永久に君を刻んで   作:アテル

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ストーリーイベントよかったし泣きそうになった。ウオッカすき


サムデイトゥモロウ

 純白の光に包まれた空間で荘厳な鐘の音が鳴り響く。ここは…どこなのだろうか?至極当然な疑問が芽生える。まるで身に覚えのない場所。全く思い出す事の出来ない経緯。…いや、少しは覚えている。僕はまた、マーチャンを救えずに元の時間へと戻っていった。そして目を覚ますとここにいたのだ。もしやループに何かバグでも出てきてしまったのだろうか。あれだけ常識外れな現象なのだ。バグの1つや2つ、不思議ではない。

 そんな事を考えていると、やがて光に目が慣れて周囲が見えるようになってきた。そして最初に目に飛び込んできたのが…

 

「マーちゃん?」

 

 マーちゃん、アストンマーチャンが可愛らしく立っていた。彼女の背丈は僕の知るより数㎝伸びており、彼女が纏う衣装はさながらウエディングドレスの様なレース生地のドレスだ。その美しさと、奥に残る可愛らしさに目が奪われてしまった。この世で1番愛しい存在だと心から思えた。

 さて、彼女がいる、という事はまだループをしているのだろうか。だがここまで突飛な状況から始まるだろうか。まさに夢を見ているように唐突な展開だ。まさか、ここは夢の中なのか?明晰夢という言葉を聞いたことがある。夢を見ていると自覚出来る夢、まさにこの状況ではないか?

 ふと、周囲を見渡す。長く伸びたレッドカーペット。一面を埋め尽くす顔見知りたち。奥に聳え立つ三女神の描かれたステンドグラス。身にまとうクリーム色のタキシード。

 

「おやおや?もしかして『迷子のトレーナーさん』なのですか?」

「えっ?」

 

 突如彼女から発せられた『迷子』という単語に戸惑う。一体僕はどこを迷っているのだろうか。いや確かにマーちゃん救出の迷路にいると言えば間違いではないが、()()()()()()()()()()()()()()()()。彼女も分かる範疇で『迷子』に当てはまる事…やはり分からない。

 あーでもないこーでもないと答えを決めあぐねているとマーちゃんが再び口を開いた。

 

「やっぱり『迷子のトレーナーさん』なのです。迷い込んでしまったのなら仕方がありません。おうちに返してあげましょう」

「えっと…ごめん。やっぱよく分かんないや」

「大丈夫なのです。すべてマーちゃんにお任せください」

 

 ポン、と少し豊満になった胸を叩き優しく微笑む。

 自信満々な彼女とは逆に、僕は結局戸惑いっぱなしだ。状況もよく見えないし、ここがどこかも分からない。何故この場に2人でいるかも分からない。『迷子』という言葉の意味も何もかも全く理解できない。

 

「マーちゃんはネタバレを許しません。どんな初めても1度きり。だからこそ、だn…トレーナーさんにはマーちゃんの初めて全部を()()()()覚えていて欲しいのです。えい!」

 

 マーちゃんが訳の分からない事を話しながら僕の額に指を当てる。すると僕の意識は混濁し瞼が垂れ下がって来た。視界がボヤけ、見える映像が途切れ途切れになってくる。

 嫌だ、君を映していたい。本能にも似た想いが心の中から大声を上げ、襲い掛かる眠気に必死に抵抗する。だが抵抗虚しく段々と背景の色が消えうせ、辛うじてマーちゃんだけが映っているだけだ。

 嫌だ、嫌だ嫌だ。手放したくない。きっとここに探している『答え』があるんだ。君を助ける手がかりがあるはずなんだ。

 

「またいつか、たっくさんの花丸を持ってここに来てくださいね」

 

 唇に何かが当たった感触がした瞬間、僕の意識は途切れた。風に吹かれた砂の様に一瞬にして記憶が消え、今何があったのか分からなくなる。そうして僕は、暗闇の中へと放り出された。

 

 

__________

 

 

 

 目が覚めると僕はいつも通り布団で寝ていた。

 天井に目をやればループ判別用のポスターがない。どうやら新しいループが始まったようだ。

 ふと、唇に手を当てる。そこには何か温かい感触があった。どうしてこの様な行動を取ったのか分からない。ただ、本能がそう行動しろと命じた。そんな気がしたのだ。

 カーテンを開き、窓を開ける。小鳥のさえずりが聞こえてきた。4月16日。幾度となくやって来たこの日はどんな時間(世界)でも春だ。当たり前の事を言っているように聞こえるが、微妙に違う当たり前を目の当たりにしてきたのでそう簡単に当たり前を信じるべきではない。いやホント、箸がないと言われた時は度肝を抜きそうだったよ。

 閑話休題。僕はそんな春が大っ嫌いだが、どこか好きだ。確かに春はマーちゃんを連れていく憎たらしい季節だ。だがしかし春は不思議と、前に進む力をくれる季節なのだ。季節が僕を後押ししてくれる、そんな気分だ。

 歯を磨き、少し豪華な朝食を食べ、シャワーを浴びて、スーツに身を包む。その一つ一つの行動が心のエンジンを動かすキックスタートだ。3年間という長期戦のための気力が湧いてくる。

 ここまでし、ようやく部屋を出る。今の時刻は…9:35。始業時刻は大幅に過ぎている大遅刻だ。……まあ大目に見て貰おう、新人だし、まだ担当いないし。

 家の鍵を閉めた瞬間、どこかで鐘の音が鳴った。一定のリズムで刻まれる音に耳を澄ます。3回鳴った。これは…結婚式か。

 

「おめでとうございます」

 

 小さく呟き、僕は歩き出す。愛しい君を救うために。君と一緒に未来を刻む、そんな『いつかの明日』を叶えるために。




この未来は必ず到来する『いつかの明日』です。必ず到来します(断言)

それはそれとしてマーチャンのサポカ欲しい(未所持勢)

ええ、まぁ…この話は構想段階にはない後付け話になります。ですが公式からマートレマーチャンの結婚がほぼ確定と言ってもいいものが出された以上、これは確定させなければいけないなと思い執筆に至りました。当然ですがこの話はサポカのストーリーを下敷きに組み立てています。マーチャンのサポカは怪文書しか書かれないのか?

受験云々でかなり遅くはなっていますが、首を長くして次回を待っていただけると幸いです。スピンオフも読んでね

ご拝読ありがとうございました

追記(2026/02/07) 誤字修正
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