵に対峙するの! その瞬間…」
【Vシネマ『エスカチームVSルーキー閃忍』
チャプター9 競演! 超昂魔女&超昂閃忍!】
「〘『【ディープアセンション!!】』〙」
「〘『装身っ! 天衣霧縫っ!!』〙」
「アカリ・ウィッチ!」【ヒビキ・ウィッチ!】
『ウララ・ウィッチ!』《エリー・ウィッチ!》
「閃忍イノリ。」〘閃忍ライカ!〙
『閃忍ムツカ!』
「そして!」
【超昂閃忍ハルカ!】
『同じくスバル!』《そしてナリカよっ!》
…
……
「こうして、特別編限定・総勢10人のドリームチームが誕生するのよっ!」
(は…ハルカさんたちまで巻き込んでるーーっ!?)
もらい事故である。
(や…やっぱり私も、魔女化するのか…)
(ヒビキだと…魔力因子はさしずめ、フェンリルかな?)
(エリーは…次に接現したら、生命の危機に瀕するはずだったが…?)
※第1部終章ストーリーをご参照ください
たぶん、そこも解消する覚醒エピソードか何かを挿入するのだろう。
…
……
「以上、エスカチーム・マルチ属性化計画の概要、および運用イメージをご覧いただきました! 採用いただけますよう、ご検討のほどよろしくお願いします!」
【映像制作著作 ハルヒーナ】
ぺこり。
「…楽しかった。こんなエスカチームも悪くないね。」
さやかがニッコリ。
「…じゃあ!」
うららがぱあっと色めき立つ。
「はーい、それじゃ各自、自分の仕事に戻る!」
『トキサダー、サボりが長いわよ。司令室に至急戻りなさい。』
「あ…うん、楽しい創作だったな。」
終了。解散。
「渾身のプレゼンをおっ!
暇つぶし扱いすんなーーーっっ!!」
うららが憤慨するも。
「現実問題、4通りも戦い方をマスターするの…難しいよ?」
アステライズフォームで苦戦したアカリの言葉だけに、重みがある。
「既存の閃忍さま方や神騎、箱船の領分への介入だからな…。義理を通すだけでなく、こちらも一度始めたら『飽きましたー、辞めます』では済まされないぞ。
まさか、若頭領にいちいち尻拭いをさせ、お手を煩わせてはならないだろう?」
実は、道理が引っ込むほどの、無理がある。
「私たちが始めたら、今度はイノリやライカも超昂戦士化、神騎化、魔女化しないと釣り合いが取れないわよ?
それどころか、単純に約160名いる今の戦士、ぜーんぶ4属性完備したら…」
正月ルビーとか、バレンタインアメイズとかも漏れなく4属性化させると、総勢640タイプ…。
うん、カオス。
「う…裏切り者おおーーーっっ!!」
うららの遠吠えが、プレゼン会場に寂しく響く。
以上、エスカチーム・マルチ属性化計画、凍結。
【続く】
…え?
【後日】
「さやかさん!」
「うららちゃん? おかえり。どした?」
「先日ボツったマルチ属性…
私たちエスカチームのは、ボツで仕方ないわ。」
「…私たち…『のは』…?」
うららの気迫を感じ取るさやか。
「でも…一人だけ、絶対に立案したいの。
プレゼン、明日持ってくるから、聞いてね。」
戦士、閃忍、神騎、魔女。
うららが属性チェンジを切望する相手は…!
【ホントに第3章に続くっ!】
筆者の環です。
うららの空想パワー(=環の妄想)であと先考えず爆走ノーブレーキでお届けの、この「○○化計画」シリーズ。
第5弾にして、本編のうららの頑張りに触発され、次回「マジメかー!!」方面に反転します。
…とりあえず、読者諸兄は、原作本編を最新章(第2部9章)までお読みいただけますように。