ファイナルファンタジー3 リブートエディション   作:北村 貴之

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其之10 カナーンの町

ネルブの谷の方で、大きな爆音が聞こえてきた。

それもかなりの大きさで、ここ辺境の村のウルでも、その爆音ははっきりと聞き取れた。

「なに? 今の音?」

「何かが爆発したみたいだったけど」

「まさかモンスターかしら?」

「ううん。違うと思うよ。だって、あっちの方には土砂災害で大岩が落ちたっていう、ネルブの谷じゃない?」

村人たちは口々にそんなことを言っていた。

 

ネルブの谷というのは、ウル地方と、カナーン地方を行き来するための唯一の道だ。

しかし、大地震の影響により、土砂災害が発生し、それに伴って大岩が谷の中の道をふさいでしまったのだ。

そのため、人々はそこを行き来することができなくなり、当然、商売もできなくなってしまった。

ウルの村ではそれが深刻になっており、村で育てた野菜や果物や、村人の手によって作られた品をカナーンへ輸出することができず、カナーン地方より輸入したもので生計を立てていたのだが、それも難しくなっていた。

そんな時に、あの爆音が響いてきたというわけである。

もちろん、ただの偶然かもしれないし、本当にモンスターの仕業である可能性もあるため、安易に判断はできないのだが……。

しかし、この村には、ある4人の若者たちが、クリスタルの光に選ばれ、冒険の旅に出ていた。

もしかすると、その勇者たちが、あの大岩を砕いたのかもしれない。

そう思っていた人たちも少なからず存在していた。

 

 

その一方、爆音が鳴り響いたネルブの谷では…。

カズズの町のミスリル専門の職人・タカにより製造されたミスリル製の船首を取り付けたシドの飛空艇で、大岩は粉々に砕かれた。

タカの作ったそのミスリルの船首は、岩を壊すのに特化された造りとなっており、まさしく破壊するにふさわしい威力を誇っていた。

また、シドの高度な運転技術により、ミスをすることなく岩を砕くことはできた。しかし…。

あまりの衝撃のためか、飛空艇は耐えきれなくなり爆発。

乗っていたウルの村育ちのクリスタルに選ばれた勇者、少年のソール、3人の少女のマイム、ヴェント、ティエラは、上空から落とされてしまう。

当然、飛空艇を操縦していたシドも墜落していった。

5人は地面に叩きつけられた後、ゆっくりと起き上がりながら、周りを見回していた。

5人とも無事だったが、落ちた時の砂ぼこりや煤によって服や顔が汚れていた。

今後の旅に使えそうだった飛空艇の残骸が、無残にもソールたちの目の前に転がっていた。

しかし、くよくよしても仕方がない。

そう思ったソールたちは、気持ちを切り替えて、シドの奥さんが待っているとされるカナーンの町へと歩みを進めていった。

 

飛空艇の墜落場所であるネルブの谷からカナーンの町へは、そこまで遠くはなかった。

道中魔物が現れたが、ソールたちの手にかかれば短時間で倒されてしまう。

シドも助太刀し、持っていたハンマーで軽々とゴブリンの頭をボン、と叩きつけ、気絶させてしまった。

そんなこんなで、無事にカナーンまでたどりつくことができた。

 

ここカナーンの町は、ウルの村よりも面積が大きいように感じられる町だった。

町中には清潔な水の流れる川がところどころにあり、その川では魚が元気に泳いでいる。

石畳が敷かれており、

建物はレンガで作られたものが多くあった。

「ここがカナーンかぁ……」

ソールは初めて来たこの町に、少し戸惑っていた。

彼は孤児院で暮らしているのがほとんどだったので、このようなウルの村よりも大きな場所ははじめてといってもいい。

「久々に来たけど、いい雰囲気ね」

「いつ以来かしら…。お父さんに連れられてここに来たのは憶えてるけど」

3人の少女たちは目を輝かせながら、町の景色に見入っていた。

商人の娘として養子に入っていたマイム、ヴェント、ティエラは、この町に来たことがある。

というのも、観光の名目ではなく、この町でどのような商売をしているかや、ここでの名産品は何なのかを勉強するために、勉強目的でやって来ていたのだが。

ということで、旅の道中で訪れることになるので、ある意味初めての土地ではないのだが、それでも久しぶりなのでテンションが上がるのも無理はない。

「ありがとうよ。わしにできることがあるのなら、なんでも言ってくれ」

シドはそう言って、ソールたちにお礼を言った。

「そうだ!もう一度飛空艇を作れば、お前さんたちの役に立つかもしれんな」

シドは言葉を続ける。

「南の方に住むと言われているアーガス王に会うのだ。その王が飛空艇の秘密を知っている」

アーガス王という、聞きなれない言葉が出てきた。しかし、なんとなくだが重要な人物であることだけはわかる。

それに、飛空艇のありかを知っているということもわかった。

つまり、この人を探すことができれば、今後の冒険に必要なものを手に入れることができそうな気がする。

「本当に助かったよ。いつでもまた来なさい!」

シドは笑顔でそう言って、妻の待つ自宅へと戻っていってしまった。

シドが離脱し、4人にまた戻ったソール一行。

服も顔も、先の飛空艇の爆発により煤だらけだ。

この格好のままでは、流石にまずいと4人は思い、近くの宿屋に入った。

まずは、宿屋内の浴室で、汚れを落とすことにした。

マイムたち女の子3人が先に入浴を終えた後、ソールがその後に入ることとなった。

レディファーストというわけではないが、ソールは敢えて彼女たちに風呂に入ってもらうことにしていた。その理由としては、もし、仮に、万が一のことが起きた時、自分の体臭が気になるからだ。

そんなことを気にしている余裕があるのかわからないが、念には念を入れておきたいのだ。

そういうことで、ソールが一番最後に風呂に入ることになった。

「ねえソールくん、あたしたち、あっちの防具屋に行っているから」

「わかった」

マイムたちは防具屋に行くようだ。ソールは一人で浴槽に浸かる。

一人きりでいるのは久しぶりかもしれない。

いつもは孤児院でみんなと一緒に入っているのだから。

たまにこうして一人で入るのもいいかもしれない。

湯船につかりながら、これからの冒険について考えていた。

マイムたちと冒険の旅に出かけることとなったが、今後どこへ行くかはまだ決まっていない。

しかし、先ほどシドの話に出てきたアーガス王が飛空艇について知っているらしいので、とりあえずはその王に会うのが先決だと、ソールはそう感じていた。

飛空艇さえあれば、とにかく旅が安定する。徒歩でだと、どうしても疲れが出てしまうから。

そして、旅をしていくうちに、何かしらの情報が手に入るはずだ。

「まあ、なんとかなるさ」

そう独り言を呟きながら、ソールは湯船から上がった。

 

一方その頃、マイムたちは……。

「わぁ、綺麗な服」

防具屋にて、新品のローブや服を眺めていた。

マイムたちが見ている商品の数々が、女性が身に付けても可愛らしく、見栄えするものばかりだった。

女性用の下着や服なども売っている。

「これなんかどうかしら?」

「かわいいかも」

「似合いそう……」

マイム、ヴェント、ティエラの女子3人組は、わいわい騒ぎながら買い物を楽しんでいた。

そんな中、マイムがある商品に目をつけた。

それは、白いフードがついたローブで、袖には赤いギザギザ模様があった。

「あ、これ…」

マイムがそのローブに目をつける。そこにヴェントがやってきた。

「あらこれ、由緒ある白魔導士のローブじゃない」

白魔導士という、回復や補助を中心とした白魔法を使いこなす魔法使いが着るものらしい。

マイムの目には、このローブが可愛らしく見えていた。

「これにする」

「えっ!?それ、結構高いんじゃないの?大丈夫なの……?」

ティエラは心配そうな目でマイムを見る。

「うん。これでいい」

「マイムちゃんがいいなら、いいんだけど……」

ティエラは少しだけ不安だった。

「じゃ、あたしはこれを買うことにする!」

マイムは早速このローブを購入することに決めた。

マイムはお金を払って、そのローブを買った。

その後、防具屋の近くにある雑貨店に行き、旅に必要なアイテムを購入していった。

 

風呂から上がったソールは、カナーンの町の乳牛からとれたミルクで喉を潤していた。

風呂上がりには、やはり牛乳に限る。

ソールはそう思っていた。

「ぷはーっ!」

ソールが冷たい牛乳を飲み、ひと段落ついたところで、ちょうどマイムたちが防具屋から帰ってきたようだ。

しかし、ソールの部屋に入ってきたのはヴェントだけだった。

「おかえり…。あれ?マイムとティエラは?」

ソールは、一人だけしかいないヴェントに声をかける。

「ああ…。ゴメンネ、ちょーっとだけここで待っててほしいの」

ヴェントが何やら意味ありげな顔で、ソールにお願いをしていた。

そんな様子の彼女を、ソールが怪しく思う。

「え?なぜに?」

ソールがヴェントにそう疑問を投げる。

「さっき買い物に出かけたのはいいけど、買いすぎてね…。それでね、マイムがみてもらいたいものがあるからって、準備をしてるの」

「ふむ……」

どうやら、マイムが新しい装備を購入したようで、それをソールに見てもらうために、わざわざ部屋に戻って来たということだ。

「と、とりあえずここにいて待っててください。トイレもしたいんでしょうけどそれも我慢なさって」

「はぁ」

ヴェントが何やら慌てて部屋を出て行った。しかし、ソール本人は現在、トイレに行く気分ではない。

風呂に入る前に用を足したばかりだった。なので、まだしばらくは我慢できそうだ。

 

それからしばらく経って、ようやくマイムたちがソールの部屋にやってきた。

「お待たせしました~」

マイムの声が聞こえてきた。待たされていたソールは、期待を胸に彼女が部屋に入ってくることを待っていた。

「ごめんなさい、遅くなりました」

ガチャリ、と音をたて、扉が開く。マイムが入ってきた。

その姿を見たソールは、思わず目をそむけたくなってしまった。

というのも、そのマイムの恰好が、先ほどよりも可愛らしい姿になっていたからだ。

「…!?」

ソールは声が出なかった。彼女の格好は、真っ白なフード付きのローブを着ており、そのローブには赤いギザギザ模様が入っていた。

それだけでも可愛らしいのだが、彼女はさらに、白いフードを被っていたのだ。

そのため、頭まですっぽりと隠れてしまっていたのだ。

童顔の彼女がフードを被っていたため、さらに可愛らしさに拍車がかかっていたのだ。

「どうかしら?」

マイムがソールに向かって問いかけてくる。しかし、ソールは返事ができなかった。

「あの……、ちょっと反応がないんですけど」

「…………」

マイムが話しかけるも、それでもソールは無言のままだ。

ソールは白いローブを着ていたマイムに釘付けになってしまっていた。

マイムの着ているローブは腰部分までの長さになっており、青いミニスカートを履いていた。足には黒いハイソックスとショートブーツを履いている。

ソールは知っていたのだ。

以前夢に出てきたマイムが、そっくりそのままこんな姿をしていたのだ。

「あ、ああっ!すごく似合ってて可愛いよ」

ようやく我に戻ったソールは、マイムに向けてそう褒めた。

「本当?」

「もちろんだよ」

「よかった……」

マイムはホッとしていた。

「ねえ、マイムちゃん。どうしてそのローブにしたの?」

ティエラが部屋に入ってくる。そんな彼女は、服を変えてはいなかった。

「単純にかわいいのもあるけど、ソールくんが喜びそうだし」

そんなマイムの言葉を聞き、ソールは顔を真っ赤にしてしまった。

「ええっ?」

「マイムちゃん、もしかしてそれって……」

「うん。だって、私もこういう服装、一度はしてみたかったんだもん」

「あ、ああ……!」

マイムの回答を聞いたソールは、恥ずかしい気持ちになった。

「お嬢様みたいな格好もいいけど、こういう姿もありかなと思ってね」

マイムがソール目掛けてウインクをした。

「あ、ああ…」

そんなマイムを前に、ソールは言葉が出てこなかった。

夢に出てきたマイムが、まさかこんな形で出てくるとは思わなかったからだ。

ソールの視線が、マイムの脚の方に向く。

健康的で白い脚が、ソールの目に飛び込んでいる。むちっとした太ももも、目に毒ではあるが、眼福ものだ。

「うっ!」

「どうしたの?ソールくん」

「な、なんでもないです!」

ソールは慌てる。そんな様子のソールに、マイムが寄ってくる。

「顔が真っ赤ですよ?」

「そ、それは……その…」

「ふふふ、冗談です」

マイムは楽しそうな表情で、ソールのベッドの上に座った。

そんなマイムの隣には、ヴェントもいた。

ヴェントは、マイムにからかわれているソールに目を向けて、あるものに注目していた。

(あんなに感じてしまって…。まだまだガキね)

ヴェントのその視線には、ソールのズボンから少しだけふくらみを見せているモノがあった。

マイムが履いているミニスカートから見える生足が、ソールを刺激してしまったようだ。

「さ、さて、飯が多分できているころだし…。食堂に行くか」

なんとか平静を装っているソールが、三人にそう提案した。

「そうですね」

「行きましょう」

「そうしましょ」

三人とも賛成したようで、ソールたちは部屋から出て、食堂へと向かった。

 

その後、四人は夕食を食べ終えると、それぞれ部屋に戻っていった。

ソールは自分の部屋に戻っていた。

しかし、先ほどのマイムの白魔導士の姿が目に焼き付いてしまっていて頭から離れない。

「うぅ…。俺も男だな…」

ソールは、自分の性欲の強さに嫌気が差していた。

だが、どうしてもマイムのことを考えてしまう。

「ふー……、仕方がない。自分で処理するか……」

ソールは、ベッドの上で横になりながら、右手を股間へと伸ばしていった。

「んっ……」

ソールの手が、自分の大事なものに触れようとしていた。

すると、いきなり部屋の扉が空き、そこからマイムがやってきた。

それを見ていたソールは心臓が止まりそうになった。

先ほど着替えた服装のままだったからだ。

白いフードを被った童顔がかわいらしい。

「あぁ、君は…」

ソールがマイムを見て、少し興奮気味になっていた。

そんな彼は、下半身が元気になっているため、マイムに気づかれないように必死になっていた。

「お邪魔します」

マイムはそう言うと、ソールの部屋に入り込んだ。

「な、なんだい?」

「いえ、実はあなたに頼みがあってきたんですけど」

どうやら彼女はソールに用事があったらしい。

ソールはなんとか自分を落ち着かせようと必死だった。

「頼み?それは一体…」

「ええと、それはね…」

マイムが、ベッドに腰かけているソールの隣に座った。

そんなソールは、彼女が突然隣に来たものだから、内心驚いていた。

「……!!」

ソールの身体がビクッと震える。

「そんなに硬くならなくてもいいですよ?」

「あ、ああ、ごめん……」

「それで、頼みというのは……」

「あ、うん。あの、あなたの手を借りたいの」

「手を?」

「うん」

マイムはそう答えると、ソールに向かって両手を差し出してきた。

「ほら、私って回復魔法が得意じゃないですか」

「そうだね」

「だから、ちょっと練習をしておきたくて」

「なるほど」

「でも、私の魔力じゃ全然足りないから、あなたの力を貸してほしいの」

「つまり、君の手伝いをすればいいってことかな?」

「うん、そうゆうこと」

どうやらマイムは魔法の練習をしたくてソールにお願いをしたようだ。

しかし、魔法の練習と言われても、ソールには意味がわからなかったようだ。

以前ティエラに回復魔法をかけてもらったときは、ただ単に手をかざして念を送ることで、癒しの光を出していたのだ。

それ故に、何の練習も必要ないと思っていたのだ。

「えっと……、どういう風にするんだ?」

「えっとですね……」

マイムは、ソールの右手を手に取ると、自分の胸元へと持っていった。

「……!?」

マイムの豊満な胸に、ソールの手が触れてしまった。

ローブを着ていても、その大きさがよくわかるほどであった。

「ちょ、君!」

「大丈夫ですよ。今は誰もいないですし」

「そ、そういう問題では……」

「それに、そこ。すごいことになってますけど」

マイムの視線が、ソールの股間に向く。

「……っ!これは、その……」

ソールの顔が真っ赤になる。

今のソールのそこは、マイムの服に興奮してしまったせいで、ズボンの上からでも分かるくらいに膨らんでしまっていた。

マイムの生のふとももが、ソールの欲を刺激してしまっていた。足に履いている黒のハイソックスも妄想をかきたててしまう。

「ねえ、ソールくん。もしかして、感じてしまってます?」

「そういうことでは…」

ソールは自分を落ち着かせようと精いっぱいだったが、マイムに指摘されてしまい、どうしようもなくなってしまった。

(くそっ、こんな時にヴェントやティエラが入ってきたら…)

今、ヴェントもティエラも部屋にはいないのだが、もし入ってきたら大変なことになることはわかっていた。

後、故郷であるウルの村にはサーシャがいる。自分と同じく孤児院で育ってきた、姉のような存在の女の子だ。

ソールはどうすればいいか悩んでいた。

「ちょっと。目の動きがすごいことになってるけど」

「そ、それは…!」

ソールは落ち着きをすっかり失っていた。無理もない。

「さっき一人で何をしてたんですか?まさか、処理でもしようと考えてた?」

「ち、違うよ……」

「嘘ばっかり。だって、さっきまでここが大きくなってたじゃないですか」

マイムはそう言うと、ソールの股間を指差した。

マイムの指先が、テントを張ったズボンに触れていた。

「うっ…」

「仕方ないですね…。あたしも手伝います」

「手伝うって何を…」

ソールはマイムの顔を見るのが怖かった。一体どんな表情をしているのか想像できなかったからだ。

「だから、手伝ってあげるって言ってるんですよ」

マイムはソールに抱き着くような体勢になると、彼の耳元で囁いた。

そして、ゆっくりとソールのベルトを外し始めた。

 

それからとは言うものの、ソールの部屋では様々な音や声が聞こえてきた。

「ああ、ちょっと!」

「あー、ダメ。そんなに暴れないで」

「くっ…」

その中ではソールとマイムが致していた様子だった。

外からは微かに彼らがやりあっていることが、扉の向こうから聞こえてきてわかる。

中の様子を見ることはできないが、何をやっているかは容易に予想がつく。

「ほら、もう限界なんでしょう?我慢しないで出そう?」

マイムのいたずらっぽい声がする。彼女にいいようにされてしまっていた。

しかしそれから、数分後…。

「あぁっ、ばかっ…!」

「ふーん、鮮やかな青色と白色の縞々かぁ」

「人の脚を勝手に開いて見ないでください……!」

いつの間にか立場がソールに逆転されていた。

そんなこんなで、カナーンの夜は更けていくのであった。

 

 

翌日。宿屋で疲れをとったソールたちは、町の中で情報収集をしていた。

次の行き先は、どうやらデッシュという男が向かったとされている、ドラゴンの住む山であった。

デッシュというのは、旅人らしい。

カナーンの町に現れたのだが、すぐにどこかに行ってしまったようだ。

そのデッシュについて調べていると、この町の住民であるジョリーナという女性から、こんな話を聞くことができた。

「デッシュとかいったね…。あの男に娘のサリーナがぞっこんなんだよ。やらなきゃいけないことがある、って言って、どこかに行ってしまった。おかげで娘は泣いてばかりさ…」

ジョリーナの住む民家にはサリーナが自室にいた。

しかし、ベッドの中に入って顔を隠し、泣いているようだった。

「シクシクシク…。あぁ、デッシュ様…。こんなにおしたいしてるのに…。私を置いてドラゴンの住む東の山にたった一人で行ってしまうなんて…。私、苦しくて消えてしまいそう…」

そのサリーナという少女は、デッシュに恋していたようだった。しかし、彼女を置いて山へと向かって行ったらしい。

薄暗い部屋の中でただ一人、彼女は泣いていたのだった。

 

そんなサリーナを見たソールたちは、さすがに彼女がかわいそうに思えてしまった。

「どうする?僕たちでそのドラゴンの住む山に行ってみるかい?」

ソールはティエラに提案した。

「そうね、行ってみましょう」

ティエラが彼に賛成した。

こうして、ソールたちの次の目的地は、カナーンの東にあるとされる、ドラゴンの住む山となったのだった。

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