ファイナルファンタジー3 リブートエディション   作:北村 貴之

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其之26 ドワーフの洞窟 今度こそ角を

ドワーフの守る2本の角型の宝石を、盗賊グツゴーを倒して奪い返し、そして火のクリスタルから力を授かった光の戦士、ソール、マイム、ヴェント、ティエラ。

彼らはいま、ドワーフの住む洞窟へと向かっていた。

火のクリスタルのある北の山はドワーフの島にあるのだが、北へ行くには船で向かわなければならないため、バイキングたちからもらった船、エンタープライズで海を渡って移動したのだった。

洞窟近くに船を停泊させ、ソールたちは早速、ドワーフたちの元へと向かった。

 

 

「おお!無事に取り戻してきたホーね?」

角を祀っている祭壇を守るドワーフがソールたちを見て、嬉しそうにしていた。

「ええ。この通り」

マイムが、バッグから角を取り出して、2本ともドワーフに見せる。

角は傷一つついておらず、翡翠色の光沢を放っていた。

「ありがとう!」

ドワーフはお辞儀をした。

「ドワーフのたから、お礼にあげる!ムーンウォークで案内するラリラリ!!」

そう言って、ドワーフは、後ろ向きで振り向かずに、宝の部屋へと通じる道へと歩き出した。

「それは…」

ソールは不思議そうに、器用にムーンウォークをするドワーフを見て、尋ねた。

「隠れた自慢ラリ」

そう言って、ドワーフは後ろ向きで歩いたまま、宝の部屋の扉の鍵を開けた。

「入っていいラリ!」

ソールたちは言われるがままに宝のある部屋へと入った。

そこには宝箱が複数置いてある。

「ドワーフのたから、役に立ててくださいラリ!」

ドワーフは、そう言うと後ろ向きで歩き、部屋から出て行った。

「…ええっと、未知の大地には知らないものが多いですね」

マイムはその様子を見て、少し焦りながら言った。

ムーンウォークは見たことがないため、当然の反応だろう。

「役に立ててくださいってことは、きっとこの先の冒険を助けてくれるものが、この部屋にあるはずよ」

とティエラ。

「とにかく宝箱を開けてみましょう」

とヴェント。

「そうね!」

 

一行は手当たり次第に宝箱を開けた。

中には、確かに今後の冒険に役立ちそうな武器や防具、そして薬や金目のものが入っていた。

「おお!店になさそうなものがかなりあるぞ」

ソールが宝箱の中身を見て、嬉しそうに言った。

「じゃあ、この部屋の宝箱は全部開けてしまいましょう!」

とヴェント。

「せっかくドワーフさんたちがいいって言ってるし、いただいちゃおうよ」

とマイムが言った。

ソールは頷いて、宝箱を開ける作業を続けた。

そして、全ての宝箱を開け終わると、中から冒険に役立つ品々が出てきた。

それらは皆、未知の大地で手に入るか怪しかったり、手に入れてもかなり高額なものばかりだった。

その総額は相当な額になったため、さすがにもらっていいものかとソールたちは少し悩んだが、ドワーフたちが感謝の気持ちで譲ってくれていたので、ありがたくいただくことにした。

 

 

「いやあ、炎の洞窟なんて、もうさすがに2度は行かないと思うわね」

場所は変わり、洞窟内の宿屋の浴場にて。

マイムとヴェントとティエラが、お湯に浸かりながら話していた。

「そうね、さすがに私も2度は行きたくないわね。ああ疲れた」

ティエラがそう言って、伸びをする。

マイムはそんなティエラを見て微笑んだ。

女の子である3人にとって、あの洞窟はとにかく高温で汗を大量にかいてしまったので、それを洗い流すのは最高だった。

着ていた服は宿屋の従業員に洗濯をお願いして、付いた汗を落としてもらうことにした。

従業員曰く、洗濯する服は翌日の朝には渡せるとのことなので、マイムたちは宿屋の浴衣に着替えて疲れを癒すことにした。

「火のクリスタルの力をもらったけど、これで強くなったのかしら」

ヴェントが自分の両手を見て言った。

確かにあの時、火のクリスタルから光が解き放たれて力を注入されたような気はしたが、実感がいまいちわかないようだ。

「それは…。いざ戦闘で実践しないとわからないんじゃない?」

ティエラが答える。

「それもそうか」

とヴェントは頷いた。

 

そして3人は湯船を出て、脱衣所へと向かった。

「これからどうします?」

3人が浴衣に着替えている最中、マイムが尋ねた。

ティエラとヴェントが顔を見合わせる。

ティエラが口をにやりとさせる。

それを見ていたマイムが少し、うっ、とした表情をした。

「ウフフ…」

ティエラがマイムに近付く。

「えっ……」

マイムはあからさまに困惑した顔をした。

見ているヴェントも意味深ににやけ顔をしている。

マイムは今、一糸纏わぬ姿である。

「マイムちゃん、また大きくなったんじゃない?少し触らせてよ」

そう言ってティエラがマイムに近付き、胸を揉み始めた。

「ちょ!ちょっと!やめてください!」

体をくねくねと動かして拒否するマイムだが、力が入っていないからなのか、抵抗になっていなかった。

そんな2人を見て、ヴェントはクスクスと笑った。

「やっぱりこうでなくっちゃね」

3人の夜はこれからだった。

 

 

 

翌日。

「おはよう。よく眠れた?」

別の部屋で眠っていたソールと合流したマイムたち。

男一人だったソールは一人用の部屋で眠っていた。

「ええ。こっちもね」

ティエラがウインクして答えた。

洗濯してもらった服を着て、彼女たちは宿屋を出る。

「じゃあ、ドワーフたちの依頼は完了したし、火のクリスタルからは力もいただいた。あ、と、は…」

マイムは考えたような顔をした。

「そうね…。とりあえずはエンタープライズに戻って次の行く場所を決めましょう」

とティエラが提案した。

「よし、じゃあここを出るとしよう」

ソールがそう言って、4人はドワーフの洞窟を後にすることにした。

 

4人が出口に差し掛かろうとしたとき…。

そこから、傷だらけの男性が転がり込んできた。

「お、おい…!」

ソールが急いで男性の元へと駆け寄る。

男性は兵士のような姿をしていた。

どこかの城を守る兵なのだろうか。鎧を見てみると、サスーンのものではないのは確かだった。

「おお、光の戦士たちよ…。助けてください…。うぅ…」

「大丈夫ですか!?」

マイムも駆け寄る。

兵士は弱弱しく、話し始めた。

「トックルの村が…。もう略奪する物がなくなったので火をつけて焼かれようとしているのです。お願いします、助けてください…」

「トックルの村って…」

ソールが神妙な顔をする。

「地図だと南の方の砂漠近くにある村の事ね」

ヴェントが答えた。

「ま、魔導士のハイン…が…」

兵士はそう呟いた後、力尽きて動けなくなってしまった。

マイムは急いで脈を確認した。

ソールは無言で彼女に兵士の安否を確認したが、マイムは首を横に振り、兵士はもう事切れてしまったことを教えた。

「魔導士のハインとか言ってたわね」

ヴェントが険しい顔つきをしている。

「ああ。……とにかく、トックルの村が危ないみたいだな」

ソールは真剣なまなざしで言った。

「急ぎましょう!」

マイムが言うと、全員が頷き、急いでエンタープライズへと向かった。

4人はエンタープライズに乗り、砂漠のある南へと急いだのだった。

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