リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件   作:フェルトファン

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 今回もまた、投稿が遅れて本当にすみませんでした!!!

 それと水星の魔女最終回を観ました。本当にハッピーエンドで本当によかった!(遅すぎ)

 水星の魔女の制作関係の方々に感謝を……今作のガンダム作品を制作してくれて本当にありがとうございます!



 あ、ちなみにキャリバーン買えませんでした……(涙)



Episode 18 さかな〜、チンアナゴ〜、◯◯◯◯◯

 

 

 

 

 

 

「良いとこ………ってここですか?」

 

「うん、綺麗でしょ〜ここ!私、好きぃ〜〜」

 

「(良いとこって………ここかぁ……)」

 

 自慢気に胸を張る千束の隣り、館内の周りを見渡すたきなと蒼夜。先程の店のスィーツを食べ終えた彼らは現在、千束が以前から行った事がある()()()へ辿り着いたのであった。館内へ入った時、周りには様々な魚類が水槽の中で泳ぎ回っていた。その中、蒼夜とたきなは思わず『おぉ〜』っと口に出し、見つめてしまう程だった。

 

「……よく来るんです?」

 

「ふふ〜ん〜♪見てこれ年パスー!気に入ったらぁ、たきなと蒼夜君どうぞ〜?」

 

 自身の年間パスポートを見せ付けて自慢に笑う千束。仕事にはあまり馴染みが無いだが、こういう所へ来るのにハマるのだろうかと、少し疑問を感じるたきな。

 

 一方、蒼夜はというと………

  

「(ーーーーーうぉ〜スゲェ………これも魚……だよな?あ、あっちもいた!)」

 

 水槽内に泳いでいる多くの魚を食い入るように見つめる蒼夜。そしていつの間にか、スマホで泳いでいる魚を撮ろうとしようとしていた時、千束がこっそりと蒼夜の方に駆け寄って来た。

 

「ねぇ、蒼夜君?」

 

「(ビック!)……は、はい!?」

 

「もしかして………水族館へ来たのは初めて?」

 

「………え?」

 

「だって………さっき蒼夜君の目がさ、キラキラしていたし……もしかして水族館へ来たのは……初めてなのかな〜……って……」

 

「(………あぁ〜そういう事か……)」

 

 千束の目線から見たら、蒼夜が水族館へ来るのが初めてだろうと勘違いしていのだろう。実際、蒼夜は水族館へ来た事があるのだ。もちろんそれは、前世の世界での出来事である。

 

 まだ子供だった蒼夜は、早く亡くなった両親の代わりに自分を育ててくれた祖父母が、何回か水族館へ連れて行かれた事もあった。

 

 しかしその祖父母も亡くなってしまい、水族館へいく機会が無くなってしまったのだ。というのも、前世での生活費の為、どこかへ遊びに行く暇も無かった。

 

 つまり今日、水族館へ訪れるのが蒼夜にとって久しぶりである。

 

「そ……その………な、亡くなった……そ、祖父…母……に……つ、連れて……た、こ、事が……あり……ます……」

 

「ーーーあ………」

 

 “亡くなった祖父母”、その言葉に千束が、申し訳なさそうな顔を浮かべていた。

 

「ご、ごめん……そ……その………」

 

「い、いいえ………だ、大丈……夫……です……」

 

「大丈夫って………あ〜〜〜もう!暗い話はおしまいおしまい!ほら!たきなの所へ向かうよ!」

 

「え……ちょっ!?(て、手ェェェェ!!??)」

 

 —と、突然のことで驚く暇もなく蒼夜は千束に引っ張られるようにして、その場を後にした。そんな中で、たきなはタツノオトシゴが気になったようだ。

 

「お!いたいた……って、どうしたの?」

 

「これ、魚なんですって。」

 

「まじ〜!?ウオだったのか、こいつ!」

 

「この姿になった合理的理由があるんでしょうか?」

 

「ご、合理?り、理由?え~?」

 

「何かあるでしょ………ねぇ、蒼夜さん。」

 

「………えっ!?」

 

 突然たきなに質問された蒼夜は、思わず驚いてしまう。しかし、あまり魚の知識に関して詳しくない蒼夜は困惑していた。だが、何も喋らずにはできないと、蒼夜はすぐに答えを出す。

 

 

 

 

 

「......ぺ......台座形態(ペデステルモード)……か、から……変形した………とか……」

 

 

 

 

 

「「…………な、なんて?」」

 

「…………なん……でも………あ、ありま……せん…...(くっそ恥かしぃ!!)

 

 突然意味不明な発言をした蒼夜に対し、同時に首を傾げたと共に疑問の声を上げ、少し戸惑う彼女達。蒼夜は自身の発言で恥ずかしくなってしまったのか、早くもフードで顔を隠そうとする。

 

 

 

 

 そしてしばらく進むと、特殊な形をしたチンアナゴの展示水槽にたどり着く。水中でふらりと揺れ続けるチンアナゴを不思議そうに見る蒼夜と早速スマホで調べようとするたきな。

 

「(おぉ〜〜これがチンアナゴか………ん?)」

 

「これも魚ですか………ん?」

 

 その時二人は、思わず訝しげな声を上げる。なぜなら彼らの前で、千束が水槽の近くで両手を頭上に伸ばして身体を“クネクネ“と、奇妙な動きを始めた。その動きはまるで()()()()()()()()をしているかのような動きにも見える。

 

「………あの………なにしてるんですか?」

 

 ——とここで、たきなが思わず千束に問いかける。

 

「え、チンアナゴだけど?」

 

「人が見てますよ、目立つ行動は……」

 

「ん〜〜〜なんで?」

 

「なんでって………私たちはりk……女子高生ですよ!」

 

「制服着てないときは、女子高生(リコリス)じゃありませぇ〜〜ん〜〜」

 

「……もう、蒼夜さんからも何か言ってください……」

 

「えぇ………(……そんな事を言われましても……)」

 

 

 

 

 

 

 ────その後三人は、数種類のマンタが泳ぎ回る大きな水槽の前まで移動し、蒼夜とたきなは、館内のベンチに座る。

 

 ちなみに千束は、何故か未だにチンアナゴの物真似を続けていた。

 

「はぁ……一体いつまで続けるんですか……あの人は……」

 

「で.....ですね.....(あ、やべ.....トイレ行きたくなったわ。)........す、すみま....せん....お.....お手.......洗いに.....い、行って....きます.....」

 

「あ、はい。分かりました。」

 

 ——と、そうたきなに伝えた蒼夜は席を外し、館内にある厠へ向かった。そんな彼の背をたきなが見送り、視線を戻した彼女は千束の背中を見つめる。

 

「……………千束。」

 

「んー?」

 

 その時、未だ揺らめく彼女の背に、たきなは突然疑問を千束に投げかけていた。

 

「………()()()()()()()()使()()()()()()()?」

 

「…………え、な〜に急に?てかそれ、蒼夜君に聞かれたらダメでしょその質問……ってあれ?蒼夜君は?」

 

「お手洗いだそうです」

 

「あ〜……そっか……っで、急にどしたの?」

 

 チンアナゴの真似を止め、振り返ってベンチの方に歩み寄った千束は、そのままたきなの隣りへと腰掛けた。横並びで水槽の前に座り、先ほどの会話を続ける。

 

「旧電波塔の時は?」

 

「あぁ〜……あの時、先生に作って貰ったのよ。」

 

「……何か理由があるんですか?」

 

「何、何〜、私に興味あんのぉ?」

 

「……タツノオトシゴ以上には……」

 

「えぇ〜チンアナゴよりもぉ〜?」

 

「茶化すならもういいです。」

 

 話す気は無いらしい、と諦めた様に水槽へと視線を戻したたきな。揶揄っていた千束はそれを追い掛けるように、同じ様に水槽を見上げて口を開いた。

 

「気分が良くない……誰かの時間を奪うのは気分が良くない、そんだけだよ」

 

「……気分?」

 

「そっ!悪人にそんな気分にさせられるのはもぉーっとムカつく!だから、死なない程度にぶっ飛ばす!アレ当たるとめちゃくちゃ痛いのよ?死んだ方がマシかも〜〜〜!」

 

「……ふふっ……ふふふっ……!」

 

 そう千束が苦しげにお腹を抑える真似をする。そんな彼女を見て、思わずたきなも“くすくす“と笑い出す。そんな彼女を見た千束も楽しそうに反応し、軽くたきなに肩をぶつける。

 

「なんだよぉ〜!変〜?」

 

「いえ………もっと博愛的な理由かと、千束は謎だらけです。」

 

「お、Mysterious Girl!そっか、そんな魅力もあったか私ぃ!でもそんな難しい事じゃないよ〜〜」

 

「ーーーーもしかして、“したい事最優先”ですか?」

 

「お、覚えてるねぇ〜!」

 

「もちろん………もしかして、DAを出たのも?」

 

「……えっ?」

 

「殺さないだけならDAでもできたでしょ?」

 

「…………あぁーーーーーー」

 

「それも?“そうしたい“って、全部それだけ?」

 

「…………」

 

 突然途端に歯切れの悪い反応をし始めた千束は、そのまま俯いてしまった。彼女の表情は、まるでどこか悲しげで、儚げな表情で憂いているようだった。この時たきなは、“もしかして何かまずかっただろうか“、と思っていたが………

 

「…………人探し……なんだ……」

 

「……なんです?」

 

「会いたい人がいるの………大事な……大事な人……」

 

 儚げな表情をしている千束は、自身の首へと伸ばす。そして、胸元に隠してある()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をたきなに見せる千束。

 

「……まあ、その人を探したくて………さ。ねぇ、知ってるこれ?」

 

「?」

 

 

 

 

 一旦水槽を離れて飲み物を買い、明るい場所でテーブルを挟んで向き合う。そんな場所でたきなは、自身のスマホを取り出し、千束の言葉を頼りに彼女のチャームと調べたサイトを見比べていた。

 

 そのネットの記事には、『アラン機関』と呼ばれる支援団体の事が簡単にまとめられてあった。その謎の団体は才能ある若者を見出して、様々な支援をさせ続けていた。そして、支援を受けた人には彼女が持つフクロウのチャームが贈られるらしい。

 

 つまり、千束にもそのチャームを受けるに値する“才能がある“という意味でもある。

 

「………確かに同じですね。何の才能があるんですか?」

 

「分からなぁ〜い?」

 

「……それじゃないのは分かります。」

 

 ——と、壁に貼られたグラビアの写真と同じポーズを取った千束をあっさりと一蹴するたきな。バッサリ切り捨てられた事でショックを受けたのか、千束は額をテーブルに突っ伏した。

 

「……自分の才能が何とか分かる〜?」

 

「何かあると良いですけど……」

 

「そんな感じでしょ〜?」

 

「……あ、それなら蒼夜さんは?実は“才能”あったりして……」

 

「いやいや、それは……「た、ただ……いま……も、戻り……ました……」……お!おかえり〜蒼夜君!」

 

「す、すみま………せん………その……お、遅く……なって……(あっぶねぇ〜〜〜ついさっきまで迷子になってたわ……)」

 

 初めて来た水族館ではある為、少しだけ道迷いをしてしまった蒼夜。しかしそれでも彼女達は、遅れた彼をすぐに許し、買ってきた追加の飲み物を蒼夜に渡す千束。

 

「いいって!いいって!全然大丈夫だよ!後これ、あげるね!」

 

「あ……ありが……とう……ござい………ます……」

 

「そんなに敬語はいらないって………ところで蒼夜君さ。私には何の才能があると思う?」

 

「………さ、才能?」

 

「うん、私がこれを持っていたのよ。その話になってさ〜」

 

「はい、それがこれで………って、千束これ……蒼夜さんに見せてもいいのですか?」

 

「え?あぁ〜大丈夫大丈夫。別に隠すわけでもないしさぁ〜」

 

「(なんだ………フクロウのチャーム?)」

 

 迷わず蒼夜にチャームを見せてしまったたきなは、少し焦ってはいたが、そんな事を全く気にしていないと答える千束。一方、そのチャームを見た蒼夜も自身のスマホを取り出し、フクロウのチャームについて早速調べ始めた。

 

「(確かこれって……あ、あったあった……アラン機関……“貧困や環境に苦しむ天才を見つけ出し、匿名のもとに無償の支援を行う”とされる謎の支援機関………確か昨日、テレビのニュースにも出たよな………)」

 

 ネットニュースに載ってある記事を読む蒼夜。その記事を読んだ彼は………

 

 

 

 

 

 

「(なんか、胡散臭くねぇ?)」

 

 

 

 ——と、内心で早速疑い始めたのであった。

 

 

 

 

「(無償の支援を送るって………どう考えても怪し過ぎるでしょ。後で多額の請求書とか送られ、払わなかったら強制的に労働されるんじゃないよね……それとも……サンダーボルトに登場する南洋同盟(なんようどうめい)みたいな団体なんじゃ……というか錦木さん大丈夫なのか……手足が勝手に義手義足に改造されたりしてないよね…)」

 

 早速とアラン機関を疑い始める蒼夜。前世の世界でもそうだったが、彼……暁月蒼夜はこう見えて詐欺や謎の宗教などには警戒心を強く持っている。もちろんその理由は、自身の生活と日常を守る為であった。

 

 

 

 

「……蒼夜君?」

 

「っ!……ご、ごめん……なさい……そ、それ、あ、アランの……ペ、ンダ…ントです……か?」

 

「まぁ〜ね〜。あ、蒼夜君、もしかして私の才能について知ってる〜?」

 

 そう言って千束は、先程たきなに見せたポーズを再び蒼夜の前で披露する。そんなポーズを再び披露する千束に対して「何やっているんですか、この人は…」っと、呆れた顔でため息を吐くたきな。

 

「………す、すみま…せん………分かり………ま、ません……」

 

「あぁ〜〜〜………まぁ、ですよねぇ〜」

 

「…………それで、見つけたのですか?これをくれた人は?」

 

「いやぁ〜〜全然……」

 

「……十年も探して?」

 

「……もう、会えないかもね………」

 

 たきなが腕を伸ばして、預かっていたチャームを千束へと返す。受け取った千束はそれを見下ろして、すうっと自身の瞳を細める。そして視線を変え、水槽の中で泳ぎ回る魚達を寂しげな表情で眺める千束。

 

「ーーーーーー“ありがとう”……って言いたいだけなんだけど……」

 

「「…………」」

 

 たきなと蒼夜は、何も言わずに千束を見つめた。彼女が一体、どれだけの時間でその人を探していたのか。または、どんな想いでその人の事を考えているのか

 

「……たきな?」

 

「(……ん? )」

 

 その時、突然たきなは立ち上がり、何も言わず水槽の近くへと向かった。そうして水槽の前の広場で両手を重ね、身体を前へと傾けて片足を伸ばす。恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めているが、それでも彼女は、とある物真似をしようと身体を張っている。

 

 

 

「さかな〜っ!」

 

 

 

「お〜!さかなかぁ〜!よぉ〜し……チンアナゴォ〜!」

 

 

 

 それを見た千束は、再びいつもの笑顔に戻り、チャームを首に戻してたきなの横へと駆け寄る。彼女の隣に並び立つよう、今度は千束もチンアナゴのポーズを見せつけ、周りの客達に稀有な目で見られるというよく分からない空気へと辺りが変化してしまった気もした。

 

 中には、「わぁ、何あれ〜」っと、子どもにマジレスされている中、千束とたきなは阿呆らしいその振る舞い方に当てられて面白可笑しく吹き出してしまった。

 

「……くっふふ……あっはっはっはっ……!」

 

「………ふっ、……ふふふっ……!」

 

「(……………なんか………楽しそうだな………二人とも……)」

 

 お互いに笑いながらも、楽しそうな表情を見せる千束とたきな。そんな彼女達を羨ましそうに見つめる蒼夜にとって、彼女達の表情はとても眩しかった。千束に関しては、先程までの憂い顔が消え、リコリコの看板娘であるいつもの笑顔が戻った。

 

 そんな千束の姿を、たきなは瞳を細めて眺めていた。

 

「………それ、隠さない方が良いですよ」

 

「え……そう?」

 

「えぇ………めっちゃ可愛いですよ。ね、蒼夜さん?」

 

「…………えぇ……」

 

 そう言ってたきなは、次の言葉を蒼夜に託す。それを千束は視線を変え、蒼夜の方に向ける。それに気づいた蒼夜は、千束になんて答えればいいのか迷ってはいたが、彼女の瞳を見て、すぐに答えを出した。

 

 

 

 

「………に、似合って………います………す、すご……く……です……」

 

 ——と、蒼夜は答えた。そんな彼の返事を聞いた二人は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「「……………」」

 

「(……………あ、あれ?)」

 

 

「…………ねぇ……今、蒼夜君……()()()()()……たきな……」

 

「………はい………確かに……()()()()()……」

 

「(………笑ってた………僕が……?)」

 

 

 蒼夜自身は気づいてはいなかったが、たきなの問いに答えた時、確かに彼女達の前で少し微笑んでいた。というのも、人と喋るのが大の苦手な彼は、笑顔を見せないどころか、どうやって笑顔を作るのかも完全に忘れてしまっていた。

 

 そんな彼の笑顔を二人は、リコリコで働く事になってから以来、初めて見たのだ。

 

「ね、ねぇ蒼夜君!もう一回!もう一回笑って!」

 

「蒼夜さん………すみませんが、私の方からもお願いします!」

 

「(え………えぇぇ……そんな事を言われても………)」

 

 蒼夜の笑顔をもう一回見たいと願う千束とたきなだが、あの時無意識にやっていたので、彼自身もどうやってあの笑顔を使ったのかも分からなかった。

 

「もう………はっ!そうだ!ほらっ、こっちきて蒼夜君!!」

 

「え………ちょっ!?」

 

 その時、突然千束が蒼夜の手をグイグイと引っ張り、たきなと同じ場所までまで連れてこられる。

 

「ほらほら、蒼夜君もやって!」

 

「………な、何を……?(なんか………スゲ〜嫌な予感が………)」

 

「私とたきながやっていた真似事だよ!もしかしたら、それで蒼夜君の笑顔が見れるかも!」

 

「…………え?」

 

「もちろん!さっきみたいに私とたきなもやるからさ!」

 

「ちょっ、千束!?まさか……さ、さっきのをまたやるんですか!?」

 

「もちろんそうだよ!あ、ちなみに蒼夜君は、チンアナゴとかさかな以外にねぇ〜!」

 

「(…………ま、まさか……)」

 

「じゃ、いくよぉ〜!」

 

「(…………マジでやるの!?えぇ……ちょっとまて……えぇ……)」

 

 咄嗟に言われ、蒼夜は大きく悩む。それもそのはず、突然そんな事を言われたら悩むのは当然だろう。そんな千束の突然の提案に巻き込まれたたきなは、諦めたかのように彼女の提案に即座に釣られてしまう。

 

 しかし、肝心の蒼夜は、内心で未だに悩み続けていた。

 

「(お、落ちるけ僕!!考えろ……考えるんだ!なんとかこの場を突破しなければ……魚とチンアナゴ以外………マーメイドガンダム……いや、あれは違う……だったら、グラブロ……いやこれも魚じゃないだろ!)」

 

 悩み続ける蒼夜だが……悩んで……悩んで……そしてその時、脳内に浮かんだ“とある言葉“で実行する事した。

 

 

「(よっし!大丈夫、やってみせるさ!!……落ち着け………ハロ……皆ごめん、僕は……行くよ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、さかなぁ〜〜」

 

「チンアナゴぉ〜〜」

 

 

 

 

 

 

ユニコォォォォン!!!

 

 

 

 

 

 人差し指を出した両手を自身の額に付け、一角を再現する蒼夜。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「………………え?」」

 

 

 

 

 

 

 しかし、突然意味不明な言葉を叫んだ蒼夜に対し、千束とたきなの目が点になり『ポカーン』っと、開いた口が塞がらなかった。もちろん彼女達だけではなく、この水族館に来た他の客達も目が点になり、思わず蒼夜の方に視線を振り向ける。そしていつの間にか館内は微妙な空気へとなってしまった。

 

 

 

「あはは!ユニコーン!」

 

「シッ!()()()()()()の真似をしちゃいけません!」

 

 

 

 グサッ!!

 

 

 そんな中、ユニコーンの物真似を見た通りすがりの親子がそんな事を言われたの聞こえた。その子供も真似をしようとした途端、母親が速攻で止める。しかも蒼夜の事を”不審者“と呼び、まるで矢に射抜かれたかのように精神的なダメージを負ってしまった。

 

 

「え、ちょっと何あれw?」

 

「あの人絶対ヤバイ人じゃんあれw」

 

 

 

 グサッ!グサッ!

 

 

 また、ユニコーンの物真似を見た二人の男子学生にもそう言われ、更に追加のダメージを負ってしまった蒼夜。

 

 

「え……えっと……たきな……ユニコーンの魚なんて………あったっけ……?」

 

「えぇ……っと……ちょっと……調べてみます……」

 

 

 

 グサッ!グサッ!グサッ!

 

 

 

 話し合っている千束とたきな。もちろん蒼夜に聞こえさせないようにこっそりと話し合っているが、運悪く彼女達の会話が耳に入ってしまい、余計に蒼夜に与える追加ダメージを増やしてしまった。

 

 すると突然蒼夜は下を向いたまま、ふらっと歩きながらどこかへ向かおうとする。

 

 

 

「......ね、ねぇ……蒼夜君……ユニコーンって……あれ?お〜い、蒼夜君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死んできます」

 

 

「「蒼夜(君&さん)!!??」」

 

 

 

 ——っと、遠い目となった蒼夜がそう語ると、二人は慌てて彼を止めに入る。

 

 

 

 

 

 

 その後、なんとか彼を元気付けようとペンギン島へ向かう事になった。ペンギン達を見た千束が『可愛い!』とめちゃくちゃ興奮している横でたきなも千束ほど煩くはなかったが、彼女も小声で『かわいい…』と、少女らしさを持っていた。

 

 

 ちなみに蒼夜はというと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………し……しにたい………」ブツブツ

 

 

 

 

 

 

「「まだ病んでいたの(ですか)!?」」

 

 

 

 

 

 

 どうやら彼……暁月蒼夜が回復するまで、少しかかるかも知れない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻………

 

 

 

 

「♪〜♪〜」

 

 

 蒼夜達が水族館で楽しんでいる間、とある街中で一人の黒コートを着る緑のアフロ髪の男が、口笛を吹きながら歩いていた。

 

 

 

「♪〜♫〜♩〜」

 

 

 アフロ髪の男……()()は、北押上駅の地下鉄へ向かっていた。しかしその様子は、電車に乗るような様子でもなかった。まるで、これから始めるを起こそうとしている雰囲気だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヴェーダカラ緊急報告アリ。至急、ソウヤニ報告セヨ!』

 

『『『了解!了解!』』』

 

 

 

 

 






モブ主「ユニコォォォン!!」

ユニコーン「ハッ!今……誰かが自分を呼んでいるような…!」

バンシィ、フェネクス「「多分、お前の事じゃないと思うぞ兄弟」」
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