龍驤がヤサグレるワンピース   作:HIRANOKORO

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人生の迷子になると始末に負えない

「そうか。猿の惑星か。納得した」

「なににだ?」

 猿が褒め言葉になる人類寄りのなにかと、猿寄りな船長が仲良く談笑している。

 この辺りは彼らのナワバリのようで、一触触発な雰囲気だったが、オモロイので回避された。

 理由が納得出来ない。交渉担当なのに出る幕がなかった。

 なんか睨み合ってたかと思ったら、次の瞬間には向こうが照れていた。

 照れていたのだ。意味がわからない。

 あとはもう、ルソッチョが猿というか、マシラを招き入れてお互いの船は並走している。

 水夫として腕はもの凄くいいのだが、あんまり強くないマシラ海賊団。少数精鋭の遊覧船に一人で乗り込んで来るのは、器の大きさだろうか。実は大人なのかも知れない。子供たちに大人気的な意味で。

 彼らは海賊を名乗っているが、世界有数の職人集団である。

 このグランドラインで海底から船ごとサルベージするとか、とんでもなく高い技術力だ。

 潜水士そのものはレジャー目的でもなれる職業だが、沈没船なんかでの作業は大変に危険を伴う。

 そのような業務を行う人間を海猿と言ったりはしないが、しないので船長以外はごく普通の人間ではあるが、異世界とか関係なく、優れた特殊技能の持ち主だ。

 また、クレーン船というのも扱いが難しい。日本はおろか、世界でだってそう数があるものでもない。

 そもそもとして、海底は宇宙よりも遠いフロンティアだ。人工衛星は邪魔になるぐらい飛んでいるのに、地震大国日本においてすら、地震計を満足に設置出来ていない。

 それぐらい、水中は難しい。

 なんだったら、海賊よりも命がけの稼業である。陽気なバカだが、尊敬すべき人々なのだ。

 マシラは鷹揚に言った。

「ま、沈む前なら仕方ねえ。海の底は俺らのもんだが、浮いてるもんにまで口を挟む気はねえよ」

「太っ腹だな!!」

「流石、ボス!!」

 たぶん、ガラクタばっかりだからだと思う。およそ、ほとんどの品が腐食してボロボロだ。話を聞けば、奪う気もサルベージする気も失せるだろう。

 船長たちはわけてやろうとしているが、猿は丁重に断っている。ナミがなにも言わない時点でお察しだ。

 これらは船倉に収めることは許されず、各人のロッカーに仕舞われ、飽きた頃に龍驤の資材となる。

「しかし、園長かぁ」

 鎮守府には幼稚園がいっぱいある。駆逐艦が多いというより、艦娘が揃うと資材がかつかつだからだ。高校生ぐらいの軽巡が、小さな駆逐艦たちを引率する遠征は、資材確保の目的がある。ほのぼのとした風景の割に、世知辛い懐事情の絡む話である。

 ちょっと補正をかけないと見てられない。主に長門のせい。ひいては、日本の立地環境が悪い。

 特に大規模作戦に参加する予定があると、もう本当にフル稼働で、遠征に行くやつらは休みも整備もしっかりして、キラキラしながら出かけていくのに、執務室に籠もった秘書艦連中は、化粧も装甲も剥げて深海一歩手前で地獄を見る。

 器用で比較的エコノミーな龍驤はどっちにも駆り出され、駆り出されるからには修羅場であるわけだ。

 遠征へ行くのにいつもキラキラしてるのを能天気だと思っていたが、違う。あれはなんか直前に無理矢理、自然とそうなるのだ。

 わけがわからないが、そうなのだ。たぶん、戦前は合法だったという理由で、人間でない艦娘にはなにか盛られてる。だって、間宮と伊良湖があんな悲しそうに。

 やめよう。

 そんなとき、潜水艦の連中を見ると心が和む。やはり、自分より下がいると安心する。艦娘が人間と共通する部分である。

 汚い。やはり、艦娘は汚い。

 軍の広報に騙された新米提督が、心折れる瞬間である。

 決して、かわいい女の子とキャッキャッうふふする場所ではない。艦娘は悪名高き帝国海軍であり、日本が日本であることは未来永劫、変わらない。

 資源なんぞないのだ。

 どうして0歳児なのに辛い記憶ばっかりがあるんだろう。龍驤は不幸だ。

 どう考えても恵まれてるやろと、西村艦隊に嫉妬を交えつつ、船は進む。少なくとも、やつらは精鋭で構成されていた。

「で、どこ行くんだ?」

「ジャヤだ。知らねえか?」

「ジャヤ?」

 ナミの顔がしかめられ、龍驤はヤサグレる。

「まあ、いいとこだぞ。ガラは悪いが、自由だ」

「いいとこそうだな!!」

 船長を含め、みんな気に入ったようだ。まあ、行きたいのは空島なので、ログの問題はあるが、適当である。

「龍驤はなんか知らないのか?」

「メリーで空を飛ぶ方法? 十年くれたら、ウソップとウチで実用化したる」

 キレながら言われた。時間がかかり過ぎると、簡単に切り捨てるルフィが大物過ぎる。龍驤の機嫌が悪いのだから、なんかまた、とんでもない非常識なのだろう。

 その通りだ。

 現代では車すらまだ飛ばない。なのに、船舶。しかも、ほとんどゼロから十年である。妖精さんはもちろん、龍驤も技術開発など出来ないので、九割ウソップの手柄である。

 パチンコでトカゲを狩ってた悪ガキが、十年で重力制御技術とか、なんかその辺を扱えるようになる世界って、夢があるだけですまない。

 ガソリンエンジンだって、十年あれば組めるようになる。そうした教育をする大学校や専門校もある。

 そのレベルで重力エンジンが身近なのだ。義務教育とかなくても、途上国の人たちがなんとかかんとか中古車を運用しているのよりも、ちょっと凄いレベルだ。

 本田さんが町工場で、スーパーカブを作る感覚。それで船が飛ぶというか。

 怪獣はもちろん、スーパーヒーローすらデフォだろうよ。そりゃフォースぐらいあるだろうさ。

 龍驤はとにかくヤサグレている。だがもう、どう吐き出していいかわからない。

「ちょっと!! いいの!?」

「なにがや?」

「なにがって、色々あるでしょ!?」

「ネタバレやん」

 そう言う問題だろうか。龍驤はとにかく、不機嫌だ。つまりはなにかを誤魔化している。

「情報の共有は必要だと思うわ」

 ロビンが助け舟を出す。ナミは喜ぶが、龍驤は素っ気ない。

「それが判断になんの影響も与えんのであれば意味はない。船長が求めてへんのや。放っとけ」

「心配じゃないの!? 生きるか死ぬかでしょ!?」

「ちゃうな。死ぬと決めて海へ出たんや。そう生きると決めた以上、どう死ぬかだってエースが決める」

 エースと黒ひげの戦いはニュースになっている。顛末は知っていたが、龍驤が止めていた。興味があるなら自分で見るし、日誌には書くと言って。

 それ読むのか、と思ったりもした。もう、一味では片手で持てない厚みである。人類が、と言えないのがアレだが、島一つ越えただけで、百科事典が千科事典みたいになっている。あれを安置するためにも、新しい船が欲しいと思うレベルである。

「進路を決めるのは船長や。急ぐ旅路でも、状況でもない。なら、冷水浴びせず見守ったれ。それがええ女の条件や」

 同時に、よい参謀の条件でもある。的確な時と場合を選んで、情報なり助言なりを与える。そうでなければ、うるさいだけになってしまう。よって、いい男の条件であったりもする。

 リーダーかそうでないかだけで、実は性別でなく、立場や役割の違いで振る舞いは変わる。そんなものだが、常識は様々なものを縛るのだ。性別など、人間を二つに分けるほどの違いではない。

 ただ、常識を外れればオカマになる。塩梅が難しい。自由だからなんでもいいわけではない。あと、そっちの断絶こそ人類を分けそう。

「冷たいのね」

「鉄で出来とるしなぁ」

 ナミの不満を受け止めつつ、船はジャヤに向かう。

 ガキどもは盛り上がっている。

 

 

 猿は首を傾げている。

「どう見てもジャヤだな?」

「ジャヤですね、ボス」

「なんかおかしいのか?」

「おかしかねえが、腑に落ちねえ」

 一応、ジャヤの気候海域の外にいたのだ。要は生のグランドラインである。スムーズに行けばおかしくない行程だが、スムーズに行かないのがグランドラインだ。

 なのにスムーズに着いてしまった上に、なにかと騒がしいジャヤ近辺で、なんのトラブルもなく、他の船に出会うこともなく、ここまで来てしまった。

 慣れているが故に、なんかおかしい。でも、たまにはあることである。

 猿だからというわけでもなく、言語化出来ないモヤモヤを抱えながら、とりあえず自分たちの拠点を指差す。

「あれが俺たち猿山連合の本拠地だ」

 空気の破裂音がした。振り返ると、龍驤がロビンに抱きついて顔を隠していた。

「なんだよ?」

「反則やもん」

「あれよ、機嫌の悪いポーズ取ってたから、吹き出したのが恥ずかしいのよ」

 ナミの解説に、わかるようなわからないような顔をする男性陣。ただし、ここで余計なことを言わないという学習はすんでいる。

「そんなオモロかったか?」

「え? 解説させるん?」

 船長を除いて。

 変なことを言い出すやつと、変なところに引っかかるやつが、ギャグの深淵について語り始めたので、丁度いい。

「ボス猿のご登場か」

「スゲー城」

「よく見ろ。ありゃハリボテだ」

 ハリボテだけど、ちょっとワクワクしながら近づいた。そのハリボテの裏から扉の開く音がして、一人の老人が現れた。

 彼は目を見開いて言った。

「どうしたマシラ? 早えじゃねえか。獲物は見つかったのか?」

「栗ぃ!?」

「なんだ? テメエら」

 その気持ちはよくわかる。猿山連合なのだ。実にさるあがりな園長さんなのだ。

 その棟梁とあれば期待するのは仕方のないことなのだ。

 出会い頭にがっかりされたあげく、髪型を思いっきり揶揄された暫定、猿山連合ラストボス。モンブラン・クリケット老は、どうにも合点のいかない顔で、麦わらの一味を睨みつける。

「沈没船の近くで、たまたま居合わせてよ。気の合うやつらなんで連れて来たんだ」

「そいつはよかった。俺はクリケットだ」

 まだ要領は得ないが、慣れているのか歓迎はしてくれた。いい人っぽい。

 ギャグの深淵には辿り着けなかった船長が、船べりから身を乗り出した。

「おっさん!! 空島を知らないか!?」

「空島ぁ!?」

「俺たち、空島に行きてえんだ!!」

 不意を突かれた顔のクリケットさんは、しばらく呆けていた。そして、笑い出した。大笑いだった。今度は麦わらの一味がよくわからない顔になったが、マシラが嬉しそうだ。

「そうか、そうか!! 空島か!! ウワッハッハッハ!! こりゃバカヤロウを連れて来たもんだぜ!!」

 バカにされたが、なんにも言えない。栗呼ばわりしたあとである。

 お互いをこき下ろすような挨拶だったが、猿山連合と麦わらの一味は、友好的な邂逅を果たした。

 龍驤は納得いかない。

 

 

「まぁた気の長いことを」

 龍驤のボヤキに、一味がゲンコツを食らわせる。クリケットさんは、チョッパーの診察を受けている。

 その合間に、互いのこれまでについて色々と話した。途中、ウソップが撃たれたが問題はない。避けているし、当てる気はなかった。ただちょっと、あんまりにも鮮やかに避けるもんだから、ついつい銃口で追いかけてしまっただけだ。

 見くびるつもりはないのだが、こうしてウソップに不意を突かれることはあるあるなので、船長はともかく他の二人はなんにも言わない。クリケットさんも誤魔化すように、遠くを見てる。

「これは決闘なのさ」

 男も女も感慨深く聞いていたのだが、艦娘だけが違った。またと言われて、クリケットさんが疑問符を浮かべた。撃たれたウソップとルフィが嬉しそうに教える。

「前の島でよ、巨人に会ったんだ」

「それが百年も決闘してるってんだ。理由もないのに!!」

 チョッパーも加わって、微笑ましい光景である。窓の外に猿がいる。

 二匹。

「増えてる!?」

「ハラハラするぜ。気づかれないかと」

「おう。帰って来てたのか、ショウジョウ」

「ああ、今は海が騒がしくていけねえ。それよりおやっさん。具合でも悪いのか?」

「なあに。タダだってっから、診てもらってるだけだ」

「いや、潜水病を舐めたあかんで」

 急性とまでは言わなくても、潜水直後に発症すると思われがちな潜水病だが、慢性症状もある。

 潜水病は圧力により、溶解していた窒素が気泡になって血流を阻害する病気である。圧力に加えて、血液中の空気が原因ということもあり、身体深くまで影響が及ぶ。

 よって、骨が壊死する。

 寒さにかじかむ指が、腐って落ちるようなことが、骨で起こるのだ。関節や骨格が変形することもある。猫背、がに股、ときには顎が歪む。

「いや、生まれつきだが?」

「キミらには聞いとらん」

 なに類かもわからない。それよりクリケットさんだが、大丈夫なようだ。自覚症状が出てからでは遅いのだが、そんなこともない。だから、おかしいって。

「揃って心肺機能どうなっとんねん。あれか? 内功の類か? 猿山連合の共通点ってことは、そういう覇気か?」

 覇気は技術である。自覚のあるないに関わらず、そういうものなのだ。猿山連合には、強靭な肺活量や心肺機能を鍛えるノウハウがある。

 修行でもしてたらいい。男連中をそっちに預けて、空島について聞く。

「で、そのノーランドが空島の証言者か?」

「そうだ。行ったことがあるわけじゃねえらしいが」

 クリケットさんは枕元にあるブックスタンドから、一冊の本を抜き出した。龍驤とロビンは、それがノーランドの航海日誌であることを確認する。ナミが飛びついた。

「その辺、読んでみろ」

「すごい!! 400年前の」

 ナミとロビンがそれを読み込むが、龍驤は別のものに興味を示した。

「ジャヤについては? 特にその前の島」

「あるが、空島とは関係ねえぞ?」

 クリケットさんは迷いなく、別の日誌を開いて渡した。龍驤は答えた。

「ログが示しとんのにか?」

「おい、どういう意味だ?」

 龍驤はテーブルに海図を広げる。ナミが、龍驤の集めたデータを元に書き起こしたものだ。クリケットさんは驚く。

「ナミ。ログが奪われたのはこの辺りか?」

「うん、そうよ」

「ここらは海が深い言うたが、マシラのナワバリはどうや?」

「比較的浅いな。だから、大海蛇の巣になってやがる。漁場にもいいんだ」

「あの辺、気候も安定してへんか?」

「そういや、そうか? そもそもここは、あんまり苦労のねえ海域だ」

 だからこそ、サルベージなどという、難しい作業が出来るのだろう。グランドラインでは、下手に停泊するだけで命取りにもなる。いくらでも船など沈んでいるのに、魚人でさえそのような商売をしない理由である。

 猿山連合がナワバリを持てるのは、そんなジャヤ周辺の事情があるからだ。

 龍驤は日誌を見る。そして、その記述と海図を比べながら、航路を逆算していく。

 見つけた。

 やはり、あの場所には、かつて島があった。日誌には記されている。

「なるほど。一族がキミ以外、辿り着けんわけや。この日誌に従うと、ジャヤとログで繋がっとるはずの島が見当たらん」

「なんだと?」

「沈んだんやろな。いつかは知らんが」

「本当に?」

 ロビンが食いつく。ナミも気づいた。ログは空に奪われたのではなかった。奪った相手は、深海にいた。

「そうか!! ログは基本、次の島を指すように作られてるから……!」

「そうや。ジャヤは、黄金郷は空にある。このログの先や」

 あのガレオン船が墜落した海が、ジャヤの、空島の前の島だった。あの場所でログが貯まるまで停泊しなければ、誰も気がつかなかった。

 偶然がいくつも重なった。どれも空前絶後の幸運だ。

 そうして麦わらの一味のログポースはジャヤを、空島を示したのだ。

 クリケットさんの口から、タバコが落ちた。妖精さんが慌てて、布団から蹴り出す。そして、床でサッカーを始めた。

「あ、あるってのか? 黄金郷が、本当に? 空にだと?」

「ログに従えばな」

 ジャヤにも磁気はあるが、繋がってはいない。正確には、ログを辿って来る場所ではない。そうでなければ、海賊たちの拠点にならない。冒険に出た何人ものモンブランが、今の素人のような海賊たちに劣るはずもない。

 グランドラインと言えども航海は出来る。技術は発展し、素人までが海に出た。冒険家で、日誌を知っていれば、必ず辿り着けるはずだ。でなきゃ、一味が遊覧船で来れないから。

 ただ、普通には行けない場所なのは間違いない。

 猿山連合だけでなく、ジャヤにはたくさんの海賊が共存している。この島では、ケンカすら抑制的だ。ケンカが問題なのに。

 ライバルを蹴落とす必要がない。

 それだけ獲物が多いのだ。大国アラバスタと、マリージョアなどに挟まれた海域だ。当然だろう。何隻もの船が行き来するはずだ。海賊にとってはおいしい航路だが、どうして放置されているのか。

 マリージョアの下には、海軍本部もエニエスロビーもある。新世界が四皇に支配され、魚人島の所属が曖昧であればこそ、交易のために重要視されてもおかしくはない。

 クロコダイルと他の七武海にも挟まれている。普通なら狩場になる。

 だが、クロコダイルは入り口を。他の七武海は出口を押さえるに留めている。海軍も本部があるのに取り締まりをしない。おそらくだが、ジャヤの周辺はログがズタズタになっているのだ。

 島食いに荒らされたリトルガーデンと同じだ。なまじ、歴史やら情報を持っているが故に、島の消滅といった劇的な変化に対応しきれていない。空白の百年のせいで、連続性も途絶えている。

 戦力の回復を図る海軍は手を出さず、七武海も傍観する。冒険をしない。

 だからこそ、ここに海賊たちが逃げ込んだ。夢を諦めた。立ち止まってしまった。

 ジャヤへのエターナルポースを手に入れたら、もはや海賊としては終わりだ。先に進むことも出来ず、この生ぬるい環境に飲み込まれる。経験だけは積むが、この海域でしか役に立たず、むしろグランドラインの厳しさから遠く離れていく。

 ジャヤは、グランドラインの落伍者たちの楽園なのだ。もはや、彼らはこの先に進む気などない。

 放置されているだけで、包囲されているも同じなのに。

 龍驤は捻転した。

「なんでここにあったもんが空に!? そりゃウチが出した結論やよ!? だからってなんで!?」

 人生をかけた決闘。その決着がつきそうだった。しかし、横入りして来たバカが悶えている。床を転げ回って、妖精さんのサッカーを邪魔している。

「島やぞ!? 怪獣とちゃうねんぞ!? 少なくとも、ウチ、高度六千メートルまでは監視しとったんやぞ!? 挙げ句、海て!? 雲海に島が浮くかぁッ!! アァァァァっ!!」

 泣いている。ガチ泣きだ。妖精さんがそんな龍驤にブーイングと、ゴミを投げている。

 なんて声をかけたらいいか。

 家の外では、人間サッカーボールキック大会が開催されている。

 能力者が海へ飛ばされた。

 

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