龍驤がヤサグレるワンピース   作:HIRANOKORO

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矛盾は人生の激辛スパイス

 無駄にCP9とおしゃべりしたり、情報を与えたりしたわけではない。

 龍驤の目的はロビン、ウォーターセブン、ガレーラカンパニーの安全確保である。

 しかし、ルッチは約束を破ろうとした。だからそれ以上、ロビンとした約束を破らせないようにした。

 そして、龍驤自身を協力者へ仕立てあげた。恩と情報の押し売りだ。

 結果、真面目なルッチさんがどうなるかと言えば、当然、約定を守るために努力することとなる。それが、どんな約束になっているかも知らないまま。

 世界政府がのしかかり、上司の無茶振りを機転でかわしても、昭和日本が仁王立ちしている。

 すまないが、これで終わりだ。詐欺とはそんなものである。つまり、現場トップを掌握した。

 これが諜報戦だ。立場さえ手に入れればいい。CP9は無力化された。

 次なる危険。

 青キジの介入は、アイスバーグさんとロビンの接触を警戒してと、推測した。

 なんか違う気がするが、構わない。

 なんであれ、CP9がロビンの身柄を確保している限り、バスターコールの発動はないはずだ。ちゃんと捕まえてある。

 そして、アイスバーグさんだ。この島に限れば、世界政府よりも影響力が大きい。彼は思い知る。

 麦わらには頼れない。マジで。

 正面戦力ならともかく、陰謀とか諜報とか、なんなら政治とかの役には立たない。よって、自分でなんとかしようとする。恐らくは、平和的に。

 そう思ってたら、最高の手札を切ってくれた。

 単純に早いもの勝ちで、運行中の列車内でフランキーの身柄を確保するとか、シフト駅のココロさんに連絡するとか、もっと安全で確実で、平和的な方法もあったのに、正面から政府と身柄を取り合ってくれた。

 しかも、猥褻物陳列罪で。

 笑うより唖然としたね。ルッチさん、歴史に対する罪の疑いと、過去の政府船襲撃の罪を問おうとしてたのに、いきなりそんなんぶつけられて、たぶん、失神してた。

 龍驤ならあんな衆目の中、露出狂を超凶悪犯だと言い張るのは嫌だ。どこまでもパワハラに晒されるルッチさん。

 で、フランキーは本当に嫌われているし、アイスバーグさんは本当に慕われているもんだから、本当に恥。

 民衆はアイスバーグさんを信用した。

 海パンのおっさんを、反政府テロリスト呼ばわりは恥ずかしい。深刻な犯罪であることに間違いはないからだ。残念なことに、フランキーは嫌われてはいても、恐れられてはいない。

 憎まれてもいない。

 市民は味方をしないまでも、敵対はしない。

 この均衡が欲しかった。フランキーを隠されたり、逃がされたりしたら、ガレーラがずっと危険なままだった。

 そして、麦わらの襲撃。

 均衡したなら、押し返さなければ。そうでないと動けない。素晴らしい。流石、我が一味である。

 しかし、アイスバーグさんが、素直に撤退までしてくれるとは思っていなかった。仲間たちは仲間たちなりに、あのあと、きちんと信頼関係を結んだらしい。

 よかった。

 マジでなにやったんだろう。他人任せにする人じゃなかったのに、残った職人が一人しかいない。

 とにかく、これでウォーターセブンとガレーラカンパニーの安全は確保出来た。

 あとは、麦わらの一味を龍驤が撃退したら、すべては丸く収まる。

 なんでだ。

「さあ!! 思い知らせたるわ、ガキどもォ!!」

「どうして、そんな殺る気なんだ」

 反抗期です。たぶん。

 龍驤が考えた海賊王への道とは、ナミの航海術と龍驤の偵察能力を駆使した、RTA戦略である。

 ロジャーに倣って、ナワバリ争いを横目に、功績だけを掠め取る。

 可能であるかは別にして、悪くはない。なにせ、この戦略の欠点は、目的地がわからないことだけだからだ。

 だいぶ致命的な気がするが、自由なチャートを組める。寄り道上等。RTAなのに。

 だから、空島へ行ったことすら、追手を引き離し、ポーネグリフを見つける結果となった。

 大丈夫。ガバってない。

 だが、エンカウントがおかしい。

 高いモラルと強い統率力を背景に、ガープが寄り道する付近をナワバリにして生き残る、奇跡の海賊アルビダ。

 実は伝説世代に関わるほどの長いキャリアを、平和の海とかいう海賊にとってはむしろ危険な海域で積み重ねた、神に愛された男バギー。

 キャプテン・クロもクリークも、クズではあったが有能ではあった。ちゃんと組織を引き継いでたり、武器だけは豊富に取りそろえていたり。

 なんなら弱くなかったし。

 アーロンはもう、よく勝てたなと。本人、躁鬱だったかも知れないけど、ちょっと格が違う。家出した小僧が独立後、ひと月足らずで戦う相手ではない。

 東の海でこれだ。

 グランドライン手前で、本部大佐と海王類に囲まれ、入っては世界最大のクジラと海賊王のクルーと出会い。

 お姫さま、秘密組織、巨人、王様、七武海、期待のルーキー、神、プロゲーマー、海軍大将。

 で、世界政府である。

 なんですでに、四皇以外の上澄みと交戦経験があるんだ。むしろ、普通と出会ってない。おかしいだろ、この一味。

 だいたい海賊なんて、出会ったらダメなんだわ。ジョリー・ロジャー的な意味で。逃げないなら避けられないので、どんな努力も無駄なんだけど、だからなんだ。

 海賊なんてしょうもないに決まってんだろが。無双ラインは、フルボディだっつの。

 挙げ句、四皇幹部が兄弟で、殺し合い一歩手前の殴り合いをした。

 コンプリートだ。

 まだ、前半です。

 無理だ、こんなん。戦略を構築するだけ無駄。準備なんか絶対に出来ないし、対策もない。

 やってらんねえよ。

 龍驤はヤサグレている。

「危機感を共有しろォ!! キミら、もう、ホント!! このままやと、死ぬぞ、マジで!!」

 地団駄を踏む龍驤を、一味は冷たく見つめている。ロビンは笑っている。ルフィは言い聞かせた。

「それが海賊だ」

「たぶん、違う」

 誰だ、本当に。歴史から消された本物の海賊なんてものを、ルフィへ仕込んだやつ。心当たりが女系なんで、革命軍を潰そう。

「人は死ぬぞ?」

「だから、なんや?」

 転生者うぜえ。

 龍驤とルフィは見つめ合った。

 そこには確かに、考え方の違いがあった。決して交わることのない、価値観の違いがある。

「大将がチャリでうろついとんのに、手加減なんかしとれるか。ウチは本気でやる。構わんやろな、ルフィ?」

 つまり、味方の出番はない。

「一人で出来ることなんて、なんにもねえぞ」

「そんでもや。それに、そのときは一緒に死んでくれるやろ?」

 矛盾すんな。

「お前、なんか最初に会ったときみたいだな」

 ルフィが嫌そうな顔をした。当然、ゾロも、サンジでさえそうだった。ロビンはニコニコ。ナミはちょっとずつ、にじり寄っている。

 あのときは、仲間にするのを嫌がったルフィだが、もう仲間だ。二度と悩まないし、答えは決まっている。

「俺は死なねえよ。仲間だろうが。黙ってついて来い」

「人やないのやめろ」

 船長も矛盾してた。

「負ける前提が気に食わねえ」

「考え過ぎんなって、言っただろうが」

 それぞれ声をかけるが、龍驤には響かない。

「考えなさ過ぎじゃない?」

 その点については、そう。強く言えない。

「そもそも!! ワンピース探しが一種の謎解きやねんで!? なんや、ネタバレダメって!? 推測もまともに喋れんで、どうやって目指すんや!?」

「それは、なんとかしろ」

「ウキャーっ!!」

 発狂した。この船長、マジでワガママ。

「殺す。殺さんまでも、痛い目見さす」

 龍驤の目が座る。ルフィは笑顔だ。話が単純だからだ。

「やってみろ。俺は負けねえぞ」

「キミがウチに勝てるわけないやろが」

 ルフィが消えた。砲声はあとから聞こえた。龍驤の手には、海楼石の枷がある。

「全長180m、深さ20m。満排水量12、000t。出力65、000馬力。わかるか、ガキども? そもそも、ウチは巨人なんや」

 最小サイズのタンカーぐらいだ。

 たぶん、海列車も同じ。

 諦めてメタなことを言えば、原作だと海列車はサイズが可変式なので、なにが正解かわからない。

 でも、最初の描写だけ見たらそうなんだ。

 海列車って、タンカーサイズの貨物船を、外輪使ってモーターボート並のスピードで運用する、ちょっとよくわからない代物なのだ。

 もちろん一般的には、海列車はSLサイズだと解されている。ただ、それだとメリーとそこまで変わらない大きさなんで、矛盾するような。

 そうでもないような。

 ロマンがある方にします。

 まあ、つまり、龍驤は軍艦なのに、この世界だと列車にも勝てないわけだ。

 テクノロジーで上回られたという意味では、黄金船よりショックが大きい。フライングメリー号ぐらい。

 もしくは、ひっくり返しても大丈夫なお家。

 アーロンは深く、龍驤の心に棘を刺していた。

「キミらには勝つよ!! ああもう、キミらには負けんわ!!」

 龍驤はヤサグレている。

「高角砲の口径は12cm、120mm!! 戦車砲とほぼ同じ!! 撃破出来ん地上目標は、あんまりない!!」

 なんで効かないやつがいるのかな。せめて仲間だけは、龍驤を尊重して欲しい。

 死んで欲しくないのにやり込めたくて、やり過ぎるけれど根拠なく大丈夫だと信頼する。お母さんへ、とんでもない暴言を吐くときみたいに。

 本気で、反抗期の甘えである。

「海楼石。このチートアイテムさえあれば、ウチは海上と同じように戦える。今まで、散々、チビやちんちくりんやとバカにしくさって」

「悪かったから、落ち着け」

「空母龍驤ちゃんはデッカいんや!!」

「わかったから」

 ちょっと、シャレにならないようである。勝つの負けるのよりも、このままだと龍驤の癇癪で駅が崩壊する。

 ここまで来て、そんな理由で手配されたくはない。

「おい、ルフィは大丈夫か?」

「気絶してるだけよ。鼻ちょうちんしてるわ」

「昨日、寝てねえしな」

「ずっと寝てたじゃない?」

 やっと現場まで来たナミが、ルフィの安否を確認する。ゾロとサンジは反論しない。龍驤はとにかく、不満を口にする。

「負けんならええて!! 勝ったときのこと考えて!! フランキーとロビンとウチがいたら、島が危ないでしょ!?」

「なんとかなんだろが」

「なんとかしろよ」

「したるがな!! キミらぶちのめして!!」

 そういうことになった。

 

 

 向こうでは愁嘆場だが、フランキーとパウリーは真面目だった。二人の後ろには、守りたいものがある。

 いや、守りたいだけなら、パウリーは残らなかった。アイスバーグさんだけ、無事であればいい。

 海列車を作りたい。パウリーには夢がある。

 それは、仲間とともに実現するはずだった。仲間がいなければ、実現しないものだ。

 職長とは、アイスバーグさんはもちろん、パウリーもこれはと見込む男たちだ。

 特にルッチは特別だった。

「なんでだ?」

「なんで、とは?」

「なんでなんだ!? 理由を言えよ!!」

「知る必要はない」

 仕事が大事な二人だった。

 友達になれた。友達だった。

 だが、それだけだ。

 仕事が違った。もはや、交わることはない。

 それでもパウリーはとりあえず話せと縋りつく。

 どうにもならないと、わかっているのに。

 仕事がないとダメなのだ。優先するのはそれだけだ。仕事がなければ、まともな人間として認めてもらえない。

 愛するものなど、いくらでも犠牲に出来た。それが仕事であるなら。

 二人は同じだった。仕事が違った。

 だから、人生が違うのだ。

 やはり、愁嘆場だ。

 フランキーは居場所がない。

 標的なのに。

「あー、俺たちは河岸を変えようか?」

「そうですね。お邪魔なようですし」

 カリファが眼鏡をクイッとする。ルッチは言った。

「必要ない」

 カクは首を傾げるが、ブルーノは無視する。フランキーは、残念そうにそれらを見ている。

 帰りたい。ルッチは心からそう思う。

 任務はもう、終わったも同然だ。

 そのはずだった。

「お前ら、なにが目的だ」

 今さらか。始まってなかった。

 フランキーは切実に尋ねた。

 そう言えば、なんにも説明していなかった。帰って来たらいきなり囲まれて、脱がされたのに露出を咎められて、なんか過去をほじくり返されて、しかも寄って集って否定された。

 挙げ句になんか好き勝手に、それぞれ修羅場を見せつけてくる。

 フランキーには、状況が理解出来なかった。

 だが、なんと答えていいものか。

「古代兵器の設計図はどこだ?」

 ルッチはブレなかった。端的に尋ね返した。フランキーは驚かなかった。

「そうだろうな、とは思ったが、やっぱりそうか。まさか、こんな大っぴらにやって来るとは考えてもいなかったが」

 それはそう。なんでこうなっちゃったのか。

 冷静に考えると、アホなことをしている自覚が半端ない。

 騙されている間は気づけないものだ。

 龍驤が混乱を起こしたため、事態をどう収拾するべきか、わからなかった。

 フランキーを犯罪者として逮捕する。とても簡単で、問題のない方法に思えた。世界政府に逆らえるわけがないと思った。

 実はそうでもない。逆らいまくっているからこその、大海賊時代だ。

 あと、幽霊組織が表に出た。絶対にやっちゃダメじゃん。

 しかも、権力で奪えればまだよかったが、麦わらの介入によって、CP9は武力でもって、フランキーを奪うしかなくなった。

 都合よく、麦わらとアイスバーグさんのおかげで人目がなくなったけどさ。ここどこだと思うよ。

 わざわざ混乱を起こしたいわけではないのだ。必要なら、バスターコールでウォーターセブンごと更地にするつもりではあるが、必要がなければやりたくはない。

 そこは歴史とのトレードオフなのだ。オハラでさえ、その決断はギリギリまでなされなかった。

 つまり、完全に現場へ権限が移譲され、重要拠点であるウォーターセブンを舞台にした今回の事例は、オハラ以上の危機だと認識されている恐れがある。

 もしくは、そこまで考えてないか。

 それが、世界政府なのか青キジも含むのかは、今後重要な要素になるだろう。バカどもめ。

 で、アイスバーグさんはこの状況であっさり引いた。決定的な対立は避けた。トレードオフは成立しなかった。

 この対立を深めるわけにはいかない。

 なぜなら、どっかの砂漠で、ワニが虎視眈々と隙を狙ってやがるからだ。

 情報を持っていないので、CP9にとってアイスバーグさんは価値がない。しかし、道理のわかるアイスバーグさんは、世界政府にとって大事に決まっている。もう、無茶は出来ない。

 これも、龍驤の安全確保策だ。バカばっかり過ぎて、効いてない疑いがある。

 人は与えられた情報に基づいて、物事を判断する。自分で決めたつもりでも、実はそうでないことはいくらでもある。

 だから、ネタバレはダメなのだ。

 例え、ここにオハラ以上のなんかがあるかも知れなくとも、仲間と相談出来ないぐらい。

 仲間に頼れないなら、敵を利用する。

 龍驤はヤサグレている。

 巻き込まれたすべては、ご愁傷様である。

「テメェらの事情は知らねえが、俺はここで捕まるわけにはいかねえのよ」

 さてここに、龍驤が考慮に入れていない登場人物がいる。

 フランキーだ。

 街のチンピラは世を忍ぶ仮の姿。本当は、歴史に名を残して当然の職人だったりする。その技術で命を繋ぎ、ウォーターセブンを守ってきた裏の顔。

 つまり、間違いなくやらかす側の人間だ。

 フランキーはT字のパイプを取り出した。

「コネクター、セット」

 能力は波形である。つまり、エネルギーだ。

 では、覇気とはなにか。質量である。

 たぶん。

 だから、龍驤は艦娘という不思議を最大限利用して、その代替とする方法を編み出した。

「フハハ!! どうした、どうした!? そんなもんか、アアン!?」

「その、服が剥ける仕様、どうにかなんねえのか!?」

「チビでデブなだけじゃねえか、このボケナス!! せめて、一部だけでも膨らんでみろ!!」

「言い過ぎよ、サンジ君!?」

「死なーす!!」

 楽しそうだが、ぶち壊す。

 質量はエネルギーであり、エネルギーは質量だ。質量は凄いのである。

 だから、フランキーも利用した。海王類を仕留め、航海の安全を確保するために、フランキーは日夜研究してきた。

 しかし、質量攻撃は大変だ。打ち出す機構もちゃんとしなきゃだし、弾を持ち運ぶ面倒もある。

 例えば、銃はエネルギー攻撃である。銃弾は軽い。銃の威力は、速いことにほとんどの理由がある。

 そう考えると、純粋な質量攻撃って肉弾戦ぐらいしかない。あと、核。

 ギリギリ、大砲を質量攻撃としよう。

 戦艦であるバトルフランキーならともかく、サイボーグであるフランキーへ搭載するのは適さない。

 これを解決したのが、この世界の空気である。頑張れば踏める泥だ。

 弾薬がいらない。炸薬の質量もいらない。発射機構だけでいい。そしてフランキーには、超高効率蒸気機関の知識と技術があった。

 空気は気体だ。押すことが出来ない。つまり、力を伝えられない。

 だが、泥だったらどうだ。それを圧縮して、高速で撃ち出したら。

 それぞれの前腕に集められた空気は、押し出されることでさらに圧縮され、コネクターで圧縮され、合流してまた圧縮される。

 トドメに拗じられ、練り上げられた泥は、もはやビームだ。

「クー・ド・ヴァン!!」

 空気の泥は、即座に目の前の空気へ着弾する。だが、ビームの放出は一瞬で終わらない。着弾によって固着化した空気はそこでも圧縮されて、次の空気を巻き込む。それは連鎖反応的に拡散し、被害範囲は拡大し、一切が押し流される。

 およそ、ガレオン船一隻分以上の容積が、泥の津波となった。衝撃波を発生させたのだ。

 時速100kmの風で、街は破壊される。だが、大和の大砲でも、こうはならない。龍驤の世界では起こらない。

 それはいつか見た覇国をスケールダウンしたような、そんな現象だった。

 誰も津波に抗えないように、膨大な質量には、同じく膨大な質量かエネルギーで対抗するしかない。物量を前に、個人の強さや技術はなんの意味もない。

 それを個人で実現するのが、覇気という理不尽である。

 あまりにも矛盾。

 ウソップとは違い、フランキーは覇気を明確に理論化し、兵器へと変えた

 この世界最強の力は、存分に威力を発揮した。

「え〜?」

「こいつは……」

「よっしゃ、逃げるぞ」

 誰もいなくなった。調子に乗った龍驤以外、みんな吹き飛んだ。なんなら、列車も横転した。

 ちなみに、海列車って本質的には船でして、駅と呼ばれているが、ここは港である。

 能力者がたくさんいた気がする。

 ロビンはちゃっかり、安全な場所にいた。なんというか、主役が軒並みいなくなってしまった。

 俺が主役だと言わんばかりの海パンの誘いを、ロビンと龍驤は丁重に断った。

 段取り全部、吹っ飛んだ。

 龍驤はヤサグレている。

「やってくれたなあ」

「しゃあねえ。あとは頼んだぜ」

 感情をぶつける相手を失ったパウリーと龍驤は、ドタドタと走り去る変態を、恨めしげに見送った。

 

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