リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
港に留めた一隻の大型貨物船。
そしてその中………
「時は明治政府樹立以前に設立された裏の組織………暗殺部隊、“彼岸花”!その学名にちなんで現在では、“リコリス”なんて呼ばれている!」
──と、声を大仰に張り切る
そんな状態となっていた真島は、ロボ太の解説に耳を傾けながら黙々と手に持っているハンバーガーを食べているが、
しかしそんな彼の表情を全く気づかないロボ太は、自信たっぷりな調子でパソコンを操作しながら、モニターの画面に次の新たな画像を送る。
「そして………コイツが
モニターに写し出されたのは、金髪よりの白髪に赤いリボンを付ける少女………
「基本、リコリスは都市迷彩服としての制服を──」
「おい」
「………え?」
「違うよな?」
次のターゲットであるリコリスの解説を行おうとした途端、たった一言でロボ太の話を強制的に止めた真島は、相手を睨むような視線でロボ太に向ける。真島の口から出た疑問と共に殺意を思わせる迫力を感じたロボ太は、“これはまずい…”と危機を察知し、慌てて弁解しようとする。
「待て待て待て!一旦落ち着いて聞け!?コイツは普通のリコリスとは違うんだ!しかもコイツは、リコリスの中でもトップクラスの───」
「捨て駒はどうでもいい………オレの目的を……おまえが理解してるか確認していいか?」
「に、日本に入国した雇われテロリスト達全員が忽然と姿を消す………その原因の究明と解決………」
「分かってんじゃねえか………そのDAとやらをぶっ潰す」
ビッシャ!!!
「───ッ!?」
ロボ太が自身の目的を理解しているのを確認した真島は、手に持っていた食べかけのハンバーガーを机の上に叩き潰し、飛び散った具とソースで汚れるその机の上には
「お前がガキどものスマホからDAの本拠地が分かるっていうから持ってきたんだぞ……」
「そ、そのスマホからIPアドレスを探したけど、民間回線と違って時間がかかるし………」
「…………ハァァ………オイ」
「えっ……ちょっ!なになになに!?」
“コイツ、本当に使えねぇな…”と内心で語ると同時にため息を吐いた真島は、自身の部下である2人の大男に目配りをする。すると男達は2人がかりでロボ太の両腕を拘束し、その場から逃げないよう机に押さえつける。突然の事で動揺するロボ太だが、そんな彼の様子を気にしない真島は自身の銃をロボ太の額に押し当てる。
「ちょ、ちょっと!?」
「お前………本当に俺の目的に協力する気あんのか?もう一ヶ月だぞ……お前の指示で、俺の仲間が26人やられたんだぞ?」
「で、でも!
「ダメだ………こっちはテメーの指示通りに動いた…このままじゃバランスが悪い。それにそっちは見つけたのか……
「───(ギック!?)」
真島が冷たい口でその疑問を尋ねた瞬間、ロボ太は自身の仮面の中で額からさらに汗が溢れ流れたり、動揺をしている様子が見られていた。
作戦を邪魔した存在と言う事は………以前真島達が銃撃を起こした地下鉄や、今まで行い始めたリコリスの襲撃を妨害した何者かの仕業。前回の地下鉄に続き、今回の襲撃作戦で本気でリコリスを殺そうと行動に出た。だが、未だにその正体が明らかにしていない存在に妨害された事に加え、殺害する事もできなかったリコリスを何処かへ連れ去ってしまった。
襲撃したリコリスが所持していたスマホをなんとか強奪したものの、未だにDA本部の居場所も見つけていない。しかも、襲撃作戦に向かった部下達の犠牲は出なかったものの、大怪我で身体が動けない者達が続いていた。
これまでの出来事や作戦の失敗を思い出した真島は苛立ち、目の前にいる協力者の腕があまりにも使えないとガッカリしながら、再び別の疑問を出そうと口を動かす。
「まずは最初の地下鉄だ………あの黄色いロボットはなんだ……DAにはそんな兵器があるなんて聞いてねーぞ。」
「だ、だから最初に言っただろ!あれはマジで想定外だ!あれから色々と防犯カメラの映像とか、様々なセキュリティに侵入して探したけど……それっぽいのは一つも見つかってない!」
黄色いロボットとは、地下鉄で現れたプチMS……トロハチの事だろう。その場でリコリスを殺す事ができなかった真島は、早速その事をロボ太に調べさせようと仕事を任せた。だが、驚く事にその場にあった防犯カメラには何故か映ってなかった。
当然その現場に行かなかったロボ太は、真島や他の部下達が目にした出来事を手掛かりの頼りとして探す事しかできなかったが、あれから一ヶ月経っても結局見つける事もできなかった。
「後!これまでの作戦でアンタらの邪魔をした存在なんだけども、正直言ってまだ探している最中なんだよ!通信ができなかったのも、恐らくなんらかの電波妨害を使った可能性もあるし……」
「だけどこれまでの作戦や指示を出したのも、お前だよなぁ……しかもほとんど失敗してるし。つーかよ、DAの居場所もそうだけど………あの巨大人型兵器の存在もまだ見つからねぇのか?」
「──ッ……そ、それは……」
「………はぁ〜お前……
「なっ!そ、そっちだって……いきなり僕に無理な仕事を押しつけたからだろ!言っておくけど、侵入や逃走ルートを作ったのは、全部僕のおかげなんだぞ!!いい加減少しは僕の感謝してもいいじゃn「あぁん?」……い、イエ…ナンデモアリマセン……」
「…………3日だ。」
「───は?」
「
「3日って、いやそれh……お、おい何を──!?」
目に感情を載せないまま淡々とそう告げた真島は、再び男達に指示をするかのように目配りをし、そのままロボ太をアジトから放り出した。
だかこの時、真島は知らなかった……
後に彼は……つい先ほどモニターに映し出された
☆★☆★☆
それから時が過ぎてから、3日後……喫茶リコリコにて。
「この前の地下鉄襲撃事件にリコリスの襲撃犯……どうやら例の銃が使われているそうだ。」
「例の銃……もしかして、
店内の裏側にある押し入れの中で、PCを操作しているクルミは、千束に話しかける。この時彼女達が話しあっている内容は、以前からミカに頼まれたクルミがDAから入手した情報についてだった。
ちなみに千束が語っていた“取引”と言うのは、以前ストーカー被害で相談していた
「う〜ん、リコリスを助けた人物も気になるけど………未だに解決できていない銃の取引の方も気になるんだよねぇ〜………もしかして、あの時DAハッキングしたのも同じ仕業なのかなぁ〜?」
「──(ギック!)」
「……ん?」
「あ、あぁ〜それは……ど、どーかなぁ〜………いや、もう少し調べてみるよ。」
「にしても、どうやってリコリスって識別してるんだろ?」
「さあなぁ………その制服がバレてんじゃないのか〜?」
──とそう言いながらクルミは、リコリスの制服を着ている千束に目を向ける。それを聞いた千束も「おぉ〜なるほど!」と納得して手を軽く叩いた。
「ん〜〜〜〜〜〜」
店の営業が終了した後、リコリコの座敷席で難しい表情をするたきなが座りながら、何やら深く考え込んでいた。考え込む彼女の姿を初めて目にした蒼夜は、気になって仕方がないのか、店内の掃除をしている最中に思わず眺めてしまう。そんな時、カウンターの近くの席に座っているミズキが、気になって思わずたきなに声をかけようとする。
「どったのアンタ?」
「……………勝てないんですよ。」
「……へ?」
「家事の分担をジャンケンで決めてるのですが……一回も千束に勝てませんね……」
「(勝てない………あぁ、そう言うことか)」
家事の分担と言うのは、現在彼女達が住んでいる千束のマンションで毎日行う家事当番の事である。ちなみに今回の家事の当番もたきなが行う事になった……というより、彼女達が共同生活を始めてから、ほとんどの家事はたきながずべてやる事になっているらしい。何故家事を全てたきなだけに任せているのかというと……それは以前彼女達が共同生活を始めた時、毎週の家事の当番の分担をジャンケンとして決めようと勝負していたが、結果は千束が全勝していた。ジャンケンで全敗してしまったたきなは、千束が不正な手を使っているのではないのかと最初は疑っていたが、そのような手を使っている様子が一切見られなかったらしい。
その時の出来事を聞かされた蒼夜も少々驚いていたが、同時に違和感を感じていた。そもそも何故2人が、千束のマンションで共同生活を始めたのかと、彼女達に尋ねたら……
『あぁ〜実はリコr……じゃなかった!え、えっと〜……ほ、ほら!痴漢の被害に遭わないようにするたm──』
『それは普通に電車でやる妨害方法でしょ……んん゛っ!実は学校のテストがもうすぐ行われるので、千束と一緒に勉強をする為、泊まらせているんですよね千束。』
『え………あ、あぁ〜そうだった、そうだった!!』
──と、一瞬千束が何かを誤魔化そうとする直前、それがまずいと感じたたきなはすぐに別の言葉で返答した。
ちなみに本当の理由は、リコリスの襲撃が起きた事により単独での行動は危険である為、安全が確保されるまで現在は2人で行動しているのである。
「(ジャンケン………そういえば、僕もやってたよなぁ───)」
そんな時蒼夜は、千束とジャンケンをしていた時の記憶を振り返る。
『はい私の勝ち!じゃ、買い出しお願いね〜』
『よっしゃ〜私の勝ち!蒼夜君、皿洗いお願いね〜!』
『またまた私の勝ち〜!それじゃ〜』
「(あれ?そういえば僕も、錦木さんに勝った事が無くねぇ?)」
──と、記憶を思い返す蒼夜は、ジャンケンで彼女に一度も勝った事が無いのを思い出す。最初はそこまで考えていなかったが、店の買い出しや皿洗い、さらにボドゲの順番決めでジャンケンした時の記憶を改めて思い返してみると、確かな違和感を感じた。
“そもそも勝てる確率が3分の1しかないジャンケンで、連続で勝てるのか…”と蒼夜が内心で施行している時、たきなの話を聞いたミカとミズキは一度お互いの顔を見合せ、納得したような表情を浮かび、2人揃って再び視線を戻し、たきなに何かを告げようとする。
「たきな………アンタ“最初はグー”でやってるでしょ〜?」
「それじゃ
「「………えっ?」」
そう告げられた瞬間、それを聞いたたきなと、近くにいた蒼夜も、思わず疑問の声を重なってしまった。そんな彼らの反応を見たミカは、2人にも分かりやすく説明しようとする。
「まず千束が
「(………え、そうなの?)」
千束が何故ジャンケンで連勝できる理由を聞く前に、彼女が服と筋肉の動きから次の行動を予測についての方が、蒼夜にとって驚きを隠せなかった。
そして次にミズキが、ミカに変わって千束のジャンケンについて説明を続けようとする。
「だからグーから始めちゃうと、次の手を変えるかどうかを読まれちゃう。変えずにグーだと当然パーを出されるし、変えると分かれば千束はチョキを出せば絶対負けないでしょ?なので、あいこにできる確率が3割〜」
「つまり……勝つ確率はゼロだ。」
「「───」」
この時2人は、“マジか…”と言わんばかりな表情で驚愕し、自然と開いていた口が塞がらなくなった。そんな2人の表情を目にしたミズキは、煽るような笑みを浮かべながら、再び何かをたきなに告げようとする。
「だ・か・ら〜千束をジャンケンに勝つには“最初はグー”をやめて、最初のジャンケンで勝つしかない。あいこになったらもう勝てないし〜、ましてあいこから始めたら一生勝てないよぉたきな〜?」
「(………えっと………要するに、簡単にまとめると錦木さんは人間の動きを予測する事ができるから、相手が次に何をどう動くのも分かる……って事だよな。あ〜なるほどね〜はいはい───
いや全知らん何それ、めっちゃ怖いんだけど………ってか人間の動きが読めたり予測できるなんて……錦木さん、もしかしてリアルニュータイプなのかぁ!?)」
──と内心で思わずツッコミを入れると同時に、千束の人間離れした能力に驚きを隠せなかった。一方たきなも千束の能力を今初めて知って唖然としており、何とも言えない表情をしていた。確かに不正な手を使っていないが、それでもそんなカラクリを隠し持っているのなら、不正だと疑っても仕方がないだろう。
「組長さんとこに配達しに行くわ〜…………って、何?」
そんな時、店の裏に続く扉から千束が現れる…………しかも何故か、黄色いポンチョを身に着けていた。
「……いいえ別に」
千束のジャンケンのカラクリを知ってしまったたきなは、自身の不機嫌そうな顔を見せないと、“プイッ”と拗ねるかのように彼女から視線を逸らす。
「え〜、なになにどうしたの〜?」
「い〜から、早く配達行ってきな〜」
「……すぐ支度します。」
ミズキにそう促され、未だに不機嫌そうな表情をするたきなは座敷から立ち上がり、二つ縛りの髪ゴムを外しながら、そのまま更衣室に向かおうとするが……
「あぁ〜大丈夫。制服がバレてるんだろうって、クルミが──」
「……あ、あの……何が……ば、バレる……です……か?」
「ふふふ〜それはねぇ蒼夜君、リコリスの襲g「千束!」…はっ!じゃ、じゃなくて!そ、その〜……ストーカー……そ、そう!悪質なストーカーから身を守る為の最新な妨害対策だよ蒼夜君!!ほら!ウチの学校で最近ストーカー被害が起きているから、これを着ているだけでぜ〜ったいに分かんな〜いよ〜♪」
蒼夜の疑問に答えようとする千束だが、思わずリコリスについて口から漏らしてしまう直前に、たきながすぐに注意をしてくれたおかげで、なんとか漏らす事も無く慌て別の言葉で返答した。
「(今一瞬、なんか誤魔化したよね……)な、なるほど……」
──と、蒼夜が納得してくれた事に千束は、安堵の息を吐いた。その直後、ミズキが慌てて引き寄せた彼女の耳元でぼそぼそと呟き始める。
「ちょっとアンタ、いくら嘘をつくのが下手だからって……さっきのは危なかったわよ!たきなが気づいてくれたから、なんとなかったけどさぁ〜!!」
「まぁミズキ、なんとかなったからいいじゃないか……それと千束、分かっていると思うが、私服じゃ銃は使えないんだぞ。」
「そうだそうだ、ついでに警察に捕まっちまぇ〜」
「ちょ、さっきの悪かったって〜……ってか、ちゃんと制服は下に着てますぅ〜、ほらぁ!」
ミズキとその後やってきたミカの2人は、蒼夜に聞こえないような声で彼女に話しかける。すると千束は、自身が来ているポンチョをたくし上げると、その身にはいつもの赤い制服を着ていた。
「なるほど……では、私もそれで──」
「あ〜大丈夫!たきな、今日も夕飯楽しみにしてる〜♪じゃ、行ってきま〜す!」
そう言いながら千束は、軽やかな足取りで外に出て行ってしまった。本当はたきなも一緒に向かいたかったが、今の彼女は店の着物を着ており、彼女を見送る事しかできなかった。
そして同時に内心で“このまま何事も起きないように…”と、願っていた。
★☆★☆★
────そしてさらに時間が経ち、残りの仕事を終えた蒼夜が先に帰宅した後の頃だった……
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
その瞬間、店の奥から突如の叫び声が店内中に響いた。店内のカウンターに座っていたたきなとミズキ、そしてカウンターの向こうで作業をしていたミカも反応し、驚きと共に大きく肩を震わせた。
しかもその叫び声が聞こえたのは、店の奥にある和室の押し入れで部屋として使っているクルミの声だった。するとその時、たきな達の方に足音が近付いて来る。
やがて足音の正体は……クルミであり、何やら慌てた様子でタブレット端末を抱えてたきな達の近くに駆け寄ってきた。
「み、見てくれ!これは銃取引の時のDAのドローン映像!しかも殺されかけたのはこの4人だ!これが犯人に流出して顔がバレてたんだ!」
──と汗まみれになったクルミは、持ってきたタブレットの画面に映っている映像の一部をたきな達に見せる。画面に映っている4人の人物をよくよくと凝視すると、彼らも驚きを隠せなかった。
何故ならその画面には、今月から襲撃されていた4人のサードリコリスが、顔までしっかりと映し出されていたのだった。
「ちょ、これ………なんでそんなもんが流出してんのよ!?」
「……
「──ッ!」
ミカの口からその言葉が出た瞬間、たきなはふと思い出す。それ以前、千束の健康診断に同行して本部に行った時、千束から聞かされた話だった。
そもそもたきながリコリコに異動になった理由は、先日のDAの任務中で先の銃取引現場にて独断行動をした事で、命令違反をした事によって部署を異動する事になった。
「そういえばDAもまだそのハッカー見つけられてない様です!」
「てことは……アンタの仲間じゃないの!?さっさと調べなさいよ!」
「───ッ」
「何よ………なんとか言いなさいよ!?」
DAにハッキングできるのはクルミの知人か、もしくはハッカー仲間なのではないのかと思い込むミズキは、早くその原因を調べようにと、彼女に言及するのだった。
しかしそれを聞いたクルミは、
「…………あの時のは………ボクだ……」
「「「───は?」」」
「だから……銃の取引現場の時に
「えぇ!?」
「ハァッ!?」
「どういう事だ!?」
彼女の口から出た衝撃的な言葉を聞いた3人は驚愕し、思わずクルミの方に視線を向ける。まさか、DAをハッキングをしていた犯人が、目の前にいる天才ハッカーが起こしていただなんて……誰も想像できなかったのだろう。
3人からの強い視線を向けられたクルミは、耐えながらも慌てて彼らに言葉を返そうとする。
「い、依頼を受けてDAをハッキングした……その
「ちょ……ちょっと待って……つまりアンタが武器をテロリストに流した張本人って訳!?」
「──ッ!それは違う!指定の時刻にDAのセキュリティを攻撃しただけだ!」
叫び声を上げながら問い詰めるミズキと、即座に否定するクルミ。そもそも彼女が言う依頼主に近付く為の目的は、なんなのかは分からない。だが、それでも彼女がやっていた事は、結果として最悪な方向へ向かってしまった事には、変わらなかった。
「あぁ〜そうですかぁ〜!おかげで正体不明のテロリストが山ほど銃を抱き締めて〜、そしてたきなはクビになりましたぁ!」
「もういい!やめろミズキ!」
「映像はそれで全部ですか!?」
愚痴をこぼすミズキをミカがすぐに制止する。もちろんたきなも色々と言いたい事もあるが、今は他に対象となっているリコリスが狙ってくるのかどうかを彼女に問い出す。
するとその時、クルミはふと店内の辺りを見渡し始め、まるで誰かを探している。
「……………おい、千束はどこだ!?」
「配達に行きましたが……」
「──ッ………全部じゃないんだ……」
千束が店にいない事を知ったクルミは、再びタブレット操作し、画面に写っている別の映像を3人に見せる。
しかもそれは、以前たきなが初めて千束と共に行動した時の出来事であり、ストーカー被害で悩んでいた篠原沙保里が誘拐されそうだった時の映像だった。千束の合図でたきながドローンを撃ち抜いた記憶があり、おそらくその画面に出ている画像は、その時飛んでいたドローンの映像の一部だったものだろう。
何故ならそこには、
「「……っ!」」
「いかんな、これは……」
つまり、千束が次の標的となっているのである。しかも運の悪い事に彼女は今、たった一人で行動している。
それが分かった時、たきなはその場から即座に立ち上がり、リコリスの制服に着替えようと急いで更衣室の方へと走る。そしてミカも急いで携帯を手に取り、千束に連絡しようと通話を繋げる。
『もしもしもしもし〜?』
「千束、敵はお前を狙っているぞ!」
『……え?』
事を知らない千束は、いつも通りの彼女らしい呑気なトーンで電話の通話を受け取る。今の所、彼女は無事だが、今は事実を伝えなければならないとミカは、慌てて口を開こうと……
────するその時だった。
『えっ、あ、ちょいちょいちょいちょいちょいちょぉ────!』
その瞬間、車のタイヤがすり減る音とエンジン音が近付く音と、何かに衝撃した音が聞こえた。
嫌な予感を感じたミカは、急いで千束の安否を確認しようと呼びかけ続ける。
「──千束………千束っ!?」
何度も千束に呼びかけ続けるミカ。
だが、突然彼女の声が……聞こえなくなってしまった……
『おい!今回は被害ゼロだぞ、これで文句はないだろ!?』
「あぁ〜分かった分かった。良い作戦だ、ハッカー」
──と、耳元に付けてあるインカムから聞こえる協力者を適当に言葉を返しながら、車から降りた真島は、道路に倒れている千束の方へ近づこうとする。もちろん彼だけでなく、後からやってきた2〜3台のバンが到着し、乗ってきたツナギの男達も真島の後をついていくのだった。
ロボ太の作戦通りに車で轢いたリコリス………千束が動いている様子が見えず、ただうつ伏せの状態で倒れていた。“死んだのか…”と思った真島は、足を使って千束の身体を仰向けの状態する。
「あぁ?」
千束の生死を確認しようとする真島は、彼女の首元に身につけてある
その瞬間……
「────っ、オラァ!!」
倒れているフリをしていた千束は、隙を見て勢い良く立ち上がると同時に、目の前いる真島に自身が身に付けていたポンチョを覆い被せ、視界を塞ぐ事ができた。
そしてその直後に懐から銃を取り出し、ツナギの男達に方に乱射する。
BAN!BAN!BAN!BAN!
「ぐぁっ……!?」
「うぁあ!?」
「オエェッ!?」
何人かを非殺傷弾で撃退する事ができた千束は、反対方向へと全力疾走する。自身を轢き殺そうとする集団は、他のリコリスを襲った犯人だろうと思い浮かぶが、とりあえず今は全力でこの場から逃げなければならないと強く意識する。
「───クソッ!!!行け行け行けぇぇぇ!!!」
「ちっくしょう〜……ポンチョ盗られたぁ〜!」
ポンチョを被せていた真島が、今度こそ逃すわけにはいかないと千束を追うよう部下達に次の指示を出すように叫ぶ。それを聞いた千束は、全力でこの場から離脱しようと走り続けるが、気に入っていたポンチョをあの場で脱ぎ捨てた事に悔やんでいた。
こうして夜の街では、命懸けの
また、別の場所では……
『作業終了!!作業終了!!ハッチオープン!ハッチオープン!』
『武装、機体の整備、安全確認モヨシ!』
『
どこから聞こえる放送音から、機体の確認や作業などを報告を行なっている。そんな中、パイロットスーツに着替えた1人の男が戦闘機………
『モジュールハ、フォース二選択。シルエットハンガー1号ヲ開放。シルエットフライヤー、射出スタンバイ──』
機体の設定作業を終えたと同時にこれから使う機体の確認をしていたハロ達も終えた頃、目の前に広がる発進通路に光が灯る。
『ハッチ開放、射出システムノエンゲージヲ確認、カタパルト推力正常………進路クリアー、コアスプレンダー発進ドウゾ!!!』
すると目の前にあるハッチが開かれ、ハロから発進許可が出る。それを聞いたパイロットは、機体を発進しようとする。
「暁月蒼夜!コアスプレンダー、行きます!!!!」
パイロット………蒼夜が駆る戦闘機が、ハッチから飛び出して行く。
それに追従する形で、
再び夜空へと飛び立つ4機、その行き先は……
次回、ようやくMSの戦闘描写に入ります。
ここまで待たせてしまい、大変申し訳ありません!
それでは次回もお楽しみに!!