ゲームしてたらパルデア地方に何故かいる『元』24歳は自分です 作:DELTA-nuinui
コライドンに跨り、俺はパルデアの大穴へと飛び込んだ。
ゲームでは一瞬で所定の位置にいるが、ここは現実だ。
大穴を隠すようにある雲を抜ければそのまま、俺とコライドンは洞窟付近まで滑空して行く。
「それでは我々は、ここ辺りから捜索を開始します。お気をつけて」
俺の後に続いたイキリンコ牽引車に乗る警備員さん達は、次々と展開していき空から少年とゴーゴートの捜索に入った。
俺は
「分かりました!よろしくお願いします!」
と言って、警備員さんに別れを告げ、コライドンに滑空を止めさせ、洞窟内へと落ちていく。
「皆んな頼んだ!」
俺はモンスターボールから『ブロロン』『ファイアロー』『トドロクツキ』『マスカーニャ』を出して、それぞれ事前に決めた巡回ルートへ向かう。
ブロロンは第3観測ユニットの真正面にある洞窟の入口から第4観測ユニットまでの細い道なりを持ち前の速度で突っ走って探している。
ファイアローとトドロクツキは洞窟内の言わば上空と言えるような所に飛んで真上から捜索している。
マスカーニャは第4観測ユニットからタイムマシンのある建物がある1番下まで走って探している。
俺は第4観測ユニット内を見た後に、コライドンに乗って置き看板を飛び越えて色違い厳選をすることで有名な岩山や、巨大テラスタルの塊の上に飛び乗ったり、タイムマシンの建物及びそこからエレベーターで博士のAIと戦ったフロアに降りて探している。
しかし全然見つからない。
「どこに行ったんだよ……」
そう呟きながら俺は建物から出て、目の前を悠々と飛んでいる野生のキラフロルに『話しかけた』。
『(すみません。そちらのキラフロルさん。ここ辺りで自分以外に人間を見ませんでしたでしょうか?)』
このポケモンSVにやたらと似た異世界に来てから、俺は色々と考えている最中に気づいたんだが、どうやら異世界モノあるあるのチート持ちだったようだ。
例えば頭の中にポケモン関連の情報を見ることが出来る。
色違い厳選を出来る場所や図鑑以上に高性能なポケモンの分布図、目の前のポケモンの名前、特性、性別、レベル、持ち物なども見える。
そんな中で今俺が使ってるのは文字通りの『ポケモンと心を通わせる力』だった。
アニポケとかだと、人間の言ったことに対してはポケモンは頷いて行動したりしてるが、ポケモン側の言うことはさっぱり分からない感じだ。
しかし、この力を使うと普通にポケモンが日本語で話してるように聞こえる。
そして今、キラフロルに話しかけたらキラフロルが返してきた。
『おや、随分と芸達者なヤツが来たね〜……で、あんた以外の人間だけど、アタシャは見てないよ』
喋り方にクセがあるこのキラフロルさんは少年は見てないと言ったので「ありがとうございます。それじゃあ」と言おうとしたところで、『ちょい待ち、他のキラフロルにも聞いてみるから、少し待ってな!』と言って、何処かへ行ってしまった。
「えぇ……」
俺は思わず声が出てしまったが、すぐに戻ってきた。
『やっぱり皆んな知らないって言ってるわ!』
「そうですか、ご協力いただきありがとうございます」
俺は丁寧に礼を言うと『いいよいいよ!困った時はお互い様だからね!』と言ってくれた。
『あとさ、なんか困ってそうだし、あたしゃ暇してっから相談くらいなら乗れるけど?』
おっとこれは長時間長話に付き合わされそうな予感を感じとり「ごめんなさい!それじゃあ!」と言ってコライドンに股がってその場を後にした。
コライドンで走ってる最中に捜索中のマスカーニャと会った。
『(どうだ?)』
俺の質問にマスカーニャは首をフルフルと横に振った。
『ダメだ。全く見つかんねぇ』
俺の問いに対してマスカーニャは落胆するように答えた。
俺はマスカーニャの背中を撫でながら
『(そっか……こっちもだよ。一体どこに行ったんだろうな……ありがとう。引き続き頼む)』
と言うとマスカーニャは『おう!任せとけ!!』と意気揚々に返事をして再び走り出した。
俺もコライドンに跨り、第4観測ユニットへ向かった。
『お?おい皆んな、人間がいるぜ』
『あ、ホントだ〜戦ってくれるかな?』
『ニンゲン、ヲ、カンチ……セントウヲ、イドム』
『ニンゲンハッケン』
コライドンに乗って走っていると、俺とコライドンの周りに『イダイナキバ』『サケブシッポ』『テツノカイナ』『テツノコウベ』と言う過去未来のパラドックスポケモンがやって来た。
言ってること聞く感じ問答無用で挑んでくる感じだ。
『(ごめん。今、ここに子供が紛れ込んだかも知んなくて急いでんだ!!相手は出来ねえからまた今度な!!!)』
俺は大声で叫ぶと『イダイナキバ』が襲ってきた。
『つべこべ言わず戦えやコラァッ!!』
俺は腰からモンスターボールを取り出して、投げた。
「頼むニンフィア!この分からずや達を止めてくれ!!」
『はいですぅー!!』
ボールから飛び出した水色のニンフィアは、とくせいパッチで夢特性にして、性格は元々ひかえめ、レベルは100でA抜けのHCぶっぱ余りSの完全に金策用に育てたニンフィアだ。
そんなニンフィアから放たれる『ハイパーボイス』をイダイナキバ達はモロに食らって一瞬で吹っ飛ばされて目を回して倒れる。
『どんなもんですかぁ〜』
『(ナイス。ありがとな)』
俺はニンフィアをボールに戻して、コライドンを走らせる。
『全然いないな……第4じゃないのかな?』
今まで黙ってたコライドンが走りながら口を開いた。
『(確かに、ちょっと行ってみるか)』
俺はスマホロトムを出そうとした瞬間に、スマホロトムが
ロトロトロトロト
と音を出して俺の前に出て、通話が来た。
『デルタさん』
通話の相手はオモダカさんだった。
『第2観測ユニット付近でワタッコと遊んでいるところを見つけました。少年もゴーゴートも無事です』
オモダカさんは満面の笑みで報告してくれた。
俺は
「分かりました。それじゃあ皆んなを戻して、そちらに合流しますね。お疲れ様でした」
と言った。
『はい、お気をつけて』
電話を切ると、俺は捜索中のブロロン、ファイアロー、トドロクツキ、マスカーニャに
『(全員第4観測ユニットに集合!!)』
と伝えると、全員が俺の元に集まってきた。
『(第2で見つかったって!お疲れさんだったな)』
俺は笑顔で言った。
4匹は『う〜い』や『見つかって良かったな!』や『おっしゃあ!!!』等と返してきた。
俺は「お疲れ様」と4匹に声をかけて、ボールに戻してコライドンに言う。
『(じゃあ行くぞ!)』
コライドンは「アギャス!」と言って地上目指して走った。
「ごめんなさい」
「グゥ〜」
少年とゴーゴートは無事に保護されて、第1観測ユニットの前にオモダカさん、ペパー、警備員さん達が集まっていた所に俺は到着すると、少年が開口一番に謝った。
それに対して、ゴーゴートも申し訳なさそうに鳴く。
「大丈夫ですよ。ちゃんと戻ってきてくれたんですから」
オモダカさんはしゃがんで少年の頭を撫でる。
少年は安心したのか泣き出しそうになるのを堪えているようだったので、俺は少年の背中を優しく撫でる。
「さて、そろそろ出発しないと日が暮れてしまいますよ?」
「はい、ありがとうございます。行こうか?」
「うん!」
「ゴウ!」
そして俺達はゼロゲートまで戻ってきて、少年とゴーゴートは親の元へ警備員さんに連れられて行った。
「ふぅ〜あの子が見つかってホントに良かったぜ!なぁデルタ!」
ペパーが満面の笑みで俺に話しかけてきた。
俺もそれに答えるように
「ああ、そうだな」
と言った。