桜空side
「その日は……朝からとても強い風が吹いていました。びゅーん! と、その日一番の強い風が吹いて、うわー! とうとう葉っぱが一枚吹き飛ばされてしまったのです。おちばくんはしょんぼりしてしまいました。ボク一枚じゃ花も咲かせられないし、実もつけられない……ボクには何もできないよ……
それから、おちばくんは……うーん……」
「思い付かないのか?」
「あ、桜空くん。どうかしたの?」
「絵本の進捗どうかなって?」
ましろはここ暫くずっと絵本作りに集中しているみたいだ。
「コンクールに出す絵本だろ」
「コンクールに……あっ……」
ましろ、その今思い出したかのような反応は……忘れてたのか?
「あはは……コンクールのこと忘れてた」
「それは……それだけその絵本を完成させる事だけに集中してるって事だな」
「うん……」
それにしても落ち葉の話か……
「僕には在り来りなことしか言えないけど……落ち葉には落ち葉にしか出来ないことがあるのは当たり前だけど……これはましろの描いた絵本だ。だから……」
「私が描いた絵本……」
「この落ち葉には何でも出来る……そんな感じかな?」
「何でも出来る……桜空くんなら?」
「僕?僕は……ましろのヒーローでありたい」
「私のヒーローか……えへへ、嬉しいな」
ましろは嬉しそうに……本当に嬉しそうに笑っていた。僕はこのましろの笑顔を失いたくないな……
ライside
天気は悪く、空も今にも雨が降りそうな中、僕は早朝からテンペスターと一緒に雲の中にいた
「ある程度は貯まったな」
「お、俺はまだ……もう少し……」
「そっか、じゃあ僕は先に戻るよ」
テンペスターと別れて、近くの公園に降りるとバッタモンダーとましろの二人がいるのを見掛けた
『紋田さん!』
『ひぃ!?』
『おはようございます!』
『やあ。こんな天気なのに、朝から散歩かい?』
本当に二人で会ってるのか~今回は竜擬きはいないみたいだな
『そんなところです……実は、また絵本の事で悩んでて……そうだ、紋田さん! 良かったら、私の絵本を読んでもらえませんか?』
『僕が?』
『実はこの絵本、紋田さんとお話しした事を元に描いてるんです!』
ベンチでバッタモンダーはましろが描いた絵本を読み終え……
『どうすれば、このおちばくんのお話をハッピーエンドにできるかなって、すっと悩んでて……』
『ハッピーエンド?』
『紋田さんが落ち葉を見ても、辛い気持ちにならずに済むような、そんなお話にしたいんです……』
ハッピーエンドか……確かに何事も幸せな終わり方がいいよな……だけどバッタモンダーは立ち上り……
『君が悩むのも当然だよ……なぜだと思う?』
『え?』
『役立たずの落ち葉に、ハッピーエンドなんてありえないって、内心じゃお前も気付いてるからだよ……』
スケッチブックを破っていき、地面に叩きつけて踏みつけていく。バッタモンダー……お前は……
『落ち葉にだって意味がある? 落ち葉が好きだ?そんな綺麗事で、誰が救われるっていうんだよ!そもそも、全部お前らのせいじゃねーか! お前らのせいで、俺は負け犬のまま、アンダーグ帝国に帰る事もできない!』
『アンダーグ帝国?バッタモンダー?』
自暴自棄になり、正体に気付かれたバッタモンダーはましろからプリキュアに変身するペンを奪い取ると……
『仲間を呼ぶなら、今ここで壊すからな!』
『全部……ウソだったんだ……』
『ああ、そうさ!』
『何で、そんな事……』
『お前の心をめちゃくちゃに傷付けるためだよ! どうやら大成功みたいだな! ウハハハハ!』
『良かった……』
『え?』
『紋田さんが苦しんでたのも、ウソだったんだ……』
ましろ……キュアプリズム……眩しいな……酷いことをされたのにバッタモンダーにそんな優しい事を言えるなんてな……
『でも、あの時、スキアヘッドがあなたを狙っていたのは……』
『そうだよ! 任務に失敗したから、俺は消されちまうんだ!』
『私達なら、あなたを助けられるかもしれない……ううん……助けてみせる!だからミラージュペンを返して!』
バッタモンダーはましろの言葉を聞き、歩み寄ろうと……いや、すがろうとしたが……直ぐに後ろに下がった
『あ、危ね! そうはいくかよ!ペンを取り戻したら、俺を始末するつもりだろ! バレバレ過ぎて笑えるぜ! ヘヘヘヘヘ!』
バッタモンダーはそう言うがましろは真っ直ぐバッタモンダーを見つめていた
『お、俺はお前を騙してたんだぞ! それに……』
『助けるよ!』
『お前には分かんねぇよ……何の価値もない落ち葉の気持ちはな……バッタモンモン……』
バッタモンダーは消え、雨が降り続ける……僕は消えたバッタモンダーを探しに向かった。
桜空side
雨が降ってきた事に気がつき、迎えに行こうとしたらソラも付いていくと言い出し、二人で迎えに行くことにした
「すみません。桜空さんの邪魔をして」
「いや、気にしてない。というか謝る必要も……」
「だって桜空さんはましろさんのヒーローでは?」
「いや、ソラもだろ」
「あはは、そうでしたね」
二人でそう話していると、公園のベンチの前で座り込むましろを見つけた
「ましろさん! 大丈夫ですか!?」
「ましろ!」
僕らは座り込むましろに駆け寄る。ましろはボロボロになったスケッチブックを手にしていた
「ましろさん……」
「ましろ……」
「ソラちゃん……桜空くん……」
ましろは僕らに抱きつき、泣き出した。
僕は……僕は……何をしていたんだ…………
ライside
バッタモンダーを探していると、路地裏にいるのを見つけ、声をかけようとすると……バッタモンダーの前にスキアヘッドが現れた
「ス、スキアヘッド様!」
「お前に、無価値ではないと証明するチャンスをやろう」
スキアヘッドは黒い塊を取り出し、バッタモンダーに差し向けた
「そのアンダーグエナジーを取り込めば、強大な力が手に入る」
「で、ですが、こんなヤバい力を取り込んだら、俺は……」
「そうだ。お前の心はアンダーグエナジーに取り込まれ、消滅する。後に残るのは、強力な力を持つ怪物だけだ。嫌だと言うならば、ここでお前を消す。さあ、自分が無価値ではないと証明してみせろ」
スキアヘッドは消え、雨の中俯くバッタモンダーに僕は声をかけた
「バッタモンダー……」
「ライ……か……何しに来た?」
「お前は……そのままでいいのか?」
「……黙れよ。黙ってろよ……お前に何が分かるんだよ!役立たずの俺の気持ちは……」
「僕にだってわかるよ……力ない自分が嫌だったから……」
「お前は…………もういい、俺の前から消えろ!テンペスターにも伝えておけ!」
バッタモンダーは再び姿を消した。
「…………」
「ライ……」
いつの間にかいたテンペスター。テンペスターもバッタモンダーの今の気持ちを知ってるんだな……
「なぁテンペスター……」
「な、なんだ?」
「バッタモンダー……助けたいな」
「…………そうだな」
桜空side
ましろが落ち着きを取り戻し、何があったのか話してくれた。バッタモンダーが…………
「ごめんね、みんな……私のせいで、ミラージュペンも取られちゃって……」
「ましろさんのせいじゃありません!」
「そうだよ! アイツ、ましろんをだまして、傷付けて……」
僕も何かを言うべきだけど……今は黙っていることにした。
「いっぱいウソつかれたし、酷い事もされたけど、バッタモンダーの事、今はあんまり怒る気になれないんだよ……」
「ましろさん……」
「アンダーグ帝国の人達は、強さや力の事ばかりで、他の人より優れてないと、価値がないって思ってる……その気持ち、ちょっとだけ分かる気がするから……得意な事も、将来の夢もなかったから、自分には何もない気がして……でも……今は違う……自分は自分のままでいいんだって気付けたから……」
「ましろさん……」
ソラはボロボロになり、破かれた落ち葉くんの絵を見つめた
「何もできないって悩んでるおちばくんは、ましろさんだったんですね……」
「あっ……そっか……楽しいだけじゃない……苦しんでる人を元気付けるような、そんな絵本を描きたいと思ってた……あの時、落ち葉を見て辛そうにしてた紋田さんみたいな人を少しでも元気にできたらって……でも、この絵本は、私のお話でもあったんだ……みんな、お願いがあるの! ミラージュペンは必ず取り返さなきゃいけないけど、その前に、私、バッタモンダーと話したい!」
ましろの決意を聞き、みんなが頷く中……僕は…………
「ましろ……」
「桜空くん?」
「ごめん……僕は今回……バッタモンダーを助けるのに参加しない……」
「えっ……」
僕は…………
感想待ってます