指輪の魔法使いin麻帆良   作:アルペリア

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学園長の口調が正確にわかっていない部分があるので、不安定です。ご指摘があればよろしくお願いします。


五話

 

 

「夜遅いのに申し訳ないね。学園長が必ず連れてきなさいと言っていたらしいから。」

「大丈夫ですよ。これからの予定なんてありませんでしたから。」

 

 

 ドラゴンがいなくなった後すぐに真っ暗な空間は無くなり、広場に戻った。

 そのあとすぐにガンドルフィーニ先生が戻ってきたので、先生の車に乗って移動することになった。

 これから学園長のところに行くらしい。深夜、さっき時間を確認したら十二時近くだった。先生の車は人気のない道路を走っているが、学園長の居る場所が分からない俺は車がどこに向かっているのか分からない。

 

 

「学園長ってどこにいるんですか?」

「学園長は女子中等部の学園長室で待っているって連絡が来ていたね。」

「………なんでそんな所に部屋があるんですか?」

「それは私にも分からないなぁ。」

 

 

 ガンドルフィーニ先生は苦笑いしながら運転をしている。

 

 

「それでその女子中等部には、あとどれくらいで着くんですか?」

「もう着くよ。今はくらいから見えないけど、明るい時なら校舎はもう見えている距離だからね………ん?誰かいるみたいだ。」

 

 

 先生につられて前を見ると、確かに前方にライトをつけながら停車している車があり、その前に誰か立っているようだ。

 先生は速度を落として停車している車の近くに自分の車を止めた。こっちの車が止まったのを見て立っていた人が声を掛けてきた。

 

 

「ガンドルフィーニ先生、お疲れ様です。」

 

 

 声を掛けてきた人物が誰かわかったみたいでガンドルフィーニ先生は警戒を解いて近づいていく。

 

 

「これは高畑先生。こんなところで何をしているんですか?」

 

 

 二人が話しているところに俺も近づいていく。近づくにつれて高畑先生と呼ばれた人の姿がはっきりと見えていきた。

 見た目は三十代で無精髭を生やした眼鏡をかけた男性だった。とてもダンディな人だった。ガンドルフィーニ先生は知り合いのようで二人で何か話している。さっきお互いを先生と呼んでいたから教師仲間なのかな?

 

 

「ゴメンね辰連君、少し高畑先生と話し込んでしまったよ。」

 

 

 暫くして先生たちがこっちに歩いてきた。何を話していたかは知らないけど、何か二人の間でやり取りがあったようだ。

 

 

「辰連君、紹介するよ。こちらはタカミチ・T・高畑先生私と同じように魔法使いで教師をして居るんだ。」

「初めまして、高畑です。君の事はガンドルフィーニ先生から聞いたよ。どうぞよろしく。」

「こちらこそよろしくお願いします。辰連拓人です。」

 

 

 差し出された手を握り、簡単に自己紹介を済ます。

 

 

「ここからはガンドルフィーニ先生に変わって僕が案内するね。」

「ガンドルフィーニ先生はどうするんですか?」

 

 

 案内すると言ったのはガンドルフィーニ先生なのにどうしたのだろう?

 

 

「私が案内しても良かったのだが、高畑先生が変わってくれたんだ。」

「ガンドルフィーニ先生は家庭をお持ちだからね、もう夜遅いから早く帰った方がいいからね。」

 

 

 成程、そう言う事だったのか。家族がいてこんなに遅くまで仕事とは大変だと思うが、その仕事の原因なのは俺なので申し訳ないな。

 

 

「そう言うわけだから私はここで失礼させてもらうよ。辰連君今日は本当にありがとう。」

「いえ、ここまで送ってもらってありがとうございました。」

 

 

 そう言ってガンドルフィーニ先生は車に乗って帰っていった。

 

 

「さて、それじゃ行こうか。」

 

 

 車が完全に見えなくなった後、高畑先生が話しかけてきた。

 

 

「分かりました。学園長室って女子中等部にあるんですよね?」

「そうだよ、そして暗くて見えづらいけどここがその中等部だよ。」

 

 

 先生が俺の後ろを指差す。そこには暗くて見えづらいけど、確かに建物があった。結構いい感じの建物だった。

 

 

「凄いですね。」

「はは、そうだね。僕もこの外観は気に入っているよ。」

 

 

 笑いながら門を開けて敷地内に入る先生を追って俺も敷地内に足を踏み入れた。

 

 

 

…………。

 

 

……………。

 

 

 

「学園長、辰連君を連れてきました。」

 

 

 高畑先生の案内で学園長室までやってきた。高畑先生が学園長室の扉をノックしなが、ら来たことを伝えている。

 深夜遅くに学校の中を歩くのは正直怖かったが、先生がいる前でビビるわけにもいかず、平気な顔をして歩いてきたが、結構怖かった。前を歩いていた先生は平気なのか平然と歩いていた。

 

 

「御苦労じゃった、入ってくれ。」

 

 

 中から入室の許可が出たので、先生は「着いてきて。」と言いながら扉を開けて中に入る。続いて入った俺の目に飛び込んできたのはやたら後頭部が長い老人だった。

 元の世界で漫画で見たから覚悟はしていたが、実物を見ると凄いとしか言えない。あんなに長いのはもう何と言うか凄いとしか言えない。目の前の老人、恐らくこの人が学園長なのだろう。

 

 

「高畑先生、御苦労じゃった。そして辰連君、よく来てくれた。」

 

 

 俺が固まっている間に高畑先生は学園長の机の隣に移動していた。学園長は高畑先生を労った後、俺に向かって話しかけてきた。

 

 

「あ、いえ、そんなことないです。はい。」

 

 

 いきなり話しかけられて、変な受け答えをしてしまった。しかし、学園長はそれを気にする様子はなく、「楽にしてくれ。」と言いながら、自分は椅子に座った。

 俺が学園長の机の前に立つのを確認した後、口を開いた。

 

 

「さて、まずは我が学園の生徒を助けてくれて感謝するよ。ありがとう。」

「あ、いえ、そんなことないです。」

 

 

 どうにも、なんかへんな感じに畏まってしまう。偉い人の前に立つというのは変な感じだ。

 

 

「お礼についてはまた後日という事にしておいて、本題に入ろうかのぉ。」

 

 

 学園長の顔が引き締まる。(学園長は糸目なので、良く分からなかったが、はそんな気がした)

 

 

「君がどんな人間で、君が使う魔法は一体どんなものなのかを説明をしてほしいのぉ。」

「それは…………。」

 

 

 やっぱりその質問が来た。この世界の魔法と、ウィザードの使う魔法は異なる部分がある。見知らぬ魔法について説明をするのは当然予想されていたが、俺はこの魔法について完璧には理解していない。

 大雑把に指輪を用いて使用する、系統の異なる魔法といった漠然としたイメージしか持っていない。それで、どうやって説明をしたらいいのか。

 

 

「………と言いたいところじゃが、もうすでにそのことについては説明をされていての。」

「………え?」

 

 

 なんて説明しようか考えていたら、いきなり学園長がそんなことを言ってきた。

 

 

「一体誰が説明をしたんですか?」

「君の仲間?いや、上司と言った方がよいかの?確か自分の事を『白い魔法使い』と言っておったの。」

 

 

 アイツか。俺をあの森に置いていった後、まさかここに来ていたとは。

 

 

「ちょっと前にいきなりこの部屋に転移してきての。最初は迎え撃とうと思ったが、話を聞いてみると、どうやら大きなことをするらしいの。」

「そう言っていましたけど、学園長は良かったんですか?」

「こちらの生徒たちに危害を加えないというのが大前提じゃが、こちらの防衛にも配下の者を出してくれると言ってきての、しばらくは様子見という事で話が落ち着いたわい。そして、その配下が君の事じゃな?」

 

 

 俺が戦っている間にそんなことをやっていたのか。だが、俺はあいつの配下になった覚えはないのだが、俺がウィザードになっている以上、俺はアイツの配下になるのかな?

 

 

「はい、そういうことになりますね。それで、俺はここで何をやればいいんですか?」

「大まかに言えば、今日みたいな迎撃がメインじゃな。それ以外にも細々した事があるが、それは明日にしようかの。今日は色々あって疲れたじゃろう。明日また、ここにきてくれないかの?その時に色々と決め事を使用ではないか。」

「決め事ですか?」

「そうじゃ。一つ言えば、君のこの麻帆良での平時の仕事とか、生活面でも色々とあるからの、時間をとって話合うとしよう。」

「分かりました。…………俺はこの後は………」

「高畑君に男性職員用の寮に案内させよう。今日はそこで休むと良い。」

「ありがとうございます。」

「うむ。明日の放課後、4時くらいにそこに使いの者を行かせるから、寮で待っていてくれんか?」

「分かりました。よろしくお願いします。」

「うむ、それではまた明日。」

 

 

 学園長に頭を下げて、高畑先生について、学園長室を後にする。

 

 

 

…………。

 

 

 

……………。

 

 

 

………………。

 

 

「それじゃあ今日はここで休んでくれ。お疲れ様。」

「お疲れ様でした。」

 

 

 高畑先生の案内で俺は職員寮の一室に来ていた。高畑先生は俺を送り届けると、そのまま帰っていった。高畑先生を見送った後、部屋に入る。1kだが、一人暮らしには十分な感じの部屋だった。こういった部屋で一晩でも過ごせるのなら、助かる。

 

 

「…………色々な事があったなぁ。」

 

 

 ベッドに腰掛け、一人呟く。いきなり『白い魔法使い』からドライバーを渡され、そのまますぐに戦う羽目になった。今まででは考えられない。前の記憶も大分戻ってきているし、そのうち何とかなるかな?

 

 

「……あぁ、何か怠いな。」

 

 

 戦いの後から怠さはあったが、ここにきてピークになってきた。

 これが戦いによる怠さか、それ以外の物から来るのかは分からないけど、とりあえず今日はもう休もう。着替えもせずにそのままベッドに横になると、すぐに睡魔がやってきて、すぐに意識がなくなった。

 

 

 

 

 

 

 




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