ファイナルファンタジー3 リブートエディション   作:北村 貴之

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其之25 炎の洞窟

ドワーフたちが守ってきた2本の角型の宝石を、盗賊のグツゴーに両方奪われてしまった。

片方はもともと彼が奪い、光の戦士たちが闘ってそれを奪還することができたのだが、グツゴーは倒れる際に自身に術をかけ、影となっていた。

そしてソールたちに尾行し、角を奪うチャンスをうかがっていたのだった。

そして彼らが角を洞窟内の祭壇においた瞬間に、グツゴーのは術を解いて彼らの前に飛び出してきたのだ。

そして角を両方奪い、北の山にあるとされる火のクリスタルを目指して北上してしまった。

薄々ヴェントも気づいてはいたのだが、まさかグツゴーが死んでいたとは思わなかった。

 

そんな彼を追うべく、光の戦士たちは早急に北の山へと向かっていた。

ドワーフの島にあるのだが、そこは船で行かないといけない場所に会った。

幸い時間はかからなかったが、ドワーフの洞窟からは徒歩だけではいくことのできない場所に会ったため、

エンタープライズに乗って移動して向かった。

船でおよそ10分ほどだろうか。

エンタープライズを停泊させ、北の山を目指すソールたちは、ぽっかりと開いている洞窟を発見した。

上を向けば大きい岩山がそびえている。

これがドワーフの言っていた、北の山のようだ。

そしてこの目の前にある洞窟こそが、火のクリスタルへと通じる洞窟に違いない。

グツゴーはこの洞窟に入っていったのは確かのようだ。

地面をよく見ると、人間が素足で踏んだような足跡が確認できる。

「どうやら、あいつはここを通っていったようだ。」

と、足跡を確認したソールが言った。

「そうと決まれば、早くここに入りましょう。あのドワーフたちが困っている」

と、ティエラが洞窟内へと入ろうと提案する。

4人は頷いて、早速この洞窟の中へと足を踏み入れたのだった。

 

中はかなりの高温だった。

火のクリスタルが祀られている洞窟なだけあって、辺りは溶岩が流れている場所がいくつか存在している。

赤く煮えたぎる溶岩が明かりの役割を果たしているため全く暗くはなかったが、それでも足場が悪そうに見えるのは変わらなかった。

「くっ、なんなんだこの暑さは…。外よりも暑いぞ」

ソールは顔に汗をかいて暑さに悶えていた。

「ここまで暑いってことはそうみたいね」

ヴェントも下半身こそ生の脚を露出させていたが、上半身がポンチョを着ていたため、かなり暑かった。

暑さに耐えきれず、上半身のポンチョも脱ぎ捨てた。

黒いタンクトップに包まれた露出度の高い上半身が姿を現す。

お持ちだった胸はかなり大きく育っていた。

「……あんまりこっちを見ないでくださいね?」

ヴェントが首筋に汗をかきながら、視線を感じたのかソールに忠告した。

「ご、ごめん」

慌てて謝るソール。

しかし視線は胸元を追っていた。

旅の仲間とはいえ、男としての本能には抗えなかったようだ。

「それにしても、グツゴーは火のクリスタルの力で何をする気なのかしら?」

と、ティエラが疑問に思ったことを口にする。

「あの筋肉達磨のことだから、どうせ変なことにしか使わないんじゃない?」

マイムが返答した。

そんな彼女たちも、暑そうにしていた。

ティエラも白いノースリーブを着ていたが、露出させている肌に汗がにじんでいる。

マイムも白いローブは脱いでいた。

青いキャミソールが汗で肌にくっついてしまっている。

「この洞窟、結構複雑そうね…。長時間いたら暑さで頭がおかしくなりそう。ささっと火のクリスタルのところまで行きましょう」

ティエラが辺りを見回しながら言う。

火のクリスタルへと続く洞窟は広く、かなり入り組んでいるようだった。

「確かにここは危険だけど、ここでグツゴーを見失ったらそれこそ取り返しのつかないことになるぞ」

4人は注意しながら進んでいくことにした。

 

だがしばらく歩いていると、どこからか声が聞こえてきたのだ。

しかも大勢の声のようだ。

声がする方向に歩いていくと、開けた場所に魔物がいた。

2種類の魔物がおり、1体は緑色に燃える炎のような球体の魔物「バルーン」で、もう1体は赤いゼリーのような身体のスライムのような魔物「レッドマシュマロ」だった。

それぞれ数体おり、何をしてくるかはまったくもって不明だった。

「やはり魔物がいたか」

ソールは剣を抜き、魔物たちに注意を払いながら近づいていった。

魔物たちはソールたちに気がつくと、一斉に攻撃を仕掛けてきた。

「よし、戦闘開始だ!」

ソールの掛け声とともに4人は武器を抜き、戦闘態勢に入ったのだった。

「たぁっ!!」

ヴェントが先制を仕掛けるべく大

急いで距離を取り直すヴェント。

そんな彼女の目の前に、レッドマシュマロが口から酸の液を噴き出した。

ヴェントはそれをとっさに回避した。

レッドマシュマロの酸の液体は洞窟内の地面に飛び散り、シューッ、と煙を上げている。

「当たるとやばいわね…」

ヴェントは冷や汗をかいた。

そんな彼女にはお構いなく、レッドマシュマロは再び酸の液体を吐き出してきた。

あやうく直撃しかけたが、間一髪で避けたのでダメージにはならなかったようだ。

「この魔物たち、みんな炎に強そうね…。マイムは冷気の攻撃で対処して」

と、ティエラはそう指示した。しかし、事前に準備をしていたマイム。

マイムは言われるがままに、氷の魔法、「ブリザド」で精製した冷気の刃を完成させたようで、それをバルーン目がけて飛ばした。

超低温の氷の刃が眼球に刺さったバルーンは、悲鳴を上げて爆発した。

残りのバルーンたちは、その光景におののいていた。

マイムは休むことなく、ブリザドでバルーンたちを撃破していった。

ソールはというと、レッドマシュマロの群れを剣でばっさばっさと斬り伏せて倒していった。

こうして、魔物の大群は倒された。

「これで片付いたな」

と、ソールが剣についた魔物の体液を振り払う。

洞窟内は油断できないようだ。

軽々と魔物を倒すことはできたが、この先に何があるかはわからない。

溶岩が煮えたぎるこの洞窟を、ソールたちは気を取り直して探索を始めたのだった。

 

 

「グギャー」

緑色の4足歩行の獣のような魔物、クロコッタ4体との戦闘に、ソールたちは苦戦していた。

クロコッタとは、刃のような鋭さの牙と爪を持つ、大きな獣型の魔物だ。

ひとたび怒らせると暴れだす危険な存在である。

「ちょっとコイツら強いんだけど!?」

マイムが叫ぶ。

4人がかりでクロコッタを攻撃しているのだが、意外に動きが素早いために倒すのに苦労している。

それどころか、向こうも牙や爪の攻撃などを仕掛けてくるので4人とも手一杯だった。

「みんなバラバラに攻撃しましょう!いまは連携は置いといて、一人一人、単体で撃破するのよ!」

ヴェントは、大剣でクロコッタの攻撃を防いでそう叫んだ。

ソールは無言で頷き、クロコッタの攻撃を避けつつ、一体を斬った。

クロコッタは血しぶきを上げて倒れた。

 

マイムはブリザドを放ち、一体の頭部に命中させた。

爆発で吹っ飛んだクロコッタが消滅していく。

「あともう一匹いるぞ!ティエラ…」

ソールは叫んだが、その必要はなかったようだ。

残ったクロコッタ1体はティエラが短剣で倒したらしい。

もう1体の急所をついてとどめを刺したティエラの姿がそこにはあった。

白いノースリーブに、クロコッタの血がついている。

「なんとか倒せたわ…。やっぱり強くなってきてる」

額には汗が流れていた。洞窟内の高温もそうだったが、敵との戦闘でかなり体力を消費しているようだ。

「こっちも終わったぞ」

と、ソールも剣を鞘に収めた。

マイムも魔法を唱えていた手を止めて、戦闘態勢から再び通常の体勢に戻る。

「それにしてもこの魔物たち……やっぱり強いな……」

ソールが汗を拭いながらつぶやいた。

「というか、旅を続けていくにつれて魔物たちもどんどん強くなってきてる。気を抜いたら命をとられかねません」

マイムがそう返答した。

「そうそう、グツゴーとクリスタル。早く向かわないと」

と、ティエラが言った。

確かにそうだ。ここで立ち止まっていては、グツゴーに先を越されてしまう可能性もある。

4人はまた歩き出し、洞窟の奥へと進んでいったのだった。

 

「それにしても暑いなぁ……」

4人が洞窟内を歩きながらつぶやく。

だが歩いていないと、暑さでやられてしまうだろう。

そんなときだった。洞窟内の通路が、意味深に部屋のようにひらけているのが確認できる。

「あ!あれは…!?」

4人は互いに顔を見合わせ、一斉に走り出した。

部屋のような広い空間の真ん中には溶岩の池がある。

そして、ソールたちの視線の先…。空間の奥に、扉があった。

あの扉が、もしかしてクリスタルの部屋の扉なのだろうか。

「あれって…」

「かもしれん。行こう!」

暑さと敵からの攻撃で疲労困憊しているソールたちは、その扉に向かって一目散に走りだした。

ソールはドアノブをひねって、一気に扉を開けた。

 

 

「あれは……!?」

4人が見たものは、驚くべきものだった。

洞窟の奥にある赤色に輝くクリスタルと、その前には何者かが立っているのが見える。

それは紛れもなく、先ほどドワーフたちから角を奪った盗賊、グツゴーだった。

腕を組み、勝ち誇ったような顔でソールたちを見つめている。

「ファファファ!俺様は火のクリスタルから力を奪い、強くなったぞ!」

「なっ!?」

ソールは絶句した。

誇らしげな顔のグツゴーは、さらに言葉をつづける。

「だが、光の啓示を受けたお前たちを倒さなければ、本当の力は手に入らないようだ。悪いが、お前たちには死んでもらおう…」

炎の力で強くなったグツゴーは、両腕を広げ、手のひらからボォッ、と火の玉を作り出した。

火の玉は、みるみるうちに巨大化し、やがて巨大な炎の球と化す。

「さあ、ここで消えてもらうぞ!」

グツゴーが手を突き出し、その炎がソールたちのほうへと投げ放たれる。

4人はすぐに回避しようとするも間に合わなかった。

炎の玉は着弾と同時に爆発を起こし、辺りを炎で包み込んでしまうのだった。

「…!なんて強さなの!?」

攻撃をくらったティエラは絶句していた。

グツゴーは笑っている。

「クリスタルの力がこんなものだったとは…」

ティエラも悔しそうにつぶやく。

「くっ……。だが、俺たちがここで諦めるわけには……」

4人はグツゴーを睨みつけるが、グツゴーは余裕の表情を浮かべていた。

「はっはっはっは!そんな身体で何ができるというんだ?」

ソールたちの身体はもうボロボロだった。先ほどの炎の玉の攻撃に加え、暑さも加わって体力を削られたのだ。とても戦えるような状況ではなかった。

しかし、諦めるわけにはいかないのだ。自分たちが死んでしまえば、世界を救える者は恐らく誰一人とも出てこないだろう。

ソールにとっては、同じ孤児院で育った子供たちの笑顔を守るために死ぬことができないからだ。

もしかするとこの孤児院の子供たちの誰かが意志をついで闘ってくれるかもしれない。

しかし、そんなことをすれば、自分と同じ末路をたどるかもしれない。

そのため、ここで死ぬわけにはいかなかった。

「俺たちは諦めない!お前のような悪い奴に、倒されてたまるかっ!」

ソールは剣を構えながらそう叫ぶが、グツゴーはフン、と鼻で笑って見せた。

「フン!どうせ次の攻撃で死ぬ。ここで光の戦士は果てるのだ」

「へえ…。頭の悪そうな見た目にしては随分偉そうに口を開けますね。ならやってみてはどうですか?」

マイムが挑発気味に反論する。

そんな彼女も、ソールと同様に、体力がもう限界のようだった。

「生意気な小童どもめ……。ならお望み通り殺してやるっ!」

グツゴーはマイムたちに向かって炎の柱を放ってきた。

が、彼女たちはそれを簡単によけてみせた。

「なんだ……!?うあっ……」

グツゴーが驚いていると、彼の身体に氷の刃が刺さっていた。ティエラが冷気の魔法で攻撃したのだ。

その隙にティエラは光の魔力を溜めていたらしく、グツゴーに光の魔法を放ち命中させることができた。

「く、くそっ!」

グツゴーがジャンプして攻撃をしようとする。

しかし、彼は足が動かないことにすぐに気が付いた。

そう。彼がティエラからの冷気の攻撃に悶絶している最中、ヴェントがグツゴーの足首をブリザドで凍らせていたのだ。

そのため彼の足は氷で固められ、足を動かすことができないようだ。

「しまった!足が無防備だったか。だが、腕はまだ動くぞ!」

足は動かなくても手は動かせるようだ。あと、口も。

グツゴーは口からボオッ、と音を立てて炎のブレスを吐いた。

かなりの高温のようだ。だが、ティエラが魔法のシールドを張ったおかげでダメージは軽減された。

「くうっ…!なかなかやるな…」

グツゴーは冷や汗をかいた。

ソールは瀕死状態だったが、グツゴーのほうに向かって再び構えをとった。

「まだだ…。俺たちは、お前なんかには負けはしない…!」

ソールは叫んだ。その言葉で皆の士気が上がったようだ。

4人は一斉にグツゴーに攻撃をしかけた。

「くそっ!調子に乗るなよ……」

グツゴーは両腕を炎の剣に変え、4人に飛びかかった。

足を凍らせていた氷は気合で砕いてしまったようだ。

ティエラは再び冷気の攻撃を放ったが、グツゴーはその攻撃を避けたうえにその腕で防いだ。

冷気は水蒸気となって音をたてる。

「そんな攻撃では、俺様に傷一つつけることはできんぞ!」

グツゴーは叫びながらソールに向かって剣を振るう。

剣でそれを防いだソールだったが、威力が強く、後方に吹っ飛ばされてしまった。

ティエラはすぐに彼に回復魔法のケアルをかけサポートした。傷を癒してもらったソールは体制を整えなおし、剣を持ってグツゴーにとびかかる。

「ちいっ…。この小童どもが!」

彼は怒りに任せて炎の渦を繰り出した。

4人はその攻撃をなんとか避け、マイムとヴェントはふたりがかりでサンダーでグツゴーの頭部を攻撃する。

「ぐおっ…。こしゃくな…」

グツゴーはサンダーのダメージを受けて苦しんでいるようだ。

ティエラは再びブリザドで攻撃し、ソールとマイムもそれに続いて攻撃を加えた。

「くそっ!こんな小童どもに負けてたまるか……!」

グツゴーは力を溜めたかと思うと、身体から炎を吹き出して4人に向かって飛ばした。

「あちち!なんて力なの!」

ティエラが暑さに悶絶する。

「これくらい耐えるんだ!奴の体力を削り、弱まったところで一気に畳みかけるんだ!」

ソールはそう叫び、再びグツゴーに剣で斬りかかった。

グツゴーは炎の剣で攻撃を受け止めると、ソールの腹部を思い切り蹴り飛ばした。

「うぁっ……!」

ソールは吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。

が、すぐに立ち上がりもう一度剣で攻撃した。

今度は彼の足に命中し、グツゴーはバランスを崩した。

「今だ!みんな!」

4人は一斉にグツゴーにとびかかり、力を合わせて渾身の一撃を食らわせた。

マイム、ヴェント、ティエラは魔法で炎を放ち、ソールは剣で攻撃する。

4人の力が合わさったその一撃により、グツゴーの胸は切り裂かれてしまった。

「ぐわぁぁぁぁ!」

彼の胸からは血しぶきが吹き出している。そして、彼はそのままうつ伏せに倒れてしまった。

「これで…。終わりか?」

ソールはつぶやくと、4人はグツゴーに近づいた。

グツゴーはもうすでに虫の息だった。目はひんむいており、起きる様子は見せることはなかった。

「ワルをしてきた奴もここで最期ね」

ヴェントは一安心したような顔をした。

 

「あ、それよりもクリスタルと角!」

マイムは急いで、グツゴーが奪っていた2本の角型の宝石を回収し、それをバッグの中に入れた。

4人は赤く輝く、「火のクリスタル」の前に立つ。

そして、クリスタルはソールたちの心に直接話しかけてきた。

「光の戦士たちよ…。炎の中に眠る光の心を、そなたたちに授けよう!」

そうクリスタルが言うと、ソールたちは光に包まれた。

4人の身体の傷はみるみるうちに癒えていき、体力も回復したようだった。

「これは……」

ソールが言った。

「どうやら光の力をいただいただけでなく、身体の調子も戻ったみたいね」

ティエラがそう言うと、4人は喜んだ。

「さあ、ドワーフたちに角を返してあげよう」

ソールはそう言った。4人は洞窟を後にし、再びドワーフたちのいる洞窟へと戻っていった。

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