桜空side
裏山に出来た家……一体何なのか気になり、ランニングを止めその家に行ってみることにした。
「こんな家……なかったよね」
「あぁ……昨日までは……」
何かの罠かと思い、警戒しているとソラが躊躇いもなく呼び鈴をならした。
「「ちょ!?」」
「あれ?ダメでしたか?引っ越してきたのですから挨拶をしようと……」
「アンダーグ帝国の罠とかだったらどうするんだよ!?」
「その時はその時です!」
ソラからしてみれば、襲ってきたら迎え撃つつもりなんだろうけど……本当に大丈夫かと心配していると、玄関の扉が開き、出てきたのは……
「あれ?3人ともどうしたの?」
アスが出てきた。
「えぇ、昨日の夜のうちにアスさんとフウさんが来て、引っ越して来たみたいよ」
家に戻り、ヨヨさんに話すとどうやら知ってたみたいだった。と言うか夜のうちに家が出来るものなのか?
「住み処を作るくらいなら簡単だ。それに急に家が出来たとしても問題ない」
フウさんがそう言うけど……何だか疲れているみたいだった。ノアやグーリが言うには家を作ったり、移動させるくらいなら龍特有の力……魔法とかでなんとかなるみたいだが、混乱が起きないようにするのが疲れるみたいだ。
「それにしても何でまた……」
「えー、ツバサくんが言ったから~」
僕、ソラ、ましろがツバサの方を見るが、ツバサは心当たり無さそうだった。
「ツバサくん、言ってくれたじゃない!いつもこの家まで来るの大変じゃないですかって!だからツバサくんに心配かけさせないように引っ越してきたの!」
「いや、そうはならないですよ!」
なんと言うか龍って、本当に独特な考えを持っていると言うか……
「アスと我々を一緒にしないでほしいのだが……」
グーリが小さくつっこむのであった。
そんな騒がしい数日が経ち、エルちゃんも徐々にだが歩けるようになった。それを見てヨヨさんがファーストシューズをエルちゃんにあげた方がいいと提案された。ファーストシューズとはよちよち歩きができるようになった子供が、無限に広がる世界へ踏み出していく、その1歩目を祝福する大切な靴。それが、ファーストシューズ。
僕、ましろ、ソラ、ツバサ、エルちゃんは街の靴屋に来ていた。
「とっても頑丈そうだし、防御力高そうです!」
ソラが選んできた靴を見せるがエルちゃんはそっぽ向いた。
「防御力の件は、とりあえず置いとこっか?この靴とかどうかな?ぴかぴか光るよ」
「エルっ!」
ましろが選んだ靴もお気に召さないようだった
「めっ! 好き嫌いは駄目ですよ?」
「ふぅ……プリンセスは悪くありません。足りていないんです。お二人のセンスが」
「「ええ!?」」
「エルちゃんはスカイランド王家のプリンセス。キラキラ輝く一番星。国民のアイドル。そんじょそこらのデザインで満足するはずが……さあ、お受け取り下さい、プリンセス! あなたのナイトが選び抜いた、とびっきりの……」
ツバサが選んだ靴もエルちゃんにはお気に召さなかった。まぁこれは誰かが選ぶよりもエルちゃんが気に入ったやつを見つけた方が一番なんじゃないかと思う
「エルちゃんのお気に入りが見つかるまで、この街の靴屋さん全部を!いいえ! この世界の靴屋さん全部を回りましょう!」
「話が壮大になってきたね……終わる頃には、エルちゃん、大人になっちゃうよ?」
「そもそも世界を回る時点でかなり……出費もかかるような……」
「そこは……ノアに乗って……もしくはツバサくんがアスさんに頼めば……」
「止めてください……あの人なら本当にやりかねないです……」
そんな話をしていると、エルちゃんが何かに反応を示した。見てみるとおばさんが子供の靴を買おうとしているところだった。
「あれは人のです!」
「別のにしよ? ね?」
「えぅ!」
「もう、プリンセス? あまり駄々をこねないで下さい……」
「どえらい可愛い赤ちゃんやな!」
僕らの様子に気がつき、おばさんが声をかけてきた。まぁ普通に目立つよな……
「これ気に入ったん?」
「すみません!」
「これ、あげるわ!」
「え? でも……」
「遠慮せんでええんよ! まだお会計済ませる前やしな!」
ソラは靴を受けとるけど……あの人……そもそも買うつもりだったのに良かったのか?
「ありがとうございます!」
「こない気に入ってもらえて、靴も喜んでるわ! 逆に、おおきに!」
「ヒーローです! ヒーロー発見です!靴の気持ちまで考える優しさ! それが、ヒーロー!」
「なんでやねん!」
「あの! 本当にいいんですか?これって、誰かにプレゼントする靴、ですよね? その子が、がっかりしたりしませんか?」
「これで良かったんや……」
「え?」
おばさんがそう言ってお店を出ていった。ソラは慌てて探すが見つけられなかったみたいだった。
その日の夕方、エルちゃんは買ってきた靴を気に入った様子で今は眠っている……
「断るべきでした……」
「え?」
「きっと何か事情があったんです……なのに、私……未熟!」
「今度どこかでまた会えたら、その時改めてお礼を言おう?」
「いいえ! 今すぐあの人を探しに行って、靴を返しましょう!」
「プリンセスが気に入ってるのに!?」
おばさんのことを話していると、突然波紋みたいなものを感じ、ヨヨさんの部屋に行くと水色の空間がミラーパットから現れていた。
「待たせたわね。ようやくスカイランドへのトンネルが完成したわ」
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