ファイナルファンタジー3 リブートエディション 作:北村 貴之
クリスタルの光に選ばれたウルの村の少年、ソールと、商人の娘であるマイム、ヴェント、ティエラは、現在、ウルの村の南部に存在する鉱山業が盛んな町カズズにいる。
そんなカズズの町では、以前発生した大地震の影響で復活した魔神、ジンの呪いにより、人々が呪いにかかってしまった。
その呪いを解くための「ミスリルの指輪」を探すために、ソール達は町人たちと同じく呪いにかかってしまったカナーンの町に住む老人・シドから飛空艇を借りて指輪のありかを探すこととなった。
そして今、そんなソール達一行は、西の砂漠にシドが隠していた飛空艇の中にいた。
内部には操縦室の他に、食料や水を保管するためのスペースも用意されていたため、ソール達が飛空艇の中で生活するには十分だった。
しかし、飛空艇はあくまでシドからの借り物。完全に自分たちのものになったわけではない。
そのため、取り扱いは丁重に行わなければならなかった。
そして、ソールが操縦室の中にいた。
「これが…」
ソールの目の前には飛空艇を動かすための装置があった。この装置は、普通の人間でも扱えるように設計されたいる模様。
村で農作業や力仕事ばかり行っていたソールでも、これなら扱えそうである。
「まずはここが…っと」
ソールは壁にあった説明書を見ながら操作の確認をしていた。
ソールは説明書を見て、脳内で情報をかみ砕く。
「このボタンを押せばいいのか?」
ソールはアナウンスの指示通り、ボタンをいくつか押した。すると、機械音が鳴り響き、飛空艇のエンジンがかかったようだ。
「よし、動くかな」
ソールはその後も色々確認をしながら出発の準備をしている。
そして…。
「よし、これでいけるな」
ソールは機械の操作を完了し、準備が完了した。
「さて、あとはこいつを動かしてっと……」
ソールは目の前にあったハンドルを持ち、飛空艇を上昇させていた。
地下に置かれていた飛空艇が、地上に上がり、操舵室からも外の光景が見えてくる。
そして、飛空艇が上空に昇り、高度一万メートルを超えたところで、ソールはついに飛空艇を自身で操作することとなった。
「ふぅ~……。準備まで結構疲れるもんだね」
少し疲労感を感じたソールだったが、それでもなんとか操縦の準備ができたことに満足している様子だ。
「これで目的地まで行ければいいんだけど……」
そう不安になったものの、ソールはそんな気を吹っ飛ばして、
「出発進行!」
と掛け声を上げて、サスーンの城へと飛空艇を飛ばすのだった。
一方その頃。飛空艇内の個室にいたマイム、ヴェント、ティエラはというと。
「あ、もう動いたみたい」
マイムが、ソールが何とかして飛空艇を上昇させたことに気づいたようだ。
「ソールに任せてよかったのかしら」
ヴェントが、ソールのことを心配する。
「まぁ、大丈夫だよ。あの子に任せましょ」
マイムが、自信満々に言う。
「あの子って意外と器用そうだから」
マイムのその言葉には、どこか説得力があるような気がした。
「それより、これからどうするか考えないと」
ヴェントが二人に問いかける。
「まずは西のサスーンの城でミスリルの指輪についての情報を得ないと。あ、あとあの城に指輪があるかどうかの確認もしないとね」
ヴェントの問いかけに応じたのは、ティエラだった。
「そうね、まだあの城に行っていなかったし」
マイムがそう言った。
「じゃあ、まずはそこに行きましょう」
こうして三人は、今後の方針を決めることとなったのだった。
そして、それから数分後。
「おっ、見えてきたぞ」
ソールは飛空艇の操縦席から外の風景を見ていた。
「あれが……。サスーン城か」
さすがは高精度の機械を搭載しているだけあって、飛空艇で行くとなれば数分でたどり着けてしまう。
徒歩で行くとなれば、おそらく数時間はかかっていただろう。しかし、そんなことを気にしている場合ではない。
今は一刻も早くミスリルの指輪を見つける必要があるのだ。
そのためにも、飛空艇を使って、少しでも距離を縮めておく必要があった。
「さて、このまま城の前まで行ってみるか」
ソールは操縦室の前のガラス越しの外の様子を見ながら、そのまま城の方へ向かったのだった。
ソールはサスーンの城の前で飛空艇を下降させていた。
これも操縦室に置かれていた説明書を確認しながら、ゆっくりと焦らずに飛空艇を地上へと下ろしていく。
「よし、到着っと」
操作をし終えたソールが操縦室の中で、背伸びをしていた。
「あら、着きましたね」
マイムが操縦室に入ってきた。
「お、みんなは?」
「うん。二人ともあっちの部屋にいます。ちょっと様子を見に行こうと思って来たの」
マイムがそう言って、部屋を出て行った。
「そうか。じゃあ行くか」
ソールもその後に続いて、操縦室から出ていった。
「ここが、サスーン城……」
「立派な建物ね……」
「こんなところに本当にあるのかしら」
ソールたち4人は、サスーンの城の前にいた。
ここサスーンの城は、パルメニ山脈地方一帯を治める王家の居城である。
聞きなれないこの「パルメニ山脈地方」とは、ソールたちの住む「ウルの村」、先ほど飛空艇を貸してくれたシドがいた「カズズの町」が属している、大きな山がそびえ、青々とした森が生い茂っている地域のことである。
ちなみに、現在いるサスーンの城は、この地方の西部に存在する大きな城だ。
城の外壁は白く美しい化粧石で作られているようだ。
「ここならきっと何か情報を得られるはずよ」
ティエラがそんな大きな城門を目の前にしてそう言った。
「そうよね、ここまで来て何もしないわけにはいかないし」
マイムが興味深そうにしている。
「さぁ、早速中に入ってみましょう」
ヴェントが言った。
「ああ」
4人はこうして、サスーンの城の門をたたくこととなった。
普通、城の城門には、城を守る兵士がいる。
だが、ジンの呪いの影響によるものかは不明だが、城門には誰もいなかった。カズズの町と同様に、おそらく人型の一筆書きのような姿になっている可能性も否定できない。
誰にも呼び止められることなく、ソールたちはすんなり城の中へと入れてしまった。
ここに来たのはあくまでもミスリルの指輪について情報を得るためである。決して城に潜り込んで金品などを得に来たわけではない。
もっとも、孤児院で暮らしながら真面目に農作業などに精を出していたソールや、金持ちの商人の家に養子として育てられ、幼少期から商業についての知識や各種マナーを叩き込まれてきたマイムたちにとっては悪事など疎遠ではあるが…。
とはいえ、今はジンの討伐が最優先だ。
「さて、どうしようか」
ソールが腕を組みながら考え込む。
「まずは王様に会ってみましょ。何か知っているかもしれません」
ティエラが答えてくれた。ブロンド色のポニーテールが相変わらず美しい。
ティエラの言うとおり、まずはこの城の王様に会ってみるのがいいかもしれない。
そう思ったソールは、まず王様がいると思われる謁見の間に向かってみることにした。
城を歩いている中、たった一人だけ、呪いにかかっていない兵士がいた。
その兵士は女性で、年齢は20代後半くらいだろうか。
その女性は、髪には大きな赤いリボンをつけている。また、その腰にはレイピアを装備していた。
その兵士の女性は、ソールたちを見るなり、
「きゃっ」
と小さな悲鳴をあげて驚いた。
「あ、あの……あなたたちは…」
「わたしたちは、ミスリルの指輪のありかを得るためにこの城に来た者です。ここに人の気配がどうもなさそうな気がするのですが…」
ヴェントが丁寧に自己紹介をしながら質問をした。
「え、えぇ。城の人間は、皆ジンの呪いによってみんな幽霊みたいな姿に変えられてしまって……。私は使いで城を出ていたので助かったのですが……」
その女性は幸いにも呪いから逃れたようだ。ソールは、彼女に王様のことを聞いてみることに。
「まさか、ここの王も…」
「ええ。残念ながら…」
兵士は落ち込んだ顔をして答えた。
「こうしてしゃべることはできるから、まずはあんな姿でも話を聞いてみましょ」
「そうだね」
「はい」
ヴェントの言葉に賛成するように、ソールとマイムもうなずいた。
「では、案内しますね」
兵士はそう言って、4人を王のいる部屋まで連れていってくれることになった。
ソールたちが向かった先は、玉座のある部屋だった。
道中で見かけた兵士たちは、カズズの町の人たち同様、一筆書きの人型の透明人間のような姿にされてしまっていた。
ジンの呪いの影響は深刻のようだ。
玉座に腰かけていた王もまた、ジンの呪いの影響を受けてしまっていた。
「私はサスーンの王。ジンの呪いによって皆幽霊のような姿にされてしまった。ジンを倒さない限りもとには戻らない…」
王のその言葉には無念さが滲んでいた。
「そうですか……」
「城の北にある、共同墓地に奴はいる。しかし、ミスリルの指輪がないと封印はできない…」
王はソールにジンとミスリルの指輪のことを教えてくれた。
「そのミスリルの指輪なのですが、ここにはありますか?」
マイムがその問いに対して、王は回答した。
「確かカズズよりこの城の姫のサラにミスリルの指輪が贈答されたことがある。しかし、それを持っているサラがどこにも見当たらくてな…」
王の話によると、確かにこの城に目当ての指輪があるのは間違いはなかった。
しかし、持ち主であるサラという姫がどこにもいないそうだ。
王は何かに気づいたのか、少し慌て始めた。
「も、もしやジンにさらわれたのでは!?おお、サラ姫…」
王はわかりやすく頭を抱えてしまった。
棒状の姿になっていてどこかシュールだが、笑っていられる状況ではない。
「まずはともかく、その共同墓地とやらに行ってみます」
ソールが王を安心させるかのように、そう言った。
「おお、戦士たちよ、よくぞ言ってくれた…。頼む。ジンを倒して人々を救ってくれっ…!」
「はい、行ってまいります」
ティエラが王に一礼をする。
「じゃあ、行きましょうか」
ヴェントがそう言いながら、歩き出した。
ソールたちはジンがいるという共同墓地へと向かっていた…のはまだの話で、現在サスーンの城にいた。
というのも、このサスーンの城、塔が2つあるのだ。
その塔のうちの片方に、この城に伝わる名剣「ワイトスレイヤー」があると、この城の兵から聞いていた。
なんでもこのワイトスレイヤー、不死の存在アンデッドが大の苦手とする聖なる力を帯びている聖剣であるそうだ。
共同墓地にはそこに眠っていたと思われる死者がよみがえってうろうろしているの噂があり、まずは戦力の強化も兼ねて手に入れよう、ソールは考えた。
ちなみに、片方の塔はサラ姫の部屋があるそうだが…。
塔は2つなので、二手に分かれて調べることにした。
ソールとティエラはワイトスレイヤーのある塔を、マイムとヴェントはサラ姫の住居とされている塔を探索することにした。
「何かあったら合流した時に報告しよう」
ソールが提案すると、他の3人も同意してくれた。
【探索イベントA 左の塔】
ソールとティエラは、ワイトスレイヤーのある塔へと向かうことにした。
ジンの呪いによってあのような姿から解放するためにも、この剣を早く手に入れたほうがいいだろう。
「お邪魔しまーす……」
ソールは恐る恐ると扉を開ける。
中は薄暗く埃っぽい。
「誰もいないみたいね……」
「うん……」
特別その塔には鍵がかかっているわけではなかったため、扉はあっさりと開いてしまった。
二人は慎重に中に入る。
この塔に人の出入りはあまりなかったようだ。
それでも、二人は塔を上へ、上へと上がっていく。
「一応…。この塔はサスーンの宝物庫みたいな感じかしら」
階段を上がっている最中、ティエラがソールに話しかける。
「そうかもしれない」
ソールは長い階段を上がっていても疲れている色は見せていなかった。
これも日ごろ身体を動かしているから故なのだろうか。
先頭を歩いていたのはティエラだった。
当然後ろをソールがついていたのだが、そんなソールは少しあることを残念がっていた。
そう。彼女は青いミニスカートを履いており、足には白いラインの入った青いニーハイソックスを履いているのだが、ミニスカートから見える「あるもの」が見えない。
というのも、薄い青色のブラウスの上に、フード付きの緑色のロングコートを羽織っているため、後ろを向いているとそれが隠されてしまうのだ。
しかし、前を向いて彼女を見ると、なんともけしからん絶対領域が視線をくぎ付けにしてしまう。
「うーむ…。仕方はないな」
ソールは心の中で呟くと、ティエラの後姿を眺めながら歩くことにしていた。
「ん?どうかしたの?」
「い、いや、なんでもない」
ソールは慌てて答えた。
「そう……」
ティエラは不思議そうな顔をして答えた。
そのまま何事もなく、二人は最上階までやってきた。
「ふぅ……」
「はぁ……」
二人が同時に息を吐いた。
そして、そこには……。
宝箱がポツンと置かれていた。
二つの女神像に挟まれる形で、宝箱がひとつだけ、置かれていた。
これがサスーンに伝わる名剣、ワイトスレイヤーなのだろう。
「これか?」
ソールがその宝箱に近付く。
「兵士がそう言っていたから、そうだと思うけど…」
ティエラが自信なさげに答える。
「開けてみるか……」
「気をつけて……」
ティエラの忠告を聞き、ソールはゆっくりと宝箱を開いた……が、特に何も起きることはなかった。
「大丈夫そうだ……」
「よかった……」
ティエラが安堵の声を漏らした。…しかし。
「あれ?」
ティエラが宝箱を挟む形で設置されていた二つの女神像に目を向けていた。
なにやら、この女神像の様子がおかしかった。その女神像がおもむろに動き出し、それはごつん、と音を立ててぶつかった。
「な、どうしたの!?」
ティエラはその光景を見て驚いていた。
そして、宝箱から剣をとったソールにこう叫んだ。
「ソールくん!今すぐその場から離れて!」
ソールはその叫び声を聞き、すぐさま離れた場所にいたティエラの方へと走っていった。
ワイトスレイヤーは無事手に入ったようで、ソールの手には赤い刀身の剣が握られていた。
ぶつかった女神像が、今度は何やら不気味な光を放ち、形を変えていった。
ソールたちは警戒する。
「なんだ……これは……っ!?」
ソールもさすがに動揺を隠しきれない。
「もしかして……この女神像は……。この剣のセキュリティみたいなもの…?」
ティエラのその言葉は正しかったのかもしれない。
不気味な光を放った女神像が姿を変えていく。そして、光が消えてようやくその姿が現れた。
女神像2体は、ひとつの魔物に姿を変えていた。
身体はライオン、頭部が鷲、そして背中に翼を生やした魔物「グリフォン」だった。
グリフォンはグェーッ、とソールとティエラに向かって威嚇していた。
ワイトスレイヤーを返せと言うかのように。
「やっぱりセキュリティね」
ティエラは槍を構えた。ソールは先ほど手に入れたワイトスレイヤーを手に、構える。
「早速剣のお試しをしてみるか」
ソールが口をにやりとさせる。
「こいつはアンデッドじゃないんですけどね」
「まあそう言うなって」
ソールはティエラにそう言いつつ、ワイトスレイヤーを構える。
「行くぞ」
「ええ」
二人はそれぞれの武器を構え、戦闘を開始した。
このグリフォン、なかなか素早く動いていた。
ティエラの魔法を数発くらったものの、あまり聞いていない模様。
「結構タフみたいだ」
「でも、効いてないわけじゃなさそうよ」
ソールとティエラは軽口を叩きながらも、戦いを続ける。
「なら、これでどうかしら」
ティエラは槍を掲げ、詠唱を始めた。
「ブリザド!」
ティエラの持つ槍から、氷でできた刃がグリフォンを襲う。その氷刃はグリフォンの左の羽根に命中した。
そこから血が噴き出る。
「やったわね」
「ああ」
二人の攻撃はまだ続く。
ソールはワイトスレイヤーで、ティエラは槍で、それぞれグリフォンを攻撃する。
「とどめだ!」
ソールがワイトスレイヤーを振り下ろす。
ワイトスレイヤーの斬撃がグリフォンの頭部に命中する。
「ぐぇー!!」
グリフォンは悲鳴を上げ、その場に倒れた。
「よし、勝った」
「ええ」
グリフォンはどうやら完全に息絶えたようだ。
身体は微塵も動いていない。
ソールは手に入れたばかりのワイトスレイヤーを眺めていた。
ワイトスレイヤー。サスーンの城に伝わる、不死の者に絶大な効果を持つ聖剣だ。血のように赤い刀身を持つ長い剣で、持ち主の魔力に応じて切れ味が増すという特徴があるとされている。
ソールはワイトスレイヤーを鞘に納めた。
「よし。これでここに用はないな」
「ええ。早く戻りましょう」
「そうだな……」
二人は塔を出て、すぐに城に戻った。
【探索イベントB 右の塔】
その一方。マイムとヴェントは、サラ姫の部屋があるとされる右の塔を上がっていた。
「この塔にお姫様のお部屋があるみたいね」
「そうらしいですね」
二人はそう言って、上へ登っていく。
マイムとヴェントは、養子でありながら金持ちの商人の元で育ったお嬢様である。
金持ちであるため、住んでいた住居は豪華な家だ。
ほぼ毎日のように豪勢なものを食べたり、高級な服を着たり、ふかふかのベッドで毎晩眠っていた理と、なんともお嬢様らしい暮らしをしていた。
そんな二人にとって、このような薄暗い塔は恐怖の対象ではなかった。むしろ、わくわくしている様子すらあった。
「ここかしら?」
「おそらく……」
マイムとヴェントは最上階に来ていた。
その部屋は、真ん中にクイーンサイズのベッドが配置されており、部屋の装飾はまさしくお姫様の部屋のそれであった。
「すごいわ……お姫様の部屋ってこんなになってるのね……」
「はい……」
二人が感動に浸っていた。そして、マイムもヴェントも、サラ姫が毎日のように寝床としているであろう大きなベッドに目を向ける。
「…」
「……」
そして、二人は同時に顔を見合わせた。
「ねえ、これってもしかして……そういうことなのかしら……?」
「はい……私もそう思います……」
2人はそう言うと、ごくりと唾を飲み込んだ。
「ま…。一瞬だけなら怒られないわよね」
恐る恐るそう言いながら、ヴェントが起こした行動は…。
ボンッ!
そう大きく音を立てて、ヴェントはそのベッドに寝ころんだのだった。
そのベッドの心地よさは、今まで経験したことがないくらいのものであった。
「はぁ……。気持ちいい~」
思わず声に出してしまうほどのものだった。
「うふっ。なんだかいけないことをしてるような気分になるわね」
「は、はい」
マイムは顔を赤らめていた。ベッドに寝転がっているヴェントが、マイムの方を見た。
「マイム。あなたもこっちに来たら?」
流し目でマイムを見る。
「え!?そ、それはちょっと……」
「大丈夫だって。バレなければ平気よ」
「……」
マイムは少し躊躇していたが、やがて決心し、同じようにベッドに寝転がった。
「ほら、やっぱり気持ちいでしょ」
「はい」
マイムが返事をした。そんな彼女に、ヴェントがこう言った。
「ね、マイム」
「はい」
「しばらく…。こうしてみない?私たち友達でしょ?」
「え……でも……」
「たまにはこういう日もいいじゃない」
「え…あ、ちょっ!」
断ろうとしたマイムだが、ヴェントに腕を引っ張られてしまい動けなくなった。
そんなヴェントはいたずらっぽくマイムを見ている。
マイムの視線がそんなヴェントの顔に向く。
「い、いくら昔からの仲だからって…。こういうのは…」
「なんか今日はこんな気分。ソールには内緒、ね?」
お互い顔を赤くしながら、ベッドの上で横たわっていた。
そして数分後。ベッドの上でマイムとヴェントが背中合わせで腰かけていた。
2人の顔色はというと…。まるでお風呂上がりのように紅潮していた。
「はぁ……。もう、ヴェントったら…」
「ごめんなさい。でも、楽しかったでしょ」
「うん、まあ…」
「また一緒にやりましょう」
ヴェントがマイムの顔を見てウインクした。マイムは思わず目をそむけたくなってしまった。
「と、とりあえず出ようよ。ソールくんたちが剣を手に入れたかもしれないし」
マイムのその声は焦りが出ていた。
「そうね。あんまり長くいたら怪しまれるもんね」
そう言って二人は塔を出た。
そして、2人はソールたちと合流するため、塔の外に出たのであった。
無事にワイトスレイヤーを手に入れたソールとティエラ、そしてサラ姫の部屋のある塔の散策をし終えたマイムとヴェントが合流した。
ソールたちは剣を守る魔物がいて、それを討伐したこと、マイムたちは塔の最上階にサラ姫の部屋があったことを報告しあった。
「まさかあんなものが仕込まれてたなんて。さすが剣を守るだけのことはしてるなあ」
ソールはどこか感心したかのような言い方だ。
「お姫様のお部屋ってあんな感じで。お嬢様のあたしたちとはまるでベクトルが違いました」
マイムのその言葉は、どこか興奮気味だ。
「そうか。ところで、マイムとヴェントは何か収穫はあったのか?」
「はい。私は特に何も。ただ、あのベッドの心地よさを体感しました」
「ああ、あれは気持ちよかったです。癖になりそうなくらい」
どうやらマイムとヴェントは、こっそりお姫様のベッドの寝心地を体験してしまったらしい。
まあ今はサラ姫がいないので、そんなことをやっても怒られないとは思うが、もし見つかったりしたら大目玉をくらうだろう。
「そうか。まあ、これでジンのところに行く準備はできたわけだ」
「そうですね」
ティエラがソールにそう言った。
「それでは向かいましょう。早速共同墓地へ」
「ええ」
「わかりました」
3人の少女たちがそうやりとりした。
こうして、4人は呪いの元凶である魔神、ジンを倒すべく飛空艇を使い共同墓地へと向かったのである。