ファイナルファンタジー3 リブートエディション   作:北村 貴之

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其之18 グルガン族の谷

バイキングたちから譲り受けた船・エンタープライズに乗って、飛空艇の情報を持つと言われているアーガス王の住む城を訪れた光の戦士・ソール一行。

しかし、アーガス城には誰もいなかった。

住んでいる形跡はあるものの、神隠しに会ったかのように、王・兵士・執事などが忽然と姿を消していたのだ。

途方に暮れるソール達だったが、未来が見えると言われているグルガン族がいるとされている谷を探してみることにした。

気を取り直して、光の戦士たちとデッシュは、アーガス城のある大地にて、グルガン族の谷を探すことにした。

 

「数体きやがった!」

ソールたちの目の前に立ちはだかったのは、3体のグリフォンだった。

サスーンの城の秘宝・ワイトスレイヤーを守っていたものと同一の個体だった。

恐らく、サスーンの王は、この大陸に住んでいるグリフォンを捕らえ、それを宝を守るために利用していたのだろう。

グリフォンたちは、光の戦士たちを見ると、すぐに襲い掛かってきた。

グリフォンの攻撃をかわしながら、光の戦士たちとデッシュは、それぞれ武器を構えて反撃に出た。

以前闘っているとはいえ、ソールとティエラは素早いグリフォンの動きに翻弄されていた。

「気をつけろティエラ!形は同じでも、動くスピードが違う!」

「わかっています!」

槍を持ったティエラも、グリフォンの速さについていくだけで精一杯だった。

しかし、そんな中で、デッシュだけはグリフォンたちより速く動けていた。

「そこだ!」

デッシュが投げたナイフが1匹のグリフォンに命中した。

その隙に、剣を持ったソールと槍を装備したティエラが、動きが鈍ったグリフォンに一斉に攻撃する。1体目のグリフォンは悲鳴を上げて倒された。

「デッシュさん、凄く速いですね」

「ああ、まるで野生児みたいだな……」

「気をつけろ!まだ残っているぞ」

デッシュの活躍を見て感心している2人に、彼は喚起する。

残った2体のグリフォンが、マイムとヴェントを襲っていた。

「やめなさい!こっちに来るな!」

グリフォンのひっかき攻撃を受けているマイムは、思うように動けなかった。

ヴェントも同様だった。杖で応戦しているものの、尖ったくちばしによる攻撃があまりにも速すぎるため、呪文を唱える暇がなかった。

2人は、グリフォンの鋭い爪によって傷ついていくばかりだった。

「まずいな……早く助けないと!」

「待って!ここは魔法で…」

焦るソールをティエラが制し、彼女は魔法を詠唱し始めた。

デッシュは急いで剣を持ち、襲われているマイムたちの元へと駆け寄る。

「何してんだお前ら!か弱いレディに容赦なく襲うなんて、いかにも魔物って感じだな」

そう言いながら、デッシュは手にした剣でグリフォンに斬りかかった。

彼の持っている剣は紺色の刀身をしており、太陽に照られさて光っていた。

ジュバリ…。と音がする。グリフォンの片翼が切り裂かれた音だった。

デッシュの攻撃によりバランスを失ったグリフォンは地面に倒れ込む。

そこにすかさず、マイムとヴェントが攻撃を仕掛けた。

マイムは杖を振り回し、ヴェントは魔法を唱えた。

「炎よ!我が敵を撃て!ファイア!」

マイムの杖の先端と、ヴェントの手のひらから、炎の渦が巻き起こり、そのまま倒れたグリフォン目がけて飛んでいった。

「ぐええ~!」

炎の渦に巻き込まれたグリフォンは、あまりの熱さに悶絶し、その場に倒れる。

さらにそこへ、デッシュがとどめと言わんばかりに剣を突き刺す。

「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」

デッシュは、グリフォンの首元を狙っていたようだ。

「グエェェッ!!」

首筋を貫かれ、2体目のグリフォンは倒された。

さて、最後の1体だ。仲間たちを倒されたグリフォンは、グエー、グエー、と威嚇し、にらみを利かせている。

だが、ちょうどティエラの魔法の詠唱が終わりかけていた。

「エアロ!」

ティエラは両手を広げて天高く掲げた。

すると、彼女の手の先から風のエネルギーが流れ出し、それがグリフォンに向かって伸びていった。

「ウゲエッー!」

ティエラの手のひらから放たれた風の刃が、グリフォンに直撃した。ティエラが溜めに溜めた魔力で精製されたエアロなので、通常の威力よりもかなりのダメージがあった。

「これでトドメだ!」

ソールが跳躍して飛び上がると、落下しながら、グリフォンの脳天目掛けて剣を思い切り突き刺した。

グリフォンは断末魔を上げながら息絶えた。

3体のグリフォンは、光の戦士たちにより倒された。

「ふう…。手ごわいな」

ソールが剣をしまった。

「そうですね…。敵も強くなっている。私たちも強くならないと」

ティエラが額の汗を腕で拭う。

「おい、大丈夫か?」

デッシュは、マイムとヴェントの元に駆け寄った。

「ありがとうございます、デッシュさん。おかげで助かりました」

「あなたもなかなかやるわね」

2人はデッシュに感謝の言葉を述べた。

「まあ、レディが襲われているのを見ていたら助けずにはいられないんでね」

デッシュは頭をかいている。

こうして、道中に現れた魔物を倒すことができた。

 

 

気を取り直して、大陸の探索をする。

アーガス城のある大陸は、広大な草原が広がっていた。登るのが困難な岩山も見えたが、それでも谷らしきものは見当たらなかった。

「谷は見当たらないですね……」

「ああ、一体どうすればいいんだ……」

ソールとティエラは落胆していた。

「この辺りのどこかにあるはずだと思うんだけどな……」

デッシュは何か手がかりがないか探していた。

 

そんな時だった。

入り組んだ山道を歩いていると…。

「ん?何やら洞窟があるぞ」

ソールが指差した先には、大きな穴が開いていた。その奥には、底知れぬ闇が広がっている。

「こんなところに……」

「まさか、これがグルガン族の谷なのかしら……」

マイムとヴェントは驚いている様子だった。

「行ってみるしかないな」

デッシュのその言葉を受け、光の戦士たちは恐る恐る、その中へと入っていった。

 

その洞窟の中はというと…。

外と比べるとかなりひんやりとしていた。

そのため、少し肌寒く感じるくらいだった。

しかし、中は真っ暗なのかというとそうでもなかった。

ちょうど自分たちの姿が見えるくらいの明るさだったのだ。

「不思議ですね。暗くないのはありがたいですけど、明るくもない。まるで、夜空の中にいるみたい」

ティエラは冷静な顔をしていたが、その声には驚きが混じっていた。

「ええ……。あと、敵の気配はなさそうな雰囲気ね」

マイムもそう感じていた。

「滝の流れる音が聞こえる…。聞くだけで心が現れる感じがするわね」

ヴェントが言った通り、確かに水が流れるような音は聞こえてきた。

「じゃあ、行くか」

デッシュは歩き始めた。それに続いて、ソールとティエラ、マイムとヴェントも進んでいく。

しばらく歩くと、きれいな水の流れる水路のある大きな回廊があった。

そこには、多くの人がいた。

しかし、その人たちをよく見てみると、目を瞑っているような顔つきをしていた。

見た感じではほとんどが中年だった。

それぞれ変わった色のローブを纏っている。オリーブ色の質感の良さげな、新品同然のローブだ。

ソールはその人たちのひとりに話しかけることにした。

「こんにちは。ここは…?」

「ここはグルガン族の谷。グルガン族は、生まれつき目が見えない」

それを聞いたソールが目を丸くした。目を瞑っていたのは元からではなかったようだ。

「しかし、その代わりに第六感的なものが発達し、中には未来を覗くことができる者もいる」

「そうだったんですね」

ソールは納得した。

マイムは、別のグルガン族に話をしていた。

「お前たちが受け継いだクリスタルは風を司っている。炎、水、土のクリスタルの元へ行け。さすれば、さらに大きな力を手にするだろう…」

「まだクリスタルが他の場所にあるってわけね」

マイムはその話を聞き、改めて使命を果たす決意をした。

「あの、私はマイムといいます」

「そうか…。いい名前だ」

マイムの名前を聞いたそのグルガン族は、少し口が笑ったような感じがした。

 

一方。ヴェントは別の男性からこんな話を聞いていた。

「あの大地震でさえも単なる予兆に過ぎぬ。光の源であるクリスタルを地中深く引きずり込み、魔物を生み出した大いなる震えさえも、これから起こることに比べれば、些細なことに過ぎない」

「あの大地震よりももっと災難なことが起きると…。何としてもこの危機は救わないと」

その話を聞いていたヴェントが神妙な顔つきをしていた。

 

そして、デッシュのこれから起きるであろう運命を知っていたであろう男が、こんなことを話した。

「北にある、『オーエンの塔』に行くのだ。デッシュ、そなたの運命が待っている」

それを聞いたデッシュが一瞬、目を見開いた。聞き覚えのある単語だったのだろうか。

「オーエンの塔は機械仕掛けの塔…。デッシュの運命が待っている」

記憶をなくした彼が向かうべき場所はそこのようだ。

「塔が赤い炎を出して崩れ去ろうとするとき、運命を変える男は目覚める…」

男は話し終えた。

デッシュは目を瞑り、何かを悟ったような表情をしていた。

 

「オーエンの塔に行かなければ…。そんな気がする」

デッシュは真面目な顔をしていた。

最初に出会った時とはまったく違う表情だ。彼には大きな事情があるのは間違いない。

その目には強い覚悟のようなものを感じ取れた。

それから、一行は先へ進むことにした。

「あのおじいさんが言っていたことは当たっていそうなんだ。運命が待っている…」

「いいのかしら…。なんか、嫌な予感がする」

彼の言葉には何か含みがあるように思えた。

しかし、それを聞いたヴェントはなぜか不安に駆られていた。

 

「それじゃあ…。オーエンの塔とやらへと向かおうか?」

ソールが皆に確認をした。

「そうですね」

マイムが賛成していた。

「うーむ…。このまま行ってもいいんだが、地図を見てみたら、ずっと西に村があるみたいだ。船から降りて、そこから歩きが続きそうだが…」

ソールは地図で、見知らぬ村の情報をとらえていた。

「えっ?!この大陸にもまだ村があるんですね!」

マイムは驚いた様子だった。

「ああ、まあ、結構な距離を有るするんだけどね。ここからだと船と歩きでおよそ2日くらいかかる距離だ」

「じゃあ、まずはそこに行きましょうよ」

ヴェントは村へ行くことを勧めていた。

「私もそれでいいと思います」

ティエラも同意している。

「ああ、そうしようか」

こうして光の戦士たちは、新たなる目的地へと向かうことになった。

そして、この村を訪れることはオーエンの塔を攻略する際の準備も兼ねることになりそうだ。

ひとまず、光の戦士とデッシュは大陸の西に位置する、村を目指すことに。

「よし、行こう」

デッシュはオーエンの塔にいち早く行きたそうな感じを醸し出していたが、光の戦士たちに賛成していた。

まずはしっかりと準備を整えることが大事なのだと、彼もそう思っていたのだろう。

こうして、ソールたちはグルガン族の谷を後にして、西の村へと向かったのだった。

 

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