ファイナルファンタジー3 リブートエディション 作:北村 貴之
魔導士ハインを倒し、無事にアーガス王やアーガス城の人々たち、そしてトックルの村の人々を助け出した光の戦士たち。
彼らは生きている森を後にして、アーガス城へとやって来ていた。
生きている森にわかりやすくそびえ立つ、「長老の樹」なのだが、ハインにより魔力で居城に変えられ、多くの人たちを拉致・監禁していたようだ。
だが、トックルの村にて捕らえた光の戦士たちの活躍により、その居城は元通りの樹となり、、囚われていた人々も救出され、今ではかつての美しく、たくましい本来の樹の姿を取り戻した。
長老の樹より、闇の力を払う力があるという「風の牙」をもらったソールたちは、次の冒険に必要となる「飛空艇」の情報を知っているというアーガス王を訪ね、アーガス城を訪れていた。
前回も来たことはあるのだが、ハインに拉致されていたため、誰一人この城にはいなかった。
だが、今は違った。
城内には兵士や使用人たちが、ソールたちを迎えてくれた。
アーガス王は最上階にある円卓の間にいると教えてもらったので、ソールたちはその円卓の間へと向かった。
円卓の間は豪華な宝飾が施されていた。天井にはシャンデリアが吊るされている。
アーガス城には玉座はなく、それに相当する椅子が、その代わりのようなものであった。
アーガス王はその円卓の端の方に座っていた。
「おお! 来てくれたか!」
アーガス王はソールたちを見るなり、嬉しそうな顔を浮かべている。
「光の戦士たちよ。そなたたちのおかげで再び平和が訪れた。心から礼を言う」
アーガス王が頭を下げる。
「ありがとう!これを持っていくのだ」
そう言うと、アーガス王は円卓に置かれていた焦げ茶色の木箱を開封し、金色の歯車をソールたちに手渡した。
歯車はくすんでおらず、ピカピカに光っており、作り立てのような雰囲気を感じさせる。
「これはわが国家に代々伝わる、『時の歯車』というものだ。古代の民が作ったと言われている。これをカナーンに住む、技術者のシドに渡すんだ」
アーガス王はどうやらカナーンの町に住むシドを知っていたようだ。
彼は光の戦士たちと一時的ではあったが旅を共にした。
現在では奥さんと二人で仲良く暮らしている。
「やった!これでシドに飛空艇を作ってもらえれば、この浮遊大陸を飛び出せるね!」
マイムが嬉しそうな顔をしてそう言った。
「おお、シドを知っているのか?それなら話は早い。では行きなさい」
詳しい事情を聞くことなく、アーガス王はそう言ってカナーンへと向かうように促した。
平和にはなったが、一時的なものでしかないのは知っていたようだ。
「はい。ありがとうございます」
ヴェントがそう言って頭を下げた。
「気をつけて行くのだぞ」
アーガス王が言った。
ソールたちはこうして、アーガス城を後にした。
空では太陽が高く登り、昼の時間であることを告げている。
「それじゃあ、お腹も空いたことだし、みんなでお昼ご飯にしましょうか」
マイムがそう言うので、ソールとヴェントもティエラも賛成した。
船のエンタープライズの中で、4人は昼食をとることにした。
彼らがここで食べていたのは、肉や野菜の入ったサンドイッチだった。
パンは街のパン屋からもらったもので、少し硬く、保存用のパンのようだった。
だが、パンが固くて食べにくいのと、味付けが塩しかないのを除けば、食べることはできる。
マイムは水筒の水を魔法で温めてからみんなに配った。
「ん~…。船の中で飯なんていつ以来だっけか」
ソールが呑気そうな声を上げてサンドイッチに舌鼓を打っていた。
ティエラはお茶を飲んでいる。
「そうね…。ここでご飯なんて食べた記憶はあんまりないような…。数日しか経ってないけどね」
ヴェントがそう言った。
「無理に思い出をひねり出しても時間の無駄だし、シドの所へ行って飛空艇を作ってもらいましょ」
ティエラがサンドイッチをかじりながら言った。
他の3人も彼女の意見に同意して頷き、まずは腹ごしらえを済ませることにした。
こうして昼食を終えた後、一行はカナーンの町へと向かったのだった。
ソールが舵をきり、カナーンへと目指した。