ニューダンガンロンパv3 全員生存RTA   作:壊の公式

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 赤松ちゃん、ずっと謝り続けてる...


視野搾取

 <side 赤松楓>

 

 

 裏庭。そこにはゴン太くんが言ったようにマンホールがあった。

 

「うわー、このマンホールのフタって重そう―。持ち上がるのー?」

 

 確かに金属でできていて見るからに重そうである。

 私が持ち上げようとしても難しいだろう。

 

「ボクがやってみましょう。」

 

 するとキーボくんはマンホールのフタに手を掛けると、持ち――上がらなかった。

 

「すみません。ビクともしません。」

 

「えー?ロボットの力でもビクともしないのー?」

 

「あぁ、その点に関しては安心してください。ボクの腕力は、ちょっと力持ちの老人ぐらいの設定です。」

 

 えぇ...ロボットなのに老人と一緒なんだ...

 ロボットって戦闘能力が強いっていうイメージがあったのに...

 

「ショボい設定だな!」

 

「なら、ゴン太に任せてよ!」

 

 するとゴン太くんはフタに手を掛けて...

 

「よいしょっと。」

 

 まるでティッシュをつまむかのように、軽々とマンホールのフタを開けた。

 

「そんなに軽々とっ!?」

 

「この力は...ウチの魔法の効果じゃな。うむ...間違いないぞ。」

 

「おおっ!さすが夢野さんですね!」

 

 魔法の効果かはさておき、ゴン太くんの腕力はすごい。

 見た目だけだが、50kgは下らなそうなマンホールを片手でつまむのだから人間離れしているのは間違いないだろう。

 まさに超高校級だ。

 昆虫博士だけどね...

 

「あっ、このフタはどこにおけばいい?」

 

「どこかに放っておいてもらえるかしら。人に当たらないように、気を付けてね。」

 

「本当はポイ捨ては、マナー違反だからダメなんだけど――」

 

 ゴン太くんはそう言うと、ティッシュを捨てるかのように、マンホールのフタを軽々と放った。

 

「ククク...妙妙たる腕力だネ。子供の頭蓋骨くらいは簡単に握れつぶせそうだ。」

 

「ゴン太は、そんな非紳士的なことをしないよ!」

 

 私も真宮寺くんと同じような感想を抱いた。

 もし私がゴン太くんと対峙しても、多分5秒も持たないだろう。

 それぐらいの戦力差を彼との間に感じる...

 

 本当にゴン太くんが優しい人で良かった。

 もし、悪人だったらと考えるとゾッとするよ...

 

「でもさーゴン太って頼りになるよねー。何処かの急に銃をぶっ放す人もそうだけどさー。」

 

「そうだよね。俺って頼りになるよねー」

 

「自分で言わないでくださいよ!」

 

 

 

「でもさ、雁木ちゃんは頼りになるってだけじゃなく、コロシアイにも向いてそうだよねー。」

 

 

 

 王馬くんがさも当たり前のように、物騒なことを言った。

 これには私も黙っていられなくなり、口をはさむ。

 

「ちょっと、王馬くん!」

 

「ん?どうしたのー、赤松ちゃん。」

 

「雁木くんはコロシアイなんかしないよ!雁木くんは確かにちょっと変わってて、平気で銃も撃つようなアレな人だけどコロシアイなんかしない!」

 

「赤松さん、それはフォローになってないよ...」

 

「あぁ!赤松の言う通りだぜ!雁木はそんなことするヤツじゃねー!オレたちの仲間だ!」

 

「でも、オレ様は王馬の言う通りだと思うぞ!そのサイコパスヤローは危険だぜ!」

 

「確かにいきなり銃を撃つのは、冷静に考えてみれば危険だよね...」

 

 そして、みんなの不安そうな視線が雁木くんに降り注ぐ。

 

 しかし雁木くんは、そんな視線を受けながらも不敵な笑みを崩さないまま、口を開いた。

 

「でもさ、王馬。俺はここにいる16人ぐらいなら10秒もあれば全滅させられるんだよねー。俺がその気だったら、体育館にいるうちに全員殺しているよ。」

 

「へぇ...でもさー、仮にそうだとしても、これから先もキミが殺さないって保証はどこにもないよねー」

 

「あぁ、確かにその通りだね。だけど、保証がなくてもさっき俺が殺さなかったってだけで、十分にその保証の根拠になっていると思うけどね。」

 

 

「にしし...確かにそうだね!みんな、雁木ちゃんは絶対コロシアイなんかするわけないよ!誰だよ、そんなこと言ったヤツは!」

 

「お主じゃろう...」

 

 とにかく、雁木くんの説明によって一難は去ったようだ。

 王馬くんが急に言い出した時は、どうなることかと思ったけどなんとかなって良かった...

 

「とりあえず、モノクマたちの邪魔が入る前に行こうよー」

 

 そして私たちは暗いマンホールの中を降りて行った。

 

 

 

 ♪♪♪

 

 

 

 降りた先には広い空間になっていた。

 

「...想像していたよりも広いな。」

 

「ここって何なの?」

 

「古い工業用の通路みたいね...昔ここに工場でも建てられていたんじゃないかしら。」

 

 周りを見渡してみるとアームやベルトコンベアーらしきものが見える。

 工場が建てられていたというのは、間違いではないだろう。

 

「それが残ってたってわけか...」

 

「それより...アレを見るっす。」

 

 天海くんの言う通りに視線を移動させると出口と書かれた看板があった。

 

「親切に、ちゃんと書いてあるっす。この先が出口らしいっすよ。」

 

「...親切なんですか?わざわざ出口なんて書いてて怪しくないですか?」

 

「せっかく見つけたんで行ってみるっす。ここで立ち止まっていても状況は変わらないんで。」

 

「それは...そうだけど...」

 

 最原くんと同じように、みんなが行くのをためらっている。

 確かに私も不安だけど...

 

 でも、躊躇っていても仕方がない!

 ここにいる私たちならきっと大丈夫なはずだ!

 

 私は気持ちを固めて声をあげた。

 

「心配しなくても大丈夫だよ!そりゃあ、ちょっとは危ないかもしれないけどこれだけ超高校級が揃っているんだし...みんなで協力すれば、絶対に何とかなるって!」

 

「う、うん。そうだよね...」

 

「オレの言いて―ことそのまんまだぜ!赤松とオレは気が合うみたいだな!ハグでもするか!?」

 

「...ううん。嫌だ。」

 

「どさくさに紛れて当ててもらおうとしましたね?...これだから、男死は...!」

 

 そして私たちはトンネルの中に入る。

 

 きっと大丈夫...

 この先に出口があって、そこにたどり着けば終わり...

 絶対に大丈夫に決まってる!

 そんな希望を胸に抱きながら...

 

 

 

 ♪♪♪

 

 

 

 そこは地獄だった。

 

 足場が急に消える罠...下からマグマが噴き出る罠...上から爆弾が落ちてくる罠...上から檻が落ちてくる罠...急に足場が動きを変える罠...

 

 罠............罠...............罠..................罠.....................罠........................

 

 

 そうして、私は気が付けば入口に戻されていた...

 

 

 

 ♪♪♪♪♪

 

 

 

「気が付いたみたいね...大丈夫?」

 

「わ、私は大丈夫だけど...みんなは?」

 

 私は辺りを見渡すと、私と同じように、地べたに座り込むみんなの姿が目に入った。

 

「......」

 

 誰もが呆然としたまま口を開こうとせず、その場はすっかり沈痛な――

 

 

「沈痛な雰囲気に支配されてるね!まるで、大ゴケしたゲームの打ち上げ会場みたいだよ!」

 

 

 その時モノクマが、モノクマーズを引き連れてやってきた。

 

「チッ...ぞろぞろ出てきやがった。気づかれちまったみてーだな。」

 

「気づいた?オマエラがここから脱出しようとして失敗することぐらい、ボクはとっくにお見通しだったけど?」

 

「...えっ?」

 

 ということは、これって...

 

「最初から知ってたってことは、やっぱり罠だったんだね。」

 

「じゃあ、出口なんてなかったんですねっ!転子たちを騙したんですねっ!」

 

「いや、出口はあるよ...もっとも、キミたちがたどり着けるかは置いといてさ!アーッハッハッハッハ!」

 

 そういうと、モノクマとモノクマーズたちは不愉快な笑い声を響かせながら去っていった...

 

 

 

 ♪♪♪

 

 

 

「んあー、頑張ればたどり着けるらしいぞ?」

 

「テメェーはバカ代表か!あれだけ余裕ってことは、ぜってーたどり着けないんだよ!」

 

「だからこそ、俺らを泳がせたんだろうな。この地下道を挑戦させることで、脱出が不可能ってことを知らしめようとしたわけだ。」

 

「完全に出口を塞ぐんじゃなくて、わざと小さな望みを残しておくことで...逆に俺らを追い詰めるって魂胆っすね。」

 

「性格悪いなー...」

 

 確かに脱出できる望みは限りなく低いだろう。

 しかし、まだできないと決まったわけじゃない。

 ...たった一回だ。

 たった一回失敗したからと言って、無理と決まったわけじゃない。

 みんなで協力すればきっとできるはずだ。

 

 私は言葉を紡ぐ。

 

「だからって...諦めるわけにはいかないよ。」

 

「じゃが、ここから出るのは不可能なんじゃろ?」

 

「不可能なんかじゃないよ。もう一回...ううん、何回でも挑戦しようよ。私はモノクマなんかに負けたくない!みんなにも負けてほしくないんだよ!」

 

「赤松さん...」

 

 そこで、私は予てから言いたかったことを口に出す。

 

「それで、みんな揃ってここから出たら...外で友達にならない?」

 

「と、友達?」

 

「うん。こうしてこんなに大変な目に遭ったんだから、きっと外でいい友達になれると思うんだ。ほら、こうして超高校級の人たちと会える機会も中々ないし...どうかな?」

 

「フン...悪くねーかもな...」

 

「うん。すっごくいいアイデアだと思うよ。」

 

「それなら、なおさら...ここは何とかして突破しないといけないわね。」

 

「み、みんな!」

 

 みんなの返答に、思わず頬が綻ぶ。

 

「ですが、外に出た後の話をするのは早くありませんか?仮定の話をしても無意味ですよ。」

 

「空気の読めないヤツだなー。ま、ロボだから仕方ないんだけどさー」

 

「ロボットだって空気を読めますよ!汚れた空気を察知したり――」

 

「とにかく、モノクマが無理だって言おうが関係ねー!いっちょ俺らの底力を見せつけてやろうぜっ!」

 

「めんどいが...やってみるかのぅ...」

 

「きっと大丈夫だよー。神風が吹いて大成功だよー。」

 

「あァ、やっぱり人間っていいネ。困難に立ち向かう姿もまた美しいヨ。」

 

 そして、私たちはさっきよりも強い意志と結束力で、再びトンネルの中へと足を踏み入れた。

 この先にある希望を信じて。

 

 

 

 ♪♪♪♪♪

 

 

 

 それから、何度も挑戦した。

 しかし、何度も何度も失敗だけが積み重なる。

 私たちはそのたびにお互いを励ましあった。

 次はできる、友達になるんだ...と。

 

 今度こそ、今度こそは成功させると信じて進んだが、やっぱりどうにもならなかった...

 

 

 

 ♪♪♪

 

 

 

「今回も、ダメだったね...」

 

「さすがに...もう無理だよ...」

 

「まってよ。諦めちゃダメだって。きっと次こそ――」

 

 私が言葉を紡ごうとしたとき、それを遮るように王馬くんが声を出した。

 

「...いい加減にしてよ。」

 

「...え?」

 

「赤松ちゃんが諦めないのは自由だけど、それを周りに押し付けるのはおかしいよ!赤松ちゃんは諦めないって言葉で、みんなを追い詰めてるんだよ!」

 

「違う!私はそんなつもりじゃ――」

 

「でもさ...周りを見てみなよ。まだ赤松ちゃんみたいに挑戦しようって人がどれだけいる?」

 

「えっ!?」

 

 周りを見渡すと、すぐに気づいた。

 半分近くの人数が――その心が折れかかっているということに。

 

「テメーら!ここから出られなくてもいいのかよ!」

 

「別に無理しなくても...違う方法で出ればいいだけじゃない?」

 

 王馬くんの言ったことに悪寒が生じる。

 それって...

 

「まさか...コロ――」

 

 その時、天海くんの発言に被せるように雁木くんが声をあげた。

 

「――王馬の言う通りだと思うよ。ここで何度も挑戦して、無理に時間を使うのは...ハッキリ言って無駄だろ。」

 

 その発言に私は少なからず衝撃を受けた。

 雁木くんはてっきり、私と同じ考えでいてくれていると思っていたからだ。

 諦めることを後押しするかのような彼の発言に、裏切られたかのような気持ちになる。

 

「雁木くんも諦めろっていうのっ?」

 

 しかし、私のそんな考えはすぐに間違いだったことが分かる。

 

「ん?誰も諦めろなんて言ってないよね?一時撤退するだけだよ。」

 

「...え?」

 

「このまま無策で挑んでも不可能...ならどうするか?準備しかないでしょ?」

 

「準備なんてしても無駄じゃろ...アレはそんなことでどうにかなる物じゃないわい...」

 

「俺、ずっと見てたんだけどさ。あのトンネルの罠って全部電気で動いてなかった?」

 

「確かにそうだねー。雁木ちゃんの言う通り、全部電気で動いていた気がするよー」

 

「じゃあ話は簡単だ。電気をどうにかすれば、脱出できるんじゃないの?例えばこの学園のブレーカーを落とすとか、配電システムを破壊するとか色々やりようはあるだろ。」

 

 まさに青天の霹靂だった。

 確かに、その方法ならいけるかもしれない...!

 

 私は今まで、この場でトンネルを突破することばかり考えていた。

 しかし、視野が狭かった。

 道は一つだけではなかったんだ...!

 

「というか、そもそもこのトンネルにこだわりすぎなんだよね。他にも出口があるかもしれないし、学園の周りの檻を破壊できるかもしれない。最悪、地震みたいな災害を待って、その時に壊れた檻から脱出するってこともできる。だからこその戦略的撤退だよ。俺らは負けて撤退するんじゃない。勝つために撤退するんだよ。」

 

「そうだね...」

 

 雁木くんの言葉が心に染みていく。

 

 そして、私は先ほどまでの自分を恥じる。

 さっきまでの、狭い視野しか持っていなかった自分を。

 そのせいで、周りを追い詰めてしまった自分を。

 

 そして、私はみんなに向き直った。

 みんなに向かって頭を下げる。

 

「みんな、ごめん!」

 

「...えっ?なんで赤松さんが謝るの?」

 

「私、みんなで一緒に脱出するってことで頭がいっぱいにになってた...そのせいで、みんなを追い詰めてた...だから、ごめん!」

 

「あ、赤松さん!」

 

「今日の挑戦は終わり!みんなも疲れてると思うし、今日はじっくり休もう!それで明日、みんなでどうすればいいか話し合おうよ!私たちが脱出して、外で友達になるためにもさ!どうかな...?」

 

「転子も賛成です!明日、集まって話し合えばきっといい意見も出るはずです!」

 

「ウチも賛成じゃ...。今日は疲れた...。MPも使い果たしてしまったからのう。」

 

「いやー。オレも疲れたし赤松ちゃんに賛成だよー」

 

「オレも賛成だ!ここは一旦、明日に備えてゆっくり寝よーぜ!そしたら何かいいアイデアでも浮かんでくんだろ!」

 

「一時はどうなることかと思ったが、心配不要だったようだな...」

 

「丸く収まって良かったっす。ここで分裂なんてしたら、それこそモノクマの思うつぼっすからね。」

 

 そして、明日の朝に食堂に集まって話し合いをすることを決めて、その場を後にした。

 

 「......」

 

 その時私は気づかなかった。

 じっと雁木くんの方を見つめる王馬くんの視線に...

 

 

 




 原作との差異

 ギスギスした雰囲気にならない
 他の外に出られる可能性の提示
 王馬君が雁木君を警戒
 

v3原作ってどこまで知ってる?

  • 当然、プレイ済みだよ!
  • 体験版だけなら...
  • キャラぐらいなら...
  • 前作なら知ってる!
  • ダンガンロンパの名前だけなら...
  • ダンガンロンパ?何それ美味しいの?
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