リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
それは、松下の依頼を終えた後の事だった………
時は、既に空が暗くなった頃……
東京の街並みから明かりの大半が既に消えており、大半の人々も既に寝静まっているだろう。
だが、そんな暗くなった街でも、
「コンテナは四つ隠しておいた。」
「また指示がある………上手く行けば、半分渡す。」
旧電波塔がよく見える場所で、夜陰に紛れて二人の男が何らかの取引を行なっていた。しかもその姿は、以前
黒髪の男は、赤髪の男に札束の入った封筒を渡す。それを受け取った仲間は、“分かった…”とだけ返答し、背を向けながらその場から去っていくのだった。そして黒髪の男も別の方へ向かおうと、夜の街の方へと歩いて行く。
その直後、
ベージュ色の制服を着るボーイッシュの少女………
今回、DAから与えらた任務はターゲットの確保。もちろん相手に不審な動きが見えたら、捕獲もしくは抹殺する事も許可されていた。それを聞かされた少女は“この任務が成功したら、セカンドに上がる事もできるかも知れない”と、内心で昇進する事ができると思い込んでいる。
だからこそ彼女……サードリコリスは、この作戦を成功させなければならないと、怪しまれないよう慎重に動きながら尾行を続ける。
それから数分後、男は暗くなった街の歩道を渡った途端、サードはゆっくりと自身の銃を抜いた………
その時だった………
キィィィィィィ!!!!!
「………ッ!?」
突如、車のエンジン音が聞こえたと同時に光が照らされ、それに気づいたサードは思わず振り向くと……
ドオォォォン!!!
突如、猛スピードでやってきたスポーツカーが容赦なくサードの少女を跳ね飛ばした。車に衝突されたサードは、全身の身体に衝撃の痛みが走ると同時に受身も取れず宙を舞い、硬いコンクリートに叩きつけられるかのような感覚を感じた彼女は、道路のド真ん中に倒れる。
倒れたサードの身体が動かなくなり、意識が朦朧としている。そんな時、回りから少女を囲むようにゾロゾロとツナギの男達がやってくる。そしてその光景を眺めようと少女をはねた張本人である緑色のアフロの男……
「まずは1人目だ………リコリス。」
──と、真島がそう口に出すと同時に、ツナギの男達は平然と手に持っている
そんな状態となった彼女を、男達は銃の引き金を引こうと……
「……ガッ!?」
──
ついさっきまで男は、余裕を持って一番最初にサードを撃とうと銃の引き金を引こうとした直前、突如銃を持っている手に何かが当たった。しかもその後、まるで火に焼かれるかのような痛みがじんわりと徐々に感じてくる。やがて痛みが大きく広がり、小さな悲鳴と共に手に持っていた銃をその場に落としてしまった。
そして…………
「──ヅ……あ゙ぁぁッテェェ!!??」
ついに痛みに耐えれなくなった男は、大きな悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞こえたツナギの男達は、全員で声が聞こえた方に振り向くと目の前には、自身の手を押さえながら、地面に仰向けな状態で倒れているのが男の姿が目に入った。しかもよく見ると、
痛みで苦しんでいる男の様子を目にしたもう一人の仲間が近づこうとした時………
「おいどうs………ガッ!?」
「なんだ……何が起k…イィッ!?」
「あ゛………イッテェェ!?」
「お、おいお前ら!大丈夫か!?」
まるで病気が移るかのように、次々と男達は手や足に痛みが広がると当時に、悲鳴を出してしまう。また、無事だった者達もいるが、仲間が突然悲鳴を上げたり倒れたりするのを目の当たりにし、驚愕する。
「(今のは……狙撃か!?)」
一方、
今回の作戦で、
そう考え込む真島は、急いで耳に付けたあるインカムを使って
『ザ──────』
何故か、協力者からの通信が途絶えられてしまったのか、返事が返ってこない。それどころか、通信越しから砂嵐の音しか聞こえなかった。
「………おいハッカー、聞こえt───」
カラン
「…………あ?」
相手からの通信が聴けず、インカムを弄ろうとした時、足元の近くに
“なんだ、なんだ?”と部下達が遅れて反応する中、その音を一番最初に反応した真島は、自身の視線を地面の方に向けると………
そこには『SMOKE』と表示されてある小さな缶状……煙幕弾が目に入った。
「────シッ!!!」
パッシュゥゥゥゥゥゥゥゥ────
真島が自身の目を見開いた瞬間、突如地面に転がってきた煙幕弾から大量の煙が溢れ出てきた事により、真島の視界が完全に塞がれてしまった。しかも彼だけでなく、ツナギの男達の足元近くに転がってきた他の煙幕弾からも大量の煙が溢れ出てきた。
「ブウァ!?な、なんだこれ!?」
「敵だ……敵がいるぞ!」
「ゴッホ、ゴッホ!!ち、ちくしょう……何にも見えねぇ!!」
「クソどこだ!こうなったらこっちも反撃しt───」
「馬鹿やめろ、撃つな!味方に当たったらどうするんだ!」
突然襲いかかってくる大量の煙により、慌てるツナギの男達。敵襲であると気づくも、視界が煙で塞がれているせいで、視認する事もできない。当然彼らは、銃で反撃しようにも、まだ見えない仲間に弾が当たってしまう可能性もある為、むやみに撃つ事も動く事もできなかった。
視線の先には煙だけしか見えない男達は、一歩も動けずただ所持してある銃を構えながら、いつどこからやってくる敵に警戒するしかなかった。
「(インカムどころか、スマホの通信も使えねーってことは、敵のジャミングか……チッ!肝心なハッカーは使えねーし、おまけにまだあのリコリスを殺していねーんだぞ。)」
おそらく敵襲の正体は道路に倒れているリコリスと同じ物であると内心で思考する真島は、懐から自身のリボルバー……チアッパ・ライノを取り出し、周囲の警戒をしながら銃を構える。
「こういう感じ………
──と、この状況を懐かしむ真島は
「(さぁ、何処から仕掛けてくる………リコリス!!)」
この時真島は思った、襲いかかって来るのはリコリスだろうと………
それが、
ガッシャン
「───ッ!」
聴覚でその音を捉えた瞬間、真島の表情が一変すると同時に、内心で思考し始める。
「(なんだ……機械の音なのか?いやそれだけじゃねー、これは
……ッ!あのリコリスの方かぁ!!!」
部下達に向けた狙撃や大量の煙を巻いたのも、この音を出した何かであると思考する真島は、その音が聞こえた方に全速力で向かう。おそらくあの場に倒れているリコリスを救助しに来たのか、それとも別の何かが彼女を連れ去るのか……と真島は内心で思考する。
そう考えている内に、彼は自身のリボルバーを取り出し、即座に構えた瞬間………
BAN!BAN!
キン!キン!
銃口から弾丸を二発放ち、何かに直撃する。だが、直撃したその音はまるで
「(間違いねぇ……やっぱりだ!向こうに
自身の聴覚に間違いがないと分かった真島は、さらに加速する。
向かっている先には、敵がいる……それがリコリスなのか、または別の勢力なのか……
どちらにしろ、真島はただ向かう事しかできなかった。
「(……エンジン音が近い……あそこに間違いなく何かが飛んでいる!走れ……走るんだ俺!例え捕まえなくても、せめて敵の正体を目にするだけでいい………ここで絶対に逃すな!!!)」
内心で自分自身にそう言い伝えながら真島は、音が聞こえた方へただ突っ走るのだった。やがて、煙がどんどんと薄くなって行き、ついには煙の中から抜け出す事ができた。
それに気づいた真島は、相手の正体を確認しようと、視線を向けた瞬間…………
「────は?」
目の前の光景がただの暗い街にしか見えない真島は、唖然とする。急いで辺りを見回すが、それらしき姿が見えなかった。加えて、道路に倒れていたはずのボーイッシュのリコリスも、いつの間にか消えていた。
「おいおい、マジでふざけんなよ……(ならさっきのはダミー……いや違う、あれは間違いなく航空機のエンジン音だったはずだ。ましてやヘリでもねぇ………それになんだ最初の機械の音は……まるで
一体何をどうやって倒れているリコリスを救助し、この場から素早く撤退したのか。真島は内心で深く思考していた時、煙から部下である2人のツナギの男が現れる。
「真島さん大変です!さっきのリコリスって女のガキがいつの間にか消えていました!!」
「さっきから探したんですが……見つけたのは、あのガキが持っていた物です!」
そう語りながらツナギの男は、つい先ほど発見したリコリスの装備である銃と鞄、そして彼女が所持していたスマホを真島に見せる。
それを目にした真島だが、何故か一言も喋らず、沈黙したまま眺めていた。
「…………」
「ど、どうしましょう……今から探しに行きますか!?」
「…………」
「……あ、あの……?」
「…………おいお前ら。」
「「は、はい!」」
「撤退するぞ。」
「「…………へぇ?」」
「聞こえなかったか、
「し、しかし……リコリスはどうするんですか!?」
「そうですよ!まだ何処かに隠れているとk───」
「いいからさっさと行け」
「「は、はいぃぃぃ!!!」」
ようやく口を動かす真島は、今度は部下達にこの場から撤退するよう指示を出す。真島から指示を受けたツナギの男達も、急いで慌てて他の仲間達に伝えようと向かうのだった。
そしてその場に残っていた真島も向かおうとした時、ふと夜空を見上げる。
「………さっきの音は、飛んでいるようにも聴こえたが──
まさかぁ、宇宙人に連れ去られたとかねーよな……」
──と、口角を上げながら不気味な笑みで冗談半分で言い放つが、額からは一筋の汗が流れていた。
リコリスの殺害や情報を奪う事もできなかったが、それよりもまだ見ぬ勢力がこの地に存在すると分かっただけで良しとした真島は“とりあえず、あのハッカーに説教しねぇとなぁ〜”と、未だに連絡が来ない協力者に睨むような口調を語りながら、闇夜に消えていった。
それからわずか三日が経った頃、DA本部では……
「司令!2時間前に通信不明だったリコリスが見つかりました!」
リコリスの司令官である楠木が、秘書の報告を聞きながら歩いていた。しかも秘書の表情は、今までにないくらい、困惑している様子だった。
「それで……場所は?」
「今度は◯◯病院で入院しているのを発見されました!ですが……今月に入ってから、もうこれで4人目です! しかも、クリーナーからの報告だと、
「またか………チッ」
秘書の口から語られた報告を耳に入れた楠木は苦痛の表情を浮かび、思わず舌打ちを出してしまった。楠木自身も何が起こっているのか未だに原因が分からず、内心で困惑しながら指令室に入る。
「何がどうなっている!?」
「クソッ!もうこれで四度目だぞ!」
「監視カメラにも映っていないんだぞ!」
「そんなバカな!?も、もう一度調べてみろ!!」
「ダメです!原因が分かりません!」
指令室に入った瞬間、DAの職員達が手を動かしながら、原因不明の問題を探すのに焦っていた。そんな中、楠木の姿を見つけた1人の職員が思わず自身の口を閉じると、他の職員達も気づき一斉に同じ視線を向ける。
そんな彼らの前に立った楠木は、職員達に新たな指示を出す。
「全隊員にモードSで警戒態勢!」
★☆★☆★
それから翌日……
「え……リコリスが?」
『はい………4人とも、単独行動中に襲われたらしいです。』
──と、電話越してたきながそう語ると、千束は彼女の言葉に自身の耳を疑った。
「な~んで特定されてんだ〜?」
『わかりません…例のラジアータのハッキングと関係あるのかも……それに、
「そっか〜生きているのか〜………って!え、4人とも生きていたの!?」
『確かにそう聞かされました……しかも全員、
「病院………え、どういう事?」
彼女の口から語られた言葉に、千束はさらに理解ができなかった。
一応、たきなが事前に聞いてきた報告を簡単に説明すると………
単独で任務に向かった4人のリコリスは、なぜか通信不明のままそれぞれ何者かに襲われていた。だが、わずか2〜3時間後にラジアータによって発見され、同時に生存している事も分かった。しかも、発見した場所は何故か一般人が通うであろう病院の病室で入院していたらしい。
その時、DAの関係者である者達が発見した病院の医師達に、当時に何があったのかを尋ねると……
『実は……それが不思議なんです。あの日……突然緊急搬送されたという連絡が入ったんです。“10代の少女が車に轢かれた”と、そこから何の説明もなく、救急車が到着したんです。そして扉を開けると、なんとそこには、身体中に包帯だらけの10代の少女が運ばれてきたんです。幸い、事前に誰かが緊急治療をしてくれたおかげで、命に別状はありませんでしたが……念の為に救急車を運転していた者に事情を説明してもらおうと聞きに行ったら………それがなんとびっくり、
──と、目撃した医師達も何故リコリスが病院に運ばれたのかも、原因不明のままだった。しかも何故か、彼女達が常に持ち運んでいる鞄や装備などは、無くなっていた。
「なるほど〜つまり……倒れているリコリスを病院へ連れたけど、それが誰が連れたのかは分からないと……で、その救急車には運転手が最初からいない。いや何それ怖ぁ……もしかして幽霊〜?」
『幽霊かどうかは分かりませんが、恐らく遠隔操作かもしれませんね。しかも、一体どんな目的で襲われたリコリスを助けたのかも、未だに不明ですし……』
“えぇ〜何それ全然わかんな〜い!”と流石のファーストである千束も、何が原因なのか分からなかった。そんな疑問を抱いている彼女に、たきなはとある人物からの伝言を伝えようとする。
『そういえば、山岸先生から伝言を預かっていました。“しばらく、単独行動は控えなさいよ。それと今月の検診昨日よ”と……』
「………あ、あぁ~そ、そうだった〜……」
『……………行かなかったんですね』
「だ、だって~」
歯切れが悪い千束は言い訳しようとするが、自身のテーブルを目にする。
テーブルの上には、乱雑に広げられた大量の映画のDVDやお菓子の数々。もはやそれは、子供の散らかし放題のような有様だった。
『………はぁぁ、もういいです……そろそろ到着しますので、今日からペアで行動しようと思います。』
「いやペア〜って毎日お店で一緒じゃ………ん?ちょっと待って、今なんて───」
ピンポーン♪
疑問を尋ねようとした時、玄関からチャイムの音が鳴る。こんな朝早く誰だろうと思いつつ、千束は玄関のドアを開けると、そこには予想外の人物が立っていた。
何と目の前には、左足に包帯を巻いている状態のたきなが立っていたのだった。
「ですから………夜は2人で交代で睡眠をとりましょう。」
「.………へ?」
未だに状況が呑み込めていないのか、扉を開けたまま固まった千束。そんな彼女の横を通り抜けて、たきなは部屋へ堂々と中へ入って行く。
「夜は交代で睡眠をとった方がいいですし、安全が確保されるまで24時間一緒にいます!」
──と、そう告げた彼女を見て、千束は思わず喜色満面になる。
「一緒にてことは…………うちに泊まんの!?」
今の状況が緊急事態でありながらも、何故か彼女はたきなが部屋に泊まる事を喜んでいるみたいだ。
☆★☆★☆
その頃、開店前のリコリコでは………
「いくら安かったからって…………仕入れ過ぎじゃない!?」
「ジュースにすればいい……流行っているんだよ。」
店のカウンターでミズキが思わず声を張り上げるくらい、一本の包丁だけで仕入してきた大量のスイカを切り分ける作業をしている。これらのスイカは全てミカが注文したらしく、何でも最近の流行りのスイカジュースを作ろうとしているらしい。
それを聞いたミズキは、店長の思いつきに頭を痛めていると、
「おいこら何してる……さっさと働け」
「ギクッ……ぼ、ボクは電脳戦専門だから〜」
「な~に誇っているらしい言い方してんのよ!ゲームして遊んでるじゃねーか!つーかスイカ返せぇ!」
──と、スイカを取り返そうと動くミズキと抵抗するクルミ。2人がじゃれ合っていると、ちょうどそこへミカがやってくる。
「クルミ……手伝ってもらいた事がある。」
「いやだから、ボクは──」
「もちろん………電脳戦だよ。」
「……ッ!」
それを聞かされたクルミは、“また面倒な事をやらされるな”と何となく予想しながらも、今の自分を匿ってくれるリコリコの為にひと働きでもしようと、スイカをかぶりつきながら、ミカの方へ向かって行く。
「あぁ!ちょ、ちょっと待ちなさいよ!?」
やがて2人が店の奥へ向かって行くと、残されたミズキは目の前にある未だに減らない大量のスイカを再び目の当たりにする。
「……あ〜〜〜〜もう!蒼夜はどこにいるんのよぉぉぉ!!!!!」
リコリコの店の前に生えている雑草を抜いてくれとミカに頼まれた蒼夜は、草むしりをしていた。
「マジで何が起きてんだ……この街は……」
──と、疑問を抱いていた蒼夜は今月から始まって4日間の出来事を思い出す。
時を遡る事、4日前の深夜。
リコリコで千束達と別れた蒼夜は、そのままアパートへ帰ろうとした後の事だった……
「ねぇ………これはマジでどう言う事?」
──と、現在彼は、人気がいない廃工場にある物置に腰をかけてながら、目の前で“ぴょんぴょん”と跳ねている二つの丸い物体……ハロ達に疑問と共に声をかける。
『イッタハズ!緊急事態ダ!』
『ソウダ!ソウダ!』
「いや………だからって……」
揃って返答するハロ達に対して、曖昧な口調で語る蒼夜は視線を横の方にずらす。何故なら、彼の隣には
そもそも何故彼は、こんな場所にいるのか。
今からほんの数分前に、アパートへ帰ろうとした時、蒼夜のスマホにヴェーダからの報告通知が送られていた。しかもその内容は“襲われたリコリスの少女を保護し、現在東京都内の廃工場にて治療を行なっている。”と書かれており、それを目にした蒼夜は驚愕しながらも急いで廃工場の所まで向かった。
それから到着した頃、丁度その時ハロ達は既にリコリスの治療を終えていたのだった。幸い命に別状がなく、身体中に骨折などもあるが、リハビリすれば普通に生活する事ができるとハロ達が報告する。それを聞いた蒼夜は、一安心する。
だがそれよりも、もっと大きな疑問を抱えていた。そもそも何故ハロ達は、名も知らぬ女子高生を助けたのか、そして何故この少女は、襲われたのか……
「はぁぁぁぁ………これを使って助けたって事は………相当な問題があったんだよねぇ……」
──とため息を吐きながら、蒼夜は目の前で膝立ちの状態で待機している
本来そのMSの装甲などの色は、黒を基調としたカラーリングだったが、今の見た目は全身モノクロの状態で待機していた。ちなみに、装甲の色が変わったのはMSの特殊な装甲である……フェイズシフト装甲(通称:PS装甲)の電源を切っている為、電圧を無駄遣いする必要もなくなっていた。
そして何より、額には『V』の文字が載ってあった………
「一応僕が頼んどいて言うのはあれなんだけど……グゥルの操縦テストをしていた時に……なんでこうなった訳?というか、そもそもその子に、一体何があったの?」
──と、黒いMS……ブリッツガンダムとその隣にある飛行物体……大気圏内飛行用のサブフライトシステム……“グゥル”も眺めながら蒼夜は、いまだに理解が追いついていない疑問をハロ達に尋ねる。
本来、元々蒼夜がMSを乗せた状態でグゥルの操縦テストを行うはずだったが、リコリコでの仕事が増えた事であまり行う時間がなかった。だからこそ彼は、忙しい日に操縦テスト代わりとしてハロ達に任せようと、時々頼んでいた。
そして今回も、蒼夜に操縦テストを任されたハロ達は、高度600〜700メートルの高さで、テスト飛行を行なっていた。しかも、基地からの遠隔している訳ではなく、それぞれが操縦するグゥルとブリッツガンダムの操縦席で実際の操縦を行なっていた。もちろん人に見られないよう、深夜の時に行なっていた。
ちなみにブリッツガンダムに関しては戦闘訓練する必要がない為、メイン武装である“攻盾システム『トリケロス』”と“ピアサーロック『グレイプニール』”は基地で保管する事になっていた。
そんなMSを乗せながらグゥルの飛行テストが終了した後、たまたま街中で女子高生……リコリスが襲われているのを発見してしまった。その時のハロ達は、自分達の指揮官である蒼夜に連絡しようとしたが、状況から考えて彼女は謎の集団に殺されてしまうと、ヴェーダからの報告を聞かされた。
ちなみにその時の場には蒼夜がおらず、どうしようかと悩んでいたハロ達は、
「なるほどなるほど......それで考えた結果……殺されかけそうになった彼女を助けに向かって、でそれから何やかんやあった後、無事に救出に成功。そして僕がここへ到着するまで、彼女の怪我の治療もやったって事か………
いや、なんで?」
ハロ達からこれまでの出来事を聞かされた蒼夜は、思わず疑問の声を出してしまった。ちなみにその時に救助に向かったハロ達は、襲われていた謎の集団に見つからないようブリッツガンダムに
機体表面に特殊なコロイド粒子を磁気で定着させてカモフラージュする技術及びシステム。また、莫大な電力が掛かる為、バッテリー駆動での使用時間に制限があり、加えて微粒子ガスによって視覚、電波、または赤外線における自機の存在を隠匿する事も可能であり、ステルス機能を搭載するMSとしては使用できる。簡単に説明できれば、MSが透明化になるって事である。
ただし、ブリッツガンダムがステルス機能を使用した際、ミラージュコロイドを展開すると同時にPS装甲が展開できない為、防御力が低下する。ちなみに、ミラージュコロイドはPS装甲同様に電力消費が著しく、本機の場合は連続で約80分間という使用時間しかなかった。
「(先念の為に調べたけど……
ブリッツの装甲を確認した蒼夜は、ある疑問を思い出す。何故自分の確認を取らずに、ハロ達は名も知らぬリコリスである彼女を助けに向かったのか………それが気になって仕方がない蒼夜は、その事について思わずハロ達に尋ねようと再び声をかけたら………
『…………分カラナイ』
「………え?」
『ドウシテ救助シタノカ………理解ガ不明デアル。』
『分カラナイ!分カラナイ!』
『ダケド……何故カ、ソウシタ方ガ良イト思ッタ。』
『思ッタ!思ッタ!』
「……………ハロ……」
『モシカシテ………私達二不具合ガ起キテイル?』
「……え?」
『ヤッパリ、ドコカガ壊レタトカ?』
「壊れたって……いや全然そんな事ないよ!ハロ達は何にも間違ってないし!むしろ僕がいない間に、よく頑張ったよ!うん、本当に!」
不具合が起きていると思い込むハロ達に否定と共に褒め言葉を送る蒼夜。実際、名も知らぬリコリスを助けに向かっただけで、良くやったと思っている。だが、内心には一つだけ疑問が残っていた。
「(いつもは僕の指示で動いてくれるけど………もしかして
『ネェ、ネェ、ソウヤ!コノリコリス、ドウスル?』
『ドウスル!?ドウスル!?』
「え………あ〜そうだった。すっかり忘れてた〜」
ハロ達に疑問の声をかけられた蒼夜は、未だに寝ている女子高生の存在を思い出す。もちろん自分達の存在を知らす訳にもいかず、加えてここで置き去りにする訳にもいかない。どうしようかと悩み込む蒼夜は、すぐに思いつく。
「病院………うん、そうだ病院だ!ハロ、近くに病院がないのか調べて欲しい!こっちはヴェーダに救急車をハッキングし、遠隔操作で運転できるように伝えるから……よろしくね!」
『『了解!了解!』』
色々と分からない事もあるが、とりあえず今は目の前にいるリコリスを病院へ連れて行こうとハロ達に指示を送った蒼夜は、早速ヴェーダにも指示を送ろうと自身のスマホを懐から出した。
それから数分後、ハッキングした救急車を遠隔操作でリコリスを病院まで送る事ができた蒼夜は、安堵の息を吐き、今度こそそのままアパートへ帰っていくのだった。
「(あれで無事に解決………なんて思ったけど、まさかその次の日から昨日までの3日間に同じ出来事が起き続けていたなんて……流石の僕も想定できなかったよ……)」
──と、4日間の出来事を思い出した蒼夜は、頭を抱える程、深く大きなため息を吐いてしまった。
最初の謎の集団に襲われる寸前のリコリスに続き、昨日まで同じような出来事をたまたま発見したヴェーダが蒼夜に報告した事で、同じようなやり方で救出に向かった。ちなみにその日でもなんとかバレずに救助する事も成功できたし、もちろん彼女達を病院まで連れて行く事もできた。
だが、連日でリコリスを問答無用で襲ってくるのはおかしいだろうと、流石の蒼夜もそれに気づき、今まで謎の集団が行ってきた行動を思い返しながら深く考え込む。
「(確かリコリスって、日本に潜む秘密組織的な存在なんだよねぇ。もしかしてリコリスに復讐………とか、それともどこか別の組織の敵対なのか……それならこの前千束さん達と一緒に買い物に行った時にあった地下鉄で銃撃を起こしたのも、あの集団なのか………だけど何故?そもそも相手は自分と歳下で、しかも女の子なんだよ。しかも目的も分からないし………
───はっ、まさか!!)」
考え込んでいたその時、突如蒼夜の脳内にある答えが浮かび上がる。
「(まさか………あの集団の目的って───
彼女達にいやらしい事をするつもりなのかぁ〜!?)」*1
「(そうか……だからなのか!4人を襲ってきた男達の顔がずっと“ニヤニヤ”と怖い笑みをしていたから……大怪我を負っている彼女達をどこかに連れて行き、その後いやらしい事をする気満々だったのか!!)」*2
「(た、確かにあの4人の女の子……可愛いかったし……それなら集団で襲撃する理由も分かった。つまりあの謎の集団は……ど、同人誌みたいな事をする……女子高生を狙う変態集団だったのかぁ!!!)」*3
内心で色々と勘違いする蒼夜はどうすればいいのか考え込んでいた時…
「ちょっと蒼夜〜!!!!手を貸して〜!!!!」
ミズキが助けを求めるかのような声が店の中から響いた。その声に反応した蒼夜は「は、はい!」と慌てて返事を返しながら、店の中へ戻っていく。
その後、大量のスイカに悩まされたミズキは、蒼夜が助っ人として加えた事で、開店時間前までにどうにかスイカの切り分け作業を成し遂げたのだった。
〜おまけ〜
「おいハッカー………テメーマジでいい加減にしろよ……」
「ちょ、ちょっと待って!一回待って!!せ、説明させて……いや、させてください!説明するから……だから、銃を頭に押し付けないで〜!!!」
一方その頃、冷たい表情をする真島は、銃の引き金を引く寸前の状態のまま、
そして、突然アジトに呼び出された協力者………ロボ太は、いきなり自身の頭に銃が押さえられている事に驚愕すると同時に、どう説明すれば納得してくれるのか、涙ながらも必死に考えていた。
か、カタカナが難しかった……途中でひらがなが残っていないのかをチェックするのに、苦労しました。
感想と誤字報告、ありがとうございます。
次回もお楽しみに。