リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
大変長らくお待たせしまって、本当にすみませんでしたぁ!!
今年の1月に公開当時だったジークアクスを観た私は再び書こうと思ったら、気が付いたら3月になってしまいました!(汗
リアルの関係でまた遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。
「エクシア、目標を駆逐する!」
刹那・F・セイエイ(機動戦士ガンダム00)
「デュナメス、目標を狙い撃つッ!」
ロックオン・ストラトス(機動戦士ガンダム00)
※注意:この物語には実際に
“戦争がなくなりますように”
“違う国の人と友達になれますように”
“世界が平和になりますように”
━━と、どこかの神社の神棚に置いてある絵馬に書かれてある願い事を目にした事があるだろう。小さい子供や心優しい老人なんかが書く人も多く、“1日でも早く世界から戦争を無くなって欲しい”と願う人も少なくない。
だが皮肉にも、
治安の良い国として8年連続で一位である日本とは真逆に、世界は至るところで戦火に包まれ、争いは収まる気配すらも無い。国連でさえ未だに解決できていない問題を抱える国は多く、ただその国の状況が改善される日を待つだけしかできなかった。
そしてこれは、その数ある問題のひとつに過ぎなかった……
日本から9千km以上も離れている中東のパレスチナにある地中海に面した細長いエリア……ガザ地区では、イスラエル軍と武装組織との激しい紛争が続いていた。2000年以上の歴史が原因で、互いの武力や武器を使って占領や侵攻などをくり返すばかりだった。当然その場に住む市民達にとって望まない紛争であり、一刻も早く終わって欲しい者と人質にされてしまった人々の解放を願う者は多くいる。
開戦してから半年が経ち、ようやく念願の停戦交渉が開始された。人質や捕虜の交渉を行う予定もあり、特に友人や恋人、家族を持つ者にとって大いに歓喜していた。
しかしそんな彼らの期待を裏切るかのように、武装組織は何の躊躇いも無く100発を超える攻撃ミサイルを発射した。組織の最高指導者である男は、最初から停戦を受け入れるつもりなど微塵もなかった。当然その報を受けたイスラエルの首相は激昂し、即座に反撃を命じた。同時に、停戦交渉は完全に決裂することとなった。
それから現場は再び戦場へと逆戻りしてしまい、ガザ地区には家や家族を失った罪のない難民や多くの怪我人が増え、更に人質は未だに囚われたまま。だが軍はそんな彼らを
対立する組織もあらゆる方法で攻撃し続けた……それも非道なやり方で。
もはや国際的な問題が解決できない程のレベルを超え、その地に住む人々はいつ死んでもおかしくない毎日を過ごしていた──
その地区が過酷な戦場になる前までは、人々が暮らす数々の建造物があった。だが、侵攻しようとする軍からの攻撃ミサイルによって空爆されてしまったせいで、大半のほとんどは廃墟や跡地へと変わってしまった。帰る居場所を失った多く民間人は、近くに設置してある避難所で暮らすようになった。
だが突如、避難所に数名の武装組織の分隊が現れ、そして……
『ここは我々の新たな拠点として使う事になった!諸君らの反論など聞かぬ!』
━━と、分隊のリーダーらしき男がいきなりそう宣言した。当然その言葉に納得ができなかった避難民達は黙っていられず、“出ていけ!”と非難の声を上げた。だが相手は銃などの武器を所持しており、組織の力や暴力などを見せつけられた彼らは、大人しく従うしかできなかった。しかも追い出そうとせず、むしろ勝手の組織の労働として扱い始めた。
それから僅か数日が経ってから現在、ついにその場所も戦場となる時間も迫っていた……
「急げ、グズグズするな!さっさと残りの荷物を詰め込め!」
遠くから聞こえる空爆音が鳴り響く中、避難所から組織の新たな拠点となったその場で指揮者としての役目を持った幹部の男は、鋭い視線で次々と指示を送り続けていた。
それぞれ戦闘の準備を進める部下達にだけでなく、この場に残っている避難民達にも、物資や武器などをトラックに詰め込むよう無理やり命じた。
もちろん彼らだってやりたくてやってるわけではない。だが相手は銃などを装備しており、“逆らえば自分達が殺されるかも知れない…”と考えるだけで怯え、ただ黙って組織の指示に従う事しかできなかった。
物資を必死に運ぶ難民達の身体から疲労や苦痛が溢れ、栄養不足が原因で倒れそうになる人も多くなり、大半のほとんどが動けない状態となった。加えて所々から空爆音が鳴り響き、中には怖がって動けない者もいる。
そんな彼らを目にした組織は見過ごす事ができず、銃などを使って脅しながら、無理やりにでも叩き起こそうとした。
文句の一つも言えない彼らは、ついに最後の一つである荷物をトラックに詰め込む事ができた。疲れ切った難民達の中から一人の民間人が立ち上がり、苦虫を噛み潰した表情で幹部の男に伝えようとする。
「な、なぁ……アンタの言った通りにした……だ、だから!約束通り、早く俺達を避難させてくれ!」
どうやら荷物を運ばせる前に、“手伝ったら避難できる場所へ向かわせる”と、言われていたようだ。当然彼らは信用する事もできなかったが、他に選択できる余地も無く、結局その提案に乗る事しかできなかった。
「…………よっし、いいだろう。約束通り避難できる場所へ送ろう。」
「ほ……本当k…「ただし、それ以外の者はこの場に残ってもらう。」━━は?」
「諸君、よく聞けぇ!これから我々は、敵と戦わなければならない!ここにいる女子供、そして老人共にはこの場から去れ!ただし……戦場で使えそうな男はこの場に残り、新たな兵として戦ってもらおう!」
男がそう叫ぶと、避難民達は理解ができず唖然としていた。先ほど話しかけてきた民間人の男も流石に黙っていられず、困惑した様子で再び尋ねようとする。
「……な………何を言っているんだアンタは!?さっき言ったのと、約束が全然違うz…「しつこい!!!」━━ッ」
「状況が変わったからだ!それに敵はもうすぐ来る、この拠点も占拠されてしまう!ならばこそ我々の為……いや
「なっ━━━━」
理不尽と言わんばかりの言葉を耳にした男は、絶句する。彼だけではない、野次馬も含む周囲の難民達も同じ目をしていた。
「敵に怯える必要はない……そして立ち向かえ!今日この瞬間、諸君らは神によって選ばれた兵であり、死に怯える必要も無い!この戦いに勝利すれば、諸君らは英雄になれるのだぞ!!戦って戦って、無惨に殺されても、勝つまで戦い続けるのだぁ!!!」
━━と、強気な口調で発言した途端、周りにいる組織の部下達は歓喜の声を上げるよう騒ぎ出す。しかし彼らの声援とは真逆に、避難民達の心にある感情が共通していた。
───────狂っている。
口に出して言った訳では無い……だが、彼らの表情にはそのような言葉が浮かんでいた。
「いいか!!使える男はこの場に残って武器を取れ!それ以外の者はさっさとトラックに乗って、今すぐこの場から去れ!もし逃亡をするのであれば……諸君らを反乱分子として、この場ですぐ死刑するぞ!」
威嚇の言葉を吐き出す幹部の男は、早々に選別を行い始めた。当然選ばれたのは、体力のありそうな男性ばかり。しかし彼らの中に、守らなければならない恋人や家族を持っている者が何人もいた。
だが皮肉にも否定すらできない。何故なら相手は銃器などを武装しており、逆らえば殺されるかも知れないし、逆に家族などにも危害を加えてしまう恐れもあるかも知れない。そう考えるだけで自分達は無力なのだと、彼らは悔やむ事しか無かった。
やがて選別が終えようとする途中、一人の部下が怒鳴り声を上げていた。
「おい貴様、どこへ行くつもりだ!?貴様もここに残るのだぞ!!」
選別を行う中、とある四人家族の一人である父親を見かけ、戦力として選ばれた彼を戦場へ連れていこうとする。しかし家族の元から離れる事ができなかった父親は、必死に弁解しようとする。
「ま…待ってください!私にとって宝物同然である愛する妻と息子、そして娘しかいません!どうか……どうかぁ…「うるさい黙れぇ!!」━━ぐはぁ!」
だが、話を聞く耳を全く持たない部下の一人が吼えながら、銃を使って父親の頬を叩きつけた。その際に引き離れてしまった母親と娘は涙目で叫び、息子である一人の少年も泣きながら倒れている父の元へ向かおうとする。
「父ちゃん……父ちゃん!!」
「このガキ………この男は神によって選ばれた兵なのだぞ!貴様みたいな役に立たないガキは邪魔でしかないのだ!!」
目の前で自身にとって大好きな父を抱きしめようとする少年。だが彼の前に部下の一人が割り込み、怒鳴り声を浴びせながら銃で叩きつけた。叩かれた勢いで吹き飛ばされた我が子を目にした父も、流石に黙っていられなかった。
「や……やめてください……息子だけh…「黙れこの虫けらが!!」━━グゥッ」
「おい貴様、何をモタモタしている?」
「そ、それがこの不届き者、我らの命令通りに全く動いてくれないのです!」
「何ぃ……チッ、この使えないゴミが……もういい!軟弱者がこの場にいる必要はない!この者を今すぐ処刑しろ!!」
もはや戦力として役に立たないと知った幹部の男は、激昂の口調で殺すよう命じた。その言葉に従い一人の部下が父親に銃を向けた途端、目撃した二人の子供は“父ちゃん!”と泣き叫び、助けに入ろうとするも母親である女性に止められる。もちろん彼女だって愛する夫を助けたい気持ちがある。しかし相手は力を持っており、争う事すらできない彼女は悔やみ、ただ見ている事しかできなかった。
やがて父親は家族が危ないと思ったのか、詫びるよう声をかけた。
「お願いします……お願いします……私はどうなっても構いません!だ……だけど……せめて妻と子供達だけは……どうか━━━」
「黙れぇ!!!神の命を全うする事もできない軟弱者である貴様が言い残す必要も無い!さっさと撃ち殺せぇ!」
もはや最期の言葉を語らせるつもりも無く、男は迷う事なく殺害を早めるよう命じた。そんな時、父親にとって愛する妻子達が必死に呼びかけている声が聞こえてくる。殺される覚悟を決めていた筈なのに、どうしても“
そんな想いを抱いている内に、部下の一人が父親に向けたライフルの引き金を引こうと………
━━
「「「「━━━っ!?」」」」
突然の爆発によって、この場にいる全員が驚愕し、慌てて地面に伏せた。特に銃口を向けていた部下の一人も驚きのあまりに、手にしていたライフルを地面に落としてしまった。だがおかげで、奇跡的に父親の命はまだ繋がったままなのであった。
しかも今までの爆発は経験していたより大きく、何より敵軍からやってくる攻撃が予想より早かった。もちろん指揮官の男でさえ予想外の出来事で動揺し、別の地で戦闘配置についた複数の部下達に状況を報告させようと、懐から無線機を取り出した。
「さっきの爆発はなんだ……敵からの攻撃か!?」
急いで無線機を繋げた男は、声を荒げながら呼び叫んだ。しかし回線が悪くなったのか、無線機からはノイズ音しか聞こえず、ほんの微かに部下の声が聞こえた。
〈違━━う!━━━目の前に━━じんだ━━━━
その言葉を最後に、部下との交信は永遠に途絶された。
「巨人だと……ふざけているのか!?真面目に状況を………おい………おい!?」
再び何度呼びかけようとしても返事が無く、無線からはノイズ音が流れているだけだった。恐らく向こうで何かトラブルがあって無線機が壊れてしまったのか、それとも運悪く殺されたのか……どちらにしても向こうからの通信が無ければ、状況も確認できない。
「クソ、一体何が起きて………おいお前達!恐らく敵は新たな兵器を使っているかもしれん!しかし恐れる必要はない!我々の意思は変わらぬ.....敵が来るまで、戦いの準備をすぐ始めるのだ!!!」
「「「「━━━━━」」」」
荒れた口で叫びながら、戦闘の準備を進めよう新たな指示を出す。しかし部下達はその命令を全く聞いていなかったのか、ついさっきまでのように動かなくなった。しかもこの場にいる避難民も加え、全員が同じ目線で空の方へと見上げていた。
そんな彼らの様子を目にした幹部の男も流石に違和感を覚え、再び声をかけようとする。
「おい貴様ら、いつまでボーッとしているのだ!?さっさと立って戦闘の準備をしろ!」
「な、なぁ……なんか光ってねーか?」
「飛行機……いや違う………あれは
「聞こえなかったのか!?さっさと動けと言っておるのだぞ!!」
「しかし……あ、あれは……」
「いい加減にふざけるのも大概にしろ!それとも空に何かいるのk━━━━━は?」
怒声を上げても部下達は全く動かず、途中でエンジンとは思えない駆動音のような何かを聞こえた男は、空の方を見上げると………ありえない光景を目の当たりに絶句してしまうのだった。
上空から雪のように降ってくる緑色の粒子……
粒子と共に光から、人のような形をした何か……
その正体は、青と白の特殊なカラーを持つ巨人だった…
額にVの字が付いた人間のような頭部。両腕部には大型の剣か銃のような武器に盾、そして両腰には2本の剣も装備されていた。巨人の背後から緑色に輝く光の粒子が放出されるその姿は、この場にいる全員にとって神々しかった。
「…………天使……さま…?」
━━と思わず呟いた少女は見惚れており、彼女だけでなくこの場にいる全員がそう思い込んでも仕方がないのかもしれない。この地に住む人々にとって”絶望の闇”として、その巨人はまさに”希望の光を照らす救世主”のように見えいたのかもしれない。
見た目は巨大な人形ロボットだと思えるも、空から見下ろすその姿は想像を超えた超常的な存在で、この地に降臨してきたように姿を現した。
「か、神………いや、神に仕える守護者様……なのか?」
「なんという光だ………こんなの初めてだ……」
あまりにも神々しい光景に見惚れてしまった部下達は思わず呟き、組織としての信念など忘れ、全員が同じ目線を向けたまま呆然と立っていた。
その直後、戦闘用として重火器などを積んだ一台のテクニカルが、
「「「「「━━━━へぇ?」」」」」
目の前の出来事に一体何が起こったのか分からず、幹部の男は呆然と立ち尽くす。しかしそれは彼だけではな、この場にいる全員が呆けた表情を浮かべて動きを止めていた。爆散したテクニカルには誰一人乗ってはいないが幸いだったが、それよりもついさっきまで利用していた武装車両が一瞬で跡形もなく丸焦げとなった出来事に、組織の連中は驚きのあまりに思考が追いつけなかった。
この一瞬、何が起きたのか軽く説明すると……エクシアの右腕に装備してあるGNソードの銃口からGN粒子を圧縮したビームを放ち、たった一発で無人のテクニカルに命中する。もちろん威力は最大限に落としているものの、初めて
組織の幹部である男も唖然とするが、いち早く意識を取り戻し、迷わず視線をエクシアの方に向ける。
「な、なんだあれは━━━ヒッ!?」
男の視線から見るエクシアの姿は、つい先ほどの神々しさとは裏腹に、どこか恐ろしい何かを感じていた。それはまるで、今までやってきた自分達に天罰を下そうとする殺意にも見えていた男は、思わず小さな悲鳴を漏らしてしまう。
「あ………あぁ……」
ついさっきまでとは様子が一変し、弱気な声を漏らす。そんな状態となった男の様子を気付いていない一人の部下が困惑しながら、尋ねようと声をかけてくる。
「指示……指示をください!この後我々は、どうすれば……っ」
「━━━━撃て━━━」
「……は?」
「撃て……撃て……撃てと言っているのだ!!あの巨人を破壊するまで……確実に殺すまで、撃ち続けろぉ!!!」
慄然になった男は指揮者としての冷静さを失い、ヤケクソで部下達に命じた。先ほど尋ねていた部下の一人も戸惑いながら再びエクシアを目にした途端、身体から恐怖が湧いてくる。
「い………ぁぁ………う、撃てぇぇぇ!!!」
いつの間にかエクシアに向けていたライフルの引き金を引いた部下の一人が叫び声を上げると共に、釣られるように他の部下達も装備してある銃器を使って、一斉に攻撃し始めた。ライフルの銃口から放たれる銃弾を受けるエクシアだが、外傷は一つもなかった。
そもそもエクシアの装甲は『Eカーボン』と呼ばれる金属素材であり、加えてGN粒子によって防御力も強化されたおかげで損傷は一つもつけられない。もちろん組織の連中はその機能を全く知らず、ただひたすら撃ち続けるしかなかった。
今の所無傷の状態であるエクシアは地に降り立ち、目先にある残りのテクニカルの全てを足で踏み潰し、またはサッカーボールのように蹴っ飛ばし始めた。
「うぁぁぁああ!?こ、攻撃してきたぞぉ!!」
「ダメだ……全然びくともしない!?」
「い、いいから撃ち続けぇ!!」
この時エクシアはこの場にいる人々を巻き込まないようにしているが、殺されると思い込む組織の連中は攻撃を止めなかった。やがて部下の一人がライフルの弾を使い切ってしまい、急いで補給するよう武器などを積んだトラックに向かおうと……
ドオォォォン!!!
━━する直前、上空から新たな桜色の光がトラックに突き刺された瞬間、目の前で爆散した。
「「「「「うわぁぁぁぁ!?」」」」」
もう一台の車両から爆発が起こり、驚愕のあまりに叫び声を上げる部下達は、爆風の衝撃波によって吹く飛ばされる。何が起きているのか分からず、状況を把握しようとする途端に、上空から赤い粒子と共に現れた新たな巨人……GN-X《CB仕様》 が地に降り立った。*1
「ヒィイ!?ま、また違う巨人が現れたぁっ!!」
「う……狼狽えるなぁ!攻撃し続k━━ふ、増えたぁ!?」
しかも一体だけでなく、後から増えるように続く2機のGN-Xも現れる。ちなみについさっきまで爆散したトラックも、武装の一つであるGNビームライフルから放たれた光線によって、見事に命中する。途中から参戦してきた3機も、エクシアと同じように残りの武装車両を全て破壊しようと動き出した。組織の部下達は必死に乱射を続けるも全く歯が立たず、むしろ弾切れが早くなるだけだった。
「だ……駄目だ、全然効いてないぞ!?」
「無理だ……あんな化け物に勝てるわけない!」
「クソッ!弾がもう……こうなったら━━━」
やがて最後の車両を破壊し終えた4機は、この場にいる武装組織の連中に立ち向かおうと振り向いた瞬間………
「み、未知の巨人共よ!!これ以上下手に動いたら、こ……ここにいる全員を撃ち殺すぞぉ!!!」
━━と、一箇所に集めた避難民達に銃を向けながら、威嚇するよう叫び声を上げた。もはや自分達の力では相手にされないと思い、組織の集団は民間人を盾として利用しようとしている。
“お願いだ…助けてくれ!”と涙ながらも助けを求める避難民達の前に、エクシアと3機のGN-Xは動かなくなった。どうやら盾としての効果があったのか、組織の連中は安堵の息を吐いた。
「よ、よし……いいか、一歩でも動くな!もし動いたら、この場で容赦無く撃ちk━━イテッ!?」
一人の部下が警告し続けている時、首に“プス!”と何かが刺さり、思わず言葉を遮ってしまう。
「なんだ今の……って…あ、あれ━━━━」
蚊に刺されたのかと思った瞬間に意識が朦朧とし、その場で“バタン!”と力なく地面に倒れてしまう。その光景を目にした仲間の一人が驚きながらも近づき、慌てて声をかけようとする。
「お、おいお前!?大丈夫か…………って、は?」
突然倒れてしまった仲間の一人が、
しかも一人だけでは無く、まるで伝染するかのようの他の仲間も次々と倒れていき、彼らも突然のように眠ってしまった。残った集団は仲間を起こそうと揺さぶっても、全く起きる気配も無かった。
「クソッ!一体何がどうなっていt………な、なんだあれはっ?」
何が一体どうなっているのか状況が追いつけない中、突如目の前に
「ヒィ、ま…また変なのが出てきたぁ!?」
「お……落ち着け!あの巨人とは違って今度は小さい!それにあの見た目…あれなら俺たちでも━━━━」
“余裕で倒せる”と思っていたのも束の間、首筋に何かが刺されたと同時に意識が途切れしまい、男はそのまま眠りに入ってしまった。
ちなみに何があったのか説明すると、箱型の無人機ロボット……オートマトンが、
もちろん麻酔針には人体などに影響する殺傷なども無く、あくまでも僅か数分程度で相手を眠らせるだけの薬が針に投入されているだけなのだ。
「ひ、怯むな!たかがロボット一匹で何がd……ガッ━━━」
それから組織の仲間である一人の男がライフルを向けて引き金を引こうとする直前、いつの間にかもう一体のオートマトンが現れ、同じく麻酔針を発射して相手を眠らせた。しかも一体だけでなく、後を続くように数が増えてくる。
「また増えやがった……う、撃て!撃ち壊s━━━」
「無理だろ……に、逃げぇぇえ゛━━━」
「もう……もうここで爆発し……ぁ゛っ━━━」
再び攻撃を仕掛ける者やこの場から逃げようとする者、さらに人質もろとも自爆しようとする者に、オートマトンは容赦無く麻酔銃を撃ち続けた。
「待て……待ってくれ!降参……降参するから!許しt━━」
そしてようやく最後の一人となった男が、降参と意思を示すように両手を上げたが、オートマトンはその男の首にも麻酔針を刺した。
「「「「「━━━━━」」」」」
一方この場に残る避難民達は、目の前の光景を目にして呆然としていた。ついさっきまで怖じけていた組織の連中は、MSが来てからあっという間に無力化されてしまった。本来なら感謝するべきかもしれないが、圧倒的な力を見せつけるエクシア達を思い出すと、どこか恐ろしく感じた。
“もしかして……今度は自分達も同じ目に遭うのじゃないのか…”と皆が内心そう思い込んだ時、守るように抱きしめている母親の腕から離れた一人の少年が立ち上がり、そして……
「と……父ちゃん!!!」
何も考えず突っ走った少年は、父の元に向かって飛び込んだ。そして父親である男性も自分がまだ生きている事を知り、向かってきた愛する息子を強く抱きしめた。
「すまない……本当にすまn━━ッ!」
家族を残して先にあの世へ行ってしまった事に罪悪感を抱いたのか父親は思わず謝ろうとする直前、いつの間にか一体のオートマトンが彼らの前にやってきた。別に何か仕掛けてくる訳でもなく、展開した作業用のアームによって抱えている
何がしたいのか分からず、父親は恐る恐ると箱を開けると……中身は今までに目にした事が無かった
「こ、これは━━ッ!?」
以前に避難所に届けられた支援物資は少なく、組織の集団がやってきてからその大半を奪われてしまうという事態が起きた。しかし今、謎の無人機ロボットから渡された箱の中に食糧が”これでもか”と言わんばかりの数が大量に入っており、その量は支援物資よりも多かった。しかも食糧だけでなく、服や生活に必要な物までも揃っている。ハッキリ言って贅沢と言わんばかりの品物が揃っている。
もちろん父子だけでなく、他の民間人にも渡るよう箱を送り届けていた。更に驚く事にオートマトンはただ渡すだけでなく、怪我や体調不良などを持つ人々に近寄り、胴体から展開したアームが生え、その場で治療を行い始めた。
加えて、眠りに入ってしまった組織の連中はオートマトンによって拘束するかのように引きずられながら、GN-Xが用意した折り畳み型の檻に閉じ込めた。もちろん装備されている武器などを全て没収済み。
「なんなんだ………彼らは……一体……」
あっという間に組織からの支配が消えたその場で、左右を確認するエクシアを目にした一人の民間人は、じっと眺めていた。武装組織を無力化しただけでなく、食糧などを与えたり治療までしてくれていた。どこかの国の新兵器なのかと思うのが普通だか、明らかに人が造れる訳が無い未知の技術を持っているかもしれない。
そんな事を考えている内に、エクシアがこの場から去ろうと背から光の粒子を放出し、空の彼方へ飛び去ったのだった。
「…………まさか……この世界に……本物の救世主様が現れたのか……?」
━━と呟き、姿が見えなくなるまで、ただ黙って空を見上げるだけしかできなかった。。
「(く……クソォ!どうして……どうしてこうなった!?)」
一方その頃、運良く逃げ切れた幹部の男は、見つからないよう瓦礫の影に隠れていた。部下が全滅してしまい、通信機で組織のボスである最高指導者に助けを求めようとするが.....
〈ザァ━━━━ザザ━━━〉
「(チクショウ……この使えないポンコツがぁ!)」
周囲に散布するGN粒子によって電波障害を起こし、外部との連絡は途絶えてしまった。当然そのような原因が起きている事を知らないまま、男は組織との連絡が取れないと知り、イラついた男は使えない通信機を地面に投げ捨てた。
「(クソ!クソ!クソォ!あの化け物どもが来たせいで、私の完璧な作戦が━━━」
視線を変えた瞬間、
「ひ………ヒィィィイ!!!」
驚きのあまりに思わず情けない悲鳴を叫んでしまった男は、慌ててその場から逃げようとする。だがその直後、GN-Xに気を取られてしまったせいで不注意にも見えていない男性にぶつかり、尻餅をついてしまう。
しかもその男性は民間人の一人で、彼だけでなくこの場にいる全員が怒りを籠った表情で、男をじっと睨み付いていた。
「ッ………し、諸君!先ほど色々あったが、今は我々は一致団結して、あの化け物どもを退治しようではないか!?」
ついさっきまでの態度とは真反対になっていたが、彼らにはその言葉を全く信用せず、そこら辺に落ちてある棒などを手に取り、ゾロゾロと近づいていた。
「ま、待て!さっきは本当に申し訳なかった!あ、謝る……だから話を……一回落ち着いて話を聞い━━━━」
その後、オートマトンに発見されるまで幹部の男は、民間人の怒りによってひたすらボコられまくるのだった。
☆★☆★☆
エクシアが空を翔けている頃、とある街中で激化する戦況は大きく広かっていた。侵攻を続ける軍と抵抗し続ける武装組織、それぞれの勢力が武器を手にしながら、一歩も引けない争いが続いていた。
しかもその街中には、まだ避難もできていない多数の民間人が残っているのにも関わらず、どちらも攻撃を止めようとしない。
もはや既に悪化している戦場となってしまったその地に、上空から現れた多数の存在……GN-X《CB仕様》の大軍が、放出する赤いGN粒子と共に舞い降りた。。
人々がその光景に見惚れそうになったその瞬間、突如GN-Xが装備するGNビームライフルが閃光を放った。蒼白いビームは一直線に走り、一台の戦車のキャタピラを正確に貫く。轟音とともに車輪は粉々に砕け散り、戦車は無惨にもバランスを崩して傾いた。幸いにも乗車していた兵士は命を取り留めたものの、たった一撃で戦車を戦闘不能に追い込んだの圧倒的な威力を目の当たりにした軍と組織の者達は言葉を失い、ただその場に立ち尽くした。
しかしその一発に続き、この場にいる組織と軍の連中相手に向かおうとするGN-Xの大軍が、
〈う、撃たれた━━反撃を━━ギャァァア━━━〉
〈逃げるn━━おそr……ヒィ!━━た、助け━━っ!〉
〈やめろ━━こっちにくるな━━━やめっ━━〉
GN粒子によって電波障害が起こり、通話ができない彼らは連携を取れなくなってしまった。それでも何度も攻撃を仕掛けようとするも、GN-Xの指先から発射された粘着性の白いゲル状の物質……トリモチが車体に纏わり付き、僅か数分で大半の武装車両は封じられてしまった。
弾薬も尽きてしまい、もはや勝てないと察した連中は逃げようとするも、いつの間にか待ち伏せしていたオートマトン軍団によって拘束されてしまった。その隙に取り残された多くの民間人を含め、組織によって人質として囚われの身となった人々の救助にも行っていた。
ついさっきまで街中で対立していた二つの勢力は今、GN-Xの大軍によって壊滅寸前に追い込まれた。一変した状況の中、何人かの軍隊が見つからないよう瓦礫の影に潜んでいた。
「お、おい……これ本当にバレないのか?」
「知るか!お、俺だって聞きてーよ!」
━━と不安な声を出す仲間に、思わず怒鳴り声を上げる一人の兵。現在彼らは、戦場の空で飛行し続けている無数の攻撃型ドローンから送られた映像を確認する為、イスラエル軍が運用している戦車……『メルカバ戦車』の内部に設置してあるモニター画面から映し出されていた。
状況から見て、介入してきたGN-Xの方が圧倒的に有利だった。侵攻作戦に参加していた軍の大半がやられてしまい、今ここに集まった兵の数は予想より少なかった。
加えて集めたメルカバ戦車の数は、たったの3〜4台しか揃えていなかった。もはや戦力もあと僅かしか残されていない軍隊は、最後の手段として無数のドローンに装填してあるミサイルを全て使い、一気に仕留めようと考えた。
「あの……本気でミサイルを落とすつもりなのですか?あの街にはまだ、民間人が残っt「黙れ!」━━ッ!」
「上との連絡が取れない以上、これしか方法がないのだ!それにあの街はもう既に武装組織が占拠されて同然だ!貴様が兵であれば、それくらいの覚悟を持つべきであろう!」
困惑や訝しげな表情を浮かべる兵の一人に怒声を浴びせ、残っているすべての無人ドローンに、GN-Xの大軍へ向けてミサイルを放つよう命じた。本来なら武装組織の本拠地を攻撃するはずだったが、現状を考えれば使わざるを得なかった。
「見てろ化け物ども………目に物を見せてやる!!」
やがて、各モニターに映るGN-Xに標準を合わせた所、指揮官の男は発射の合図を送ろうとする……
「よし…………今だ!うt━━━」
その瞬間、
「ど……ドローンが破壊されました!」
「一つ……またもう一つのドローンも破壊され……さ、更にもう一機も破壊されました!」
「━━━は?」
各モニター画面から映像が途絶えられた、遠隔操作をしていたドローンがいきなり壊されたと部下の口から聞かされた言葉に信じられず、指揮官の男は唖然としていた。だがその直後、一人の兵が何かを発見した。
「し、指揮官!他の巨人とは別の……一体だけ違う奴が上空からドローンを攻撃しています!」
「何ぃ!?モニターに映し出せ!!」
そう言われ一人の兵がパソコンの鍵盤を慌てて打ち終え、ドローンと繋がっている映像をモニターに送った途端………この場にいる隊員達は、驚きのあまり息を呑み込んだ。
GN-Xとはまた別の……
加えてそのMSは、狙撃銃のような武器を構えた姿勢で、飛行するドローンを攻撃していたのだった。
緑色の巨人……デュナメスは、メインウェポンであるGNスナイパーライフルを使用し、機体の中で唯一の特徴としてブレードアンテナを下げた状態で、額部分に搭載してある精密射撃用のガンカメラで、飛行するドローンに標準を合わせた。
“バキューン!”と音が響くと同時に桜色に光るビームを射出し、1機のドローンを破壊した後、また別のドローンに向かって連射を続けた。もちろん操縦する軍隊は反撃を繰り返そうとするも、返り討ちされるばかりだった。
「クソ……どこを狙っている!?敵は1機だけだぞ!!」
「そ、それが……原因が分かりません!此方が攻撃する前に、破壊されたんです!」
「報告!多数の巨人が、我が軍に接近してきます!」
何故先にドローンが破壊されたのか原因が分からず、もう一人の部下からGN-Xの大軍がこっちに近づいてくると知らされ、指揮官の男は取り乱した。
更にここで部下からの報告によって、追い打ちをかけられる。
「ほ、報告します!謎の巨人の軍団が敵対組織の本拠地や、その組織に支援をしていた国に向かって攻撃されたと……それだけでなく、
一人の情報担当の部下が硬い声で伝えた報告に、場内にはどよめきが広がった。敵対する組織や長年対立してきた隣国だけでなく、自国にまで侵攻してくるとは、まったくの想定外の事態に動揺を隠せなかった。
今すぐこの事を軍基地にいる本部に連絡を取りたいものの、電波障害の影響で連絡手段が無い。加えて、GN-Xの大軍を迎え撃つだけでも、すでに手いっぱいの状態だった。
「う、上に連絡……じゃなくて、目の前の化け物共を迎撃しろ!どんな手段を使ってでも、この状況をなんとしてでも伝えなければ....!」
慌てた様子で兵たちに指示を出す指揮官の男。しかし、その部隊が無力化されるのは、もはや時間の問題だった。
同じ頃、デュナメスのコックピット内に搭乗している1体の球体型ロボット……
『狙イ撃ツゼ!狙イ撃ツゼ!』
1機……またもう1機のドローンに標準を合わせたデュナメスが、武装するGNスナイパーライフルから放たれた光線によって再び命中する。やがて全てのドローンを破壊に成功したハロはコックピット内にある通信回線を繋ぎ、自分達の主人である少年に状況を報告しようとする。
『一ツ目ノ作戦終了!作戦終了!ソウヤ、コッチハモウスグ終ワルゾ!』
「うん………うん……了解、伝えてくれてありがとう。それと、人命救助を優先にして欲しい……もちろん無理は絶対にしないように。」
━━と、エクシアのコックピット内にある通信回線越しから現状の報告をする橙色のハロにパイロットスーツを着用している蒼夜は言葉を返し、すぐに新たな指示を送った。
それから一旦通話を終え、少しの間だけコックピットのシートに力無く身を預ける蒼夜は、頭に装着しているヘルメット内からどこか不安や後悔などの表情を浮かび、思わず大きなため息を吐き出した。
「ハァァァァァア………なんでこんな事になったんだっけ……」
そもそも何故彼は、悲惨とも呼べる戦場へ介入したのか。それは今から、ほんの数時間前の時に遡る━━━
☆★☆★☆
〜現在から数時間前の出来事〜
場所:中東砂漠地帯
建物や人影すら見えない広大な砂漠……サハラ砂漠に到着した蒼夜一行は、第3世代ガンダムの戦闘データを収集する為にヴェーダを使って砂漠地帯の目立たぬ場所を発見した彼は、人目のない砂漠で訓練を行う事になった。
そもそも彼らが砂漠まで来れたのは、ソレスタルビーイングの母艦であるプトレマイオス2(愛称:トレミー)に乗り、朝一から何事もなく無事に到着した。
ちなみに蒼夜が使用する機体はエクシアであり、戦闘訓練として少数のGN-Xと相手にする事になる。もちろんただ倒すだけでなく、同じ第3世代の機体であるデュナメスやキュリオスなどを操縦するハロ達との連携技も必要となる。
更に今回の訓練は戦闘だけでなく、ガンダムマイスターに近いプログラムをデータを仕込んだハロ達を成長させる為でもあるのだった。
『オツカレ!オツカレ!』
「はいはい………ありがとね、ハロ。」
━━と、小型作業用ロボット『カレル』を操縦するハロからスポーツドリンクが入ったボトルを受け取った蒼夜は、敵役として少数のGN-X相手に訓練を行ってからほんの数時間が経った頃、一度休憩を取る事にした。その間に複数のカレルがエクシアなどの機体に異常がないのかを確認する為、MSの整備に向かった。
「…………錦木さん達、今頃どうしているのかな〜?」
事前に用意した椅子に座る蒼夜は、雲が一つもない空を眺めながら、昨日のリコリコでの出来事を思い返す……
〜回想シーン〜
『あ、明日……から………い、一週間……店を休…む……で、ですか…?』
いつも通りに喫茶店の営業が終えていた頃、蒼夜が食器などを洗っている内に、自身の前にやってきた千束に呼ばれた。そして彼女の口から
『そっ!まぁ〜あれだよ、ちょっと遅めのGWだと思っていいよ〜』
『で…………でも………なん…で………休みを……』
『実は明日から依頼で潜入s……じゃなくて!そ、その〜なんというか━━『店長の古い友人が行なっているボランティアの手伝いに行くんですよね。』……へぇ、あ…あぁ〜そ、そうだよ!お手伝いだよ〜!』
何かを語ろうとする直前に千束が慌てて言葉を濁して考え込んでいると、彼女の代わりにたきながすぐに答えを出した。その様子を見て流石に怪しさはあったものの、とりあえず蒼夜は納得した形で“な……なるほど…”と、言葉を返した。
『な、なら………僕も……手伝い……』
『ちょいちょい〜そこまでしなくていいよ、別にそこまで大変なお手伝いじゃないし。だからさ、蒼夜君は休日にゆっくりしなって!』
その言葉を聞いてどこか申し訳ない気持ちを抱える蒼夜だが、“わ、分かり…ました…”とだけ言葉を返し、店の掃除を続けるのだった。
〜回想シーン終了〜
「………って言われたけど……やっぱり一緒に手伝った方がよかったのかな〜?」
昨日に彼女達との会話を思え返す蒼夜は、辺り一面何もない砂漠を見回っていた。リコリコメンバーから一週間も休暇をいただいたが、悲しい事に日本でやりたい事が見つからない。だからこそ彼にとって好都合で、やりたかった戦闘訓練を行おうと考え、トレミーで何もない砂漠へやってきた。
「なんとなく閃いて、砂だらけの所まで来たけど……あとのことは、全く考えていなかったんだよなぁ〜……」
何事もなく無事に到着したのはいいものの、流石に一週間も砂漠で過ごす訳でもない。“明日から何しようかな…”と考えながら、蒼夜も機体のチェックへ向かおうとした時……
《━━BBCからの速報です。未だに対立を繰り返すイスラエル軍と武装組織が起こした戦火の中、現地の取材に向かった記者からの中継に入ります……》
休憩所として用意した机の上に置いてあるタブレットの画面に映し出されたニュース番組が、速報として報道された。
画面の向こうに中継として映し出されたのは、どこかの国で戦争を続けている現場だった。しかも蒼夜一行がいる砂漠からMSを使って向かえば、ほんの一時間くらいで到着できる。
《私は現地の取材へ向かいましたが………正直に言って、かなり酷い状況です。この地に住んでいた人々は家を失い、途方に暮れています。それだけでなく、戦争に巻き込まれた犠牲者の数は多く、その中にはまだ十代にもなってない小さな子供が、大きな怪我を負っています━━》
安全の為にヘルメットや防護服を着る一人の女性記者が、現場で起きた現状について詳しく解説をしていた。しかも中継として映し出された現場は、今もどこかでこの報道を視聴する人々でも分かるくらい悲惨な光景だった。
《戦場と化したこの場所は、まさに地獄とした言いようがありません。この地に住む多くの住人達は帰る家を失い、彼らが身を寄せられる場所は、避難所か悪臭が舞う廃墟しかありません。軍と組織が残虐なやり方で戦火が広まり、もはや国連でさえ停戦交渉するのが絶望的であると━━━》
「…………」
中継として報道された映像をじっと見つめる蒼夜は、表情を顰めていた。一言も言葉を発せず、黙り込んでいる状態でじっと立ち尽くしたまま、ただ画面に映っている中継を観ているだけだった。
『ソウヤ!ソウヤ!』
「━━っあ……あぁ、ごめん。機体の整備は終わったのk…『行カナイノカ?』……え?」
『ダカラ、行カナイノカ?』
「い、行くって……どこn…『
近づいてきた一体のハロから衝撃的な言葉を聞かされ、蒼夜は思わず言葉を濁す。何故そんな事を言い出したのか分からないが、とりあえず蒼夜はすぐに否定しようとする。
「いや……いやいやいや、行かないよ!?大体、なんで僕が……」
『ダッテソウヤ、
「………ぼ、僕が……?」
『ホラ、今モソウダゾ!』
鏡で見てみないと分からないが、ハロの視点から見れば確かにそのような表情をしていた。助けに行かない……と言えば嘘になるが、これまでの出来事を思い返せば、いくらなんでもやり過ぎであると自覚する。それでも蒼夜は心のどこかで“助けに行きたい”と、浮かんでいた。
「ッ………ダメだダメだ、やっぱりダメだ……考え直せ僕……もう観るのは止めよう……」
そう呟きながら、タブレットの電源を切ろうと手を伸ばした瞬間………
《この地に住む人々にとって、希望も無く絶望しかありません。》
「━━っ」
《罪のない住人達はただ普通の生活を送っていたはずなのに、なんの躊躇も無く軍が侵攻を続けています。こちらの女性は武装組織によって愛する夫は誘拐され、強制的に兵にされました。今も住人達は家族を探し続け、中には”パパとママはどこ?”と、そう尋ねる小さい子供もいました━━》
電源を切りたいはずなのに、手が勝手に止まってしまった。否、正確には彼自身が止めたのかもしれない。
《もはや住人達には希望が見えません……彼らに、救いの手を差し伸べるの日は来るのでしょうか……》
「……………」
『ソウヤ、ドウスルノ?』
「…………ハァァァ……マジで本当……悪い癖だなぁ……」
ため息を吐くと同時に、誰にも聞こえないくらい小声で呟く蒼夜。やがて何かを決意した表情で、視線を変えた瞬間…………
「訓練は一時中断!これより人命救助と、争っている二つの勢力を止める為に武力介入を開始する!!!」
『『『了解!了解!』』』
新たな指示を出した途端、この場にいるすべてのハロ達が反応する。蒼夜もパイロットスーツを整え直し、スーツ用のヘルメットを手に取った。
「ハロ!急いでヴェーダn…『事前二準備シタカラ、後30分後二現場二到着スルゾ!』━━相変わらず早いな〜」
改めてヴェーダの万能な計算能力に思い知らされた蒼夜は思わず苦笑いをしてしまい、エクシアのコックピットに乗り込む。機体のハッチを閉め、再びヘルメットを頭に被りながらモニターを立ち上げた蒼夜は、操縦桿を強く握り締める。
「ガンダムエクシア……これより人命救助及び、目標を駆逐……じゃなくて、無力化する!!!」
☆★☆★☆
「━━━って、何も考えないでやってしまったけど………マジでどうしよう……」
『今更後悔シテモ、遅イゾ!遅イゾ!』
「う゛ぅ…………まぁ、間違ってないね……」*2
通信越しからハロの正論を突きつけられた蒼夜は、返す言葉もなかった。対立を繰り返す二つの勢力を無力化するため、ガンダムなどの機体を用いて武力介入を実行したものの……正直、無謀と言わざるを得ない。
しかも今いる場所はシミュレーションによる仮想世界ではなく、紛れもない現実の戦場だ。いくら此方が圧倒的なMSのおかげで有利とはいえ、それでも蒼夜は警戒を緩めなかった。
「フゥ……フゥ……落ち着け、ただ止めるだけだ……」
だが、今さら後悔しても遅い。何より彼は、ついさっきまで惨状な光景を見て、どうしても見て見ぬふりをする事などできなかった。
「刹那・F・セイエイやソレスタルビーイングの皆って、こんな気持ちで戦い続けたのかな………やっぱ、すごいや……」
前世で観た『00』シリーズの本編や外伝に登場したCBのキャラクターたちの活躍が脳裏によみがえる。彼らがどんな思いで覚悟を決めたのか、今ならなんとなく理解できる気がした。
そう考えているうちに、モニター越しに目的地が見えてきた。
一方その頃、侵攻を進めていた軍隊が謎の巨人軍団に追い詰められたという報告が届き、イスラエル首相官邸の政府関係者たちは騒然となった。次々にもたらされる情報に対応しようと、彼らは慌ただしく動き回っていた。
そんな緊迫した空気の中、イスラエルの首相である男は落ち着けず、寧ろ焦りと動揺が増していた。
「なぜだ……なぜこのような時に、”
突如日本に現れた謎の巨大人型ロボットの存在をニュースなどの報道で知っており、“もし発見できれば、我が軍の兵器として武装組織の殲滅に利用したい…”と、以前から密かに考えていた。
そんな野心を抱いている日々の中、突如として侵攻作戦の最中、複数の巨大人型ロボットを伴って姿を見せた。最初は敵対する組織を攻撃した事で、一瞬味方かと思い込んだ直後、自国の軍にも容赦なく攻撃を仕掛けてきた。次々と部隊が無力化されていく中、今度は敵対組織を支援する長年の宿敵である隣国も、巨人の軍団によって無力化されたという真偽不明の情報に驚きを隠せなかった。
わずか数分…たった数分の間に、これほどの異常事態が次々と起きた。だがこの後、首相が最も恐れていた事態がやってくる。
「く……空軍偵察部隊から伝達……謎の青い巨人が我が国の領土に入り、第7機甲旅団がいる基地に向かっているとの情報が入りました!」
慌てた様子でかかってきた電話の内容を伝える情報担当者の口から発せられた言葉に、その場にいた全員が唖然とした。同じく険しい表情を見せる首相も驚き、事態を収める為に最後の手段を取った。
「やむを得ん……第7機甲旅団に伝達だ…
首相の口から発せられた言葉に、この場にいる全員が驚きを隠せなかった。そんな中、側近である一人の男が慌てた様子で声をかけようとする。
「しゅ……首相!お言葉ですが、いくらなんでもMk.6を出撃させるのは早すぎます!それにあれはまだ、世間に知らされていない最新型の極秘兵器で……いわば我が軍にとって切り札ですぞ!」
「構わん、それに運用テストはもう済んであるだろ?」
「た、確かに運用テストは完璧でしたが……しかしそれでも、実戦にはまだ…「いちいち口答えをするな!」━━っ」
痺れを切らした首相が睨みつけながらそう叫びと、側近である男だけでなく、この場にいる全員が一斉に黙り込んだ。
「フン……おい、私が言った通りに伝えろ…今すぐ!」
「りょ……了解であります!」
そう言うと情報担当者は慌ただしくなり、基地の方に命令を伝達していくのだった。
「未知の巨人め、我が国の領土に入った事を後悔させてやる…!」
「ここが軍基地か……映画でしか見たことがないから、迫力あるな〜」
目的地に到着したエクシアと共に空から降り立ち、周囲の様子を注意深く観察する蒼夜。これから起こすであろう作戦の重要性を再確認した彼は、警戒を強めながら慎重に行動を開始するのだった。
「できれば戦闘はなるべく避けたい……なんて流石に無理だよね〜」
当然のことだが、そもそも蒼夜が今やっているのは“一般人が無許可で軍基地に侵入する”という、明らかな犯罪行為だった。もちろん軍側も黙っているはずもなく、モニター越しでもはっきりと確認できるほど、前方から多数の装甲車らしき車両が近づいてきた。
「まぁ、そりゃそうだよな……さて、どうすれb━━え?」
相手をどう無力化するか考え込んでいたその時、これまで目にしていた戦車とは異なる形状の装甲車が姿を現した。しかもどこか見覚えのあるシルエットだった為、蒼夜は思わず口に出してしまう。
「あれって………
彼が語っていたのは、『機動戦士ガンダム00』に登場する機体で、人革連の主力量産型MSである。しかし、目の前にいるのは明らかにティエレンとは異なり、下半部はほぼ無限軌道をもつ戦車である。むしろ以前戦った“10式戦車改”とは、どこか似ているような気もしていた。
ただ違う点があったとしたら、上部には戦車砲よりも大きい武装が搭載されており、
やがて興味を持ってしまった蒼夜は、無意識に凝視している内に、ティエレン擬きの装甲車……メルカバMk.6は、止まっている隙を見せたエクシアに向けて砲弾を放った。
「━━━━ヤバっ!?」
コックピット内に鳴り響く警報音のおかげで意識を取り戻した蒼夜はすぐに回避しようとするも、間に合わず……
向かってくる砲弾を受けてしまった。
〜時は再び数時間前に遡る〜
終わりの見えない戦場に突如として現れた謎の巨人の存在が、その場にいる人々を驚かせた。
「あれは一体……一体、何なのだ?」
「私達を助けてくれた……しかも食料までくれて……」
「さっきのロボット達が持ってきた箱の中に、大量の医療品が入っておった……下手したら国連より優れているぞ!」
オートマトンによって届けられた大量の食料や医薬品を目の当たりにし、国連によって現地へ派遣されたスタッフである彼らは驚きを隠せなかった。
「本当に……天使が……いや、救世主様が現れてくれたのかっ」
「ありがとうございます……家族を助けてくれて、ありがとうございます!」
放出されるGN粒子の神秘的な輝きに魅了された人々は、MSの存在をまるで神のように崇めたのか、感謝の言葉を次々と口にした。その思いは、言葉だけでは表しきれないほどだった。
「な、なぁ………やっぱり危ないって……これ以上は近づかない方がいいって!」
「いいから撮り続けなさい!これは夢ではなく現実よ……絶対に見逃しちゃ駄目……私達が目にした事実を伝えなければならないわ!!」
目の前で初めてMSの姿を目にした女性記者は、興奮のあまり取り乱しつつも、必死に止めようとするカメラマンの言葉を振り切り、取材を続けようとしていた。
唖然、感激、興奮……さまざまな感情を抱く人々の中に、複数の子供達が立っていた。彼らも同じ目線でじっと、目の前の光景を信じられないような表情で見つめていた。
「…………先生………あれは……何?」
「さ、さぁ……とにかく中へ戻りましょ。ここも危ないから…」
MSを見上げる少年少女達は……所謂戦争孤児であった。誰もが望まない戦火によって居場所や両親を失った彼らは孤児院に引き取られ、そこで暮らしていた。
そんな彼らを守る為、“先生”と呼ばれる一人の女性が子供達を施設へ戻るよう呼びかけた。だがその時、突然と一人の少年がどこかへ向かって駆け出していった。
「あぁっ!?ダメ、戻りなさい!!!」
必死に止めようとする声が聞こえても、少年は耳を貸さず、少し離れた場所で足を止めた。そして手に抱えた双眼鏡を使って、目の前に広がる光景をじっと見つめる。
その双眼鏡は、亡くなった父の形見だった。彼にとってそれは、唯一残された家族の宝物である。
街中に動き回っているGN-Xの大軍を眺めている内に、ひときわ異なる姿をした存在………エクシアを捉えた。
「━━━っ!」
少年はその姿に釘付けになり、もっとよく見ようと眼幅を調整する。それからじっと見つめている瞬間、
その直後、駆けつけてきた先生に連れ戻された。
だがあの紋章だけは、少年の頭の中に焼き付いていた……
〜本編オリジナル兵器〜
名:メルカバMk.6(上阪部だけティエレン擬き)
所属 : イスラエル軍
開発 : IMIシステムズ(一部にはアメリカとの協力も有り)
全高 : 19.5〜20m
本体重量 : 50.0t
全備重量 : 90.0t
〜見た目&武装〜
日本で開発した“10式戦車改”より少し小さめだが、軍事支援をするアメリカとの共存によって開発コストを控えた事で10機以上も数の量産に成功し、頭部には150mm×30口の長距離主砲を搭載されている。しかし00シリーズに登場するティエレンとは違って二足歩行ではなく、戦車と同じ無限軌道に加え、主砲の左右には作業用クレーンなどが装備されてある。
※ 外形はともかく、一見『MS IGLOO~一年戦争秘録~』に登場するヒルドルブに似ているが、そもそもモビル形態に変形もないし、主砲の威力も大した事でも無い。
言い方を変えれば、ヒルドルブの劣化版である。
ジークアクス……色々と最高すぎて、3回も観てしまった。
人生の中で同じ映画作品を3回も観るのが初めてで、自分でもびっくりです。
TV本編が楽しみですね〜