ファイナルファンタジー3 リブートエディション   作:北村 貴之

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其之28 ハインの城

魔導士のハインが、浮遊大陸の南部に存在する村・トックルの村を襲撃しようとしているとの情報を聞き急遽その村へと訪問した光の戦士たち。

しかし、謎の力によって身体の身動きをとれなくされ、アーガスの兵士たちになすすべもなく、拉致されてしまった。

「ハイン様の城で、奴隷として使ってやるわ!」

そう兵士は言い放ち、気絶した光の戦士たちを、ハインがいるとされる城へと連行されて行ってしまった…。

 

 

謎の力で身動きを封じられ、挙句の果てには後頭部を強い衝撃で打ち付けられて気絶してしまった光の戦士、ソール、マイム、ヴェント、ティエラ。

気を失った彼らが今いるのは、城…。というよりかは、大きな木の内部というべき場所だった。

壁も床も、人工物というよりかは、天然でできた木そのものだった。

そのため内部は広く、そして木特有の香りも充満していた。

「っ……ここは……」

その香りで意識を取り戻したのか、光の戦士の一人・ソールが目を覚まし、ゆっくりと身体を起こす。

「く…、そうか。気絶させられて……」

そして状況を確認するべく辺りを見回していたら、すぐ隣のところで同じように倒れていたマイムとヴェントの姿が目に入る。

「ここは…?」

「う~ん…、あれ?なんで私……」

2人も目を覚ましたようで、ソールと同じように辺りを見回している。

「どうやら、あいつらの城といったところか……」

ソールはそう言いながら、気絶する前に自分たちを襲撃してきた兵士の姿を思い出していた。

そして次に自分たちの持ち物を確認した。幸いにも物品は没収されていなかった。

敵からのせめてもの情けとでもいったところだろうか。

「とにかく、ここから脱出しないと」

ソールはそう呟き、立ち上がる。そして他の3人も同じく立ち上がった。

辺りを見回すと、そこには兵士の姿が見受けられた。

アーガスの城の紋章が鎧に付けられている。

しかし、様子を見てみると悪そうな雰囲気は感じられなかった。

恐らく一部の兵士がハインに付き従っているのだろう。

「あの、すみません、ここは…」

ソールが兵士の一人に話しかけた。

「おや、目が覚めたのかい?この城は、『生きている森』の『長老の樹』をくり抜いて造られた城だ。この長老の樹は、魔導士ハインによって操られている」

兵士はそう答えた。

「生きている森…。確か、本で読んだことがあったけど、その名の通り意思疎通を可能とする樹がこの大陸にあるって書いていたわ」

ティエラが言った。

「まさか本当に存在していたとは…」

ヴェントがそう言った。

その兵士はこう続けた。

「ハインはアーガス王に付き従っていた神官だった。だが、大地震を気に人が変わってしまった。悪の力に憑りつかれたんだ…」

「やはり大地震がこんなところにも…」

ソールが言った。

彼の視界に、王様のような姿の男性がいた。

この人物がアーガス王なのだろうか。

「あなたが…。アーガス王ですか?」

ティエラが、その王と思われる男に話しかけた。

「ああ。私がアーガス。砂漠の北にある城を治める王だ。といってもあの城は無人だろうが…」

確かにソールたちが以前訪れた際は無人だった。

ハインの影響で、兵士たちは一部が洗脳され、もしくは拉致されてこの城に閉じ込められてしまっている。

「兵士たちはハインに呪いをかけられて操られているのだ」

アーガスが言った。

「ハインのやつめ、元は私の側近だったのだが…」

そう言うと、どこか気落ちしたような様子を見せた。

顔を見るとかなり老けているため、相当老齢のようだ。

「大丈夫ですか?王様…」

ヴェントがそう言った。

「ああ、大丈夫だ。心配をかけてすまないな」

アーガスはそう答えた。

「それよりも頼む。ハインを倒してくれ。ああ、確か、私の愛剣であるキングスソードをハインがどこかに隠しているんだ。そいつで奴を斬ってくれ」

アーガスはそう言いながら、ソールたちにキングスソードのことを教えた。

「わかりました」

ティエラがそう言った後、一行はハインのいる場所を目指すべく、城を昇ることにした。

 

「ああ、こちら光の戦士だ。悪いがここをどいてくれないか。ハインを倒しに行くんだ」

ソールが、兵士に事情を話す。

「はっ、直ちに!」

兵士はそう言うと、ソールたちを通してくれた。

そしてそのまま城の内部を昇っていくことにした。

城の内部は元々が大きな樹なだけあって、一面がまさしく自然の回廊とでもいえる場所だった。

細めの通路でまるでアリの巣のようになっており、迷ってしまいそうになる。

「結構遠そうね……」

ティエラがそう呟いた。

そしてそのまましばらく進んでいくと、魔物たちが襲い掛かってきた。

その魔物たちは、全身に包帯を巻いたミイラのような魔物「ファラオ」だった。

「こいつは…」

ソールたちは武器を取り出した。

「たあ!」

ソールはファラオに斬りかかる。

「がはあ!」

ファラオは断末魔の声をあげて消滅した。

次に襲い掛かってきたファラオにはヴェントがファイラを放って倒す。

ファイアの上位互換といえる炎の魔法だ。ファイアよりも威力のある火柱が、ファラオを焼き尽くしてしまった。

そして、灰となって床に積もる。

「くらえ!」

そして残り1体となったファラオは、マイムが斧をふるい、撃破した。

一行はその後も、城の内部にいる魔物たちを倒して先へ進むことにしたのだった。

 

ハインの城の内部は魔物がひしめいていた。

歩くたびに魔物たちが姿を現し、その度にソールたちは撃破していった。

今闘っているのは、剣を持った悪魔、「デーモン」だった。

このデーモン、かなり強かった。

「このやろっ…!」

ソールは自らの剣で、デーモンの剣を受け止めている。

それもつかの間、デーモンは勢いよく剣でソールの剣をはじくと、ソールに斬りかかった。

「ぐああっ!」

ソールの身体に傷がつく。

だが、彼はそこで引き下がらなかった。

その勢いを利用して、デーモンを袈裟懸けに斬った。

「がああああっ!」

デーモンはそう叫んだが、倒れはしなかった。

耐久力はかなりあるようだ。

「こいつ強いぞ…!」

ソールがそう言った時、デーモンは剣を振り回して攻撃を仕掛けてきた。

「くっ!」

ソールは剣でその攻撃を受け止めた。しかしデーモンの力はとても強く、ソールの身体はどんどん後ろに押されていく。

「くう……!」

ティエラたちも、援護しようとするも、魔物たちの群れに行く手を阻まれてしまっていた。

「雑魚の相手をしてる余裕はないの!そこをどきなさい!」

マイムはそう叫ぶと、ブリザドの上位互換である冷気の魔法、ブリザラを放つ。

冷気の嵐が、魔物たちを凍らせる。

「はぁっ!」

さらに、ヴェントがその凍った魔物たちをファイラで次々と燃やしていく。

「ぐああ……」

そしてそのまま地面に倒れた。

マイムたちを妨害していた魔物の群れはあっという間に全滅した。

残りはソールが対処しているデーモンだけだ。

ソールはデーモンの剣技に翻弄されていた。

だが、彼も負けっぱなしではない。ダメージは負ってしまったが、それでもまだ戦う力は残っている。

「たああっ!」

ソールはデーモンに剣を振り下ろした。

その攻撃を、デーモンは剣で受け流そうとするが、ソールの勢いがかなりあったため、受け流すことができず、そのまま剣を受ける形になる。

「ぐわああ!」

ついにデーモンはその攻撃に耐えられず、倒れ伏し、消滅した。

「はあ……はあ……」

ソールはかなり息を切らしていた。それほどまでに体力を消耗していたのだろう。

そんな彼に、ティエラが心配そうに駆け寄る。

 

「だ、大丈夫…?」

「ああ…。こんなに強い奴が紛れ込んでるなんてな」

「待ってて。今治療します」

ティエラはそう言うと、手のひらから優しい光を発し、ソールの傷を癒す。

すると、ソールの傷がみるみる内に塞がっていった。

「ありがとう。いつもより傷の治りがいい気がするな」

ソールはティエラにそう言った。

ティエラが先ほどかけた回復魔法は、ケアルの上位互換である「ケアルラ」という魔法だ。

ソールの治療を終えた一行は、再びハインを探しに向かうために歩き出した。

道中でまたしても魔物が現れ襲い掛かってきたが、4人の力で撃破していった。

魔物たちの習性も知りつつ、邪魔してくる敵を倒していく。

そしてそれからしばらく進んだ時のことだった。

 

「ん?あの宝箱、普段のものよりもなんか豪華そうだぞ」

ソールの目に映っていたのは、どこか豪華な装飾が施された宝箱だった。

「もしかして……」

ソールはその宝箱を開けた。

すると、中には赤い鞘に納められた剣が1本入っていた。

「こ、これは…」

その赤い鞘を引き抜いて刀身を見た。青く透き通った刀身だ。

鏡のようになっており、ソールの顔が写っている。

「間違いない…。これが王様が言っていた『キングスソード』かな」

ソールは、この剣がアーガス王が使っていたとされる剣「キングスソード」であることを確信していた。

 

キングスソード。

アーガス王が使用していたとされる長剣。青く透き通った美しい刀身が特徴。

斬れ味はかなり良く、まさしく王が持つにふさわしい剣だ。

しかし、この剣の威力を恐れたハインが隠してしまった。

 

「でも…。隠してた割にはあっさり手に入ったね」

マイムはそう呟き、ソールの持つキングスソードを眺めていた。

「ま、まあいいんじゃない?敵もサービスしてくれたんだし」

ヴェントが言った。

そして一行はさらに先へと進んでいくことにした。

 

 

しばらく進んでいくと、今度は広間のような部屋にたどり着いた。

「ここは…?」

ティエラが辺りをキョロキョロと見回す。

すると、部屋の奥にある玉座から声が聞こえた。

「よく来たな、光の戦士とやら」

4人は驚きながら振り返る。そこには、骸骨のお面を被った、魔導士の服を纏った人物がいた。

頭部には羽根つきの帽子を被っている。

間違いない。この人物こそ、事件の黒幕である魔導士のハインだ。

「素晴らしい!この暗黒の生み出す力は美しい…」

手のひらから何やら邪悪なオーラを出して、嬉しそうにそう声を上げている。

「わからぬのか、この力のすばらしさが!私はこの力を使い生きた樹と兵士を操り、そして世界の支配者となるのだ!」

「ダメだ。完全に乗っ取られてる…!」

ソールは、ハインの言っていることを聞き、彼が完全に乗っ取られてしまっていることを確信した。

「邪魔はさせん。死ねっ!」

ハインがそう言った瞬間、ソールはキングスソードを鞘から引き抜いた。

「行くぞ!」

ソールはその剣を持ち、勢いよく飛び込んだ。

その勢いのまま、ハインに向かって斬りかかる。

しかしハインは結界のようなものを張ってガードし、その攻撃を防いでしまった。

「なっ…!?」

ソールの攻撃はあまり効いていないようだ。

ソールはキングスソードを持ったまま後ずさりする。

続いてヴェントがサンダラを放ち電撃をハインに与えるが、電撃を喰らっていたハインはあまり効いていないような素振りを見せていた。

「ちょっと、魔法も効かないわけ!?」

「ふふふ」

光の戦士たちの攻撃をものともしないハインは、笑っていた。

「くそっ、図に乗りやがって…」

「ソール、いったん下がって!」

ティエラにそう言われ、彼に従ってソールは一歩下がった。

そして、ハインが何か仕掛ける前にマイムがブリザラを放ち牽制する。

「ぐおっ」

さすがに冷気の魔法であるブリザラを喰らってはたまらないのか、ハインはよろめきながら後退した。

「どうやら物理攻撃の方が効くみたいだな」

ソールはそう言って剣を構え直した。

しかし、その剣で斬りつける前に、マイムがある提案をした。

「待って!火のクリスタルからいただいた力、地形の力や弓の力だけじゃないと思う。…そうね。奴の情報を確認できる力が使えるなら、使ってみない?」

「そうか、先ほどのバリアは攻撃を激減させるけど、何かしらの属性の弱点がつくってわけか」

光の戦士たちがそうやりとりしている間、ハインは念じてバリアを張りなおした。

「あ、ほら」

「はっはっは、先ほどの攻撃が通用するかな」

ハインは余裕を見せていた。

 

しかし、ソールはすぐに行動を開始する。

「行くぞ、みんな!」

「情報検索は任せて!」

ティエラが返事をした後、彼女は目を閉じて精神を集中させた。そしてしばらくすると……。

「あ、見えた!あいつの弱点属性は雷よ!」

そう叫んだ。彼女にもハインの弱点である属性の情報が見えていたようだ。

それを聞いたティエラがすぐさま全員に指示をする。

「……マイムとヴェントはあいつに電撃で攻撃!奴が電撃で怯んでいる隙に、ソールは攻撃して!」

「了解!」

3人はそう言ってすぐさま攻撃に入る。

しかし、ハインはすぐにバリアを変えてしまった。

弱点の属性を変更されたようだ。

「はやっ…!」

マイムは焦りを見せたが、ティエラがすぐに先ほどと同じようにハインの弱点を調べる。

目を瞑り、ハインのバリアの弱点を確認する。

「あっ、今度は炎!」

それを聞いてマイムとヴェントは攻撃の態勢を取る。

「あいつのバリア…、属性を何度も変えることができるみたい。判明次第すぐに攻撃に移って!」

ティエラがそう言った後、3人は頷き、ハインに突っ込んでいく。

「はぁっ!」

ソールがキングスソードを構えてハインに斬りかかる。

「ぐあああっ」

ハインは攻撃を受け、悲鳴を上げる。そして後ろに引き下がった。

その隙を突くように、マイムとヴェントが魔法を唱える。

「ファイラっ!」

2人が同時に放ったファイラはハインに当たり、激しく燃え盛る。

すかさずソールも追撃を加えるべく飛び込んだ。

「はああああっ!」

キングスソードを持ったソールは追撃をしかけた。

しかし、ハインも負けてはいない。手から電撃を放ち、それをソールたち目がけて発射した。

「うわああっ!」

近くにいたソールがもろに食らってしまった。

「ソール、大丈夫!?」

「ぐ……。ああ、大丈夫だ…!」

ティエラの呼びかけにソールは応えるが、電撃を喰らってしまったため少しふらついているようだ。

その隙を逃すまいとハインが襲い掛かってきた。

「喰らえっ!」

しかしソールは怯まなかった。すぐに立ち上がりハインに向かって剣を振るった。

その動きはとても素早く、目で追えないほどだった。

だがハインも負けてはいない。とっさにバリアを張り次の攻撃を仕掛ける。

闇のオーラで精製したビームを連射する。

「うわああっ!」

ソールはバリアに阻まれながらも攻撃した。だが、ダメージは受けているようで、フラフラしている。

「ソール!」

ティエラが声をかけるも、彼は大丈夫と答えた。

続いてマイムとヴェントが魔法を唱えようとしていたので、ソールはすぐに飛び退く。そしてそれを待っていたかのようにハインに向かって駆けだした。

ハインには近接格闘を挑むようだ。しかし……。

「くっ……!」

やはり先ほどのダメージが残っているのか、足元がふらついていた。

それを見ていたティエラが駆け寄り、ソールが先ほど持っていたキングスソードを手にした。

ティエラは魔法を詠唱し、キングスソードに炎の魔法を宿す。

彼女が行ったのは魔法剣だった。

「これで斬る!」

ティエラからキングスソードを持ち、ハインに向かっていった。

そしてハインのバリアに思いっきりその剣を振りかざした。

「ぐわあああああっ!!」

見事に命中したようだ。ダメージは相当だったようで、ハインは大きく苦しみ始める。

「よし、二人とも、今!」

ティエラはマイムとヴェントにそう声をかけた。マイムがファイラを唱え、ヴェントは風水の地形の力で精製したかまいたちでハインを斬り刻む。

「ぐわあああああ!!」

2人の放った魔法が同時にハインに炸裂した。

その衝撃に耐え切れず、ハインはその場に倒れてしまった。

ハインは動かなくなっていた。

「た、倒したか…!?」

同じくハインからダメージをもらったソールは、ふらつきながらそう呟く。

ハインに動きはないようだ。

「大丈夫。奴はもう息はないわね」

ティエラはハインの様子を見たが、ハインはすでに息を引き取っていた。

 

すると…。

グラグラ、と城全体に振動が走り出した。

まるで地震が起きたかのような、そんな揺れが4人を襲う。

「な、なに!?」

ティエラは思わず声を上げる。

ソールも驚きのあまり声が出ず、ただ突っ立っているだけだった。

「きゃっ!」

その揺れのせいでマイムが転んでしまった。

その拍子に手に持っていた杖を落としてしまう。

 

一体何が起きたのだろうか。

果たしてソールたちと、アーガス城、トックルの村の人たちは無事に生還できるのだろうか?

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