ひろがる星々! 星のプリキュア!   作:HR-H HR-E

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プリキュア20周年おめでとう!!!
星のカービィ30周年おめでとう!!!



第1話 ピンクの訪問者

 

 呆れるほど平和な星『ポップスター』

 その名を聞けばおおよその銀河、星々の住民達はその星の名を聞いた事があるだろう。

 

 曰く、本当に平和な星

 曰く、住民は寝て起きて遊んで食べて寝るを繰り返すだけの毎日

 曰く、暴力的な思想な持ち主はおらず、平和主義者しか居ない

 

 曰く、その星にはヒーローが居る

 

 だが同時に…こんな噂もある。

 

 曰く、侵略者が絶えない星

 曰く、世界の命運を掛けた戦いが数多に行われた

 曰く、余興で格闘技やコロシアムがあり、国を収める大王は暴君である

 

 曰く、その星には…悪魔が居る

 

 

 その噂はどちらも正しい。

 特に、二つの最後の噂は現在進行形で存在している。

 

 そのヒーローであり悪魔と呼ばれる存在は、ポップスターのプププランドで暮らしている。友を大事とし、敵を容赦なく抹殺し、友と遊び、その友を喰らい尽くし、住民から英雄と称えられ、住民からピンクの悪魔と恐れられている。

 

 そんなピンクの悪魔、プププランドのヒーロー…星のカービィは…

 

 

 

 この日、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に気づく間もなく…

 プププランドから姿を消してしまったのであった。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

「…………__ビィ!…………カービィ!………カービィ!起きて!」

 

 腹一杯ケーキの上をボールの様に転がる夢を見ていた食いしん坊な春風の旅人、カービィは夢の最中に聞き馴染みのある声と激しい揺すりによって夢の世界から目覚める。

 

「ぽよぉ…」

 

 立ち上がって少しフラフラだが、叩き起された事に対してカービィは全く気分を害していない。カービィにとって夢なんていくらでも見られるから邪魔されても3()()()()()()()は許すだろう。

 目が少しずつ覚めてきたカービィは自身を起こした聞き覚えのある声の主と顔を合わせる。

 

「おはよう、カービィ!」

 

 それはワドルディと呼ばれる、カービィが住むプププランドでは何万と存在する住民の1人であった。しかし他の数多のワドルディと違ってこのワドルディは青いバンダナを頭に巻いている。

 彼はバンダナワドルディ。ワドルディの中でも特別な存在である。特別と言ってもプププランドの弱者とされるワドルディの中で特別腕が立つだけだが…

 

「ぽよ!ぽよぽよ!」

 

 完全に目が覚めたカービィはバンダナワドルディに元気におはようの挨拶をして、早速朝ごはんを食べに行こうと彼を朝食に誘おうとするが…

 その前にバンダナワドルディにストップをかけられる。

 

「カービィ! 朝ごはんなんて気にしてる場合じゃないよ! 周りを見て!」

 

 ワタワタするバンダナワドルディに言われるがままにカービィは周りを見渡す。

 そこには何も変な事は無い。いつも通りの緑が広がる自然豊かなプププランドが眼前に映る…………はずだった

 

 カービィの視界に映ったのは灰色の壁、灰色の床、濁った窓ガラス、埃まみれ、黒い汚れ塗れの壁やガラス。空は…何とか空が見えるが…灰色の壁はカービィ達のはるか上空まで伸びていた。

 

「ぽよぉ〜〜!!?」

 

 これには思わずカービィもびっくり。周りの高い壁…否、建物をキョロキョロするしか無かった。

 しかし、ちょっとすればカービィは落ち着きを取り戻す。ちょっとした違いがあるが、カービィは似た様な世界を体験した事があるのだ。

 

「ぽよ、ぽよよーい、ぽよ? ぽよ??」

「エフィリン達の新世界……うん、確かに凄いそっくりだね」

 

 つい最近、カービィ達が冒険したプププランドともポップスターとも違う全くの別の星、通称『新世界』。

 過去にとある理由でプププランドと新世界が繋がった事があるのだが、今カービィ達が居る場所はその新世界にそっくりであった。

 しかし、バンダナワドルディはそれを否定する。

 

「確かに似てるけど、こっち来て。見て欲しいものがあるんだ」

 

 バンダナワドルディは高い灰色の建物の間を移動していき、カービィもそれに着いていく。

 道中…カービィは建物の間を移動しながら周りをよく観察する。

 

 本当に新世界にそっくりである…が、何か大きな違和感がある。あそこはこの様な建物ばかりであったが、同時に緑も多かった。そして新世界の建物はボロボロだったが、ここの建物は汚くはあるが、壊れてはいないのだ。

 新世界に居たビースト軍団の様な住民がここに住んでいるのだろうか?

 

 そんな時、バンダナワドルディに着いて行ったカービィは天高くそびえる建物を抜ける。

 

「ぽ…ぽよ!!!」

 

 そこには新世界を冒険したカービィですら驚く光景が広がっていた。

 

 ()()()()()()()()

 

 新世界で見かけた、『くるま』という物体が!

 それも1つや2つでは無く、10個以上も!

 

 だが、カービィが特に驚いてるのはそこでは無い。車自体は過去にとある大企業にポップスターが侵略された時に動いてるのを見た事がある。問題は、それに乗っている住民だ。

 ポップスターではワドルディが、新世界ではカービィが乗ったが…

 今カービィの目の前では、かつてポップスターに絵の修行にやってきた『アドレーヌ』という少女によく似ているが、はるかに大きい生命体が乗りこなしていた。

 その生命体は車に乗る者、歩く者、立ち止まって会話している者など…数多に居た。

 知っている物と知らない物が何事も無く、共に暮らしている。

 新世界で見た物が見た事も無い生命体と暮らしている。

 

 そんな意外な光景に、カービィはびっくりしたのだ。

 

「こんな人達、新世界にもプププランドにも居ないよ。ワドルディ達やガルルフィ達も全く見当たらないし…もしかしたら僕達、プププランドでも新世界でも無い世界に来ちゃったかも知れないんだ!」

「ぽよぉ〜」

 

 バンダナワドルディの言葉にカービィは緊急事態である事を実感する…が、それだけである。

 先程は驚きはしたが、もうカービィは完全に落ち着きを取り戻していた。

 新しい世界にやってきた…だからなんだと言うのだ。

 『明日は明日の風が吹く』。新しい世界に来たのなら怯えるのではなく、不安になるのではなく、前に進むのである。

 立ち止まっては何も良い事は無い。カービィはこの新世界の様な世界を冒険し、探索するとバンダナワドルディに伝えた。

 

「え、ええ…ぼ、冒険するんだね…やっぱり。で、でも気をつけて!この大きい住民達…もし敵だったら大変だよ! 僕達より何倍も大きい!」

 

 カービィ達がおおよそ20cm〜30cm程だとしたら歩いてる人達は平均しても150cm前後だろう。小さくても120cm、大きくて170cmも居る。

 カービィ達の知り合いであり、この目の前に沢山居る種族によく似ているアドレーヌですら100cmちょっとだったので、やはり異質さがある。

 敵では無い事を祈りながら、バンダナワドルディはカービィの後ろにくっつき、建物の影から出ようとした時だった。

 

「…………クンクン…! ぽよ!」

 

 急にカービィが建物の影から飛び出して行ってしまったのだ。

 

「え、ちょ、ちょっと待ってよカービィ!」

 

 突然、走り出すカービィ。

 彼は歩道の上をタッタッタッと走っていく。

 勿論、歩いてるこの世界の人間達は走り去るカービィとバンダナワドルディの姿が視界に入る。

 

「ん、なんだ?」

「何今の!? 動物!?」

「ボール?」

「おい、何か今通らなかったか?」

 

 カービィ達の異質な姿に人々はザワザワと騒ぎ出すが、追いかけてくる者は居なかった。

 カービィ達が小さくすばしっこく、そして人間達が他の人間を掻き分けて追いかける程、カービィ達の姿をしっかりと視認出来なかったのだ。彼らにはよく居る野良猫や野良犬、または脱走した小動物を何かの見間違いでピンク色や青色に見えた程度にしか思わなかったのと、周りの誰も追いか けないので自分も追いかけなくて良いという心理が働いたのだ。

 こうしてカービィとそれを追うバンダナワドルディはこの世界の住民に何もされずに目的地に着いた。

 

 カービィは目的の物を見つけ、その場で立ち止まる。

 バンダナワドルディも少し疲弊しながらも何とかカービィに追い付いた。

 

「か、カービィ…どうしたの…? つ、疲れた…」

 

 バンダナワドルディは疲弊した様子でカービィがジッと見つめる方向を見る。

 するとそこには…プププランドでも見かける物があった。

 

「あれは…ハンバーガー?…………のお店?」

 

 プププランドにもある食べ物、ハンバーガー。そのハンバーガーが大きく描かれた看板が貼ってある建物があったのだ。

 そしてそんな建物から香る美味しそうな匂い…間違いない。例えここが未知な世界であろうと、あそこがハンバーガー店である事は疑いようが無いのだ。

 ポップスター1の…いや、銀河一の食いしん坊なカービィは未知な世界でも食べ物の事になれば最優先で向かってしまったのだ。

 

 そんなバンダナワドルディは少し呆れそうになるが…彼もまたプププランドの住民、ハンバーガー店を見て安心と空腹感、そして嬉しさを感じた。

 しかし…

 

「あ、でも待って。僕達はジェムリンゴもスターコインも持ってないよ。ハンバーガー…食べさせてくれるかな?」

 

 プププランドにも一応通貨の概念がある。と言っても前者は異空を駆ける旅人との取引にしか使用されないし、後者もワドルディ同士でしか使われないが…

 

「ぽよ、ぽよよ! ぽよ!」

「え? バイト? バイトしてこの世界の通貨を稼ぐの?」

 

 カービィはスターコインを稼ぐ為に、新世界のワドルディの町でバイトをした事がある。その経験を活かそうとしているのだ。

 しかし…あれは店員も客も全員ワドルディだからバイトを出来たのであって、この世界ではワドルディはバンダナワドルディのみである。

 果たしてカービィをバイトとして受け入れてくれるかどうか…

 そんなバンダナワドルディが悩んでいる時だった。

 

 

 

「た、助けてくれぇぇーー!!!」

 

 

 

 ハンバーガー店から店員らしき服装をした男性が助けを求めて飛び出してきたのだ。

 プププランドの住民であるカービィ達から見ても明らかに只事では無い様子。

 更に、そんなハンバーガー店から他の住民と比べて明らかに異質すぎる存在が現れたのだ。

 

 ()()()は二足歩行の紫色の太った豚の様な生物でモヒカンの様な髪型をしていた。

 片手には沢山のハンバーガーを抱えており、まさに悪役らしい大笑いしていた。

 

「カービィ! 見て、なんかアレ、ビースト軍団っぽくない?」

 

 しかし、バンダナワドルディ。そんなモヒカン紫豚を見て、逆に安心感覚えた。我々人間からして見ればモヒカンの紫色の二足歩行豚などあまりにも異質過ぎるが彼らプププランドの住民にとってはそうでも無い。むしろ見慣れたスタイルなのだ。

 新世界で出会ったビースト軍団の王は二足歩行のライオンであったし、彼らの住むプププランドを統治する大王はペンギンにそっくりなのだから、二足歩行の豚を見て安心感を覚えてしまうのは無理もない。

 

 だが、流石にだからと言って味方だと判断する程、2人は馬鹿では無い。

 周りの人々を見れば、皆不安そうな顔、やや恐怖に怯える表情である。

 

「よ、よく分からないけどとりあえず助けた方が良いよね?」

「うぃ!」

 

 この世界において何が善で何が悪かは分からない。しかし、カービィにとってご飯を独り占めして周りを困らせる奴は悪であり、懲らしめないと行けないのだ。

 かつてプププランドの王様が行った悪行を阻止し、懲らしめたように。目の前のハンバーガーを独り占めする迷惑なモヒカン紫豚も懲らしめよう。

 

「よし、カービィ! 行こ……あれ、なんか誰かと話してるよ?」

 

 バンダナワドルディは愛用の槍を構え、青いバンダナを締め直していざ出陣! と思った所、モヒカン紫豚は何やらハンバーガー店の向かい側に居る青い髪の女の子と桃色髪の女の子に何やら叫んでいた。

 少なくともその豚と女の子達が友好的な関係には見えない。

 モヒカン紫豚は怒り、青髪の女の子は険しい表情をしていたからだ。

 

 そんな時、モヒカン紫豚が先に動いた。

 片手を天に掲げた後に地に手を付け、何やら呪文の様な言葉を発する。

 

「カモン! アンダーグ・エナジー!」

 

 するとモヒカン紫豚が触れた地面からあまりにも禍々しい黒紫色の何かが溢れ出し、彼のすぐ近くにあった自販機の中に入り込んだ。

 なお、自販機も新世界には合った。

 

 アンダーグ・エナジーと呼ばれたソレは自販機の中に入り込むと、突如自販機は巨大化し、手足が生え、紫豚と同じ様なモヒカンが生えたのだ。

 

 

 

『ランボォォォォグゥゥゥゥゥ!!!!!』

 

 

 

「「!?」」

 

 これには流石のバンダナワドルディとカービィもびっくり。

 アンダーグ・エナジーという禍々しいエネルギーという存在とそれに乗っ取られて化け物と化した自販機は流石に予想外過ぎたのだ。

 しかしそれはこの世界の住民にとっても予想外であった様で、ハンバーガー店の店員もハンバーガー店の客も皆悲鳴をあげて逃げ出し始めたのだ。

 しかし、自販機の化け物はそんな逃げ出す人間達を見向きもしない。

 自販機の化け物は取り出し口からペットボトルによく似たミサイルを放つと…全て青髪と桃色髪の少女達に向かって飛来して行った。

 

 ペットボトルに良く似たミサイルは運良く少女達に直撃する事は無かったが、外れたペットボトルミサイルは建物の壁を破壊し、コンクリートを抉り、車を凹ませた。

 直撃すればただでは済まない。

 

「こらー! やめろー!」

 

 これ以上の横暴は許すまいと、バンダナワドルディは槍を構えるとそのまま自販機の化け物へと突進していく。

 自販機の化け物がバンダナワドルディの声に気付いて、こちらを向いた時は既にバンダナワドルディは技の構えに入っていた。

 

「急所突き!」

 

 自販機の化け物の丁度中央にバンダナワドルディの槍が突き刺さり、自販機の化け物は大きく後方へ吹っ飛ぶ。

 いくらワドルディと言えど、バンダナワドルディはカービィと長年冒険と戦いを共にした個体。他のワドルディとは実力が違うのだ。

 しかし、ダメージにはなったが、致命傷には至らなかったのか、自販機の化け物はよろよろと立ち上がる。

 

『ラ、ランボーグー!!!』

「あぁ!? なんなのねん! お前! 邪魔をするのでないのねん!」

 

 モヒカン紫豚のカバトンもその時になってバンダナワドルディの存在に気付いた様である。しかし彼が用があるのは青髪の女の子、そしてその少女が保護しているはずの子供であり、カバトンにとってバンダナワドルディなぞアウトオブ眼中であった。

 

「カバトントン!」

 

「ッ!? うわ、なんだ!?」

 

 カバトンは自身の額にある結晶を光らせると突然、バンダナワドルディは一時的だが黒い霧に覆われてしまう。無論、バンダナワドルディからは何も見えない。

 

「ランボーグ! 先にあの弱そうなのを潰すのねん!」

『ランボーグ!』

 

 そんな何も見えず、隙だらけのバンダナワドルディにランボーグと呼ばれる自販機の化け物はその大きな足でバンダナワドルディを踏み潰そうと足を大きく上げる…が…

 

 『くるまほおばり!!!』

 

 突如、文字通りカービィにほおばられた自動車がバンダナワドルディの頭上を飛び越えてランボーグに体当たりしたのだ。

 

『ランブォォォォォォォグゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!!』

 

 カービィが新世界で取得した新しい技、ほおばりヘンケイである。

 流石に自動車の直撃はランボーグにとっては決して軽いダメージな訳が無く、自動車に押されたまま壁に直撃して動かなくなった。

 

「ぽよ!」

 

 自動車からほおばりを解除し、カービィはバンダナワドルディに駆け寄る。

 

「あ、ありがとうカービィ! 助かったよ…もう大丈夫! 見えるよ!」

「うぃう!」

 

 

「ランボーグ! 何をやってるのねん! しっかりするのねん!」

 

 もう1体のどうでも良い存在に邪魔されたカバトンは怒り心頭になりながらも、直接手を下すのではなくランボーグに指示を出す。

 流石のしぶとさというべきか。ランボーグは自動車が直撃したのに、両手で自動車を放り捨てると立ち上がり、威嚇と言わんばかりに雄叫びを上げる。

 

『ランボォォォォグゥゥゥゥゥーー!!!』

「よし、いいのねん! その意気なのねん! まずはその邪魔で弱そうな2人をさっさと始末するのねん!」

 

 カバトンは完全にカービィ達にターゲットを絞って来たようだが、バンダナワドルディもカービィも全く臆する事は無い。

 彼らが過去に戦ってきた敵達と比べれば、ランボーグもカバトンも恐れるるに足らないからだ。

 バンダナワドルディは再度槍を構え、カービィは空気弾を放つ為に大きく息を吸い込む。

 

 

 

「待ちなさい! テンドン!*1

 

 

 

 しかし、そこで先程まで逃げていた女の子のうち、青髪の少女が前に出てきた。

「ここからは私が相手…ヒーローの出番です!」

 

 青髪の少女は腰に下げていた短いステッキの様な物を片手に取ると、そのまま上を掲げていた。

 

スカイミラージュ! トーンコネクト!

 

 更にもう片方の手で水色の円形の小さな物体をステッキにカチリと当てはめた。

 

ひろがるチェンジ! SKY(スカイ)

 

 すると、突然彼女の身体が輝きだし、更には青い髪のサイドテールの髪型が水色(毛先はピンク)のとても長いツインテールへと変化した。

 

きらめきHOP(ホップ)

 

 変化した髪には突然新しい髪飾りと耳飾りと言った装飾品が現れ…

 

さわやかSTEP(ステップ)

 

 服装も一般的な服装では無く、派手で可愛らしい水色と白のドレスとなり…

 

はればれJUMP(ジャンプ)JUMP!

 

 ハートの付いた手袋、そして左腕から左肩にかけて外側が青、内側が赤の高貴なマントが現れ…

 

無限にひろがる青い空! キュアスカイ!

 

 青い髪の少女…ソラ・ハレワタールは水色髪のプリキュア、キュアスカイへと変身したのだった。

 

「へ、変身した!?」

 

 キュアスカイ…プリキュアの変身を見てバンダナワドルディとカービィはとても驚く。

 彼ら自体、過去に変身は見た事がある。しかし変身と言うのは意外と珍しい物である。

 

 復讐に走った忘れ去られし絵画の魔女(ドロシア・ソーサレス)無限の力に溺れた強欲な旅人(イカサマタマゴ)、そして破神(エンデ・ニル)なども変身したが…あれらは追い詰められた事による、半ば暴走の様に近かった。

 しかし目の前のキュアスカイの変身は追い詰められた暴走とは違う。

 キュアスカイの顔は凛々しく、理性的であり、勇敢である。どちらかと言えばこの変身はカービィのコピー能力の変身の方が近いと言えるだろう。

 追い詰められた変身ではなく、暴走による変化でも無く、戦う為…()()()()()()であった。

 

「出たなプリキュア!」

 

 カバトンは先程までカービィ達を標的にしていたが、今や完全にキュアスカイの方しか見ていない。カービィ達に対する怒りよりもキュアスカイに対する怒りや恨みの方が大きいのだ。

 

『ランボーーーグ!!』

 

 カバトンの怒りに呼応する様にカービィ達の方を見ていたランボーグもキュアスカイの方に向き直り、ペットボトル型ミサイルを発射しようとするが…そんなのを呑気に見ているカービィでは無い。

 溜め込んでいた空気弾をランボーグが放ったミサイルに横から叩きつけることで、ペットボトル型ミサイルはキュアスカイが居ないあらぬ方向へ飛んでいって無意味な爆発をした。

 

「はぁっ!」

 

 がら空きになったランボーグへキュアスカイの右ストレートが叩き込まれる。おおよそキュアスカイからの体型からではありえない程のパワーが叩き出され、ランボーグは後方へ吹っ飛ぶ。

 本来ならランボーグはこのパンチを耐えるなり、喰らっても立ち上がっただろう…しかしバンダナワドルディとカービィの攻撃で既に力尽きかけており、今のキュアスカイのパンチで完成に戦闘持続能力を失ったのだった。

 

そんなランボーグにトドメと言わんばかりにキュアスカイは大きく飛翔すると、右手に力を込めながら空色の閃光となり…

 

ヒ〜ロ〜ガ〜ル〜スカイパーンチ!!!

 

 ランボーグを殴り付け、ランボーグの胴体を貫いた。

 

スミキッタ〜………』

 

 水色の閃光が胴体を貫いていったランボーグはまるで色を失った様に灰の色となり、プリキュアの力でアンダーグ・エナジーごと浄化されていき……元の何の変哲もない自販機へと元通りになった。

 更に、ランボーグのミサイルによって破壊された壁やコンクリート、自動車。ついでにカービィがほおばって突っ込んだ自動車も全てが破壊される前の状態へと戻り、現場はまるで先までの戦いがあたかも夢であったかのような状態になっていた。

 

「す、凄い…!」

「ぽよ〜!」

 

 この力はバンダナワドルディはおろか、カービィですら見た事が無い。身体がまんまるな彼らは目すらもまん丸にして驚いていた。

 一方でカバトンはビビりながらも「カバトントン!」と呪文を唱えると黒い霧となってその場から消えてしまった。消滅とは思えない…きっと逃げたのだろう。

 

 ランボーグもカバトンも居なくなると…キュアスカイの変身は解かれ、元のソラ・ハレワタールの姿へと戻る。

 その直後、ソラと共に居た桃色髪の少女、虹ケ丘ましろはソラの手を引っ張ると何処かへと向かって言ってしまった。

 

「あっ…」

 

 バンダナワドルディはそんな2人に話しかけようとしたが……

 突然辺りにサイレン音が響き渡る。

 

「わ、わ、わ!何この音!?」

 

 プププランドに警察なぞ存在しない。だからこそこの音がバンダナワドルディには何か分からなかったが、カービィはこう言ったけたたましい音は良からぬ事が起こると感じ取り、とりあえず先のソラにも聞きたい事が合ったのでバンダナワドルディにここからの逃走と先の2人の追跡をすると告げる。

 

「あの2人を追いかけるんだね! 分かった!」

 

 すばしっこい2人は警察や野次馬が現場に到着瞬時にその場を離れ、ましろとソラの2人の後を追いかけるのだった。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 カービィとバンダナワドルディが2人を追いかけ、たどり着いた場所は化粧用品店。

 ここまでの道中、近くにランボーグが暴れた事もあって住民は皆そちらに向かい、視線もそちらに向いていたのでカービィ達が目立つ事は無く、店には着いたのだ。

 化粧品店。カービィ達には無縁過ぎるお店…彼らはこの店が何なのかは特に気にせず、店内にそっと入るとましろからとても可愛らしい手帳を手渡されているソラを見つけた。

 2人とも素敵な笑顔であり、友と笑い合う事を大事とするカービィとバンダナは先の戦いもあり、完全にソラとましろを確実に敵にはなり得ない、友好的な関係になれると確信して近づいて行った。

 

「あの〜」

「ぽよ〜」

 

 バンダナとカービィは同時にましろとソラに話しかけると、ましろとソラの反応はお互いに真逆であった。

 まずソラは先の戦いで自分を助けてくれたカービィとバンダナを見るや否やカービィ達と目線を合わせる為にしゃがんで、強く感謝を伝えた。

 一方でましろはカバトンとランボーグに気を取られてあまり気にしてなかったが、改めてカービィとバンダナワドルディの見た目の異質さと喋ってる事に驚いていた。

 

「私はソラ! ソラ・ハレワタールです!………貴方方は…うーん…この世界のボール…? ボールでヒーローですか!? この世界のボールは喋るし勇敢ですしヒーローなんですね! 感動しました!」

「いやいやいやいやいやいや! 違うよ! ボールは喋らないし動かないしヒーローじゃないから!」

 

 地球に疎いソラはカービィ達を地球のボール(ヒーロー)だと理解するが、地球生まれ地球育ちのましろがちゃんと誤りであると訂正する。

 

「えっと……スカイランド…の人では無い…の? 先のマグロドン*2のお仲間でも無さそうだし…」

 

 ましろもまた、カービィ達と目線を合わせる為に屈む。

 そんな2人にバンダナワドルディは喋れないカービィに代わって2人分の自己紹介をする。

 

「初めましてソラさんと……」

「あ、私はましろです。虹ケ丘(にじがおか)ましろ…」

「ましろさんですね! 僕はバンダナワドルディって申します!こっちはカービィ!」

 

 バンダナワドルディが紹介するとカービィは片手を上げて「はぁい!」とアピールする。

 

「スカイランド…はちょっと知りませんし、そのマグロ丼って言う美味しそうな名前の人も知りませんね。僕達はポップスターのプププランドから来ました!ここって…新世界ですか?」

 

 プププランド、ポップスター、新世界。スカイランド出身のソラも地球出身のましろもどちらも聞き覚えの無い単語であり、聞き覚えの無い星、国であった。

 2人は顔を合わせて頭上に「?」を浮かべる。

 その様子を見て、バンダナワドルディもカービィもここが新世界でない事と、彼女達がレオンガルフ達、ビースト軍団に無関係だと察した。

 更にポップスター近辺の星でも無い事も。

 

「うーん、困ったね。カービィ。やっぱりここは僕達が知らない世界みたいだ」

「ぽよぉ」

 

 異質な世界で見掛けた、異質な世界でも異質な存在。その存在は自分達に由来、関係があるかと思ったがどうやらハズレの様だった。

 困るカービィとバンダナワドルディ…しかし、彼らの前に居るソラ・ハレワタールはヒーローに憧れる少女である。困ってる人を見捨てるのはヒーローでは無い。

 そうと言わんばかりに彼女は立ち上がり胸を張る。

 

「任せて下さいカービィさん、バンダナワドルディさん! 私ソラ・ハレワタールが貴方方が元の世界に戻れる様にお手伝いします!!!」

 

 大声でカービィ達を助けると宣言したソラ。しかしあまりに大きい声にカウンターの奥に居た店員は何事かとこちらに向かって歩いて来た。

 

「あわわ、あわっ!」

 

 カービィ、バンダナワドルディはまだ自覚が薄く、ソラもまだ理解が出来ていないが、カービィとバンダナはこの世界の住民からしたら本当にとんでもなく異質であり珍しい存在である。流石にこの2人がバレるのはマズいと思ったましろは慌ててソラの手を引っ張って可愛い手帳を持って御会計の元へと向かった。

 

「す、すみませーん! これくださーい!」

 

 店員もカウンターからこっちに向かうのをやめ、会計をするましろとソラの方へと向かった。その為、カービィとバンダナワドルディが店員さんの視界に入る事は無かった。

 そしてましろのその行動で、やはり自分達の異質さは不味いと自覚したカービィとバンダナワドルディはこっそりと店から出て、会計を終えたましろとソラが出てくるまで隠れてやり過ごすのだった。

 

*1
カバトンなのねん!

*2
だからカバトンなのねん!





次回『出会いは必然、運命』


☆用語解説★ 

~プリキュア~

【カバトン】
・ひろプリの敵。アンダーグ帝国の一人。モヒカン。

【ランボーグ】
・敵


~星のカービィ~

【新世界】
・【星のカービィ ディスカバリー】の舞台。

【ビースト軍団、ガルルフィ、レオンガルフ】
・【星のカービィ ディスカバリー】の敵。後に和解。

【アドレーヌ】
・【星のカービィ3、64、スターアライズ】で登場。女の子、確か人間。この作品では1メートルと扱ってるが実際はその半分くらい。
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