『それじゃまたね。元気そうで良かったわ』
「うん、母さんも。父さんにも伝えといて」
『分かってるわよ。因みに桜空』
「何?」
『ましろちゃんとは……』
タブレットの電源を容赦なく落とす僕。いくらましろと一緒に暮らしてるとはいえ、ましろ自身の気持ちを考えてほしいものだ。
とりあえず定期的の親との通話も終わり、リビングに戻ると丁度ましろも通話が終わったみたいだった。
「そっちも終わったのか?」
「うん、桜空くんのお母さんは元気そうだった?」
「まぁいつも通りだったな」
「こっちもだよ」
お互いに両親と暮らしてるから、こう言うときのお互いの気持ちが何となくわかる。
そんなとき、エルちゃんの泣き声が聞こえた
「よしよし、ミルクですか?」
ソラがミルクをあげようとすると、エルちゃんはそっぽを向いた。ミルクでもオムツでも無さそうだけど…………
「もしかして……」
ましろは何か気がつき、エルちゃんに優しく微笑み、
「パパとママに会いたいの?」
そうか……エルちゃんはまだ赤ちゃんだから…………恋しくなるのは仕方ないけど……
「会わせたいのは山々ですが……」
「別の世界と連絡を取る方法なんてないだろうし……」
「せめて顔だけでも見せられたらな……」
「出来るわよ」
「「「はぁ?」」」
突然ヨヨさんがそんなことを言い出した。出来るって……何を?
「両親の顔を見せてあげる方法があるの」
ヨヨさんはそう言いながら、鏡を見せた。
「スカイランドと通信することができるわ」
明らかに普通の鏡なのに……そんなことが出来るのか?
「これはミラーパッド。好きな場所を映せるの」
ヨヨさんは試しにうつしてみせた。確かに街の景色が……
「スカイランドにいるこの子の両親とも、お話ができるの」
ミラーパッド……確かに凄いアイテムだけど……何でヨヨさんがそんなものを持ってるんだよ?
「へぇ~こっちの世界には便利な道具があるんですね」
「いやいや、そんなのないよ!おばあちゃん、一体何者?」
「実はね……私はスカイランド人なの」
スカイランド人か~なるほど、確かにそれなら納得……ってえ?
「そっか~おばあちゃん、スカイランド人なんだね~すっ、スカイランド人!?」
「本当なんですか?ヨヨさん」
「えぇ、スカイランドで博学者だった私は50年前、この世界のことを調べにやって来たの」
「だからソラがスカイランドから来たって聞いても驚かなかったのか?」
「そうね、ミラーパッドでソラさんの事やエルちゃんの事、そして桜空くんとグーリの事を見ていたからね」
「おばあちゃん……」
「いきなりこんな話をしても信じられないでしょ。でも今なら夢なんかじゃないって信じてもらえるかしら?」
まぁいきなりのカミングアウトだったけど、本当に信じられるな
「それじゃヨヨさんはもしかして、私やエルちゃんがスカイランドに戻る方法を知っているんですか?」
「ええ、ちょっと時間が必要になるけど、私に任せてちょうだい」
「あ、ありがとうございます!」
これでソラたちが帰還する方法が分かったのは良かったかもしれない。後は
「だから今は……」
「寂しそうなエルちゃんのため、スカイランドと通信するのが先!ですね!」
ヨヨさんは一冊の本を取り出し、あるページを開いて見せた。そこにはある石が書かれていた。
「通信をスカイランドに届けるにはたくさんのエネルギーが必要なの。エネルギー源はこの宝石よ」
「スカイジュエル!この世界にもあるんですね」
「スカイジュエルって?」
「スカイランドにある様々なエネルギーになる鉱物です」
「こんなの見たことないし、簡単には見付からなさそうだね……」
「でも探さないとだよな」
「うん、私!スカイジュエルを見つけて、エルちゃんにパパとママに会わせてあげたい!」
「ましろさん!私も同じ気持ちです!」
「僕も探すの手伝うよ。こんな寂しそうなエルちゃんを放っておけないしな」
スカイジュエルを見つけることを決めた僕たち。何か手がかりがあれば……
「何処に行けば見つかるの!」
ましろがそう聞くとヨヨさんは頬笑み……
「家の裏山にあると思うわ」
まさかの裏山に……ましろとソラは驚いて、思わずずっこけてるし……
スカイジュエルの手がかりが分かり、ヨヨさん曰くスカイジュエルの近くに行けばどうやらソラの持つペンが反応するらしい。エルちゃんも落ち着かないため一緒に連れていくことになった。
「あぁそれと裏山に何かが落ちてきたらしいわ」
「落ちてきたって……隕石とか?」
「あはは……それだったら大騒ぎになってるよ」
「動物たちが落ち着かなくなっているかもしれないから、気を付けてね」
「ほう、猛獣の類いか」
グーリは興味示してるけど……色々と大丈夫だよな?
裏山に入り、のんびりと歩く僕たち。一応手入れされているからちょっとしたピクニックみたいな感じだった。
「本当にびっくりだよ。まさかおばあちゃんがスカイランド人だなんて」
「と言うことはましろさんもちょっとだけスカイランド人って事ですよね?」
「そういうことになるね……」
「やっぱり……」
ソラは何故だか嬉しそうにしていた。まぁましろもスカイランド人の血が入ってるってことでちょっと嬉しくなるものなんだな。
「ヨヨさんが言うように出会ったのは運命なのかもしれませんね」
「うん!そうだね!」
「運命か……」
「我とも運命かもな」
グーリとの出会いも運命か……それは嬉しいような嬉しくないような……
「えう……」
「あ!よしよし」
エルちゃんはまだ元気無さそうだな。
「エルちゃん、元気を出してくれるといいのですが」
するとましろは綿毛のタンポポを見つけて、エルちゃんに見せた。
「エルちゃん、はい。ふわふわの綿毛だよ」
「ぷい」
綿毛を見せても不機嫌で顔を背けるエルちゃん。ましろはタンポポの綿毛に息を吹き掛け、飛んでいくところを見せると不機嫌だったエルちゃんが喜んでいた。
「ましろさんは上手ですね」
「え?」
「エルちゃんのあやし方です」
「そう?」
「はい!赤ちゃんにとって大事なのは、今何を感じているのか分かってあげることです。こうしてエルちゃんが好きそうなものが分かったのも、きっとましろさんの優しさの力ですね」
ソラに褒められて、ちょっと嬉しそうにしているましろ。まぁ確かに……
「ましろの優しさに助けられてるところも僕にはあるからな」
「桜空くんまで~」
「よーし!私も何かエルちゃんのために……あ!これは!」
「ん?ソラ!?それは……」
ソラが手を伸ばそうとしていたのはカラフルなキノコだった。あのカラフルさは明らかに……
「待って~それ毒キノコ!」
「えぇ!?」
ましろが止められるソラ。そう言えばこう言うものがあるって知らなかったよな……ソラって
「山には危険な植物もあるから、良く分からないものは無闇にさわっちゃダメだよ」
「それに触れただけでも危ないものもあるからな」
「わ、分かりました……」
「あとで、うちにある図鑑を貸してあげるね」
「ましろさん……ありがとうございます」
「とりあえずこのキノコはどっかに捨てて……あれ?」
さっきのキノコを人の目につかないところに捨てようとしたら、いつの間にかなくなっていた。探そうとするとエルちゃんがお腹が空いたのか泣き出したため、ちょっと拓けた場所で休憩をすることになった。
エルちゃんがミルクを飲み終え、僕とソラはましろが作ったスカイランドをイメージした雲パンを食べていた。
「グーリ、お前も何か……」
「む?腹は減ってないぞ。さっき食べた」
『はい?』
食べたって……何を?と言うかいつの間に?
「あのキノコ……確かに毒があったが……我ほどになれば毒なんて関係ない。中々うまかったぞ」
「食べたんだ……」
「食べたんですね……」
「と言うか……僕に影響とかないよな?」
「安心しろ。大丈夫だ」
ちょっと心配だけど、一応は信じておこう……
「それにしても森に何か落ちたとか聞いてたけど、跡とかないな」
「そうだね。もしかして森の奥とかに?」
「猛獣とかも出くわしませんしね」
出くわしたら即逃げるけどな。いや、戦える力があっても逃げる事を考えないと……
「む!おい、小僧!警戒しろ」
「警戒しろって……」
グーリがそう告げた瞬間、森の奥から何か聞こえ始めた。それを聞いてソラも前に出て構える
「も、もももも、もしかして……熊とか!?」
「熊ですか?」
「危険な猛獣だから……気を付けないと……」
いくらソラが強くても、僕がグーリの力を使えても、気を付けないと…………
「来るぞ!」
森から何かが飛び出し、ソラがそれを殴ろうとするが…………
「え?」
「やっぱりか」
飛び出してきたのは人だった。赤い髪の少年……と言うかソラの事を知っている?
「ようやく会えたな。ソラ」
「の、ノア!」
ノアって……ソラの友達の……