一話です。まだ主人公は麻帆良にはいきません。
何もない真っ白な世界。気が付いたらそんな場所にいた。でもこの場所に来る前の事を全く覚えていない。なんかポッカリと抜け落ちたみたいだ。俺の名前は何だったっけ?
〔テレポート・ナウ!〕
ん?目の前から何か出てくる。
「気が付いたか?」
「ん、アンタは?」
「私の事は今はいい。それよりも体に大事は無いか?」
「…………特におかしなところは無いな。」
「ふむ、それならばいい。」
「それでアンタは一体?」
目の前の突然現れて声を掛けてきた男(?)に尋ねる。白いローブ姿で顔は荒くカットされた宝石みたいな仮面をしていて性別がよくわからない。
「私はそうだな……………『白い魔法使い』とでも名乗っておこうか。」
「白い魔法使い?なんだそりゃ?」
「今は分からなくてもいい。いずれ思い出す。それより今重要な事はほかにある。」
「ほかに?それは一体何なんだよ。」
目の前の得体のしれない存在よりも重要なことがあるのか?
「ほかでもない、お前自身の事だ。」
俺?気が付いたらこの空間にいた俺が重要な存在?疑問を感じている俺に対して白い魔法使いは何か四角いものを放り曲げてきた。キャッチしてみるとそれは中央に手のひらを象ったバックルの様なものだった。
「これは?このバックルみたいなのが重要な事なのか?」
「そうだ。そして重要なことはお前がこれを使うことが出来るという事だ。」
「これが使えて何になるんだよ?」
こんな訳の分からない物を使えるようになっているとしても一体何の得になるのだろう。
「お前は魔法使いになる資格を持っている。そしてそれはお前が魔法使いとして戦うために必要になってくるものだ。」
「だからってこれはウィザードリングが無きゃ使い物にならないだろ…う………が?」
あれ、俺は何でこれに指輪が必要だなんて分かった?それにウィザードリングって……
「思い出してきたな。お前はこれがなんだが知っているはずだ。今は記憶が混乱していて思い出せないが、端的には思い出してきているはずだ。」
そうだ、俺はこれを知っている。でもこれはテレビの中の話だったはずなのにどうしてこれを?
「お前がそこまで考える必要は無い。お前がするべきことはほかにある。」
「俺がするべきこと?」
「そうだ、お前の記憶よりも優先してやることがある。そのウィザードライバーを使って。」
ここで白い魔法使いは一区切りして俺を見る。俺がこのドライバーを使うという事は俺がウィザードになるということなのか。
「お前には『ネギま!』の世界でやることがある。」
え?なんでネギまの世界でウィザードに?
「お前にはネギまと言った方が分かりやすいと思ったからそういわせてもらった。あの話の中に『魔法世界』があるのは知っているな。」
「ああ、でもそれは魔力で作った世界だったはず。」
「そうだ、そしてその魔力が尽きかけていることも知っているな。」
「知っているが、それと俺が魔法使いになることの関係は一体?」
白い魔法使いが何か投げてきた。キャッチして見て見るとどうやら何かのウィザードリングのようだが、一体何の指輪なのだろうか。
「あの世界は魔力によって保たれていたが、その魔力が尽きかけている。このままではいずれあの世界は消滅してしまうだろう。以前『完全なる世界』がそれを回避するために行動をしていたが失敗してしまった。それを見て私は思った。何かほかの手で世界の消滅を避ける手段はないものかと。その中で目を付けたのがウィザードリングだったのだ。」
「待てよ、そんな世界を消滅から救うような強力な指輪なんてあるのか?」
そんな指輪一体どんな指輪なのだろうか
「あるだろう、クリエイト・ウィザードリングが。」
「クリエイト・ウィザードリング……ソーサラーか。でもそれでどうやって世界を救うんだ。」
金色の魔法使いが持つ指輪でどうやってあの世界の魔力問題を解決するのだろうか。
というか俺も結構記憶が戻ってきているな。このドライバーの事やほかの魔法使いについても思い出してきた。
「詳しいことは省く、今はまだお前が知る必要はない。このクリエイト・ウィザードリングを魔法世界の核として機能させ、世界の魔力の枯渇を防ぐのだ。」
いきなり凄いことを言ってくるな。だけど、
「指輪があるなら早く使えばいいじゃないか。」
「そうしたいのはやまやまだが、何せ世界の枯渇している魔力の代わりに魔法世界の核となってもらうには膨大な魔力が必要だからな。世界を救うために必要な指輪の魔力集めをお前にやってもらいたい。」
「それはどうやってやれば………」
「ドライバーを付けてみろ。そうすれば分かる。」
言われるままにドライバーを付けてみる。
〔ドライバー・オン!!〕
腰にドライバーが装着される。ずっしりとくる重み、重みが夢じゃないことを実感させる。
「ほう、またあの白いのは性懲りもなく新しい人間を連れてきたか。」
「何!?」
ドライバーを付けたらいきなり目の前の景色が変わり、さっきの白い空間とは真逆の真っ暗な場所にいた。そして目の前には
「ウィザードラゴン。」
「ほう、俺の名前を知っているのか。」
ウィザードラゴン。本当の仮面ライダーウィザードである操真晴人のアンダーワールドにいる彼のファントム。それが何故ここに?
「ソウマハルトという奴など知らないが、俺はあの白い奴にこの魔法具に封じられただけだ。そしてここはその魔法具の中だ。」
「白い魔法使いに封じられた?」
俺の知っているウィザードラゴンとは違うのか。そして、この真っ暗な場所はドライバーの中か、俺はドライバーを付けてこの中に入ってきたというわけなのか?
「そう、そしてアイツはこの魔法具を使う奴に対して俺が力を貸すようにさせたのだ。」
「それが俺になるのか。」
「お前が何人目かは忘れたが、お前は俺の力にどれ位耐えられるのだろうな。」
「おいそれはどういう意味だ?」
「それは白い奴にでも聞け。取りあえず、お前にはこれをくれてやろう。」
話していたウィザードラゴンから何かが俺の手の中に落ちてきた。見ているとそれは丸い赤い宝石が付いた指輪。
「フレイムウィザードリング」
「ほう、知っているのなら話は早い。それは俺の力が込められた指輪の中で一番扱いやすい奴だ。それが扱えないのであればお前は俺に食われるだけだ。」
「食われるってお前!」
「前に何人いたな。素質がないのに俺の力を使おうとして俺に食われた奴が、愚かな奴らだった。」
ドラゴンはおかしそうに言うが、聞いている俺は嫌な感じしかしない。食われるってどういう事だよ。そんな俺をドラゴンは面白そうに見る。
「それ以外にもいくつか指輪をくれてやる。その『フレイム』で使う事出来る指輪や、それ以外で使えるものだ。」
ドラゴンから指輪が渡される。これで俺が変身することが出来たら俺がやることは確か魔力集めだったはず、そういえば白い魔法使いはドラゴンに聞けと言っていたな。
「魔力集めについてお前に聞けと言われたが、どうやればいいんだ?」
「何、魔力集めだと?そんなものは俺は知らん。俺が伝えられることは俺の力の使い方だけだ。」
「おい、白い魔法使いからはお前に聞けと言われたぞ。」
「そう言われてもな。知らんものは知らん。」
「マジかよ。どうすればいいんだよ。」
「取りあえずお前はさっさと戻って俺の力が使えるか確認しろ。」
「おいっ!」
ドラゴンに聞きたいことはまだあったが、それよりも先に目の前が白くなり何も見えなくなっていった。
「どうだ、ドラゴンから話は聞けたか?」
目を開くとさっきまでいた真っ黒な世界ではなく、その前にいた真っ白な空間にいた。そして目の前には白い魔法使いがいた。
「ドラゴンからは魔力集めについては何も聞いていないぞ。」
「何?なら仕方ない。これから実際に見てもらうとしよう。」
「おい、言っている意味がよくわからないが。」
「言葉通りの意味だ。これから私が魔力集めをする。それをお前は近くで見ているといい。ところでドラゴンから指輪は貰ったか?」
「ああ、『フレイムウィザードリング』なら貰ったぞ。それより、俺は変身できなかったら食われるってどういうことだよ?」
「そんなことは気にしなくていい。どうせ変身できるのだから。それよりも移動するぞ。つかまれ。」
「移動ってどうやって」
〔テレポート・ナウ!〕
足元に現れた魔法陣によって俺と白い魔法使いは真っ白な空間から移動した。
読んでいただきありがとございました。