ヒカリのでばっく日記   作:犬小屋

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Bug6 記録

 鍋である。

 なんでも煮てしまえば、栄養素を余すことなく摂取することができ、量も増え、温かい食事は身も心も温めてくれる。干し物は保存も利き、水で戻せば量も増える。

 ガツガツと表現すべきであろう。

 ヒカリは一心不乱に椀を傾けていた。

 

「おかわり! ください!」

 

 テルの母は呆気にとられながらも、空の椀へ注いでやった。ヒカリはふぅふぅと必死の形相で冷ました端から口に入れていく。なかば半泣きでかっ喰らうヒカリに、「よっぽどお腹が空いていたのねぇ……可哀想に……」と同情した。

 

「昨日今日とまともに食べられなかったらしいぜ。おまけにあんだけ走れば腹も減るよな。おれもおかわり」

「はいはい。あんたも今日はよく食べるわね」

 

 いももち亭は明日にでも早急に修繕し、再開見込みである。

 それをヒカリやテルが利用できるかはさておき、空腹で今にも倒れそうだったヒカリをテルが自宅へと招いた。

 合格をラベン博士も喜んでくれたが、食事ばかりはどうにもならない。「ボクの研究室に、〝ポケモンフーズは〟備蓄がたくさんあるのですが……」「じゃあそれをください」空腹で目をぐるぐるさせて答えるヒカリをテルが引きずってきたのだ。

 

 たくさんのポケモンフーズはたくさんのポケモンを捕獲する予定だった博士が張り切って送ってもらった品である。現在はミジュマルやビッパ、ピカチュウというわずかなポケモン達がかじっている。わびしい。ビッパ達は感涙していた。

 椀を置き、両手をパンと合わせる。

 

「ご馳走さまでした! すっごく美味しかったです!」

「あ、あらそう? いつも通りに食材を足しただけなんだけどね」

 

 嬉しそうにテルの母が微笑んだ。そわそわと家中を見回す。

 

「困ったわ、持たせられるものがあれば良いんだけど。宿舎はまだなんでしょう? たいしたものは出せないけど、ご飯ならいつでも食べに来てちょうだい」

「やったぁ! 絶対来ます!」

「ずいぶん仲良くなったな」

 

 手を握り合うヒカリと母親を横目に、テルは椀を傾けた。女子特有のきゃっきゃとした雰囲気から取り残されているのだ。

 テルの母がくるーりと顔だけ向けた。

 

「だってあんた、美味しいとも不味いともいつも言わないじゃない。ヒカリちゃんは礼儀正しいし、明るくて素直で可愛くて、母さん好きになっちゃいそう。本当にいつでも来てちょうだいね~」

「どうせおれは可愛くも素直でもありませんよ……」

 

 テルがげんなりした。

 最初こそテルの母親は余所者、それも日中の騒ぎの中心人物であるヒカリを警戒していたが、ものを知らないヒカリがなにをやっても凄い凄いと感動して褒めちぎるので、今ではすっかり気を許していた。

 

「若いのにポケモン使いの名手ってホント凄いわねぇ。テルにも教えてやってちょうだい」

 

 うぐ、とテルが渋い顔をする。

 ヒカリは食器を片付けながら、思いだし笑いをした。

 

「ビシビシ鍛えます! でも、テルだって凄いんですよ! ピカチュウと一緒にどーんとモクローをやっつけたんですから!」

「あらそう? 凄いじゃない、テル」

 

 テルは椀を思いっきり傾け、残りを食べきった。頬に朱がさしている。洗い場に食器を片付け、テルはヒカリの肩を叩いた。

 

「飯も食ったし、研究室に帰るぞ。ここにいたら何言われるか分かったモンじゃない」

「照れてるの?」

「照れてない」

 

 ニヨニヨするヒカリと同じように、テルの母親もニヨニヨしていた。

 そのとき、扉を叩く音がした。

 

「こんばんは。イチョウ商会のウォロです」

「いま開けます」

 

 ウォロの頭は出入口にすれすれだった。テルの母親がよそ行きの声で返答し、テルも疑問符を浮かべながら挨拶する。ヒカリは嬉しそうに駆け寄った。

 

「聞いてください! あたし調査隊員になりました!」

「ええ、博士に聞きました。お見事です! これから本部に戻るのでしょう? 夜道は危ないので、迎えに来ました」

 

 思いがけない提案にヒカリは目を輝かせた。テルの母親を振り返り、ぺこっと頭を下げる。

 

「ありがとうございました! また来ます!」

「もちろんよ。ほら、あんたも一緒に送ってあげなさい」

「あーもー、分かってるよ」

 

 ヒカリは忘れ物がないか、きょろきょろとしたが、忘れるほどのものは持っていなかったのだと気がつく。お待たせしました、と照れながら外に出た。

 テルもそれに続いたのだが、ウォロに制止された。

 

「ジブンだけで大丈夫です。テルさんもお疲れでしょう」

「いや、ウォロさんだけじゃ悪いし」

「いえいえ。実は入団試験の話が聞きたくて来たのです。それに、家に招くとは随分仲良くなったみたいですね? ジブンもヒカリさんともっと仲良くなりたいです! ここは譲ってもらえませんか?」

「おれは別に仲がいいわけじゃ――」

 

 ムッとしたヒカリとばっちり目が合い、テルは咳払いをした。

 

「ない、わけでも、ないですけど。ま、いいか。じゃあウォロさん、お願いします。ヒカリ、またな」

「うん。またね」

 

 

 

 

「テルさんとは打ち解けられたようですね」

 

 夜になるとコトブキムラはいっそうに暗い。街灯だとヒカリが思っていたものは、よく見れば電線がなく、灯るのは文字通り炎だった。ゆらゆらと辛うじて夜陰を照らす。

 ヒスイの夜は深い。

 比喩ではなく、手を伸ばせばそのまま闇に沈み込んでいきそうなほどに、しんとしている。

 この時代の人々にとって火は大切で貴重なものだ。太陽が落ちれば誰しも眠りにつく。朝日とともに目を覚ます。その活動時間は現代よりよほど短いだろうが、熱感と生々しさは比ではない。

 

 深くて暗過ぎる夜の道行きに、ウォロが差し出した手をとらない理由はなかった。シロナと同じように差し出された手に触れると、予想より大きく骨張っていて、冷え込んだ外気のせいかヒカリは熱く感じた。

 最初に手をとってもらった時よりも穏やかなウォロに、あれはやはり気のせいだったのだと思う。

 

 逃がすまいと腕をとられたようだなんて、そんなこと。

 

「テルもピカチュウが好きみたいだし、ポケモンが好きならきっと仲良くなれます」

「素晴らしい。それなら、ジブンもヒカリさんと仲良くなれそうですね」

 

 ヒカリの心臓が跳ねた。さきほどテルに言った言葉は冗談じゃなくて本気だったのかな。

 仲良く、の言葉に深い理由などない、はず。

 初対面でウォロに泣きついたことや、村まで抱っこしてもらったこと、ピカチュウとモクローのバトルから庇ってくれたことなど思いだし、頬が熱くなった。

 

「やだな~もう仲良しじゃないですか! そうだそうだ。聞いてください。入団試験のこと」

 

 誤魔化すように話題を変えた。

 もとよりウォロは入団試験のことが気になっていたのだ。身振り手振りで語るヒカリの左手は、忙しない右手と違って微動だにしない。

 動かしてしまえば手が外れてしまうのではないかと思って、動かせなかった。

 

「ウォロさんもびっくりしたと思います。本当にお騒がせしました」

「いいえ」

 

 ウォロは立ち止まり、微笑んでヒカリの顔を覗き込んだ。びくっとヒカリは口を閉じた。

 惜しみない親愛と興味を滲ませるウォロの灰色の双眸に、縫い止められたようなヒカリが映っている。

 

「遅かれ早かれ、ヒカリさんは必ず合格しました。驚きはしませんよ。ジブン、信じていましたから」

 

 そんなこと、とへらへら笑おうとしたが、火照るように顔が熱くて、声も出ない。

 返事も出来ずにいると、「残念ですが、着いてしまいましたか」とウォロが言った。

 黒々としたギンガ団の建物があった。

 

「博士の部屋の場所は分かりますね?」

「わ……わかんない……」

 

 ウォロが小首を傾げた。

 嘘じゃない。弱り切った顔で見返した。

 

「ではお連れしましょう」

 

 ウォロがまた手を引いてくれた。

 博士の部屋の場所は分かるけど、くるくると空回りする頭ではたどり着けそうにない。

 博士の部屋に入り、ランプを灯した。

 ミジュマルを初めとするポケモン達はモンスターボールに戻っている。

 ウォロに着いてきてもらったのは正解だった。博士の部屋の乱雑さは知っていたが、布団の置き場所をヒカリは知らなかったからだ。

 ウォロ曰く、普段博士はこたつで寝ているらしい。

 

「風邪をひきますよ、とヒカリさんからも言ってやってください」

 

 呆れながらウォロは自身の荷物を置き、布団の捜索を手伝ってくれた。ヒカリもギクシャクと部屋を片付ける。

 

「ジブン、変な事でも言いましたか」

 

 本を取り落とした。

 あたふたしながらかき集め、真っ赤な顔でウォロを振り返る。

 

「は!? いやなん、え!?」

「ヒカリさんの様子がおかしいです。失言があったのなら教えてください」

「なにもウォロさんは悪くないです! ああ、あの、ほら、ウォロさんってシロナさんに凄く似てるから、つい緊張しちゃうだけなんです!」

 

 我ながら苦しい言い訳だった。ウォロは手に持ってた本の山を端に置き、思案した。

 

「シロナさんですか。最初にジブンが間違われた人ですね。その男性は、そんなに似ているのですか?」

「シロナさんは女の人です」

「……女性的な顔立ちだとは言われますが、本物の女性に間違われたのは初めてですね」

 

 灰色の双眸が不快そうに歪められる。ヒカリは血の気が引いた。

 

「あの、ご、ごめんなさい。似てるって言っても、性別って訳じゃなくて、例えばウォロさんがシロナさんと双子だったら、こんな感じだろうなって。テルもあたしの幼馴染みに凄く良く似てるので、テルが女の子でも間違えると思います」

 

 更に苦しい言い訳を重ねてしまった。

 脳内のコウキが「ボクって女の子っぽいの?」とあらぬ疑いに落ち込んでいる。仮にテルが女の子だとしても、ウォロのように間違えることはない気がする。

 ……女の子だった方が、コウキに近い性格になっていただろうが。

 

 返事のない気まずさを埋めるように、ヒカリは空いた場所に布団を敷いた。しゃがんでシーツの端を整えると、長らく仕舞っていた匂いがした。これからは博士には布団で寝てもらわないと。

 

 ふっと、ウォロがそばにやってきた。

 

 ランプの灯が遮られ、しゃがんだウォロの影はヒカリを飲み込んだ。助けを求める目で見上げると、こちらの手をとって、ウォロが自身の胸元に当てた。

 触れた場所は平たい。しっかりと鍛えられている感じがする。大きな荷物を軽々背負っていたり、その状態でヒカリを横抱きして歩き回っていたのだから当たり前だ。

 

「女性の胸ではないでしょう」

 

 かくかくと首を縦に振る。

 

「触れた感覚を忘れないでください。認識の齟齬を修正するには、事実に触れるのが一番です。アナタ、最初にワタクシに抱きついたことを忘れたんですか」

 

 ぶんぶんと首を横に振った。言われなくても二度と忘れられない。

 ウォロの眉間に皺が寄っている。掴んでいたヒカリの手を離すと、穏やかな顔つきに戻った。気まずそうに目を逸らす。

 ヒカリも気まずかった。

 

「シロナさんは、あたしの憧れなんです」

 

 悪い意味で間違えたんじゃないと言いたかった。ウォロを最初にシロナと見間違えたとき、本当に安心したのだ。

 

「凄く強くて優しくて、綺麗で、素敵な人です。ウォロさんはもしかしたら、シロナさんのご先祖様なのかもしれないです」

「憧れとはどんな感じなのですか?」

 

 ウォロはもう怒っていないようだ。声音がそう言っている。

 ヒカリがほっとすると、ウォロは立ち上がり、部屋の整理整頓をしながら話を続けた。

 

「ジブンは誰かに憧れたこともないですし、憧れられたこともないので、その感覚は分かりません。そういえば、あまり誰かに緊張したこともないですね。言葉が上手く出なくなる感じなのですか? そのシロナさんに緊張するように、ジブンにも緊張しているのですか?」

「緊張している訳じゃないです」

「ではジブンにだけですか」

 

 その通りだ。

 ウォロにだけ緊張している。

 シロナに憧れや親愛を抱いてはいるが、緊張などしない。

 どんな答えを求めて、その質問したんだろう。こんなやり取りには慣れてないから、どう答えたら良いのかヒカリには分からない。

 

「憧れに類する感情だったら、ジブンにもひとり心当たりがない事もないです」

 

 ふとウォロが呟いた。

 

「博識で、ジブンにもっとも多くの真実を教えてくれた人です」

「どんな人ですか?」

「とても綺麗な女性です」

 

 ヒカリの顔が強ばった。

 

「年齢不詳で二十代にも見えるし、一世紀は生きていそうな雰囲気もある人ですよ」

 

 ヒカリの肩の力が抜けた。

 たぶん、口振りからして好きな人とかではなさそうだ。良かったと不意に思ったが、「なにが良かったの?」と反対側から聞こえた気がした。

 いやいや、そんなことどうでもいい。声を押しのけ、にこやかにヒカリは続きを促した。

 

「親戚ですか?」

「さぁ、どうなんでしょう。ジブン、孤児なので断定はできませんが、なんせ見た目がそっくりなので、血は繋がってるだろうなと思っています」

 

 孤児。ウォロは驚くヒカリを事もなげに一瞥した。

 

「ヒカリさんの世界はきっと平和なのですね。こちらではそう珍しいことではありません。だからヒカリさんはビッパやモクローに同情したのでしょう。ヒスイに限らず、こちらでは故郷がなくなることも、親族がいないことも、理不尽な目に遭うことも、みなさん〝よくある事〟です。他人やポケモンに同情している暇はない。家族を守るのに精一杯ですから」

 

 ウォロが軽く肩を竦めた。

 当たり前のようにヒカリの世界では、故郷も親もいるもので、旅立ったトレーナーも大人によって守られる。

 ウォロが語るような場所が同じ世界にあることは知っていたが、それは遠い世界の話のようで、まさか自分の立っている世界の過去にあったなんて考えもしなかった。

 

 ウォロが悲嘆に暮れているわけでもなく、世間話の延長のような口調であることが更に〝事実である〟生々しさを際立たせる。

 

 ウォロが整頓の手を止めた。

 ヒカリの顔に、困ったように眉を下げる。

 彼の癖なんだろう。

 

「そんな泣きそうな顔をしないでください。普通のことなんですよ、ヒカリさん。理不尽にいちいち心を動かしていては身が持ちません」

「……ごめんなさい」

 

 消え入るような声でヒカリは「ごめんなさい」と繰り返した。

 そんな顔をさせたい訳じゃないのに、その資格なんて自分にはないのに。うつむいて、今日一日を思い起こした。

 

 親も住み処も失ったビッパにヒカリは同情してたし、その悲しみを理解出来ない村の人々にも憤っていた。こっちにきて、ひとりぼっちだと悲しんでいた自分は甘かったのだと考えざるを得ない。

 身勝手で、怒っていたことがそのままヒカリの胸を抉るようだった。

 

「何も知らなくて、ごめんなさい」

 

 静かに、ヒカリが無き終わるのをウォロは待っていた。

 ランプの蝋燭が少し短くなったころ、ウォロは立ちあがった。

 

「ジブンはそろそろおいとまします。そういえばヒカリさん、建物内にお風呂があることは知っていますか?」

 

 ヒカリは呆けた顔を向けた。それは初めて知った。湯気を上げるダクトがあったので可能性は予想していたが、すっかりその考えが抜け落ちていた。

 

「団員は週に一回、朝と夕に使うことが出来ます。明日がちょうどその日です。……元気が出ましたか?」

 

 ウォロは大きな荷物を背負い、微笑んだ。ランプをヒカリに手渡す。

 

「眠るときは灯を消すのを忘れないように。ここに野生のポケモンはいませんし、朝のようにアヤシシ様に襲われることもありません」

「また、会いに来てくれますか」

 

 取り落としてしまいそうなランプが二人の手の間で揺れる。

 灯の中でウォロが囁いた。

 

「アナタがここにいる限り、必ずまた会いに来ます」

 

 

 

 

<とある記録より抜粋>

 

▽九月二十八日 晴れ

 

落雷の翌日、三つの湖に変化はなし。

各地のキング・クイーンを初めとするポケモンの異常な昂ぶりを観測した。オヤブンポケモンも例外ではない。

リッシ湖の畔にてヒカリと名乗る少女に遭遇する。

以下、言動を記述する。

 

・発生地点不明

・十代半ばと推定

・黒髪。容貌・言動より、上流の人間に属する

・奇天烈な服装 ヒスイの地及び都と異なる容貌である。

・出身は自称シンオウ地方。

 

スマホロトムという絡繰りを持参。かなり高度な機械で本来は遠く離れた人間と会話が出来る代物らしい。

ギラティナが少女に反応した。スマホロトムから奇妙な音が鳴ったが、詳細不明(朱色で要観察と書き加えられている)

 

シロナと間違われた。古代シンオウ人の末裔か?

シンオウ地方が別次元である場合、こちらの次元に近い構造を持つのか?

ヒカリはシンオウ地方ではシンオウチャンピオンなる存在だった。もっともポケモン使いが上手いらしい

 

・持参のポケモンなし。現地で捕獲したヒコザルが一匹。モンスターボールの使用経験者

 

助けてと、呼び声があった。

パルキア、ディアルガ、もしくはアルセウスの誰かでは。

 

→ヒカリ自身に過去、神話に近しいポケモンとの遭遇経験がある可能性が高い。時の跳躍・次元移動への大きな動揺は見られず、類似の経験をしたような言動が端々より感じられた。次元の裂け目がシンオウ地方にもあるのか。

 

(余白を残し、次の頁へ移動している。以下、同様に一日一頁ずつ記述が続く)

 

▽九月二十九日 晴れ

 

アヤシシと遭遇 スマホロトムよりギラティナ反応時と同じ音が鳴る。ギラティナが関与した存在に反応するのか?継続観察

 

アヤシシとの立ち回りより、ヒカリがかなりのポケモン使いであることは間違いない。持参ポケモンがいない事が悔やまれる。戦ってみたい(今後に期待、と書き足しされている)

 

運悪くアヤシシに襲われた、というより、アヤシシがヒカリのなにかに反応し、やってきたのではないか。アヤシシは逃げるヒカリを正確に追っていた。

ヒカリと別れた後、黒曜の原野に同じく棲まうバサギリに動きはない。誰かの血に塗れたバサギリは微動だにせず、ヒカリと遭遇したかは不明だ。

 

ヒカリ曰く、アヤシシにシュウセイパッチを当てたため、正気に戻った。ヒカリをギンガ団に預けた後、アヤシシとヨネを追跡した。

アヤシシは沈静化している。スマホロトムが鍵だ。ヒカリだけに使用可能なのだろうか?ヒカリが死亡した場合、その機能はどうなるのか?

 

ヒカリの負傷部位は右腕、足、左耳の3カ所。

夜間に確認した限り、足運びに違和感はない。負傷しているはずの腕も同じである。外から確認できたのは左耳で、確実にアヤシシの攻撃により吹っ飛んだはずの耳たぶが再生していた。同様の事象が腕・足にも起こっている可能性は高い

 

シロナに引き続き、テルもシンオウ地方に近い容貌の人間がいるらしい。顔が同じシロナがあちらでは女なら、より酷い目に遭ったのだろうか

(1,2行ほど、墨でぐちゃぐちゃと黒塗りされている。その下には乱れた字が潰れている。詳細不明)

 

つくづく背が伸びて良かったが、あちらは平和らしいので違うのかもしれない。ポケモン使いとして優秀な女らしい

ヒカリはシロナの信頼を投影しているようだ。好意は感じるがぎこちない。警戒も感じる。いささか踏み込みすぎたかもしれないが、素直な少女なので親愛を示していけば警戒も解けるだろう。入団が予想より早いのは驚いた。

これまでよりコトブキムラに立ち寄ることにしよう

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