リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
「また戦争がしたいのか、アンタ達は!」
シン・アスカ(機動戦士ガンダム SEED DESTINY)
「DAはまだ敵の素性が分からないの!?」
『あぁ………あぶりだすためにリコリス達を囮に使ったが、返り討ちに遭ったみたいだ。まぁ、まだ見つかっていない誰かが助けたおかげで命に別状はないがな……』
千束を探しながら赤い車を運転するミズキは、通信越しで以前DAのセキュリティをハッキングしたクルミに襲撃した相手の素性が分かっているのかを尋ねる。クルミが独自で入手した情報によると、DAがリコリスを囮として敵の正体をあぶり出そうとしたが、結果は失敗。
車の後部席に乗車するミカも、クルミから語られた情報を耳に入れ、とても聞き捨てにはならなかった。
「リコリスを囮に………馬鹿なことを……」
──と、DA側としての作戦をとても気に入らなかったミカは、絞り出すような口調で語る。ちなみのその車にはたきながおらず、彼女は別の場所で千束を探しに向かっていた。しかもつい先ほど、通信越しで道路に千束のスマホと彼女が着ていたポンチョを見つけており、今はクルミが全力で町中の監視カメラや事前に飛ばしたドローンで捜索を行い続けている。
『おい、千束を見つけたぞ!急げ、 かなりやられてるぞ!』
『そんな!?』
「「……っ!!」」
そんな時、クルミからの通信が入ったと同時に、千束の位置も特定する事ができたと伝えられた。しかも、今彼女がやられていると聞いたミカとミズキ、そして通信越しのたきなも驚きを隠せなかった。
「場所はわかった。急いで現場に急行する! クルミ、千束の所へ行けるようそっちからナビしてくれ!」
『さっき千束のスマホとポンチョが置いてあった場所からそう遠くへ行ってないはず!それなら多分、私の方が早く到着できると思います!クルミ、急いで!!』
『わかった!場所はこっt……………ザ──────』
クルミが千束の位置情報を語ろうとした途端、突如通信が途絶えてしまった。しかもクルミだけでなく、なんとたきなからの通信も、いつの間にか聞こえなくなってしまった。
「どうしたクルミ………クルミ?おいクルミ!たきな!」
「ちょ嘘でしょ、こんな時に故障!?」
「クルミ!店長!ミズキさん!………なんで!?」
一方たきなの方も、スマホ越しから繋いでいたクルミ達からの通話も、いつの間にか途切れていた。だが、運良かったのか、千束の位置情報はメールで送られていた。
何故通話が切れたのかは分からないか、とにかく今は千束を助けにいかなければならないと、送られた位置情報を頼りにするたきなは、自身の足でそのまま向かうのだった。
「(この状況……
クルミのドローンが、千束の居場所を特定する前の時間に少し遡る。
国道から芝が広がる公園の方へ逃げ込む事ができた千束。だがその背後には、真島を乗せた一台の白いワゴン車が猛スピードで迫って来ていた。もはや逃げるのには難しいと判断した千束は、この場で応戦しようと乱射し始めた。弾丸の内の一つが真島の脳天を直撃した衝撃により車から落とし、地面の上に転がる。同時にワゴン車もコントロールを失い、そのまま横転してしまった。
なんとか無効化する事ができた千束は、銃を構えたまま地面に転がっていた真島の方へと近づく。
「アンタが一連の襲撃犯?」
──と、銃を突き付けながら警戒する千束は、真島に問いかける。すると、彼女の声を反応した真島はゆっくりと上半身だけで起き上がり、ふと顔だけで千束の方に振り向ける。
「イッテェ〜…………酷ぇじゃねぇか」
「うっわ」
振り向いた
このまま真島を無力化してDA本部に突き出すか、またはクリーナーに回収を頼むか……どちらにしても、リコリスを襲撃した一連の騒動は、目の前にいる男を拘束さえすれば、ほぼ解決となるはず。
そう考えた千束は銃を向けたまま、真島の背後を回り込もうと…………
───するその瞬間だった……
ベチャ…
「───っ!?」
拳銃を持っている両手首を掴まれた瞬間、真島の口から
しかもその赤黒い正体は、千束が警戒している隙に真島が自身の口の中で血液を含んだ唾だった。相手の視界を塞ぐ事ができた真島は自身の瞳を閉じながら、その場から立ち上がった後、千束の頬を思いっきり殴った。
「がっ!?」
「くっははっ……!」
笑いながら殴り続ける真島と、殴られた勢いで身体がよろけてしまう千束。それでも彼女は、なんとかして立ち直ろうとするも、真島は容赦なく襲いかかってくる。足のバランスを崩れると同時に地面へと打ち付けた途端、身体に激痛が走る。急いで起き上がるも、再び真島の拳が向かってくる。
「かはっ──!」
目元に血液が付いている唾が付着してしまったせいで、視界が塞がれ、まるで見えない敵と戦っているような感覚をする千束は、今までにない危機感を感じていた。
「(や……ヤバい……なぁ、これ──)」
状況が更に悪化する中、いつの間にか他のワゴン車が集結してきた。車からヘッドライトに照らされ、千束と真島の様子を目にしようと、ツナギの集団が野次馬のようにぞろぞろと集まっていく。
「はっはは──!引っ掛かりやがったぞ!」
「いいぞー!真島さーん!」
「やっちゃってくださーい!」
少女を容赦なく襲う青年…………その出来事を目にするツナギの男達は、まるで闘技場のように笑いと楽しみ、そして自分達のリーダーである真島を応援しながら観戦している。一方千束は、視界を塞がれた血をどうにか拭き取ろうとするも、襲いかかってくる真島が邪魔してくる。
「ゴム弾じゃなく、実弾にしとけば良かったなぁ!」
「ぐぁっ!」
次の瞬間、今度は真島に軽く蹴り飛ばされ、背中から地面へと叩き付けられた。それを目にしたツナギの男達は、思わず“おぉっ!!”と、大きく反応してしまう。
「い…………つぅ──」
久しぶりに感じる痛みの連鎖に、思わず歯を食いしばる。それでも千束は立ちあがろうとした時、ふと顔を上げると……………目の前には銃口が向けられていた。
「──ッ!」
真島は、自身の瞳をゆっくりと開き、ただ千束の方をじっと見つめていた。それに対し千束は、この体勢でこの状況からどう抜け出せばいいのかを必死に考えていた。
だが、頭を何度も殴られ続けたせいで、脳が揺れているような感覚で思考が追いつけず、身体を思うように動けなかった。この状態で、逆転できるのかと不可能を思い込んでしまう。
もしかしたら今日、殺されるかも知れない………そう考えていた時………
「お前の“使命”は何だ?」
「………………え?」
──と、急に話し掛けられ、思わず疑問の声を出してしまった。問われた言葉の意味が分からず固まっていると、真島は千束の首元を銃で指差ししながら、再び問いかけようとする。
「それだよ、それ」
「………?」
真島の目線の先を辿り、自身の胸元を見下ろす。真島が目にしていたのは、千束の首元にかけてある梟のチャーム………アラン・チルドレンの証だった。
「アランのリコリスか………面白いなぁ〜」
見覚えのあるペンダント見て、“ニヤリ”と不気味な笑みを見せる真島。
“万事休すか……”と内心で思い込む千束は、絶体絶命な状況となった……
その時───
ドカァァァァァン!!!!
「「「「「うあぁぁぁ!?」」」」」
「───ッ!?」
「…………は?」
突如、一台のワゴン車が爆発する。突然の爆発音が響いいて、思わず大きな叫び声を出してしまったツナギの男達。千束もその爆発の光景を見開き、声が出ないほど驚きを隠せなかった。真島も一瞬の事で唖然としていたが、すぐ我に返った後、辺りを見渡す。だが、周りにはそれらしき姿が見当たらず、目の前で追い詰めたリコリスの仲間らしき姿も見えなかった。
「………ッ!上かぁ!!!」
その時、ふと真島の耳に飛行エンジン音が捉えた瞬間、真島は迷わず夜空の方へ視線を向けると………
そこには、戦闘機らしき飛行物体……コアスプレンダーが、夜空を飛行している様子が、目に入ってしまった。
「「「「───ッ!?」」」」
先ほどのワゴン車の爆発は、恐らくコアスプレンダーに装備されている二つ兵装のうちの一つ“MMI-GAU19 20mm機関砲”を使って、狙撃したのだろう。突然の事で全く予測ができなかった千束と真島、そして他のツナギの男達も驚きを隠す事なく、この場にいる全員が唖然としていた。
だがそれよりも、何故この場に戦闘機がやってきたのか………この場にいるツナギの男達は、事前に聞かされた作戦が予定よりも大きくズレた事で困惑し、何がどうなっているのかも分からず、焦っている様子も見られていた。地面に座り込んでいる千束でさえも分からず、ただコアスプレンダーを眺めることしかできなかった。
この中、真島は目の前で追い詰めたリコリスの仲間なんじゃないかと疑い、こっそりとインカム越しでロボ太に通信を繋げよう……
カァン!!!
──とする直前、突如金属同士がぶつかり当たるような音が響いたと同時に、真島の右手に持っていたはずの拳銃がいつの間にか手放されていた。
「ぐはぁ!?」
「ぎゃぁ!?」
「あ………足がぁぁぁっ!!」
「じゅ、銃声だ!!!」
「クソ!どっからだぁ!?」
次の瞬間、突如ツナギの男達が悲鳴と共に倒れ始めた。それに反応した千束と真島は我に返り、悲鳴が聞こえた方へ視線を向ける。そこには、身体から血が流れ出ている傷を押さえながら、小さな悲鳴と共に歯を食いしばっている様子が見られていた。
また、無事だった者達は狙い撃ちされるとすぐに察知し、倒れている仲間を引き連れて車の影へと逃げ込むように素早く移動をする。だが、何処からともなく襲ってきた銃撃の場所も分からない為、今は警戒をする事しかできなかった。
しかもその射撃が誰がやったのかは、見覚えのある千束は辺りを見渡すと………
「(………たきな!)」
茂みの陰から男達を次々と無効化するたきなの姿を発見する。しかも今の所、真島達はまだたきなの存在に気づいていない。ならばと千束は、地面に転がっていた自身の銃を回収し、即座に真島の方へ銃口を向けた。
「ッ───チィ!」
乱射しようとする寸前、すぐに気づく真島は、車の影に逃げ込むように走り出した。
結局、真島を命中する事ができなかったが、何人か残っている男達に銃弾を見舞う事ができた千束は、真島が車の影に隠れたのを視認し、この隙にこの場から立ち去ろうとする。
するとその時、見覚えのある赤い車がやってくる。その車はリコリコ運転席側にはミズキが運転しており、千束の近くで車を止めると同時に、後部座席の側の扉が開く。そこには心配や焦りを出している表情するミカが、千束をこちらに誘導させようと腕を伸ばしていた。
「千束、早く乗れ!」
「と〜りゃあぁっ!!」
それに察知した千束は、迷わず頭から後部座席の方へ飛び込む。そしてたきなも、茂みから飛び出し、車の反対側の方へと向かっていく。後部座席の反対側の扉が開くと同時に、たきなは千束同様に頭から乗り込み、確認したミカは、素早く扉を閉める。
「むっ!?」
「せ、狭い〜」
「詰めてください……って千束!さっきの戦闘機らしき物体は一体なんなのですか!?」
「……あ!そうそうそれだよ!ってか私も全然知らないんだけど、皆なんか知ってる!?」
「私達が知っているわけないでしょ!それにさっきから、クルミとの通信が繋がりませんし……」
「えぇっ、そうなの!?でもなんd──」
「今そんな事を言っている場合かぁ!」
「ミズキ、とにかく出してくれ!」
「あぁ〜もう!バッチこい!」
後部座席が詰め詰めの状態のまま、あれこれ気になっていた事を語り続けたが、今はこの場から脱出しなければならないと、ミカの掛け声と共にミズキが車のアクセルを全力で踏む。車から出されているスピードは、もはや公園内で出してはならないくらいの速度で、走り出した。
だが、ツナギの男達が簡単に千束達を逃すわけにはいかないと、一斉に車の方に向かって銃撃を繰り返し始めた。所々から向けられてくる弾丸を避けながら、運転技術を持つミズキは必死だった。
「逃がすかよっ…………アランリコリス!!!おい、ハッカー!!!」
“せっかく追い詰めた、ここで逃すわけにはいけないと”怒声を出す真島は、インカム越しでハッカーを呼ぼうとするが………
『ザ─────』
何故か通信が繋がらず、砂嵐の音しか聞こえなかった。
「クソッ!こんな時に、使えねぇ………いや待て、前にもこんな事が──「ま、真島さん!あ……あれ!!!」あぁん!?今度はなんd───」
再びロボ太との通話が途切れた事に苛立つ真島は何かを思い浮かぼうとする。だが途中で部下の1人が、夜空の方に指差しながら、驚いている様子で呼ばれていた。
協力者との連絡が繋がらない事で苛立つ真島は、部下が指している様子を見て、“あの戦闘機がまた何かを仕掛けてくるのか”と思い、空の方を見上げると………
そこには、先ほどの戦闘機とはまた別の3機の新たな飛行物体………チェストフライヤーとレッグフライヤー、そしてシルエットフライヤーが、コアスプレンダーの方へ向かって行く様子が、目に入ったのだった。
「…………マジか?」
新たな3機が現れた事で、驚愕すると共に唖然とする真島。もちろん彼だけでなく、千束達が乗っている赤い車を狙っていたツナギの男達も目撃し、目を見開くほど驚きを隠せなかった。自分達が射撃を止め、銃を下ろしている事を気付かず、呆然と立ち尽くしていた。
「ちょ、ちょっと!あいつら、なんか急に静かになったんだけど!?」
「分かりません………それよりも、上の方を見てください!!」
ついさっきまで聞こえていた銃撃音が自然と静寂となり、いつの間にか男達は銃を下ろし、上の方を見上げていた。突然の事で千束達は少し驚くが、それよりも飛行している4機の方が気になって目が離せなかった。特に、運転していたミズキも気になり、思わずその場で車を止めてしまう。
リコリコメンバーに、真島一派。それぞれの視線が上の方を眺めていた時………
飛行したまま、コアスプレンダーの形態が変形を行い始めた。
変形したコアスプレンダーの上下にはそれぞれ、空中でチェストフライヤーとレッグフライヤーがドッキングし、背後からシルエットフライヤーから自動的に分解された『フォースシルエット』が装着される。
それぞれがドッキング終えると、今度は人型へと変形する。両腕と両足が出現し、隠れていた頭部が現れる。しかもその両腕には『MA-BAR72 高エネルギービームライフル』と『MMI-RG59V 機動防盾』が装備されていた。
更に驚く事に、変形した人型の装甲が灰色から赤、青、そして白へと色味が帯びていく。
トリコロールカラーとなった人型は、空中で浮きながら千束達の前へと姿を現した………
突如として現れた4機の飛行ユニットが合体し、巨大人型ロボットへとと変形した光景を目撃したツナギの男達が声が出ず、見惚れてしまうほど驚きを隠せなかった。
「「が、合体したぁ………」」
「…………マジか」
「あれが………巨大人型兵器……」
一方、赤い車から眺めていた千束とたきなも合体や変形をしたインパルスを目撃し、彼女達も思わず見惚れてしまった。何より、映像だけしか観た事がないミカとミズキも彼女達と同じ気持ちで眺めていた。
しかもその場にいる者達だけでなく、飛んでいる二つドローンの映像から観ている2人が存在する……
「おいおい嘘だろ………さっきの戦闘機だけでなく、しかも合体した後に変形したって───
ふざけんなぁぁぁぁ!!!なんなんだその未知な合体技術は!?しかもこいつ、普通に人型へと変形したぞ!そんなのありか……いや、そもそも空港の時に変形したヤツもいたんだが……こいつは違う!空中で合体だぞ、合体!!!そんな未知の
現場に向かわせたドローンからの映像を確認するクルミは、リコリコにある押し入れでいつも以上に大きく興奮していた。途絶えられてしまったたきな達との通信をなんと復帰しなければならないと分かっていながらも、再び謎の巨大ロボット……インパルスが乱入してから、状況が一変する。しかもその機体が持つ新たなる未知な技術を見惚れてしまい、通信を復帰する事を時々忘れてしまいそうになる。
ちなみに、もう一つのドローンの映像から観ているロボ太というと…………
「また通信が使えなくなったら今度は戦闘機がやってきて………そしてなぜか合体して、あの巨大人型ロボットになったんだとぉ───
ふっざけんじゃねぇよ、クソがぁぁぁあ!!!今はそれどころじゃねーんだよ、マジで来んなよ!!!つーか合体してから更に変形したって……もう完全に戦隊ロボじゃねーか、そんなのありかぁ!?陸、空、海、そして宇宙!今度は何が来るのかと思ったら、空中で合体して変形したんだってぇ〜!いい加減にしろよマジで、世界観をぶち壊すなぁ!!!」
ドン!ドン!と、乱暴ながらもデスクを強く叩きながら、絶叫するロボ太は怒り狂い、現場に向かわせたドローンの映像に映るインパルスに向けて怒鳴り声を上げていた。クルミと同様、新たな未知な
多くの者達が見惚れたり、驚きを隠せなかった中、いつの間にかインパルスは地面へと降り立った。
「何でこんな事…………また女の子を襲っているのか、アンタ達は!?」
現れたインパルスに搭乗するパイロット………暁月蒼夜は瞳に怒りを表すと共に、ツナギの男達に向けて叫んでいた。
☆★☆★☆
インパルスガンダムに搭乗している蒼夜は、現場の様子を見渡す。
「フゥゥゥ………まさかあの変態集団が、今度は錦木さんも狙われるなんて………ヴェーダに聞かされたから、急いで向かったけどなんとか間に合ったみたいだな。しかも、何故かたきなさん達の姿も見えたけど……まぁとりあえず今は、この後どうすればいいんd────
って!!錦木さんの顔がめっちゃ血だらけになってる〜!?嘘、もしかして間に合わなかったの!?しかも結構頭から大量の血が流れているですけど〜!!た、たいへんだぁ!は、早く絆創膏を貼らなくては……じゃなくて!きゅ、救急車を呼ばなきゃ────」
安堵の息を吐きながら、千束の様子を確認しようとした途端、彼女の顔の目元に血が付着しているのが目に入った蒼夜は、焦りと共に驚愕する。ちなみにその血は真島の血液で混ぜた唾である事を知らず、
「やばいぞ……このままだと錦木さんだけでなく、井ノ上さんも危ない!もしも彼女達が………お、落ち着け僕!とにかく今は彼女達をこの場から脱出させなければっ!!!」
怒りをような口調で語りながら、戦闘態勢に入ろうとする前に空いている手でインパルスの装備であるビーム威力の設定を行う。やがてすぐさま操縦桿を強く握り、ワゴン車に向けて命中しようと狙いを定めた。
★☆★☆★
バキュ─ン!!!!
「「「「「───は?」」」」」
インパルスが降り立った直後、いきなりビームライフルをワゴン車に向けて使い見事に命中する。緑色に光るビームの威力により、見事に爆散する車体。その光景を目にするツナギの男達は、突然の事で思考が追いつけず、思わず間抜けな声を漏れてしまった。もちろんそのビームの威力はついさっき蒼夜が威力の設定を最低までに低下した事で、原作のような大爆発は起こらなかった。だがそれでも、ツナギの男達や近くで目撃する千束達にとっても、たったの一撃で鉄くずにしてしまう程の威力を目にし、驚きを隠す事ができなかった。
突然の爆発で唖然とするツナギの男達だが、その内の1人の男がすぐ我に返り、再び自身の視線をインパルスに向ける。
「……ヒィっ!?」
視線を向けた瞬間、思わず小さな悲鳴を漏らしてしまった。それに反応した男達も同じく視線を向け、自然と体が震え出してきた。
男達の視線から見るインパルスは、殺気のような何かを発していた。今までリコリスを襲ってきた自分達を今度はあの巨大人型ロボットが、容赦なく殺しにかかろうとする殺意が見えていた。
「あ………あぁ……」
震え声を漏らし、“このままでは、殺されてしまう!”と内心で思い込む。そんな中、1人の男が所持しているアサルトライフルをインパルスに向けた瞬間………
「う………うぉぉぉぉぉぉ!!!!」
叫び声と共に思わず引き金を引いて、インパルスに乱射し始める。仲間の1人がいきなりの行動を目にした他のツナギの男達も、それに釣られるかのように次々と持っている武器をインパルスに向けて、攻撃し始めた。
「く、クソがぁ!!!」
「死ねぇぇぇ!!」
「おいバカ、やめろ!!」
考えもなしに乱射する者。
弾を全て使い切ってでも、インパルスを撃ち落とそうとする者。
そして、勝てないと思っていたのか、すぐに仲間達を止めるようとする者。
などなど……様々な行動を起こす者達が次々と現れるが、特に攻撃しようとする者の方が多かった。そんな数々の銃撃を受けられているインパルスは銃弾を防ごうともせず、むしろ銃撃を受けられてもなんの外傷もなく無傷であった。
「く、クソ!だったらこれならどうだぁ!!!」
乱射し続けていた集団の内の1人が、拳銃やライフルでは役に立たないと気づき、無事だったワゴン車から別の武器を取り出した。しかもそれは今まで使っていた銃とは違い、筒状の物………ロケットランチャーを肩に担ぎ、インパルスに向けて照準を合わせた。
「これでも…………くらえぇ!!!」
──と、やけクソにそう叫ぶと同時に引き金を引き、ランチャーを放った。空中を翔るロケット弾がインパルスに向かい、見事に命中し大爆発が起きた。
1人の仲間が見事に命中させる事に成功した光景を目撃したツナギの集団は“おぉ〜!!”と思わず感嘆する。その際、命中されたインパルスの頭部から舞い上がる煙が徐々に消えてゆく……
そこで目にしたのは、
「「「「「────は?」」」」」
“そんなバカな…”と言わんばかりな表情をする集団は、再び間抜けな声を漏れてしまう。
ヴァリアブルフェイズシフト(通称:VPS)装甲
「ガンダムSEED Destiny」に登場する架空の装甲であり、フェイズシフト装甲の改良型でもある。装甲に流す電流の量を装備や状況に応じて調整、またはそのエネルギー配分を最適化しエネルギー消費を更に抑える事も可能。しかもそれだけでなく、装甲の強度としてはMSの実体剣やミサイル、または銃火器などの物理攻撃を無効化する事もできる機能が付いている。つまり、先ほどツナギの集団が使っていた銃などで攻撃しても、ほぼ無意味なのである。
もちろん使用する際に使うエネルギーも消費するが、現在蒼夜が搭乗しているインパルスのエネルギーはそこまで多く使っておらず、加えて残量も余裕で残っているのだった。
当然そのような機能を全く知らないツナギの集団は、いつの間にか銃を下ろし、ひどく絶望していた。仲間の1人がロケットランチャーを使っていても、インパルスに傷一つも負わす事ができないという事実を突きつけられた事で、“もうこれ……勝てなくね?”と内心で思い浮かぶ者達が多くいた。
その時、今までの銃撃を受けてむ無傷だったインパルスは、反撃しようと動き出した。
バババババババ!!!!!
バキュ─ン!!!!
胸部に搭載されている 2門の機関砲……MMI-GAU25A 20mmCIWSをツナギの集団に向けて乱射しながら、ビームライフルも使って、ワゴン車を攻撃命中する。ちなみに機関銃を使っている際には、男達には命中しておらず、ギリギリの所で威嚇射撃を行なっていた。
「うあぁ!?う、撃ってきやがったぞ!!」
「逃げろぉ!」
「おい!もっと武器をよこs───ッ!?」
インパルスの機関砲の射撃に巻き込まれていないが、殺されると思い込む男達は必死に逃げ続けていた。もちろん反撃を行おうととする者もおり、追加の武器を取りに行こうとした瞬間、突如として巨大な足が男達の視界を影で覆うかのようにやってきた。
ドォン!!!!
そして次の瞬間、集団が乗っていたワゴン車を踏み潰してしまう。向かおうとしていた男達は無事だったものの、自分達が乗っていた車がぺしゃんこに押し潰された光景を目の前で目撃し、恐怖のあまりに足がすくんでしまった。
「あ………あぁ………」
「クソがぁぁぁ!!!」
「に、に………逃げろぉぉぉ!!」
「勝てるわけねーだろ、あんなバケモノ相手に!?」
「いいから撃ち続けろ!!」
自分達が所持している武器では役に立たず、加えて乗ってきた車も破壊し尽されてしまった。再び攻撃を行なってもインパルスに敵わないと知った者達はその場から逃げようとしたり、考えなしに乱射し続ける者もいた。
しかしそんな中、1人だけが違っていた………
「…………」
ツナギの集団が困惑している中、1人の緑髪の男……真島は、ただその場で立ち尽くしていた。
次々と破壊されていく車が鉄くずとなり、相手に敵わないと逃げ回る部下達が増えていく。もはやこっちが追い込まれているという状況になっていながらも、真島は目の前で武装を使い続けているインパルスの姿をただ眺めているだけだった。
しかもその表情は相手に対する敵対や怒りではなく、好奇心を抱いていた。
「……………はは……」
そんなインパルスを眺める真島は、思わず
「そうか………そういう事かぁ───
あの時の地下鉄、そしてリコリスの襲撃を邪魔したのも…
全部………
全部、お前の仕業だったのかぁ!!!!」
インパルスに向かって叫び出す真島。だが、その時の表情は笑っていた。
自分達がこれまで失敗していた作戦を邪魔してきた事に対する怒りよりも、目の前に存在する謎の巨大人型兵器の方が気になって仕方がなかった。
目の前に現れた巨人が、どうやって造られたのか……そして、誰が造ったのか………
知りたい…
もっと近づきたい!
そしてこの手で、直接触りたい!!!
などなど………内心で様々な感情が激しくなり、目の前で起こっている出来事を目にした真島は、喜びと同時に大きく興奮していた。そんな時、1人の部下が焦っている様子で真島に近づいてくる。
「ま、真島さん……もうダメです!このままじゃ、俺達が先に全滅しちゃいそうです!は、早くてっt「撃ち続けろ」───は?」
「弾が無くなるまで、あの巨人を撃ち続けろ。それと怪我している仲間がいたら、運んでここから撤退しろと伝えろ。もちろんまだ万全な奴らにも、ありったけの武器を使って撃ち続けろと伝えてくれ。」
──と、新たな指示を出した真島は、偶然にも近くの地面に落ちてあったアサルトライフルを拾い上げ、リロードを行う。だが、突然真島の口から語られた指示を受けた部下は理解ができず、恐る恐ると再び尋ねようとする。
「撃ち続けろって………まだあの巨大ロボットと戦い続けるんですか!?」
「当たり前だ……いいか、ここで奴を絶対に逃すな。もしも逃げられたとしても、部品の一つか二つを落とすだろ……とにかく、どんな手を使ってでも奴を攻撃し続けろ。」
「で、ですが………それでh──」
「いいからさっさと行け」
「は、はいぃ!!!」
未だに伝えた言葉が理解ができない部下があやふやになると、真島は思わず圧力がかかるような言葉で強制的に指示を出す。それを聞いた部下が、慌てながらも他の仲間達にも伝えようと急いで向かったのだった。
「ふぅ…………さて、始めますか───
巨人狩りをなぁ!!!」
──と、再びインパルスの方に視線を向けた真島は、叫び声を上げながらアサルトの引き金を引いた。
一方その頃、リコリコメンバーはというと………
「………な〜んかアタシ達、とんでもねぇ現場に来てしまったんじゃーね?」
「あぁ………同感だ……」
──と、赤い車から目の前で起きている出来事を眺めるミズキとミカは語り合っていた。車をその場から動かしていないとはいえ、圧倒的な武装を持つインパルスに目が離せなかった。
もちろん2人だけでなく、同じ車に乗っている千束とたきなも眺めており、唖然としていた。
「…………とんでもない事になってますね。」
「うわぁ〜………なんかあの人達が可哀想に見えたよ。」
ついさっきまで千束を追い詰めた集団が、一瞬の事で形勢が逆転する。突然と現れたインパルスが容赦なくツナギの集団は瞬く間に蹴散らして様子も守られ、男達の口から漏れ出す悲鳴の声も聞こえていた。
「ひ、ヒィィ──!!!」
「うわぁぁ!!!こ、殺されるぅ!!」
「誰か、助けてくれぇ!!!」
「いやだ………死にたくない!!」
「やられ千葉ぁ!!!」
千束達の視線から見れば、それは巨像と小さな蟻だった。
映画のアクションシーンように爆風で人間が軽々と宙に弾き飛ばされてしまったり、車に乗って逃げようにも次々と破壊された事で、その場から自分の足で逃げる事しかできなかった。
もはやその光景を目のするリコリコメンバーは、ただ眺める事しかできなかった。
「ていうかさ、このまま逃げれるんじゃね?」
「「「───あ」」」
──と千束が思わずそう口にすると、たきな達が反応する。
未だに銃撃を行い続けている真島やツナギの集団は、リコリスである千束を狙うのを止めたのか、それともインパルスに集中しすぎて完全の彼女の存在を忘れてしまったのか………だが、自分達の存在を気づいていないのであれば、今ならこの場からすぐに撤退する事ができるんじゃないのかと、千束はそう思い浮かんでいた。
それ聞いたたきなは、急いで車を出すようミズキに声をかける。
「確かに…………ミズキさん!!!!」
「え………いやいや私もそうしたいけど、そもそもこの状況でどうやったら逃げられるのよ!?」
だが、状況的には最悪だった。
インパルスと真島達の銃撃のせいで地面が荒れてしまい、加えてそこら辺にあった草木には火が燃え広がっていた。今からこの場から車を動かそうにも、銃撃の流れ弾に当たってしまうかもしれない。しかも、たったの一撃でワゴン車を鉄くずにまで破壊してしまうインパルスが持つ謎の大型の光線銃にまで巻き込まれば、一発で丸焦げになってしまうという恐れもあるかもしれない。
「えぇ〜じゃ、じゃ………こっそりと逃げるとか〜」
「あぁ、なるほどね〜……ってアホ!それだったらあの集団に見つかって、またアタシらを狙うかもしれねーんだぞ!」
「大丈夫だよ!ワイ◯ピみたいなカーアクションすれば、なんとかなるって〜!」
「アクション映画見たいにできるわけねーんだよ、この映画好きの小娘がぁ!!」
──と、あれこれ言い合う千束とミズキ、そしてその出来事を目にするミカは頭を抱える。そんな中、たきなが2人の間に割って入ろうとする。
「2人とも、いい加減にしてください!今は言い争っている場合でh───」
ガシ!!!
「「「「───ッ!?」」」」
するとその時、いつの間にか千束達の方へと近づいてきたインパルスが、彼女達が乗っている赤い車を掴んだ後、持ち運ぼうとしている。車体を激しく揺らさないように、落とさないようしっかりと両手で抱えようとするインパルス。突然の事で思考が追いついておらず、千束も思わずその場で叫び声を上げてしまう。
「ちょ、ちょいちょいちょいちょい!何してんの〜!?」
「あ?アイツ………何しているんだ?」
それから場所が変わって、銃撃戦を繰り返し続けてている真島も、インパルスの不審な行動を目にする。あれから何度も反撃し続けていたが、結局インパルスにダメージを負わせる事ができず、むしろ真島達の方がダメージを負っていた。
銃撃戦をしている時、何人かの部下が怪我をしてしまい、ついには最後の一台のワゴン車が破壊されてしまった。爆破した車を確認したインパルスは、装備してあったビーム・ライフルを腰部に仕舞い始めると、今度は別の場所………リコリコメンバーが乗っている赤い車の方へと向かうのだった。
それを見た真島が一瞬目が点となっていたが、すぐに我に帰る。
「おいおい急になんだ………まさか!?」
疑問を抱くと同時に何を気づいた真島だったが、既に遅かった。目の前でリコリスの少女が乗っている赤い車を持ち運ぼうとする様子が見えていた。恐らくインパルスは、あの車を持ち運びながら、この場から撤退しようとするだろう。
「クソッ!さっきから俺の部下を殺さず、ただ車を破壊しているだけ………ということは、ただのブラフってことかぁ〜?おいおいふざけんなよ……あんな漫画に出てくる武器を持っているのに、まるで俺達を最初から殺す気もなく、そのままリコリスのガキを連れて帰る気なんじゃねーよなぁ?」
──と、自身や部下達を殺さないという意味不明な行動をするインパルスに、あまり気に入らない真島は愚痴るかのような口調で語っていた。
ちなみにインパルスの操縦者……暁月蒼夜は、そもそも最初から真島一派を殺すつもりはなかった。今までの攻撃はあくまでも威嚇射撃で、集団が乗っていたワゴン車を破壊するだけだった。そして何より、今回の目標としては、リコリコメンバーをこの場から脱出させる事。
だがその時、なぜか千束達が乗っている赤い車がその場から動いていなかった。“もしかして、車が故障したのか?”と内心で思い込む蒼夜が、最後のワゴン車を破壊し終えた後、彼女達の車を揺らさないよう抱えながら持ち上げ、その場から脱出しようとする。
しかし、そんな彼らを真島は簡単に逃してくれる事はなかった。
「おいおいおいまだ帰るには早すぎんだろ…………つーか、ここで逃すかよぉ!!!!」
──と、そう叫びながらロケットランチャーを構える真島は、引き金を引こうとした瞬間………
ゴオォォォォォォォォォオ!!!!!
インパルスの背部に装備してあるフォースシルエットのスラスター部分のエンジンが展開する。(高機動力)もしくは(高出力)のエンジンから出てくる風やそこら辺にある土や砂などが広がると、集団の動きを止めてしまった。突然起きた風の影響でツナギの男達は軽々と飛ばされてしまったり、草木を掴みながら耐えようとする様子も見えていた。
「───クソッ!」
ついさっきまでロケットランチャーを構えようとしていた真島も、地面に貼り付けていた。立ちあがろうにも、風圧が強すぎるせいで立ち上がれなかった。その隙にインパルスは、千束達が乗車している赤い車を抱えながら、そのまま飛び去ろうとスラスターの出力をさらに上げた。
「うぁあ!?」
するとその時、1人のツナギの男が肩に抱えていたランチャーの弾を思わず放ってしまった。だが、風圧の影響で感覚がブレてしまい、宙に浮かぶランチャーの弾はインパルスに向かっておらず、自分達の組織リーダーである真島の近くの地面に着弾したのだった。
「───は?」
その時の音を反応をした真島は、ランチャー弾が自身の近くで着弾したのを目にしたと同時に、疑問の声を漏らしてしまった。だがしかし、すぐに我に返った真島は“やべぇ…”と言わんばかりの表情をしていた時…………
BooooooooooM!!!
盛大に響く爆発音と共に炎が広がり、一瞬で地面が荒れてしまった。ギリギリのところでなんとか回避する真島は、爆風によって近くの川の方へ吹き飛ばされ、そのまま沈んでしまった。
「「「ま、真島さ〜ん!?」」」
自分達のリーダーが川に沈んでいるという光景を目撃した部下達は叫び声を上げながら、急いで川の方へ向かっていく。その隙にインパルスは、振り返らずにその場から脱出しようと、上空の方へ飛び去っていった。
ちなみに、車に乗車しているリコリコメンバーはというと………
「〜〜〜ッ!!!」
「ヒィィィイ〜〜〜!?」
「「ほんぎゃあぁぁぁ!?」」
ジェットコースター以上の速度を持つインパルスの飛行機能に追いつけない彼らは、意識を失わないように小さな悲鳴を出している。ちなみに千束とたきなに関しては、驚きのあまりに思わず変な叫び声を出してしまった。
☆★☆★☆
場所が変わって、リコリコでは………
「クソ!何がどうなっているんだ!?」
そう言いながらクルミは、激しくキーボードを操作し続けていた。相変わらず彼女は店の押し入れの中にいるが、千束達との通信が途絶えてしまった事で焦っていた。つい先ほど現場へ向かわせたドローンからの映像を観れたおかげで、現場がどんな状況になっているのかを確認する事もできた。
だが、インパルスが乱入してから、現場はさらに激戦となっていた。しかもその途中で銃撃の流れ弾がドローンに命中してしまったせいで、映像までもが途絶えられてしまった。そして現在クルミは、彼女達が所持してあるスマホのGPSや街中の防犯カメラを調べ続けているが、未だに見つけていなかった。
それでもクルミは、諦めずに捜索し続けていると………
「こっちは………ダメだ、全然見つからない………まさか、あのロボットが何かをしたのk───」
ドォォォォン!!!
「オワァ!?」
突如、まるで小さな地震が起きたかのような揺れが響いていた。しかもその揺れが現れたと同時に、店の外から戦闘機のエンジン音が聞こえた気がしていた。驚きを隠せなかったクルミは、例の襲撃犯の仲間と考えながら、急いで店の外に近くにある防犯カメラを確認するが……
「なっ……映ってない……だと!?」
──と、なぜか映像にはそれらしき姿は見当たらなかった。
「…………あ〜もう!仕方がないな〜!」
するとその時、クルミは押入れから降りた後、途中で店内にあるヘルメットや箒を持っていきながら、外に出ようと扉の所までへ向かった。今の店にはクルミしかおらず、加えて自分を守ってくれる者もいない。ならば自分でなんとかしなければと、そう思いながらクルミは頭にヘルメットを被り、武器としての代わりの箒を構える。
「(クソ………ボクは千束とたきなみたいに戦闘ができるわけでもないんだぞ!!)」
──と、内心で愚痴を言うかのような口調をするクルミだったが、それでも行かなければならないと決心し、ようやく扉を開けた。
「えぇ〜い!!もうどうにでもなれぇぇ───
…………あ」
外に出ようとした瞬間、目に前には赤い車を地面に下ろしているインパルスの姿が見えていた。しかもその時、
「……………」
“カラン”と思わず箒を落としてしまったクルミは、その場から一歩も動けなかった。驚いた表情をする彼女は、目の前で現れた人型巨大兵器を黙って見つめていた。その姿を今までテレビやドローンの映像などで確認していたが、実際に目の前で見るとかなりの巨人だった。
そして、もうこの場に用はないのか……インパルスはそのまま飛び去っていった。
信じられないと言わんばかりな表情をするクルミは、飛び去るインパルスの姿を目を逸らさずに、黙って眺めている事しかできなかった。
するとその時、車から千束達が降りてきた。
「……ッ!千束、お前ら!無事d───」
「すすまないクルミ………水を……ウゥッ!」
「気持ちわり〜……もう酒はいらn…オエェ〜」
「これは……流石に……想定外です」
「や、やばい………マジで出ちゃいそうかも……」
「…………じゃなかったみたいだな。」
──と、まるで初めてジェットコースターに乗った後のような表情をする千束達は、猛烈な吐き気に苦しんでいた。ちなみに心配していたクルミは、彼らが苦しんでいる様子を目にし、少しドン引きしていた。
★☆★☆★
その後、店に戻ってからすぐ、DAをハッキングしたのはウォールナット………クルミであると、何も知らぬ千束に全て話していた。その時クルミは、自分のせいでたきながDAをクビになってしまったと思い、申し訳が無くてすぐ彼女に謝罪する。
しかし、そんな彼女をあっさりと許してしまうたきな。
もちろん銃の取引を行っていた主犯、またはリコリスの衝撃犯でもある緑髪の男を捕まえように協力して欲しいと、クルミに伝えるたきな。それを聞いたクルミはなんの迷うもなく“もちろんだ!”と明るい表情で協力する事を決めてから、タブレットを手にし千束達に見せる。
そこに映っていたのは、現場に向かったドローンが撮影した録画映像。その映像に映っているツナギの集団が、『真島さーん!』と声を掛ける様子が目に入った。
残念ながら映像には緑髪の男の姿は映ってなかったが、千束とたきなはその男……真島の顔を覚えていた。一体何者なのかはまだ不明であるが、それでもその主犯の正体が分かっただけで、情報としては有力だった。
だがここで、一つだけ理解ができない疑問が残っていた。もちろん誰もがその疑問について頭から離れず、いち早くその事についてミズキが口を開いた。
「ずっと気になったんだけど……何であのロボットがやってきたのよぉ?」
───と彼女がそう口に出すと、その場の空気が一気に引き締まった。
そもそも何故、あの謎の人型巨大兵器が介入してきたのかは、未だに分かっていなかった。たまたま通りかかって乱入してきたと言う様子には見えず、まるで最初っから乱入しようとする雰囲気に見えていた。そして何より、あの巨人は千束を助けようとする様子も見えていた。
思い返せば先月の
だがそれでも、奴の行動には理解ができなかった。誰もがその事について考えているが、あの場から自信を助けてくれた事に感謝している千束は、思わず立ち上がった。
「良いじゃん別に!あのロボット君は私を助けてくれたんだし……今回は何事も無かったんだからさぁ……」
「何を言っているんですか千束。そもそもあの人型巨大兵器が、千束を助けた理由すらも未だに分かっていませんよ。下手したら、連れ去る可能性だってある………」
「そ、それは〜……「いや、もしかしたら千束の言う通りかも知れねーと思うぞ。」……え?」
「クルミ……つまり、どう言う事だ?」
「恐らくなんだが……襲撃に遭ったリコリスを助けたのは、このロボットを操縦するカボチャ頭の仕業だと思うんだ。」
「「「「…………はぁ!?」」」」
──とクルミがそう口に出すと、千束達は思わず反応する。もちろんその理由を尋ねてくるだろうと予測する彼女は、手に持っているタブレットを操作しながら、再び千束達に見せようとする。
画面に映し出されたのは、真島一派とインパルスが戦闘していた時の映像だった。
「襲撃に遭ったリコリスの状況と、今回の出来事で起きた状況………どちらも同じだった。通信不能、追跡不能、そして何より防犯カメラの映像に映らないという事もできる存在だ。正直、人間ができるってレベルじゃねーぞこれ。」
「ちょ………だったらなんとか探しなさいよ!アンタ、凄腕のハッカーなんでしょ!?」
「もうとっくに探してたよ!だけど正直悔しいけど………今の所何一つ見つかっていないんだ!」
──と、クルミがミズキの疑問を答えると、周りにいる皆も驚きを隠せなかった。DAも未だにその存在を見つけておらず、加えて世界一の凄腕ハッカーであるウォールナットと呼ばれているクルミでさえも、見つける事ができなかった。
「………つーか、千束もそうだけど、他のリコリスを助けているコイツの目的って……結局なんなの?」
「さぁーな。だが、一つだけわかった事があるぞ」
「──っ!本当ですか!?」
何か有力な情報を掴んだのかと思い込むたきなは、思わず反応する。その時クルミは再びタブレットをイジると、また別の新たな映像を見せようとする。それが有力なのかはどうかはまだ分からないが、それが役に立ちと期待する彼女達は、早速その映像を目にすると………
そこに映っていたのは、インパルスの合体&変形シーンをしていた時の映像だった。
「「「「……………」」」」
「これを見てくれ!空中で合体した後に、人型に変形したんだぞ!!もはや今の時代では造れないどころか、SF世界に登場してもおかしくないくらいのテクノロジーを持っているぞこのロボットは!!しかもそれだけじゃない!なんとコイツは──」ぶつぶつ
映像を見せた途端、興奮しながらも解説するかのような口調で語り始めたクルミ。それを見た千束達は、期待外れだとばかりに冷酷な視線で見つめながら、“コイツは、本当に反省しているのか?”と言わんばかりな表情をしていた。
☆★☆★☆
一方その頃、別の場所では………
「やばい………やばい……絶対に殺される!」
──と、PCモニター以外の光源が一切皆無の部屋であっちこっち歩き回っているロボ太は、焦っていた。
インパルスが介入してから真島達との連絡が途絶えてしまった上に、向かわせていたドローンもいつの間にか破壊され、現場の状況が見れなくなってしまった。
仮に真島があの場から生きていたとしても、今回の作戦も失敗してしまったことで、今度こそ殺されるかも知れない………と、そう深く思い込むロボ太は、真島と再び会った時にどう説明すればいいのかを必死に考えていた時──
ドガアァァァァァン!!!!!
「ま、またドアァァァ!?」
突然、破壊する音が響くと共に、出入り口の扉が派手に吹き飛ばされた。
しかもその扉を蹴破ったのは、全身びしょ濡れとなったいた真島だった。しかも無言のまま、なんの躊躇もなく土足で部屋に入ってくる。ちなみについさっき扉が破壊された時にロボ太が“また”と口に出していたのは、以前にも真島の部下である2人のマッチョな男達に扉を壊された記憶があった。
それから真島は、ロボ太の目の前へと近づき、後から入ってきた部下達も逃さないように周りを囲もうとする。あっという間にその場の主導権を握られた真島の前に、ロボ太は思わず正座してしまう。
「あ………あの………み、皆さん……」
「……………おい、ハッカー」
「(あ、これ……殺されるn…「あの映像はどこだ?」………へぇ?」
「だから………映像だ。お前があの場に向かわせたドローンには、映像が残っているんだろ?そいつを今すぐ、俺に見せろ。」
「あ、あぁ……破壊する寸前の映像なら残っているが………それがどうs……「いいからさっさと見せろ、じゃないと殺すぞ」……は、はいぃぃぃ!!!」
おどしの言葉をかけてくる真島の声を聞いたロボ太は、慌てながらもPCのキーボードを操作しながら、送ったドローンの映像をモニターに映し出した。そして映像を再生した途端、真島はその映像を凝視するかのようにピタリと動きが止まった。
「………………」
「………お、おい……」
そんな彼の様子を近くで目にするロボ太は、思わず真島に尋ねると……
「…………ハハハ……」
「……ま、真じm──」
「ハハハハハハハハハハハハ!!!!すっっげー、すげーよアレ!!!もう完全にSF世界どころか、空中で変形合体したんだぞ!んだよあの変態技術は、戦隊ロボのパクリかよ!クソッ!もう少しだった………後もう少しのところで、アイツに近づけられたんだぞ!!」
初めて自身の目で謎の巨大人型兵器をすぐ近くで目にし、圧倒的な武装を持つ戦力差を見せつけられた真島は、大きく興奮していた。ちなみにそんな彼の様子を眺めていたロボ太は、割とガチで引いていた。
「よくやったハッカー、面白れぇヤツを見つけたなぁ!あれじゃなきゃ俺とはバランスがとれねぇ!」
「お、おう………(なんだろう、なんかあんまり嬉しくねーな…)」
「リコリスの本拠地もそうだが………こんなイレギュラーが存在するなら、これからはもっと忙しくなるぞ!それに、次の目標も今決めたんだからなぁ……」
“次の目標”という言葉を聞いた瞬間、ロボ太はなんとなく嫌な予感をしていたが……すでに遅かった。
「もちろん、お前にも手伝わせてもらうぜハッカー……
コイツを手に入れる為によぉ!!!」
──と、そう言いながら真島は、画面に映っているインパルスに銃口を当てる。それを聞いたロボ太は、“どうしてコイツの依頼を引き受けてしまったんだ…”と、ひどく後悔していた。
「さぁ、始めようぜ………本当の巨人狩りを……」
「ヘックシュン!!な、なんだ……ものすごい寒気を感じたんだけど………」
当時、ガンブレ4の体験版を予約をしたかったですが、リアルで忙しかったためで時間がなく、すでに敗北してしまいました(泣)。早く正式日、来てくれ!!!
最近投稿が遅くなってすみません、次回もお楽しみに。