リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
大変長らく、お待たせしました。
皆様は素敵なGWをお過ごしでしょうか?
お気に入り登録、感想や評価、誤字報告、いつもありがとうございます。
今話題となって本放送が始まったジークアクス、ついに新エピソードが来ましたね。
第4話を観ましたが、言葉で表すなら………ジークアクスと言う名の作品は、紛れもなく『ガンダム』である。
後、リコリコのショートムービーは本当に最高です。
ショートとはいえ、また彼女達の活躍が見れて嬉しい!
「キュリオス、介入行動に入る!」
アレルヤ・ハプティズム(機動戦士ガンダム00)
「ヴァーチェ、目標を破壊する」
ティエリア・アーデ(機動戦士ガンダム00)
エクシアが軍基地に向かっているとの報を受け、イスラエル首相の直命により、最終テストを終えたばかりのメルカバMk.6*1 の出撃準備が急ピッチで進められていた。張り詰めた緊張感包む空気の中、同じく別の基地でも危機感が高まっていた。
「第二部隊と第三部隊との連絡は……現場の状況はどうなっている!?」
「そ、それが……未だに音信不通となっておりまして…」
「なっ……偵察無人機が全て破壊されただと……な、何故だ!?」
「一瞬だけでしたが……映像の中に、緑色の巨人に破壊されたとしか思いません……」
「あの巨人共は……一体どこから来て、なんの目的で我が軍を攻撃しておるのだ!?」
「だから分かりません!!!先ほど何度も報告した通り……原因が未だに何一つ分からないんです!」
国内の中で最大規模を誇る空軍基地の作戦室では、作戦士官や情報士官、または多くのスタッフなどが混乱に包まれていた。次々と発生する予想外の事態に対応が追いつかず、全員がパニック状態に陥っていた。
混乱が広がる中、作戦指揮官の男も予想外の事態に焦りを覚えつつ、必死に冷静さを保ちながら次の指示を出そうとしていた。
「落ち着け!まずは現状を確認し、巨人共の位置を探れ!」
「し、しかし……先ほどの映像を確認したところ、敵対組織や我が軍を攻撃するだけでなく、地区の住民や人質に囚われていた人々を救助しているようにも見えます…」
「もしかすると、あの地にいる民間人を救助しているだけかもしれません…「冗談のつもりで言っているか!?そんな馬鹿な考えをする暇があったら、さっさと原因を突き止めろ!」──っ、りょ…了解…」
ありもしない情報を信じるオペレーター達に苛立ち、思わず怒鳴る指揮官は再びモニターを鋭く睨みつけた。
「テロリスト同然の愚か者どもだけでなく、我が軍にまで攻撃を仕掛けた……。しかも、今度は我が国の領土にまで侵入するとは……一体何が目的だ?」
“侵略……あるいは殲滅”━━様々な考察が脳裏をよぎる中、突如として基地内に警報音が鳴り響いた。
「━━っ、何事だ!?」
「な、謎の飛行物体が……こちらに接近しているとの情報が入りました!」
「ついに来たか……数は?」
「それが、謎の電波障害が発生したせいでレーダーには反応がありませんでしたが、基地の外で見張りをしていた兵士達の報告によると、数は一機だけのようです。」
「そうか………いや待て、
「監視映像に謎の飛行物体を上空に確認、モニターに映し出します!」
対象の数が“たったの一機のみ”と言われ、想像してたより少ないと知らされた指揮官が驚いた瞬間、オペレーターの一人が慌てた様子で端末を操作し、基地の外側に設置された監視映像をモニター画面に移し出した。映像を目にした作戦室の全員が驚きのあまりに息を呑み込み、自分達の作業を思わず止めてしまう。
「なんだ………あれは………?」
映像から映し出されたのは、
空軍基地の広場にある駐機場*2には、軍用のヘリや戦闘機が整然と並べられている。そこには軍が所有する武器も厳重に保管されており、当然ながら一般人の立ち入りは許されない。過酷な訓練を乗り越えた軍人達は、今もなお敵対組織との戦いを続けていた。
しかしそんな厳格な基地内は今、騒然としていた。
「戦闘機………どこの所属だ!?」
「所属は未だに不明……それどころか、レーダーに反応すらありません!」
「管制室は一体何をやっているんだ!」
戦闘準備を進めている内に、突如上空から
「馬鹿者!何の躊躇もなく我々の基地に侵入する謎の戦闘機など、敵同然だろう!さっさと撃墜しr━━」
軍の中でも階級が上である男が、兵達に攻撃の指示を出そうとする瞬間、戦闘機らしき未確認飛行物体の
「━━っ、逃げろぉ!!!」
いち早く危機を察知した一人の男が慌てて叫ぶと、その場にいる軍人達も離れるよう走り去ろうとする。しかし、降下するミサイルの速度のほうが圧倒的に速く、地面に突き刺さった直後━━━
「「「「「………………へぇ?」」」」」
“不発弾なのか…?”と誰もがそう思った次の瞬間、地面に突き刺したままのミサイルから箱のような何かが散らばれ、その一つ一つが箱型の無人ロボット……オートマトンへと変形を遂げるのだった。
「な、なんだコイツr……グッ━━━」
「おい!どうs……アェ━━」
驚愕に凍りついた兵士達の隙を突いたオートマトン軍団が一斉に動き出し、対人用麻酔銃を正確に標準を合わせる。小気味よい発射音と共に麻酔針が彼らの首筋に命中し、一人……また一人と静かに意識を手放し、そのまま眠りに落ちていった。
「う……撃て!ドローンもどきを破壊するんだ!!」
一人の兵が怒号すると同時に、アサルトライフルの銃口が火を噴く。そんな攻撃に対してオートマトンは簡単に避けられてしまい、今度は影のような動きで接近しようと向かってくる。
「なっ……なんで当たらn……ガハッ━━━」
兵士達が引き金を引くよりも速く、麻酔針が次々と命中し続ける。その光景はもはや戦闘というより、どちらかと言うと一方的な制圧だった。
「何とかしろ!何匹か基地の中に潜り込んでしまったぞ!」
「応援を……おい誰か、聞こえているなら応援を頼む━━」
「こ、コイツら一体……何なんだ………何なんだよ!?」
必死に応戦するも簡単に避けられ、数十体のオートマトンが次々と基地の中へ侵入しまう。それでも兵達は諦めずに攻撃を仕掛けようとするも、逆にあっさりと返り討ちにされてしまった。
介入してきてからたったの数分……基地の大半は、すでにオートマトン軍団によって占領される中、救助要請を受けた10機以上の軍用戦闘機……F-16がやってきた。
〈━━っ、遅かったか………〉
〈こちら第140飛行隊!誰か……応答を願いたい!〉
上空から確認できる空軍基地の様子は謎のドローンによって占領されており、何度呼びかけても通信機から返ってくるのは耳障りな雑音だけだった。加えて空中にばら撒かれたGN粒子によって電波障害の影響が起き、隊員同士の通信機能すら遮断されている。
まるで壁越しに叫んでいるみたいな焦燥感に駆られる中、迅速に予備回線へと切り替えた彼らは、雑音が混じりながらもようやく互いの通信が繋がる事ができた。
〈こちら━━ファ、アルファ………応答を━━聞こえるか!?〉
〈あぁ……一応なんとか━━聞こえているぞ━━〉
相変わらず回線状況は未だに悪いが、それでも部下達の声が聞こえて一安心するのも束の間。襲撃を受けた基地からの救援要請として現場に向かっていたはずが、地上で起きている光景を目にした彼らは、驚きを隠せなかった。
〈おい……たったの数分だぞ━━━何がどうなって━━━〉
〈し、知るか!━━司令部からの命令は!?〉
〈それが━━━応答がないんだ!〉
到着した基地だけでなく、自分達がいた基地との通信すらも途絶えられている事にパイロット達は困惑し、どうすればよいのかまだ分かっていない。そんな状況となった中、未だに飛行し続けるオレンジと黒の飛行物体に一人の隊員が目をつけた。
〈なぁ……あの戦闘機は一体……〉
〈分からない……レーダーに反応すら無かったぞ!〉
現場に到着するまで飛行物体の存在に気づかなかった飛行部隊は、動揺を隠せなかった。中でもただ一人……部隊の隊長と呼ばれている男も困惑を浮かべていたが、即座に冷静さを取り戻し、指示を出すべく動き出す。
〈一先ずあの戦闘機……未確認飛行物体の撃墜が先だ!総員、戦闘態勢に入れ!〉
〈〈〈りょ、了解!!〉〉〉
隊長が自分の部下である隊員達に新たな指示を出した直後、F-16の固定武装であるM61A1-20mmバルカン砲で撃墜しようと攻撃を始める。同じくパイロット達も同様に、一斉射撃を続けた。だが、戦闘機からの総攻撃をいとも簡単に避けてしまい、もはや人間技とは思えない程の回避行動だった。
〈なっ、よ……避けられた!?〉
〈本当に人間が乗っているのかっ━━━!?〉
〈と……とにかく、撃ち続けろ!!!〉
驚きながらも攻撃を続けるが、いくら弾幕を張ろうとも相手は回避し続け、未だに一発たりとも命中しない。数を頼みにした猛攻すら無意味である事に部隊は次第に焦りを覚え始めた矢先、未確認飛行物体がテールユニットを切り離し、そのまま空中に留まりながら
所々から四肢が出現し、両腕には大型の銃に盾のような武装。更に特徴とも言えるV字型のアンテナに緑色に光るツインアイと共に頭部も目に入った……
〈な……なんだあれは!?〉
〈きょ、巨人に変形しやがったぞ!〉
突然目の前の未確認飛行物体が巨大な人型へと変形する光景を初めて目にした部隊は、今までにないくらい驚愕する。その中にいる隊員の一人が驚きながらも、何かを思い出していた。
〈あれはまかさ……突如
〈お、俺も動画で見た事があるぞ!確かヤパンのどこかにある空港で、飛行機に変形してたような━━〉
どうやら部隊の連中は以前から巨人の噂を耳に入っていたが、まさか目の前で現れるとは思わなかっただろう。そんな驚きを隠せない彼らの中、ただ一人、険しい表情をしている男はオレンジと黒の巨人……キュリオスを目にしながら、不気味な笑みを浮かんでいた。
〈━━━へっ、……じょ、上等じゃねーか!だったら尚更、今ここでぶっ壊してやるよ!〉
〈ジェーン、何を言っt━〈それに今ここで巨人を撃墜に成功したら、二階級特進できるって話も聞いたんだよ!〉━━おい待て!一人で突っ走るな!〉
通信越しから聞こえる仲間からは“ジェーン”と呼ばれている一人のパイロットは、自身の手でキュリオスを撃墜しようと動き出す。“巨人を撃墜すれば出世できる”と言う根拠の無い噂を信じているのか、手柄を独り占めしようと考えていた。
戦闘機のバルカン砲から放たれる弾丸の雨に、キュリオスはGNシールドで防御しながら回避する。もちろん何発かは装甲に当たっていたが、GN粒子によって防御力が強化されており、そこまで大したダメージは無かった。
〈なっ……何発も当たったはずなのに……なんで堕ちねーんだよ!?〉
〈あの馬鹿、だから勝手な行動をするなと!〉
〈………やむを得んな……全機!これより巨人の撃墜に続行する!ただし、深追いだけはするな!〉
隊長から新たな指示を聞けた隊員達は慌てながらも従い、追撃を開始した。やがて戦闘機の数が一気に増えたのを確認したキュリオスは、回避しながら2連装のビーム兵器……GNビームマシンガンを向ける。
〈━━━っ!各機、後退しr━━━〉
いち早く危機を察知した隊長は、すぐさま部下達に警告しようとするも、時すでに遅かった。二連装の銃口から桜色の光線が連射され、ほんの数秒のうちに3機の戦闘機の翼を正確に撃ち抜いていた。
〈なっ……なんだとぉ!?〉
〈く、クソったれガァ━━!〉
〈畜生ッ……あんなの聞いてないぞぉ!!〉
片方の翼が無くなってしまった原因で、機体の制御バランスが不安定となり、パイロット達は急いで緊急脱出を起動し、シートごと戦闘機から打ち出された。パラシュートを開いた状態で脱出できた三人を確認できた隊長は安心しつつも、キュリオスが持つ光線兵器の方が気になって仕方がなかった。
「(あれが噂の……謎の巨大人型ロボットが持つ未知のビーム兵器。実際にこの目で見たのは初めてだが、一体どこの国が開発をしたんだっ!?)」
あまりにも非現実的な兵器だった為か、もはや、「実は宇宙人が造りました」と言われてもおかしくない。未知の武装を持つキュリオスの前にどう対処するのかと内心で考えている時、通信越しから怒りが籠った部下達の声が聞こえてくる。
〈よくも……よくも仲間を!!!〉
〈く、クソ……クソ!いい加減に堕ちろぉ!!!〉
怒り心頭なのか、随分直線的な軌道でキュリオスの方へ向かって行く複数の戦闘機。当然誰もが勝手な行動を取り、その光景を目にした隊長が慌てて止めに入るも、先に動いたキュリオスの方が早かった。
向かってくる戦闘機のバルカンをGNシールドでガードしながら、サブマシンガンを放つ。相手の動きを読み違えてしまった戦闘機は一度後退しようとするも、その一瞬で隙を見せてしまったせいで翼が命中されてしまった。
〈く、来るn………っ!!〉
〈み……ミゼr━━ドワァっ!?〉
〈きっ、貴様ぁ!よくもくぁwせdrfっ〉
一人の仲間の機体がバランスを崩しているのをよそ見してしまった隙に、一機……また一機の翼に命中し、次々と脱出するパイロット達。
〈コイツでも喰らってろぉ!!〉
更にもう一機が攻めてくる途端、今度はミサイルを放った。その際に腰部後方の装甲裏に格納されているGNビームサーベルを取り出したキュリオスは、向かってくるミサイルを両断する。
そしてそのまま一機の戦闘機に向かって翼を斬り捨て、更にまた一機へとサーベルを振り続けた。
〈ヒィ………う、うわぁぁぁああああっっ!!!〉
中には冷静を失ったパイロットが自暴自棄となり、残っているミサイルやバルカンの全弾を放てた。だがその攻撃すらも防がれ、すぐにあっさりと返り討ちされる。
〈━━クソ……クソ、クソクソクソ……このバケモノがぁぁぁあ!!!!〉
〈よせジェーン!退くんだぁ!〉
最初は手柄を独り占めにしようと意気込んでいたジェーンだったが、キュリオスの圧倒的な力を目の当たりにし、恐怖に飲み込まれていた。自暴自棄になった彼もミサイルを放とうとした━━だがその直後、真正面から突っ込んできたキュリオスが、ビームサーベルを一閃。
鮮やかに両翼を斬り落とされてしまった。
〈…………クソ………この俺が……この俺がぁ━━━━〉
左右の翼を失った戦闘機は地上へと落下していく内に、機内から警告アラームが鳴り響くと同時に緊急自動脱出システムが作動し、罵声を浴びせながらシートごと機体から打ち出された。
ついさっきまで十機以上もあったはずの戦闘機の数は、今では隊長機を含めて三機へと減ってしまった。パラシュートを展開した状態で地上に降りるパイロット達の姿を見て一先ず安心するも、今の戦力ではキュリオスと戦闘を続行するのは、あまりにも無謀な状況となっていた。
〈た、隊長……指示を!〉
〈俺たちはまだ……まだ戦えます!〉
〈━━━撤退する。〉
反撃に移ろうとした矢先、隊長から告げられた意外な一言に二人は驚愕した。当然彼らは納得できず、必死に食い下がろうとする。
〈な、何を言っているんですか!?〉
〈そうです!それに、まだ他の仲間も━━〉
〈今の我々では……勝てないからだ!〉
通信越しに響いた隊長の叱責に、部下達は言葉を失う。苛立ちを隠せないまま、隊長は一度深く息を吸い、気持ちを静めるとすぐに新たな指示を下す。
〈お前達の気持ちは分かっている……だが、今は戦力を整え直さなければならない。その為に今はまず、我々は基地に戻る事が優先だ……分かったな!〉
〈〈りょ………了解……〉〉
納得のいかない思いを抱えたまま、二人はそれでも隊長の指示に従わざるを得なかった。しかも地上に残された仲間達を見捨てるしかないと、ただ悔しさを噛みしめる事しかできなかった。
基地の救助に向かっていは方向に変えた少数の戦闘機は、警戒しながらも撤退して行く。だが不思議もキュリオスは追撃せず、相手が飛び去るのをじっと見つめていた。不審に抱く隊長機を含めたパイロット達は、今は基地に戻る事だけを優先に気にする余裕もない。
しかしこの時彼らは、向かう基地が既にGN-Xやオートマトンの大軍によって包囲されていると、まだ知らないままであった……
☆★☆★☆
一方その頃、イスラエル国防軍である第7機甲旅団が、極秘で開発した新たな主力戦車……メルカバMk.6の出撃準備をなんとか間に合わせた。そしてすぐに実戦投入し、基地に侵入してきたエクシアに向けて狙いを定めた直後、砲弾を発射する。
〈中尉……敵機に命中しました!〉
「まだだ!相手が沈黙するまで、撃ち続けろぉ!!!」
GN粒子による電波障害の影響で、通信越しから断続的なノイズが混じっていても、“中尉"と呼ばれる一人の軍人は部下達の報告を聞き取り、即座に次の指示を下す。現場に出撃した計15両のMk.6が、150mm×30口径の長距離主砲を一斉にエクシアへ向けて発射を続ける。轟く砲声と共に激しい砲撃が響き渡り、同時に巻き上がる大量の砂煙が視界を覆い尽くし、エクシアの姿は見えなくなってしまった。
〈み……見えない………目標を見失いました!〉
「慌てるな!敵が見えるまで、弾の装填に急げ!ただし、警戒だけは緩めるな!」
通信越しからでもわかるほど焦りの色を滲ませる兵達に叱咤しながら、中尉は冷静に次の指示を飛ばしていた。そんな中、同じくMk.6に搭乗している一人の操縦士が、興奮混じりに声をかける。
「……この新型戦車の性能、想像以上ですね。」
「当然だ!我が国の軍事企業が極秘裏に開発した最高傑作であり、軍にとって最大の切り札でもあるのだぞ。」
Mk.6に搭載された主砲の圧倒的な威力に驚きながらも、その性能に強い興味と高揚感を隠せない操縦士を聞き、中尉はどこか誇らしげな口調で語っていた。
内心でMk.6の性能が有利であると確信しつつ、後は目と先にいるエクシアをどう撃墜しようかと考え込んでいた矢先、通信越しに届いた部下からの新たな報告が戦車内の空気を一変させてしまう。
〈ちゅ、中尉!目標の姿を確認……し、しかし!損傷はまったく見られません!〉
「なるほど、変わらぬt……な、なにぃ!?!」
通信越しから部下の報告に自身の耳を疑った中尉は、慌てて戦車に搭載された照準器を覗き込み、自らの目で確かめようとする。
砲弾の爆発によって立ち込めていた砂煙が徐々に晴れていき、エクシアの姿が確認できた。だが、先程まで浴びせられていた砲撃による痕跡や損傷などは一切見当たらず、まるで何事もなかったかのように
「ば……バカな……! 直撃したはずだぞ!?」
未だに自身の視界を疑う中尉は未だに事実を受け入れず、他のMk.6に乗っている兵士達も、同じように驚愕の表情を浮かべているに違いない。
あまりの衝撃に誰もが動きを止め、砲の再装填や操縦操作すら忘れてしまっていた。そんな沈黙と静止の隙を突くかのように、エクシアは再びGN粒子を大量に散布し、信じられない速度で戦車隊へと接近を開始する。
単機で突撃してくるエクシアの姿に中尉はようやく我に返り、驚愕の表情を浮かべつつも通信機を掴んで怒鳴った。
「何をしている!迎撃の準備を急げ!」
「ちゅ、中尉!敵がこちらに接近して━━」
「だったら、さっさと撃てぇ!!」
他の戦車との連携を待つ間もなく、1両が先行して砲撃を開始する。だがエクシアは先ほどの砲撃を既に分析し、
「「「「━━━━はぁ?」」」」
“そんな馬鹿な……”と言わんばかりに、中尉を含めた戦車隊の面々は間抜けな声を漏らし、呆然と立ち尽くす。そんな彼らの前にエクシアは容赦なく加速し、接近戦を仕掛けようとする。
「ま、まずい! すぐに後退し──!」
中尉が慌てて後退の指示を叫んだその瞬間、すでにエクシアは目前に迫っていた。反応する間もなくGNソードが鋭く振るわれ、主砲と共に車体前部をまとめて斬り裂いた。
もはや戦車としての外形を失ったMk.6はそのままエクシアに蹴り飛ばされ、土煙を巻き上げながら地面を転がっていた。
〈ちゅ………中尉っ!?〉
〈う、嘘だろ………〉
〈弱きになるな!今はまず、中尉達の救助を━━━〉
隊内に動揺が広がる中、エクシアは腰背部に装備されている2基のGNビームダガーを素早く抜き取り、左右から移動する2両のMk.6へと投擲する。鋭く飛んだダガーは無限軌道部へ突き刺さり、直後に小規模な爆発を起こす。
その衝撃で履帯のバランスを失ったMk.6は制御不能により動かなくなった途端、エクシアは止まらず両腰のラッチに固定されている二つの実体剣……GNロングブレイド&GNショートブレイドを装備し、一気に加速して残っているMk.6へと迫っていく。
〈ヒィ……こ、こっちに来るぞぉ!?〉
〈と、とにかく撃て!撃てぇ!〉
たった一機の敵であるはずなのに、最先端を誇る最新型戦車である3両がわずか数秒で沈黙した光景を前に、軍人達は驚愕と混乱に包まれる。だが迫り来るエクシアを目にし、我に返った彼らは慌てて主砲の再装填を進める間に、その時間稼ぎとして機関銃で応戦を試みた。
しかし、GN粒子によって強化された装甲は常識を覆す防御力を持つエクシアは、弾丸の雨を受けてもびくともしなかった。そして風を切るかのように左右の実体剣を振りかざし、眼前のMk.6に向かって突進していく。
〈ウワァァァア━━━━っ!!〉
〈クソォ!え、援護を━━っ〉
戦車の厚い装甲をも容易く貫き、斬撃が次々とMk.6を無力化し続け、その剣は暴風のように容赦無かった。
〈ば、バケモノだ………〉
〈撤退……てっ、撤退するぞ!〉
誰かの絶望が混じった呟きが、通信に紛れて漏れた瞬間、軍人達はその場から急いで離脱しようとする。だがそんな彼らを“逃がすものか”と言わんばかりにエクシアは再び剣を振り上げる………
「状況は……っ、奴はどこに━━━なっ!?」
最初にエクシアの斬撃を受けたMk.6に搭乗していた中尉と他の操縦士たちは、幸いにも軽傷で済んでいた。
しかし、出撃したばかりだった自国の最新型兵器は、完全に動かなくなってしまった。やむを得ず中尉は一刻も外の状況を確認すべく、Mk.6からいち早く降り立った。
だが………彼の目に飛び込んできたのは、
「……何故だ………こんな……ありえないっ━━!」
国の企業が長い時間をかけて研究と開発を進め、ようやく完成した最新型が、僅か数分も経たずにあっさりと返り討ちされる光景を目にした中尉が、酷く愕然としていた。未だにその事実に信じられずに辺りを見渡そうとした時………近くで重々しい金属音が鳴り響いた。本能的に警戒心を強めた中尉は、恐る恐る視線を振り向くと━━━
偶然にも、武器を回収していたエクシアを目撃する。
「━━━━━っ!!!」
驚愕しながらも反射的に地面に落ちていたアサルトライフルを拾い上げ、中尉はエクシアに向かって構える。しかし、その指は小刻みに震えているせいで照準を合わせるどころか、引き金を引く事すらできなかった。
「お……恐れているのか……? こんな……得体の知れないバケモノ相手に━━っ!」
目の前には、祖国を脅かすかもしれない“敵”がいるはずだった。それでも心の奥底では“勝てない“と、敗北の文字が静かに浮かぶ。その際にエクシアは背部から噴き出す粒子と共に、再び空へと舞い上がる。
その姿を見上げた中尉は、無意識に手からアサルトライフルを落とした。
「あれが……“巨人”の力……なのか……」
自国が誇る最新鋭戦車ですらまるで歯が立たなかったという現実に打ちのめされ、中尉はただ呆然と空を仰ぐしかなかった。
一方その頃、上空を飛行する無人偵察機から送られてくる戦闘映像を通じて、イスラエル首相官邸の作戦指令室では、政府関係者達は言葉を失っていた。特にこの中で一番衝撃を受けたのは、首相であろう。
「う、嘘だ……こんな結果はありえない………それともこれは、敵が用意した偽りの映像なのか……?」
虚偽を報告など、絶対にあり得ない。しかし、モニター画面に映るドローンからの映像は間違いなく事実である。しかし未だに狼狽する首相に対し、政府関係者達はどう応じるべきか判断がつかず、気まずそうに視線を逸らす。
それからその沈黙を破ったのは、同じく動揺しながらも報告の責任を負う情報担当者である男がようやく口を動かす。
「残念ながら事実でございます。映像から解析した結果、恐らく全機のほとんどが全滅したと考えられます……」
「━━━━そ……そんなバカな………15両いた我が軍の最新型兵器が全滅だと!? ものの3分も経たずに……」
「は、はい……」
「たった一体の敵にMk.6が15両も………ば、バケモノか…!?」
人数や武装も優位だったはずの軍隊が、あっさりと壊滅されたとの報告に、首相は言葉を失った。だが、その衝撃に追い討ちをかけるかのように、新たな報告が立て続けに飛び込んでくる。
「し、首相!大変です!」
「こ、今度はなんだ!?これ以上、何が起きr━━━」
「
「さらに……
「━━━━はぁ?」
信じがたい事実に、首相の脳が追いつかなかった。
上層部しかアクセスできないはずの軍資金が跡形もなく消失し、保管されていた兵器の制御システムもすべてハッキングされ使用不能となり、やがてその混乱に重ねるよう、さらなる報告が………
「報告ッ! 各地の基地が次々と敵に占拠されています!暗号通信からの確認です!」
「空軍基地も……ほとんど壊滅状態。空からの迎撃もできません……!」
「もはや、この官邸への侵攻も……時間の問題かと……」
「………………」
鉄の巨人が現れてから、1時間も経っていない。
それなのに、この国の防衛網は既にほぼすべてを失っていた。官邸の作戦指令室にいた者達はあまりの展開に唖然とし、立ち尽くしていた。それでも首相はなんとか気力を振り絞り、怒鳴るように叫ぶ。
「……きゅ、救援だ!アメリカに救援要請を送るんだ!」
「無理です!国外との通信手段も、すべて途絶しています!」
「クソッ……ならば……!全軍を一箇所に集結させろ! この場所を死守するんだ!バリケードを築け!敵を一歩たりとも通すなッ!」
「了解しました!では今すぐ避難警報の準備をすすm「そんな暇は無いッ!!」なっ………し、しかしそれでは市民にも被害が……」
「う、うるさい黙れぇ!ここを襲撃されてしまえば、この国は終わり同然だ!それに、
予想外の事態に追い詰められた首相は困惑するどころか、街中で戦闘が起きるかも知れない市民を避難をせず、むしろ“どうでもいい”と口にしてしまう。その言葉を聞いた周囲の人々は戸惑いを隠せず、中には思わず反対する声も上がっていた。
しかしそんな彼らの声に聞く耳を持たない首相は、苛立ちながらも命令の再確認を口にしかけたその瞬間……作戦指令室内の扉が“ドン!”と大きく鳴り響くと同時に開かれた。
突然の音に驚く政府達は思わず同じ目線で振り向くと、どこから侵入したのかも分からない、無数のオートマトン軍団の姿があった。
「なっ、なんだコイツらh━━━ッ!?」
護衛の一人が懐から銃を抜こうとしたその刹那、オートマトンが即座に麻酔銃を構え、その首筋に正確に針を撃ち込む。男は引き金を引く間もなく、その場に崩れ落ちたと同時に眠りに入ってしまった。
「コイツらは、一体どこからやってk━━」
「う、撃てぇ!とにかくうt━━」
「首相!どうかお逃げくd━━」
護衛や政府関係者たちの声が次々と断ち切られ、麻酔針が正確に彼らの首を貫き、次々と眠りへと落ちていく。そして、その場には首相だけとなった。
「き……貴様ら!私を誰だと思って………私はこの国の━━━ッ!!」
叫ぼうとした次の瞬間には、麻酔針によって封じられ、首相の意識は闇へと沈んでいった。
どれほどの時間が経ったのか。まぶたの裏に差し込む強烈な陽光に顔を顰める首相は、背中に硬い感触を感じながら、ゆっくりと意識を取り戻した。
「ヴゥ……ここは……?」
砂を払いながら体を起こすと、驚く事に荒涼とした大地……ネゲヴ砂漠のど真ん中に立っていたのだった。いつどうやってこの場所へやって来れたのも見覚えのない首相は困惑し、周囲を見渡そうと焼けつくような太陽の下で視界の端に見えたのは、数名の人影。
驚くべき事に、その中には今でも敵対し続けていた
「なっ、なぜ貴様が私の前に!?」
「それはこっちの台詞だ!そもそも……ここはどこだ!?」
「敵対国がこんな近くに……け、警備員はどうした!?誰か……誰かいないのか━━っ!」
互いに顔を見合わせ、何が起きたのか理解できずに戸惑う中、徐々にその場で怒号が飛び交い始めた。国家の威信、過去の因縁、そして突然の状況に対する苛立ちが一斉にぶつかり合い、混乱は増していくばかり。
だが、その騒がしさを切り裂くように“ザザッ”と乾いた風が砂を一斉に舞い上がる。視界が一瞬だけ霞んだ次の瞬間、空に雲ひとつないはずの晴天に、巨大な影が地面に伸びていた。
誰もが反射的に上を見上げると、その正体は青い装甲を纏い、静かに彼らを見下ろす巨人……ガンダムエクシアだった。
「「「「━━━━━っ!?!?!!?」」」」
この場にいる全員が、言葉を失った。
自分達の戦術や誇るべき兵器を次々と破壊していった敵の存在が、今まさに目の前に姿を現していた。
助けを求めようにも近くに護衛や軍なども存在しない。だが、むしろエクシアは彼らに手を出さず、ただじっと見つめているだけだった。
「き……貴様!なんだその目は、私をこんな何も無い場所に連れて、一体なにするつもりだ!い、言っておくが……我が組織には神の加護がある!貴様みたいなバケモンなんざ……お、恐れる必要もない!」
明らかに怯えながらも、虚勢を張って強気な口調で叫ぶ武装組織の最高指導者。しかし他の者達は“余計な事を言うな馬鹿!”とと言いたげな表情で睨みつけていた。
それでもエクシアは何の反応も見せず、右手の人差し指をスッと持ち上げ、彼らとは別の方向を指し示す。最初は何のことか分から無かったが、次第に不安を覚えた首相達は、指し示す先へと視線を向けた。
この時彼らは、ありえないものを目にするのだった。
一見すると岩山に見える──否、それは自然にできた山などではない。
軍や組織が所有するありとあらゆる兵器がまるで巨大な山のように形成されていた。
“いつの間に、一体どうやって……“と誰もが呆然とする中、上空から新たな巨人GNが粒子を噴き上げながら姿を現す。
これまで現れたエクシアや他のMSとは一回り大きく、第三者の目から見れば“デカブツ”と揶揄されてもおかしくないほどの巨躯を誇っていた。白と黒のツートンカラーに彩られた装甲、そして大砲のような巨大な武器を抱えていた。
突如として現れた巨人━━ヴァーチェは、主兵装であるビーム砲……GNバズーカを構える。
胸部に格納されたGNドライヴと直結した状態で粒子を臨界まで圧縮する“バーストモード”と呼ばれる最大出力の砲撃を出せる状態へとなり、極太の粒子ビームを放つ。
その瞬間、上空からやってくる桜色の光が兵器の山を一瞬にして呑み込んでいく。
近くにいるせいなのか、あまりの眩しさに首相らは思わず目を瞑った。
それから、ほんの数秒。
恐る恐る瞼を開けた彼らの視界に映ったのは………
「「「「━━━━━━」」」」
目の前で起きた光景に声も、思考も、何もかもが凍りつき、彼らはただその場に立ち尽くすしかなかった。同時に彼らの背筋が凍るような悪寒に震え、恐る恐ると視線を巡らせると……今も変わらず佇むエクシアは彼をじっと見つめていた。
「━━━━━ひ、ヒイイィィィイ!?」
武装組織の首領である男は、思わず情けない悲鳴を上げ、恐怖のあまり腰が抜けてその場に崩れ落ちた。他の者達も力が抜けて立ち上がる事すらできず、中には恐怖のあまり
「…………お許しを………どうか……どうかぁ!!」
「か、金ならいくらでもある!だから……い、命だけは!!」
プライドも誇りもかなぐり捨て、命乞いを始める者たちが次々と現れた。イスラエルの首相でさえ、先ほど目の当たりにした圧倒的な破壊力に怯え、これまで感じられなかった恐怖に心を支配されていた。
「……あ、悪夢だ……きっとこれは、何かの悪い夢だ…」
現実と夢の区別もつかぬまま、頭を抱える首相は震える声でそう呟き、目の前に広がる光景が“嘘”であると必死に信じようとするが──残念ながら、彼がいるのは紛れもない現実である。
何よりエクシアのツインアイから、“邪魔をするな…”と言う自分達に警告するような言葉が浮かんでいた気もしていた。
そう思い浮かんでいる内に、エクシアが再び上空へと飛び去っていた。しかしその場に残された彼らは既に戦意を失い、もはや反撃する戦力や武器も残されていない。ただ地面に座り込んだ状態で、震えながら身を縮めるしかなかった。
やがて彼らはようやく気づく………兵力や国家の最高権力を手にしていようとも、巨人の前ではただ無力な存在に過ぎないと言う事を━━━
同時に、ヴァーチェが兵器の山を一撃破壊した光景を目にした戦場記者が、隠れながらその時の一部始終を映像カメラに映していた。
★☆★☆★
「ふぅ…………とりあえず、目標は達成したな……」
無事に作戦を終えた蒼夜は、エクシアのコックピットで操縦席にもたれかかりながら大きく息を吐いた。
「一応、なんとかなったけど……これでよかったのかなぁ……」
この場へ来る前に、彼がヴェーダと共に立てた作戦は、“二つの勢力が持つ武力を完全に無力化する”。幸い相手側は、
正直なところ、今回の作戦はかなり無茶な内容だったと自覚する。それでも、相手をできる限り殺さずに無力化するのは、これまでの戦いの中でも最も神経を使うのに苦労していたかもしれない。
「……まあ、他に方法がなかったとはいえ……かなり怖い思いをさせちゃったよなぁ〜」
絶望に染まった表情をする組織の者や兵士達、更にはヴァーチェによって兵器の山を破壊した光景を目撃する首相らが怯える様子を思い返し、蒼夜はどこか胸の奥に申し訳なさを感じていた。
そんな思いにふけりながら、彼はコックピット内に備えていたボトルを手に取り、モニター越しに外の様子を眺める。瓦礫を撤去し、できるだけ安全な道を作り直す大量のGN-Xの大軍。同じくオートマトン軍団も動いており、怪我人の治療や食糧の配給を行なっていた。
本当なら街の復興にもっと力を注ぎたい気持ちもあるが、流石にこの場で長くとどまるわけにもいかず、今はできるだけ多くの仮設住宅を建てていた。やがて視線を別の方へずらすと、避難民や住民達がまるで地獄から解放されたかのように喜びを噛みしめ、作業中のGN-Xに向かって次々と感謝の言葉をかけている姿が目に映った。
「…………まぁ、なんとかなったし………今はこれで良しとしますか。」
━━と、そう言いながらボトルを飲んでいた時、通信機からハロの声が繋がった。
『ソウヤ!ソウヤ!コッチハ、後10分デ終ワルゾ!』
「そうか………よっし、なら後はこの場から離れるだけだな…」
『了解! トコロデソウヤ━━━
次ノ目的地ハ、決マッタカ?』
ハロから投げかけられた問いに、コックピット内の空気が一瞬で凍りつく。
「━━━━は?」
間抜けな声を漏らすソウヤは理解が追いつかなかった。
「な、何を言ってんだよ、急に……」
『ダッテ、
ハロの問いかけに蒼夜は一瞬きょとんとした顔を浮かべ、ようやく言葉の意味を理解した彼は、慌てて首を横に振った。
「……ちょ、ちょっと待て! 言っとくけど、全然違うからね!? 勘違いされてるかもしれないけど……こ、これは想定外だったんだって!」
動揺を隠しきれない様子で否定しつつ、蒼夜は早くも現場からの撤退指示を出そうとコックピット内の操作パネルに手を伸ばす。だが、その行動すら遮るようにハロがもう一つ問いを投げかけた。
『ダッタラ、
何気ない調子で発せられたその言葉に、蒼夜の手がピタリと止まる。
「そ………それは………」
理由はあるはずなのに口に出せず、何故か言葉が続かなかった。
争いと止める事ができても、今もなお世界中のどこかで終わらない支配や紛争が起き続けている。もちろん彼はその事について分かっていても、向かうつもりはなかった。
それでも心のどこかでは“助けに行きたい”と、ふと浮かんだ言葉が、今も離れていない。
明確な理由はなければ、正義感だとかそんな立派なものじゃない。例えるなら、刹那・F・セイエイやソレスタルビーイングのような使命感などを持っていない。
胸の奥に渦巻く迷いを振り払えずにいた蒼夜は、じっと操縦桿の前で沈黙していた。
向かうべきか、無視するべきか……
『ロボット君がね、本当にやりたい事をすればいいと思うんだよ』
そんな時……ふと、以前に
☆★☆★☆
━━それから翌日、日本では……
「あ゛ぁ〜……全然見つからないよぉ〜……」
「嘆いていても仕方がありません。まだ情報は十分に揃っていないんですから……」
街の歩道を並んで歩く二人の少女……千束とたきなは、依頼された仕事について言葉を交わし合っていた。彼女達は今、リコリスとして裏の仕事に従事している最中である。
今回の仕事は、住宅地に潜伏している違法薬物の密売拠点を特定し、一斉制圧するというもの。無論、一般的に目立つ行動はご法度である。しかも場所は東京ではなかった為、蒼夜を除いたリコリコメンバーは現地近くのホテルに滞在し、表向きには“観光旅行”という名目で活動している。
手配を担当したのはクルミだが、チェックインの時にミズキが“なんでもうちょっと豪華なホテルにしなかったのよ〜!”と、文句をぶちまけていたらしい。
「それにしても……今のところ私達、ただのゴミ拾いしかしてませんよ。」
「えぇ〜いーじゃん、人助けだと思えばさっ♪」
どこか納得しない表情をするたきなのぼやきに、いつものように明るく笑って返す千束。
彼女たちは“普通の女子高生”として、地域の清掃ボランティアに参加しているが、それはあくまでもカモフラージュ。実際に裏では周囲の様子を探り、怪しい取引をする人物や物資に関する情報を収集するのが本当の目的である。
そんな潜入の地味さに少し不満げな気持ちを持つたきなとは違い、千束は何故かボランティア活動のゴミ拾いにすっかり夢中になっていた。
「ねぇたきな……蒼夜君、今頃どうしてるかな〜?」
「さぁ、もしかしたら、のんびり休日を過ごしているかもしれませんよ。」
━━と、お互いに会話する中、千束の懐からスマホが鳴る。画面を確認すると『ミズキ』と載っており、千束は肩の力を抜きつつ応答ボタンを押す。
「はいはいもしm『千束!たきな!このクソガキをなんとかしてぇえええ!!』━━うるっさ!?」
スマホから飛び出した怒号があまりにも大きく、千束は反射的に耳からスマホを離してしまった。
「ちょ、ちょいちょい……何があったの、ミズ─『あのリス、ついにぶっ壊れてしまったわ。』……え、何が?」
『クルミよ!こっちは仕事でバタバタしてるのに、アイツったらまた例の巨大ロボットについて調べてたのよ!』
「えぇ〜、どうせいつものことでしょ〜?」
千束が気の抜けた声で返すと、スマホ越しのミズキが怒気まじりに怒鳴り返した。
『それが今回は違うのよ!つい最近、別の国でまた新たなロボットが現れたっていうの!そのせいで、あのクソガキがこっちの仕事をまーったく手伝わないのよ!ずっと調べものばっかりしてるんだから!』
「ふ〜ん……まぁ、クルミらしいよね〜って、えぇっ!? 本当に!?」
言いかけた千束の声が一転して跳ね上がる。その瞬間──
「千束! あれ……っ!」
たきなが前方を見て何かに気づき、驚いた様子で指を差した。千束もすぐにその方向へと顔を向ける。
繁華街のビル外壁に取り付けられた巨大モニターがあり、人々が足を止めて見上げているその画面には、今まさに流れている速報ニュースが映し出されていた。
【……ここで速報です。国連の発表によりますと、イスラエル軍と武装組織の間で続いていた戦闘は、
冷静ながらも緊迫感のあるアナウンサーが語り出すと、街中にいる人々がざわめきの中で妙に浮いて聞こえる。やがて画面が変わると、荒廃した市街地などの映像が映し出され、そこには何体もの巨大な人型ロボット──MSの存在が映っていた。
誰もが呆然とモニターを見つめ、千束やたきなも言葉を失う。彼女達だけが近くでMSの存在を目にしても、何故か未だに慣れなかった。
だが、その光景がただの空想ではなく、まさしく現実に起きている出来事だと、ニュースの報道が何より雄弁に語っていた。
人々がざわめく中、モニターに映るニュースの画面が生中継へと変わり、現地の様子が映し出される。画面の中では、防弾チョッキを着た若い女性記者が、瓦礫が山のように積み上がる戦場跡地からレポートを行っていた。
【──こちらは、かつて激しい戦闘が繰り広げられた地区です。現在は戦闘が終息し、避難民達は……って、ちょっと!?】
その時だった。記者が解説している最終に、数人の子供達がそっとカメラの前に現れた。
いずれも彼らは戦場で家や家族を失った戦争孤児だった。だがそんな子供達の手には、色とりどりのクレヨンや絵の具で描かれた一枚の大きな紙が握られていた。
その紙をカメラの前に広げ、写っていたのはカラフルなクレヨンで描いたMSの姿、そして英文の文字が書かれてあった。
不思議に思った女性記者が尋ねると、子供達の口から“僕達の街を助けてくれた巨人様の名前!”っと揃って答えた。
【こ……これは、彼らが目撃した巨大な人型兵器を描いたものだそうです……しかもどうやら名前があり……えっと……なんて呼べばいいかしら……G…UN…D━━━】
「━━━ガンダム……」
自然と口を動かす千束は、画面に記された単語を読み上げる。
この瞬間、今まで謎の多い巨人の名が日本だけでなく、世界中に知れ渡っていた。
・モブ主「………」
何か(ヤベー)考えを思いつくガンオタ少年
・ちさたき「「クルミが壊れた理由が、なんとなく分かった気がする」」
ようやく“ガンダム”と言う名を知る二人。
・ついさっきまで争い合う国の偉い人達
「わァ……あ……怖い……」
・00MS達
「↑泣いちゃった!!!」
次回はおそらく、7月……遅ければ8月になるかも知れません。
リアルの都合でまた遅くなると思いますが、次回もお楽しみに!